結論テキスト
審判費用は、請求人の負担とする。
Trademark Appeal Case
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
| 審判番号 | 平成10年審判第30557号 |
|---|---|
| 審判種別 | 不服 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
1本件商標
本件登録第2204172号商標(以下「本件商標」という。)は、「TRUST」の欧文字と「トラスト」の片仮名文字を上下二段に横書きしてなり、第17類「被服、その他本類に属する商品」を指定商品として、昭和58年4月25日登録出願、平成2年1月30日に設定登録されたものである。
2請求人の主張
請求人は、「本件商標の登録は、指定商品中『洋服、コート、セーター類、ワイシャツ類、下着、ねまき類』についての登録を取り消す、審判費用は被請求人の負担とする。」との審決を求め、その理由及び答弁に対する弁駁を次ように述べている。
(1)本件商標は、取消請求に係る商品について、継続して3年以上、日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれも使用した事実がないから、商標法50条第1項の規定により取り消されるべきものである。
(2)答弁に対する弁駁
被請求人は、被請求人の使用に係る商品「野球用Tシャツ」は、取消請求に係る商品に属する商品であることを前提に答弁している。しかし、「野球用Tシャツ」は、取消請求に係る商品に属しない商品であることを論拠に登録の取消を求める。
▲1▼「野球用Tシャツ」は運動用特殊衣服である。
被請求人が提示した乙第1号証の資料1〜3のすべて、野球に特化したカタログで、野球に関係ない商品は、一切掲載されていない。また、乙第1号証の資料4も、総合カタログであるけれど、「TRUST」の商標を使用した商品「野球用Tシャツ」が掲載された92頁は、野球関連商品に関するものである。しかも、乙第1号証の資料1〜4は、被請求人の商品を掲載したもので、被請求人自身も、「野球用Tシャツ」を、野球用特殊衣服と位置づけていることになる。
さらに、被請求人が提出した乙第3号証〜乙第17号証の請求書(控)または売上明細書(控)のすべてに、「野球用Tシャツ」のことを、「XA BW−1012 ベースボールTシャツ」あるいは「XA BW−1012 ザナックス ベースボール Tシャツ」と明記している。このことは、被請求人が、カタログにおいて「野球用Tシャツ」を、野球用特殊衣服と位置づけるだけでなく、社内でも野球用特殊衣服に分類しているといえる。
また、「野球用Tシャツ」が、スポーツ用品専門店だけで売られていることも、乙第3号証〜乙第17号証で、すでに立証されている。例えば、乙第10号証、乙第11号証及び乙第13号証以外で証明された取引相手は、その社名あるいは店名に、すべて「スポーツ」という文字が入っている。このことは、これら乙号証で証明された取引先はすべてスポーツ用品専門店であると推測できる。しかも、これらの取引先の仕入商品を、各乙号証の請求書(控)や売上明細書(控)で見ると、そのほとんどがスポーツ用品になっている。このことも、上記取引相手がスポーツ用品を専門に扱っていると推測できる要因になる。
一方、社名あるいは店名に「スポーツ」の文字が入っていないものとして、乙第10号証の(株)小原商店、乙第11号証の(株)ベースマン柏店及び乙第13号証の(株)ベースマンがある。
しかしながら、これら各社の請求書(控)や売上明細書(控)を見ると、その仕入商品が、すべてスポーツ関連商品になっている。このことは、前記3社がスポーツ用品を専門に扱っていることも容易に推測できる。もし、これらの会社が、スポーツ用品の専門店でないとしても、乙第10号証、乙第11号証及び乙第13号証の仕入商品から推測すれば、スポーツ用品専門の販売部門あるいは販売コーナーを持っていると考えられる。
このように、「野球用Tシャツ」が、野球専門のカタログに掲載されたり、スポーツ用品専門の販売ルートで売られているという事実からすると、「野球用Tシャツ」は、あくまでも野球用の特殊衣服であると定義せざるを得ない。
▲2▼取消請求に係る商品は、いわゆる一般の衣服に相当する。このような一般的な衣服がスポーツ品店で販売されることはない。
