Trademark Appeal Case
CSPの品質表示性
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 異議2003−90438(T2003−90438/J7) |
|---|---|
| 審判種別 | 異議 |
| 結論 | 勝訴(請求認容) |
理由テキスト
1 本件商標
本件登録第4664193号商標(以下「本件商標」という。)は、「CSP」の欧文字(標準文字)よりなり、平成13年12月27日に登録出願、第9類「圧延機用の電子制御装置,圧延機用の電子計算機プログラム」を指定商品として、平成15年4月18日に設定登録されたものである。
2 登録異議申立の理由
登録異議申立人(以下「申立人」という。)は、本件商標の登録は取り消されるべきであるとして、その理由を次のように述べ、証拠方法として、甲第1号証ないし甲第4号証(枝番を含む。)を提出している。
本件商標は、本件商標の指定商品の分野における取引者、需要者は「Chip Size Package」すなわち「中身のシリコン・チップと外側のパッケージが、ほぼ同じサイズで作られているIC」を認識するに止まり、自他商品の識別標識としての機能を果たし得ないものであって、本件商標を、その指定商品に使用するときは、商品の品質について誤認を生ずるおそれがあるから、商標法第4条第1項第16号に該当する。
3 本件商標に対する取消理由
当審において、平成16年1月9日付けで商標権者に通知した取消理由は、以下のとおりである。
申立人より提出された甲第2号証及び甲第3号証並びに「imidas2003」(株式会社集英社)によれば、本件商標を構成する「CSP」の文字は、「Chip Size Package」(チップサイズパッケージ)の略語で、「中身のシリコン・チップと外側のパッケージが、ほぼ同じサイズで作られているIC」(甲第2号証「日経BPデジタル大事典2001−2002年版」)又は「高密度実装対応のLSIパッケージの一形態で、
チップと同等あるいはわずかに大きいサイズの半導体素子のパッケージの総称」(「imidas2003」)を意味する語であることが認められ、かつ、本件商標の指定商品を取り扱う業界においては、「CSP」の語が、その構成部品等として普通に使用されている状況にあることが窺える(甲第3号証 インターネットのホームページの情報)。
してみると、本件商標は、「CSP」の文字を普通に用いられる方法で表示してなるにすぎないものであるから、これをその指定商品中「チップサイズパッケージ(CSP)形態の半導体集積回路を組み込んだ(対応の)電子制御装置及びこれに照応する電子計算機プログラム」に使用するときは、該商品の品質を表示するにすぎないものというべきである。
また、本件商標を、上記のような品質を有しない商品について使用するときは、その商品の品質について誤認を生じさせるおそれがあるというべきである。
したがって、本件商標は、商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に違反して登録されたものといわなければならない。
4 商標権者の意見
本件商標は「Compact Strip Production」の略語として、その頭文字から「CSP」を使用しているものである。
電子制御装置は、通常、集積回路を含んでいるが、電子制御装置がその中に使用されている個々の部品、部材の名前で市場に出ることはない。また、電子制御装置は通常ケーシングを持つ1つのユニットとして見るものであり、したがって、個々の部材、例えばICが目に触れることはない。
コンピュータプログラム、つまりソフトウェアはICとはまるで違っており、したがって、ICとコンピュータプログラムとの混同は決して生じるものではない。
同様に、圧延機に使用される電子制御装置と集積回路が混同するおそれも考えられない。
また、圧延機に使用される電子制御装置に興味を持つ層は非常に小さいものである。圧延機に使用される電子制御装置やコンピュータプログラムに興味を持つと考えられる日本の圧延機の製造販売業者は10社にも到らないだろう。このような小さな社会であるが、「CSP」は「Compact Strip Production」の略語であるという認識のもとに、商標権者の商品「圧延機の電子制御装置、圧延機用の電子計算機プログラム」の商標として周知となっている。このことからも、「CSP」が「圧延機の電子制御装置、圧延機用の電子計算機プログラム」に使用しても、商品の品質を表示するものでなく、また、他の商品に使用しても、その商品の品質について誤認を生じさせるおそれがないものと思料する。
5 当審の判断
本件商標は、「CSP」の文字よりなるものであるところ、上記3の取消理由は妥当なものであって、その指定商品中「チップサイズパッケージ(CSP)形態の半導体集積回路を組み込んだ(対応の)圧延機用の電子制御装置及びこれに照応する圧延機用の電子計算機プログラム」に使用するときは、該商品の品質を表示するにすぎず、自他商品の識別標識としての機能を果たし得ないものであり、また、上記のような品質を有しない商品について使用するときは、その商品の品質について誤認を生じさせるおそれがあるというべきであって、これに対する上記4の商標権者の意見は、以下の理由により採用することができない。
商標権者は、本件商標「CSP」は「Compact Strip Production」の略語である。そして、圧延機に使用される電子制御装置やコンピュータプログラムに興味を持つ日本の圧延機の製造販売業者は10社にも到らない小さな社会ではあるが、「圧延機の電子制御装置、圧延機用の電子計算機プログラム」の商標として周知となっている旨主張している。
しかしながら、申立人より提出された甲各号証及び「imidas2003」よりすれば、「CSP」の文字は、「Chip Size Package」(チップサイズパッケージ)の略語で、「中身のシリコン・チップと外側のパッケージが、ほぼ同じサイズで作られているIC」(甲第2号証)又は「高密度実装対応のLSIパッケージの一形態で、チップと同等あるいはわずかに大きいサイズの半導体素子のパッケージの総称」(「imidas2003」)を意味する語であって、本件商標の指定商品を取り扱う業界において、その構成部品等として普通に使用されていることが窺える(甲第3号証)。
そして、かかる事情の下で、「CSP」の文字よりなる本件商標が、その指定商品に使用された場合には、「チップサイズパッケージ(CSP)形態の半導体集積回路を組み込んだ(対応の)電子制御装置及びこれに照応する電子計算機プログラム」であると容易に理解し、認識するものといわざるを得ない。
また、商標権者は、「CSP」が「Compact Strip Production」の略語であり、かつ、著名であることを主張するのみで、何ら立証するところがない。
さらに、商標権者は、ICとコンピュータプログラムとの混同は生じない、圧延機に使用される電子制御装置と集積回路が混同するおそれも考えられない旨主張している。
しかしながら、ICとコンピュータプログラム、電子制御装置と集積回路とを混同するのではなく、本件商標は「CSP」の文字よりなるものであるから、これを「チップサイズパッケージ(CSP)形態の半導体集積回路を組み込んだ(対応の)圧延機用の電子制御装置、チップサイズパッケージ(CSP)に照応する圧延機用の電子計算機プログラム」以外のCSP形態(対応)でない「圧延機用の電子制御装置、圧延機用の電子計算機プログラム」に使用すると、その商品が恰も「チップサイズパッケージ(CSP)形態の半導体集積回路を組み込んだ(対応の)圧延機用の電子制御装置、チップサイズパッケージ(CSP)に照応する圧延機用の電子計算機プログラム」であるかのように、商品の品質について誤認を生ずるおそれがあると判断されるものであるから、この主張を認めることはできない。
したがって、本件商標は、商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に違反して登録されたものであるから、同法第43条の3第2項の規定に基づき、その登録を取り消すべきものである。
よって、結論のとおり決定する。
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