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Trademark Appeal Case

商品「塗料」の認定

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号平成10年審判第30630号
審判種別不服
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

本件審判の請求は、成り立たない。
審判費用は、請求人の負担とする。

理由テキスト

I 本件商標

本件登録第1845853号商標(以下「本件商標」という。)は、「Conquest」の欧文字を横書きしてなり、第3類「染料、顔料、塗料、印刷インキ、くつずみ、つや出し剤」を指定商品として、昭和59年2月7日登録出願、同61年2月28日に設定登録され、現に有効に存続しているものである。

II 請求人の主張

請求人は、本件商標の指定商品中「塗料」について登録を取り消す、審判費用は被請求人の負担とする、との審決を求めると申し立て、その理由及び弁駁を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証及び甲第2号証を提出した。

1.本件商標は、その指定商品中「塗料」について継続して3年以上日本国内において使用されていないのみならず、本件商標を使用していないことについて何ら正当な理由が存することも認められない。また、本件商標について専用使用権者または通常使用権者、商標権者、専用使用権の設定または通常使用権許諾の登録もないから、使用者による使用ということも問題にならない。

よって、請求人は、商標法第50条第1項の規定に基づき本件商標の指定商品中上記の商品につき登録取消審判を請求する。

2.答弁に対する弁駁

(1)被請求人は、スキー用具及びそれに関連する商品を総合的に製造、卸を業とする者であり、いわゆる純然たる塗料メーカーではない。

したがって、使用に係る商品はあくまで「保護被膜スプレー」(以下「使用商品」という。)であって「塗料」ではない。乙第1号証ないし乙第3号証(商品カタログ)には使用目的として「プラスチック、金属表面等の保護、防錆」とあり、その材質が調合液であるからにはアルコール型の可剥性プラスチック塗料の他にも化学物質が含まれていることを意味し、必ずしも商標法に詳しいとはいえない一般消費者がその商品に接したとき、塗料でなくスプレータイプのスキー用保護被膜剤又は防錆剤と認識するものと考えるられ、被膜剤か防錆剤に塗料が含まれているからといって商品全体から見て「塗料」のブランドとはみなされない。

(2)元来「塗料」は、素材の保護の他に実装を目的としており、少なくともスキー用具関連商品としてみた場合、同じカタログ(乙第2号証)にみられる、例えば、防水スプレー(AS−25P)、クリーンスプレー(AS−31S)、汚れ落としスプレー(AS−27)等から判断するに、これらは雪対策商品であり、透明な塗膜を形成し表面保護材として幅広い用途があると説明されている以上商品としては素材の保護に重点があり、この点においても本件商標が「塗料」に使用されているとはいえない。

被請求人の主張は、塗料にはプラスチック(樹脂)が含まれているからプラスチックに使用しているといっているようなものであり、商品名は第一義的にその使用目的によって決せられるものであるから、本件商標の使用商品は、乙第2号証中の「カタログの見方」(1頁)として「B商品名」とあることからも、また、乙第5号証ないし乙第6号証(納品書控)における納品した品名が「被膜用スプレー」と記載されていることから「プラスチック、金属面等の保護、防錆用スプレー」、または「保護被膜用スプレー」である。

III 被請求人の主張

被請求人は、結論同旨の審決を求めると答弁し、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として乙第1号証ないし乙第7号証を提出した。

1.被請求人は、主としてスキー用具及びそれに関連する商品を総合的に製造、卸を業とするものであり、本件商標をそれらの商品に使用している。

(1)被請求人の取扱に係る商品総合カタログ1995年6月版の73頁(乙第1号証)、同カタログ1996年5月版の66頁(乙第2号証)及び同カタログ1997年7月版の68頁(乙第3号証)には、「品番AS−36保護被膜用スプレー..¥980」としてスプレー缶の胴部に「Conquest」の商標が左下から右上に斜めに2列に表して使用されているものである。

使用商品は、同カタログに説明があるように、プラスチック、金属面等の保護、防錆を目的として使用するアルコール型の可剥性プラスチック塗料である。

(2)上記(1)に関し、請求人は、本件商標の使用商品は、「保護皮膜スプレー」であるから、本件商標は「塗料」には使用していない旨主張する。

▲1▼株式会社岩波書店発行「広辞苑第5版」の「塗料」の項には「着色・つや出し・さび止めなどのために物体の表面に塗る流動体」と記載されているところから、使用商品は、「プラスチック、金属面等の保護、防錆のための塗料」と認められるところである。

▲2▼特許庁商標課編「商品区分解説」(昭和55年4月7日改訂版)の「塗料(電気絶縁材料を除く。)」(14頁)の項において「流動性の物質で物体の表面に塗布すると固化し塗膜を構成するものである」(抜粋)と解されているところである。