また、「野球用Tシャツ」が、一般の衣料品店で売られることもない。
そのことは、前記した乙第3号証〜乙第17号証の販売ルートを見れば明らかである。
被請求人が、「野球用Tシャツ」を野球用特殊衣服と位置づけ、しかもそれをスポーツ用品専門の会社や商店に販売している以上、取消請求に係る商品とは用途と販売ルートが完全に異なる。
したがって、被請求人は、本件商標を、一般衣料品に使用しているとはいえず、その商標登録の取消を免れないものである。
3被請求人の答弁
被請求人は、結論同旨の審決を求めると答弁し、その理由を次のように述べ、証拠方法として乙第1号証ないし乙第20号証(枝番を含む。)を提出した。
(1)被請求人は、本件審判請求の登録前3年以内に、日本国内において、本件商標を指定商品中の「洋服、コート,セーター類、ワイシャツ類、寝巻き類、下着」に属する「Tシャツ」に使用している。
以下、本件商標の使用事実は、乙第1号証ないし乙第17号証(枝番を含む。)により立証する。
▲1▼被請求人の使用に係る商品「Tシャツ」(商品番号BW−1012)は、総合カタログ(資料1ないし4)では野球用品の項に掲載してあるが、この「Tシャツ」は運動用特殊衣服ではなく、被服等の販売店で販売されている汎用性のある「Tシャツ」である。
先ず、本件商標「TRUST」を付した商品「Tシャツ」(商品番号BW−1012)は、乙第1号証の資料1〜4の総合カタログに掲載し乙第2号証のようにして販売されている。
すなわち、資料1の1997年7月15日作成の「1998 BASEBALL CATALOG」第88頁には「TRUST」商品番号(BW−1012)が掲載してある。
資料2の1997年7月15日作成の「1998 BASEBALL CATALOG 硬式用−グッズ・ユニフォーム・アクセサリー」第23頁に、「TRUST」(商品番号BW−1012)が掲載してある。
資料3の1997年7月15日作成の「1998 BASEBALL CATALOG 硬式・ソフトボール用−グッズ・ユニフォーム・アクセサリー」第63頁に、「TRUST」(商品番号BW−1012)が掲載してある。
そこで、乙第2号証の1ないし5によりその取引関係の事実を立証する。
資料4の1998年2月17日作成の「1998 FULL LINE SPORTING GOODS CATALOGUE」第92頁に、「TRUST」(商品番号BW−1012)が掲載してある。また、乙第2号証は、資料1〜4に掲載の商品「Tシャツ」(商品番号BW−1012)の従来及び現在の実績の販売状態を説明するために撮影したものである。結局、本件商標は値札、Tシャツの袖、カタログの商品説明箇所等に使用して販売しているものである。
次に、乙第3号証〜乙第17号証(枝番を含む。)の取引関係書類は、本件商標を付した「Tシャツ」(商品番号BW−1012)の販売実績(売り上げ伝票)の一部で、1997年11月6日から1998年8月6日迄の販売実績である。
▲2▼使用に係る商品は、取消請求に係る商品に属するものである。
したがって、被請求人は、本件商標を取消請求に係る商品に使用しているものである。
なお、本件商標は、「TRUST」と「トラスト」を二段書きしたもので、「TRUST」は信任、信頼、信用等の意で「トラスト」と自然称呼される。また、「TRUST」と「トラスト」は同一の称呼・観念を有し、「TRUST」の使用は本件商標と同一性の範囲の使用である。
(3)請求人は、「被請求人が立証した使用商品『Tシャツ』は運動用特殊被服であり、この『Tシャツ』は、取消請求に係る商品中に属しない。」と主張している。
その理由は、本件「Tシャツ」が、野球専門のカタログに掲載されており、スポーツ用品専門の販売ルートで売られているから、本件「Tシャツ」は野球用の特殊被服である。したがって、本件「Tシャツ」は、取消請求に係る商品に属しないから、その商標の取消を免れえない。」と主張している。
▲1▼ところで、乙第18号証は、本件商標が出願された旧法時の商品審査基準である。この商品審査基準の第17類の項には、「ワイシャツ類」とし、「ワイシャツ、スポーツシャツ、ポロシャツ」等が具体的に列挙されている。
結局、本件「Tシャツ」は、その形態からスポーツ以外の日常生活でも使用され、特殊なものでもないこと、又その用途が野球の練習用に限定されることなく、被服として着用されるものであることから、スポーツシャツ、ポロシャツ等の概念であり、ワイシャツ類等に属するものである。
