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Trademark Appeal Case

商標使用証拠の有効性

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号取消2003−31713(T2003−31713/J2)
審判種別取消
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

本件審判の請求は、成り立たない。
審判費用は、請求人の負担とする。

理由テキスト

第1 本件商標

本件登録第4139841号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲のとおりの構成よりなり、平成8年6月7日に登録出願、第33類「日本酒」を指定商品として、同10年4月24日に設定登録されたものである。

そして、本件審判の請求の登録は、同16年1月20日にされたものである。

第2 請求人の主張

請求人は、商標法第50条第1項の規定により、本件商標の登録を取り消す、審判費用は被請求人の負担とする、との審決を求め、その理由及び答弁に対する弁駁を次のように述べ、証拠方法として、甲第1号証及び甲第2号証(商標登録原簿及び商標公報の写し)を提出した。

1.請求の理由

本件商標は、その指定商品である第33類「日本酒」について継続して3年以上日本国内において使用した事実が存在しないから、その登録は商標法第50条第1項の規定により取り消されるべきものである。

2.答弁に対する弁駁

被請求人提出の乙各号証によっても、被請求人が本件商標を使用している事実は明らかとはいえない。

(1)乙第1号証及び乙第2号証について

乙第1号証及び乙第2号証のラベルは、「円満大一」の位置、「マル状図形」の形状、「マル状図形」の下側にある「横棒図形」の形状において、本件商標とは異なり、本件商標と同一のものとはいえない。

また、乙第1号証のラベルにおいては、朱色の正方形状の「朝日酒造株式會社印」の印影が手で触れると色落ちする生の印を捺印した印影であり、通常、このような印影は印刷するものである。図形の下側にある印影、「朝日酒造株式会社」という記載、「福井県丹生郡朝日町西田中11号53番地」という住所の記載、右下の原材料表示についても同様であり、この原材料の表示は、乙第1号証では右下に表示されているが、乙第2号証では左下に表示されている。

以上から、乙第1号証及び乙第2号証は、その場しのぎで作成されたもではないかと推測される。

(2)乙第3号証及び乙第4号証について

「出荷伝票控」及び「売掛帳簿」により登録商標の使用を立証するには、その前提として、「出荷伝票控」及び「売掛帳簿」に記載の商品が本件商標に係る商品であることが明らかでなければならない。

本件について見るに、乙第3号証及び乙第4号証のどこをみても本件商標を使用した商品であることを確認できる記載は皆無である。

したがって、乙第3号証及び乙第4号証をもって、本件商標を使用しているとは到底いえない。

(3)乙第5号証について

乙第5号証は、単なる陳述書であり、その陳述内容の根拠が全くなく、乙第5号証も本件商標の使用を示す証拠足り得ない。

(4)以上から、本件商標は、その指定商品「日本酒」について、本件審判請求の登録前3年以内に日本国内において使用した事実が存在しないから、その登録は、商標法第50条第1項の規定により取り消されるべきものである。

第3 被請求人の答弁

被請求人は、結論同旨の審決を求めると答弁し、その理由を次のように述べ、証拠方法として乙第1号証ないし乙第5号証(枝番を含む。)を提出した。

(1)本件商標は、それが登録された平成10年の12月から、被請求人の製造販売に係る「しぼりたて」の新酒について使用されている。本件商標は、「〇一」を縦書きしたマークに、その年のいの一番の新酒の意味を込めたものである。新酒についての限定使用であるため、季節限定で、かつその本数も他の製品に比較して少ないので、パンフレット及び出荷伝票等の書類に記載された製品リストには含まれていないが、商標登録以来継続して使用されているものである。

(2)乙第1号証は、平成10年当時から使用されている本件商標を表したラベルであり、乙第2号証は、このラベルを付して販売されている商品「日本酒」の写真である。これら証拠により、本件商標の実際の使用態様が明らかである。

更に、上記の態様で本件商標を付した「日本酒」が実際に販売されたことを立証するために、平成13年度の出荷伝票6件の写しを乙第3号証の1ないし6として提出する。

(3)乙第3号証の1は、平成13年2月に本件商標を付したその年のしぼりたての新酒を販売したことを証明するものである。伝票では、本件商標を付した日本酒であることを示すために、本件商標に含まれる「〇一」を縦に並べた記号が付されている。

乙第3号証の2ないし6は、平成13年4月に、本件商標を付した指定商品「日本酒」を販売したことを示している。なお、ここに示された販売時期は新酒の時期からは外れているが、これは販売先である「株式会社かがみや」からの特別の注文により、しぼりたての新酒ではなく、火入れをしていない所謂「生酒」に本件商標を付したものを販売したためである。また、出荷伝票の品名欄に、本件商標に含まれる「〇一」を縦に並べた記号に加えて「冨士の関」の名称が付されているのは、長年に亘る取引先である販売先に対して、朝日酒造株式会社の商品であることを分かり易く示すために、朝日酒造株式会社のハウスマーク的な「冨士の関」の商標を付したためであり、商品に付された商標自体は、乙第1号証に示した商標である。したがって、乙第3号証の2ないし6も本件商標の使用を立証するものである。

(4)また、乙第3号証の2ないし6として提出した出荷伝票に対応する売掛帳簿の該当頁の写しを乙第4号証として添付する。

加えて、乙第5号証として、被請求人が毎年の新酒を直送している東京都在住の谷口三男氏による供述書を提出する。この供述書には、毎年の「しぼりたて」の新酒に本件商標が使用されてきた事実が述べられている。