▲3▼してみれば、使用商品は、その用途、材質からして「塗料」の範疇に属する商品とみるのが相当である。

▲4▼請求人は、乙第1号証ないし乙第3号証に「塗料」の範疇に属さない例えば「防水スプレー」等商品を併せて載せていることから、使用商品は「塗料」の範疇に属さないと主張するが、スポーツ商品の製造・卸を業とするものだけでなく、他の商品の製造・卸を業とするものの総合カタログには、種々の商品を載せて取引に資することは通常一般的であるから、請求人のこの点についての主張は到底受け入ることはできない。

(3)乙第3号証は、被請求人が株式会社丸栄産業(以下「丸栄産業」という。)と取り引きするに際して提示し取引したものである(乙第4号証)。

そして、被請求人の丸栄産業宛の納品書(控)に徴しても明らかなように、1998年1月8日に「品番AS−36被膜用スプレー」が取り引きされ、当該納品書(控)右上部には本件商標が使用されている(乙第5号証)。

さらに、被請求人のザスポーツ株式会社宛の納品書(控)にも、1998年1月13日に「品番AS−36被膜用スプレー」が取り引きされ、当該納品書(控)右上部には本件商標が使用されている(乙第6号証)。

(4)乙第1号証ないし乙第3号証は、東京都豊島区高田3−5−2の株式会社ユニバーサル企画が、作成したものである(乙第7号証)。

2.そうとすれば、本件審判請求日である平成10年6月24日以前に、「塗料」に本件商標が使用された被請求人の総合カタログが作成、頒布され、その提示を受けた者がいるものであるばかりでなく、1998年1月8日及び同年同月13日には現実に取り引きされて現在に至っているものであるから、本件商標は、本件審判請求の登録前3年以内に日本国内において、その請求に係る指定商品「塗料」について使用していたものである。

IV 当審の判断

1.乙各号証を総合すれば、被請求人は、本件商標を本件審判の請求登録前3年以内に日本国内において「保護被膜スプレー」について使用していたと認め得るところである。

2.使用商品である「保護被膜スプレー」が取消に係る商品「塗料」に含まれる商品であるか否かについて検討する。

(1)乙第1号証ないし乙第3号証を徴するに、これら商品カタログには、「AS−36」の品番が付された「保護被膜スプレー」(使用商品)が表示されているところ、「使用目的」は「プラスチック、金属面等の保護、防錆」であり、「材質:調合液」、「特徴」として「アルコール型の可剥性プラスチック塗料。透明な塗膜を形成し、速乾性表面保護材として強靱で柔軟な特性を持ち、幅広い用途がある」もので、「使用法」は「塗る、はがすが手軽にできる..保護膜」であることが認められる。

(2)ところで、商品区分第3類に属する「塗料」は、「流動性の物質で物体の表面に塗布すると固化し塗膜を構成するもの」と認められ、また、(財)日本規格協会(1996年10月20日)発行「JIS工業用語大辞典第4版」の「塗料」の項によれば、「物体表面の保護,外観・形状の変化,その他を目的として用いる材料の一種.流体状態で物体の表面に広げると薄い膜となり,連続してその面を覆うもの.塗料を用いて,物体の表面に広げる操作を塗るといい,固体の膜ができる過程を乾燥といい,固体の皮膜を塗膜という.」なる記載が認められる。

(3)上記(2)よりすれば、塗料は、「物体表面に塗り広げて付着させる流動性物質で、物体の保護」を目的としているものであり、使用商品の目的の一つである「プラスチック、金属面等の保護」と合致するものといえるばかりでなく、塗料には、さび止め効果を有するものが存在することは周知の事実である。また、塗料には、金属やプラスチック製の製品表面に塗布し、一時的にさび止め、あるいは損傷防止等に使用される「可剥性塗料」も存在するところである。(例えば、技報堂出版株式会社(1993年1月20日)発行「塗料用語辞典」の「可剥性塗料」、「ストリッパブルペイント」の項)

(4)してみると、使用商品は、商品の目的・特徴・用法等において、塗料と共通する部分が多いといえるものであり、乙第1号証ないし乙第3号証における‘商品説明’としての「特徴」欄に記載された「可剥性プラスチック塗料」の文字をも併せ考えると、第3類の「塗料」に包含されない商品と断ずることはできない。

なお、請求人は、乙第1号証ないし乙第3号証に掲載されている他の商品との関係からして、使用商品は「塗料」に属しない旨主張するが、乙第1号証ないし乙第3号証に掲載されている商品がスキー用具関連商品であるとしても、使用商品が塗料の範晴に属しない商品と断定できないことは、前記のとおりであり、これを覆すに足りる証左は見当たらないから、上記請求人の主張は採用できない。

3.以上によれば、本件商標は、商標権者により本件審判請求の登録前3年以内に日本国内において、請求に係る指定商品「塗料」の範疇に属する「保護被膜スプレー」について使用していたものといわざるを得ない。

したがって、本件商標の登録は、商標法第50条の規定により、取り消すべき限りでない。

よって、結論のとおり審決する。

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