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Trademark Appeal Case

不使用取消: 使用立証と商品範囲

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号取消2003−30337(T2003−30337/J2)
審判種別取消
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

本件審判の請求は、成り立たない。
審判費用は、請求人の負担とする。

理由テキスト

1 本件商標

本件登録第3185558号商標(以下「本件商標」という。)は、「MITS」の文字を横書きしてなり、平成5年2月23日に登録出願、第9類

「測定機械器具,配電用又は制御用の機械器具,電気磁気測定器,救命用具,電気通信機械器具,電子応用機械器具及びその部品,電気ブザ―,火災報知機,盗難警報器,駐車場用硬貨作動式ゲ―ト,作業記録機,タイムレコ―ダ―,ロケット」を指定商品として、平成8年8月30日に設定登録されたものである。

そして、本件審判の請求の登録は、平成15年4月16日にされたものである。

2 請求人の主張の要点

請求人は、本件商標の指定商品中「電気通信機械器具,電子応用機械器具及びその部品」についての登録を取り消す、審判費用は被請求人の負担とする、との審決を求めると申立て、その理由及び被請求人の答弁に対する弁駁の理由を要旨以下のように述べている。

(1)請求人の調査によれば、本件商標は、その指定商品中「電気通信機械器具,電子応用機械器具及びその部品」について継続して3年以上日本国内において使用されていないのみならず、本件商標を使用していないことについて何等正当な理由が存することも認められないから、商標法第50条第1項の規定により取り消されるべきものである。

なお、本件商標には、他人に専用使用権若しくは通常使用権を許諾した形跡はなく、また登録されていない通常使用権者が本件審判請求の日前3年以内に、日本国内で上記商品について本件商標を使用しているとの事実も見いだせない。

(2)弁駁の理由

(ア) 被請求人提出の乙第2及び第3号証により、商標「ITS」が「停止車両検知装置」の名称として使用されているのが確認される。しかしながら、商標「ITS」は取消を求めている本件商標「MITS」とは異なるものであることから、本件商標を使用していた証拠にはならないものである。

したがって、当該証拠の詳細については検討を要しないものである。

(イ)被請求人は、乙第4号証として「MITS」の文字が記載された停止車両検知装置の日本向けカタログを、乙第5号証としてその海外向けパンフレットを提出している。

しかし、これらのカタログには、カタログの印刷時期、頒布時期、商品の販売時期等が一切示されておらず、また、答弁の理由にも使用時期に関する説明がなされていない。

登録商標が不使用取消を免れるためには、商標権者等が審判請求登録前3年以内に日本国内で登録商標が使用されていたことを立証する必要があるところ(商標法第50条第2項)、答弁書ではかかる事項が何ら証明されていないため、本件商標は不使用であったと推定されるべきである。もしも、商標が3年以内に使用されていたならば、使用時期を立証する証拠を被請求人は至急提出すべきである。

また、カタログに掲載されている商品「停止車両検知装置」が、取消を求める商品「電気通信機械器具,電子応用機械器具及びその部品」に該当するか否か疑問がある。乙第4号証によると、「本装置は主として雪、霧、煙による視程悪化時に道路上の異物を検知するもの」であり、「一般の障害物検知にも使うことが出来る」ものである。当該商品の機能から判断すると、「停止車両検知装置」とは「検知機」又は「センサー」の概念に含まれるものであり、9類の「測定機械器具」に該当するものと思われる。もしも、測定機械器具であるならば、取消を求める商品「電気通信機械器具,電子応用機械器具及びその部品」とは非類似の商品であり、本件商標の取消を求める商品について使用していたことにはならない。

ついては、「停止車両検知装置」が「電気通信機械器具,電子応用機械器具及びその部品」に含まれることを被請求人は立証すべきである。

(ウ)登録商標が使用されていたことを立証するためには、取引の実情を示す資料の提出が必要である。なぜなら、不使用取消を免れる目的で名目的に商標の使用をした場合にまで取消を免れるとすると、不使用取消審判の制度趣旨に反するためである。

ついては、過去3年以内の取引の実情を示す資料、例えば商標「MITS」を付した商品が客先に納品されたことを示す納品伝票、注文伝票、領収書、販売実績等を提出することを被請求人に要請する。