なお、乙第19号証、乙第20号証の第17類に所属する商品(商品群)には、スポーツ及びレジャーに適した被服、ゴルフ用ジャケット等も所属していることが記載されている。
▲2▼更に、請求人は、「被請求人の使用に係る『Tシャツ』は、スポーツ店で販売され、販売ルートも限定されているから運動用特殊被服である。」と主張しているが、本件「Tシャツ」は運動用特殊被服に所属しないことを検証する。
先ず、野球用品の場合に、一揃い(1セット)として販売されるのは、▲1▼ユニフォームの上下▲2▼アンダーシャツ(七部袖、半袖、長袖がある)▲3▼ストッキング▲4▼帽子▲5▼アンダーソックスの5点であり、本件のような「Tシャツ」は、野球用具のセットにはなりえないものである。
その根拠は、野球の場合、一般の野球試合では、アンダーシャツ(七部袖、半袖、長袖がある)を着用し、Tシャツを着用して試合することはできないものである。
「Tシャツ」は、練習の時に着用し、色彩も何色でもよいもので、試合の時は着用できないものである。また、野球以外の陸上運動、サッカー等の競技試合の場合も同様である。
したがって、「Tシャツ」は、野球用品として不可欠のものではなく、スポーツ以外の日常生活でも使用され、特殊なものでもないこと、又その用途が野球の練習用に限定されることなく、被服として着用されるものであることから、運動用特殊被服に属しないものである。
この種「Tシャツ」の製造は、一般被服としての「Tシャツ」等製造メーカーが、被服のTシャツと同様に製造し、野球用に限定して製造されていないものである。
また、被請求人の「Tシャツ」は、カタログのベースボール製品の欄に掲載してあるが、この「Tシャツ」はベースボールに特定される根拠はなく、その他の陸上運動、サッカー等でも練習用として、又一般被服として気軽に着用され、販売されているものである。
また、本件「Tシャツ」は、スポーツ用品店で販売されてもスポーツ用品とは特定されず、消費者の認識は被服であること明白である。
(4)以上述べた如く、被請求人は、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国において、取消請求に係る商品に使用しているものである。
4当審の判断
被請求人の提出した登録商標の使用説明書(乙第1号証)に添付された「1998 BASEBALL CATALOG」(資料1ないし3)、「1998 FULL LINE SPORTING GOODS CATALOGUE」(資料4)及び販売商品(乙第2号証)に徴すれば、被請求人は、商品「Tシャツ」(商品番号BW−1012)に、本件商標と社会通念上同一と認められる商標を使用してることが認められる。
しかして、前記したカタログは1998年(平成10年)版であるが、カタログの納品伝票(乙第2号証の1ないし乙第2号証の5)によれば、カタログの納品日は、平成9年7月15日であること、各スポーツ店等に商品「Tシャツ」(商品番号BW−1012)を販売した売上伝票(売上明細書)、請求書、売掛金入金カード(乙第3号証の1ないし乙第17号証の8)を勘案すれば、被請求人は、本件商標を審判請求の登録前3年以内に日本国内において、商品「Tシャツ」について使用していた事実が認められる。
そこで、被請求人の使用に係る商品「Tシャツ」が、本件取消に係る商品中に属するか否かについて検討するに、
該商品が野球用品に関するカタログに掲載され、取引先がスポーツ用品専門店であるとしても、該商品は、公式の野球の試合では試合の時に着用できない「Tシャツ」であり、必ずしも野球用品として不可欠のものでもなく、野球の練習用(スポーツ)以外日常にも一般に用いられる特殊なものでもない汎用性のある「Tシャツ」とみるのが相当である。
してみれば、被請求人の使用に係る商品「Tシャツ」は、取消請求に係る商品中の「ワイシャツ類」に属する「スポーツシャツ」とみるのが相当である。
したがって、本件商標の請求に係る商品についての登録は、商標法第50条の規定により取り消すべき限りでない。
よって、結論のとおり審決する。
Next Action
類似審決の追加調査から中間応答、新規出願の費用確認まで、この審決を起点に次のアクションへ進めます。
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