(5)以上により、本件審判の請求前3年以内に、商標権者が日本国内において、本件商標をその指定商品について使用していたことは明らかである。

第4 当審の判断

(1)被請求人の提出に係る乙各号証によれば、以下の事実を認めることができる。

乙第1号証は、本件商標を表したラベルであり、ラベルには、丸状の図形とその下に横棒の如き線状の図形を太い筆をもって描いたが如き態様で表されており、丸状の図形の上半分部分に掛けて、「円満大一」の文字が筆をもって表されており、丸状の図形の左下部に「朝日酒造株式會社印」の印影が朱色で表されており、その他に、「朝日酒造株式会社」の社名と住所及び原材料等が表示されている。

乙第2号証は、本件商標の表示されたラベルを付した「日本酒」の写真であり、このラベルにも、上記したところとほぼ同一の表示がなされている。

乙第3号証の1は、被請求人が平成13年2月24日付でやませ宛てに商品を出荷した際の出荷伝票控と認められるものであり、品名欄には「しぼりたて」の文字と「〇一」を縦に並べた記号が表示されている。

(2)上記した乙各号証を総合してみれば、被請求人は、本件審判の予告登録日(平成16年1月20日)前3年以内である平成13年2月24日に、本件商標と社会通念上同一と認められる商標を付した「しぼりたての新酒」をやませ宛てに販売したものとみるのが相当である。

(3)この点について、請求人は、使用に係るラベルは、本件商標と同一のものとはいえない旨主張している。

確かに、仔細に観察すれば、丸状の図形、横棒の如き線状の図形、「円満大一」の文字の形状や位置関係等において、本件商標とは若干の差異が認められるとしても、商標の使用は、商標を付する対象に応じて、適宜に変更を加えて使用されるのがむしろ通常であり、本件の場合も、上記各構成要素において本件商標と若干の差異をもって表されてはいるが、このことにより、商標の印象に格別の差異を感じさせるものとはいえないから、社会通念上同一の商標と認識し得る範囲内の使用と認めて差し支えないものというべきである。

また、請求人は、印影の状態等からみれば、乙第1号証及び乙第2号証は、その場しのぎで作成されたものと推測されるものであり、乙第3号証のどこをみても本件商標を使用した商品であることを確認できる記載は皆無である旨主張している。

確かに、「朝日酒造株式會社印」の印影や、本件商標の構成にはないが横棒の如き線状の図形の下部に表わされている印影も、生の印を押印したような印影であり、社名と住所の表示や原材料の表示も印刷ではなく、生のゴム印を押印したもののように表されている。

しかしながら、被請求人の主張によれば、本件商標は、しぼりたての新酒について使用されるものであって、季節限定のものであり、かつ、その本数も他の製品に比較して少ない商品であることが認められる。

そうとすれば、大量生産商品ではなく、しぼりたての新酒のように、数量の少ない商品の場合においては、これに使用されるラベルが筆をもって手書きで表され、印影が生の印をもって表されていたとしても、商品の性質からみれば、さほど不自然なこととはいえず、また、ラベルが印刷ではなく手書きで表されていたとしても、そのことの故に、商標の使用に該当しないものともいえない。

また確かに、乙第3号証の1の出荷伝票控の品名欄には、「しぼりたて」の文字と「〇一」を縦に並べた記号が表示されてはいるが、「円満大一」の文字は見当たらない。

しかしながら、商標権の管理の充実している企業を別にすれば、多くの事業者においては、必ずしも、不使用取消審判にも対応し得るような万全な形での取引書類を常日頃から作成しているとはいえないのも実情であるというべきである。

平成16年2月13日付の谷口三男の陳述書(乙第5号証)によれば、「10年以上前から毎年、朝日酒造株式会社からしぼりたての新酒を送ってもらっており、当初は田島社長の毛筆で手書きされたラベルが酒瓶に付されていたが、途中から、上部に『円満大一』と横書きされ、中央に大きく『〇一』と縦書きされたラベルを付したものが送られてくるようになり、少なくとも3年前から今年を含めて4年間、即ち、平成16年、平成15年、平成14年、平成13年の新酒には、上記の新しいラベルが付されていた。」旨述べられている。

この陳述書が本件商標の使用の事実を証明するに足る証拠とはなり得ないとしても、取引の実情を推測することは可能であり、この陳述書の内容と「〇一」を縦書きしたマークはその年のいの一番の新酒の意味を込めたものである旨の被請求人の主張と併せみれば、被請求人は、本件商標の採択以前から、「〇一」を縦書きしたマークをしぼりたての新酒に使用していたものと推認され、しぼりたての新酒の取引書類には、乙第3号証の1の出荷伝票控にあるような「しぼりたて」の文字と「〇一」を縦に並べた記号をもって表示していたものと容易に推測し得るところである。そして、本件商標の採択以後は、商品自体には乙第1号証のラベルを貼付していても、取引書類には、従前通り、「しぼりたて」の文字と「〇一」を縦に並べた記号をもって表示していたとしてもあながち不自然なこととはいえない。

(4)そうとすれば、被請求人の主張と乙第1号証ないし乙第3号証の1を総合勘案し、これに乙第5号証をも併せみれば、被請求人は、本件商標と社会通念上同一と認められる商標を付した「しぼりたての新酒」をやませ宛てに販売したものとみるのが相当であり、請求人の上記各主張は、いずれも採用できない。

(5)してみれば、被請求人は、本件審判の請求の登録前3年以内に、日本国内において、本件商標と社会通念上同一と認められる商標を本件指定商品について使用していたものというべきである。

したがって、本件商標の登録は、商標法第50条の規定により取り消すことはできない。

よって、結論のとおり審決する。

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