(エ)平成16年4月20日付け答弁書において、商標「MITS」の使用時期を立証すべく、乙第6号証ないし乙第8号証が新たに提出された。

先に提出された乙第4号証に「MITS」の文字と停止車両検知装置の型番「GZS−10」が記載されており、乙第6号証ないし乙第8号証の注文書等に「停止車両検知装置」及び「GZS−10型」の文字が記載されていることから、本件商標「MITS」は乙第7号証及び乙第8号証の日付である平成12年11月20日に使用されていた旨を被請求人は主張している。

そこで、乙第6号証ないし乙第8号証を検討すると、これらの書類には同一の注文番号(223190)が記載されており、同一の取引に関するものであることが明らかである。そして、当該証拠から言えることは、「GZS−10型」の停止車両検知装置を平成12年11月に1台、北海道開発土木研究所に納入したという事実である。

乙第2号証を見ると、北海道開発局開発土木研究所が停止車両検知装置の研究を公募し、開発土木研究所と被請求人が共同で停止車両検知装置を開発していた事情がうかがわれる。してみると、GZS−10型の停止車両検知装置は、研究依頼人であり共同開発者である開発土木研究所に納品されたことになる。

また、停止車両検知装置は、吹雪や濃霧下の湾曲道路のカーブ頂点に据え付け、道路上の事故を常時監視するものであるから(乙第4号証)、1台設置すれば済むものではなく、危険が予想される湾曲道路のカーブの数だけ設置されるべき商品である。かかる商品の性質に照らせば、わずか1台を設置したのみでは地域の道路事情を改善できるはずはなく、当該取引はサンプル納品ではないかと推測される。

更に、乙第2号証には商標「MITS」の文字は一切見受けられず、代わりに「ITS(Intelligent Transport Systems)」の文字が各ページに記載されている。公募による共同研究という状況に照らせば、取引においては、研究依頼者が名付けた名称やプロジェクト名が用いられるのが通常であり、応募した企業が独自に採用した商標が用いられるのは希であると考えられる。してみると、研究依頼主である北海道開発土木研究所とそれに応募した被請求人との間では、「ITS」の名前が用いられていた可能性が高いと考える。

以上を総合すると、現在の証拠内容では、開発依頼主であり共同研究者である北海道開発土木研究所にGZS−10型停止車両検知装置を1台サンプルとして納品したことを立証したにすぎず、かつ、その取引においては登録商標「MITS」ではなく「ITS」の名称が使用されていた可能性が極めて高い。ついては、一般取引において商標「MITS」を用いた商品が相当数販売されていた事実を立証するよう、被請求人に要請する。

(オ)次に、被請求人が提出した証拠のうち、「MITS」の文字が現れているのはパンフレットのみであり、その他の取引書類には一切見当たらない。乙第6号証ないし乙第8号証を見る限りでは、実際の取引では「停止車両検知装置」又「GZS−10型」が識別標識として用いられていたようであり、果たして需要者が「MITS」を商標として認識していたかどうか疑問がある。かかる状況では、パンフレットの配布状況が極めて重要であると考える。

平成15年6月2日付け答弁書の副本には、パンフレットのコピーが添付されていたが、原本を確認したいので、乙第4号証と乙第5号証の原本をご提出願いたい。また、これらのカタログの印刷部数や印刷年月日を証明すべく、印刷会社との取引書類を提出すると共に、カタログの配布先を提出するよう被請求人に要請する。

3 被請求人の答弁の要点

被請求人は、本件審判の請求は成り立たない、審判費用は請求人の負担とする、との審決を求めると答弁し、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として乙第1ないし第9号証を提出している。

(1)被請求人は、停止車両検知装置の名称として本件商標「MITS」を使用している。

本件商標を使用している停止車両検知装置とは、北海道などの寒冷地における運転状況を改善するために、研究・開発された装置であり、99年7月22日には、北海道開発局開発土木研究所が主催するITS/Win仮想研究所において、その装置概要が公表されている(乙第2号証)。

ちなみに、ITSとは「lntelligent Transport Systems」の略称であり(乙第3号証)、本件商標は、この「ITS」に被請求人の社名「明星電気」の「M」をつけたものである。

被請求人は、使用の証拠として停止車両検知装置の日本向けパンフレット及び海外向けパンフレットを提出する(乙第4及び第5号証)。

(2)これらの公表記事やパンフレットから明らかなように、停止車両検知装置は「電子応用機械器具」に属する商品であるため、被請求人は、指定役務(「指定商品」の誤記と思われる。)「電子応用機械器具」について本件商標を使用していることが分かる。

(3)被請求人は審判請求登録前3年以内に本件商標を使用していることの証拠として乙第6ないし第8号証を提出する。乙第6号証の平成12年11月付け注文書にある品名欄の型番記号“(GZS−10型)”から、平成15年6月2日付け審判事件答弁書に添付した乙第4号証に記載されている「停止車両検知装置」を注文したことが分かる。

さらに、この注文書に対して乙第7及び第8号証に示すとおり平成12年

11月20日付けの請求書と納品書が発行されている。この請求書と納品書の注文番号(略して「注番」と記載されている。)が「223190」で共通することから、乙第7及び第8号証よりGZS−10型の停止車両検知装置が納品されたことが分かる。

結局、乙第6ないし第8号証より、本件商標がGZS−10型の停止車両検知装置について、審判請求登録日前3年以内である平成12年11月20日に使用されていたことが証明される。

(4)被請求人は本件商標を使用している「停止車両検知装置」が「電気通信機械器具、電子応用機械器具及びその部品」に含まれることを証明する。

「停止車両検知装置」の概要は乙第4号証より明らかであると思われるが、FMCWレーダを用いて道路上の事故車両や異物を検知する「センサー」と、検知結果を判断する「判定装置」と、その判定結果によって道路上の警告板を点灯させる「警報器」からなる装置である。そしてこのような装置は「自動車障害物探知表示警報装置」として特許庁ホームページの商品・役務リストにも掲載されている通り(甲第9号証)、「電気通信機械器具、電子応用機械器具及びその部品」の概念に含まれる商品である。

(5)以上より、本件商標「MITS」が日本国内において、本件審判請求の登録前3年以内に「電気通信機械器具、電子応用機械器具及びその部品」の概念に含まれる「停止車両検知装置」について使用されていたことが明らかである。

4 当審の判断

(1)被請求人の提出に係る乙第4証及び乙第6ないし第8号証によれば、乙第4号証の日本向けパンフレットには、「MITS」「停止車両検知装置」「GZS−10」及び「明星電気株式会社」等の表示が確認できるものであり、これより被請求人(商標権者)が商品「停止車両検知装置 GZS−10型」に、「MITS」の商標が使用されているものということができる。

また、取引書類である乙第6号証の注文書、乙第7号証の請求書及び乙第8号証の納品書には、「平成12年11月」、「平成12年11月20日」の日付、「停止車両検知装置整備(GZS−10型)」、「停止車両検知装置整備」、「注文番号223190」及び「注番223190」等の表示が確認でき、これら乙号証はそれぞれ対応するものであり、GZS−10型の「停止車両検知装置」が取引された事実が認められる。

そうすると、これら乙各号証より、被請求人(商標権者)によって本件審判の請求の登録前3年以内に、商品GZS−10型の「停止車両検知装置」に、本件商標と社会通念上同一と認められる「MITS」の商標が使用されていたものということができる。

(2)請求人は、被請求人の使用に係る商品「停止車両検知装置」は、「測定機械器具」に属する商品である旨主張している。

しかしながら、乙第4号証の日本向けパンフレットよりすれば、該商品は、何かを測定するものというよりは、レーダーを使用して、道路上の障害物を検知・感知することが主要な機能といえるものであるばかりでなく、商品及び役務の各区分に属する商品又は役務を例示する商標法施行規則別表第9類の「電気通信機械器具」中に、例えば「方向探知機」「レーダー機械器具」の例示があり、これらから類推すると「電気通信機械器具」の概念に含まれる商品とみるのが相当である。

(3)以上を総合すると、被請求人(商標権者)は、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において、請求に係る指定商品「電気通信機械器具,電子応用機械器具及びその部品」中の「電気通信機械器具」の範疇に含まれる「停止車両検知装置」について、本件商標と社会通念上同一と認められる商標を使用していたと認められる。

したがって、本件商標は、商標法第50条の規定により、請求に係る指定商品について、その登録を取り消すべき限りでない。

よって、結論のとおり審決する。

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