sokuhyo

Trademark Appeal Case

使用証拠の有効性

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号取消2004−30461(T2004−30461/J2)
審判種別取消
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

本件審判の請求は、成り立たない。
審判費用は、請求人の負担とする。

理由テキスト

第1 本件商標

本件登録第3357822号商標(以下「本件商標」という。)は、「THE NATURAL ONE」の欧文字を横書きしてなり、平成7年10月6日登録出願、第3類「せっけん類,化粧品」を指定商品として、同9年11月7日に設定登録され、現に有効に存続しているものである。

第2 請求人の主張

請求人は、「本件商標の登録を取り消す。審判費用は被請求人の負担とする。」との審決を求めると申し立て、その理由及び答弁に対する弁駁を次のように述べた。

1 請求の理由

本件商標は、その指定商品について、被請求人により過去3年間使用されていない。したがって、本件商標の登録は、商標法第50条の規定により取り消されるべきである。

2 答弁に対する弁駁

(1)乙第2号証(カタログ)について(なお、乙各号証は算用数字で表示した。以下同じ。)

(ア)乙第2号証は、本件審判の請求の登録(2004年4月21日)前3年以内に日本国内で頒布されたものであることを示す証拠がなく、かかる期間内に本件商標が使用されたことを示す根拠とはならない。乙第2号証の右下には、「99.01.300000」の数字が小さく記載されているが、この数字が、被請求人のいう「1999年(平成11年)1月に30万部作られたものであること」を証明することになるのか不明である。元来、この種カタログは、当該カタログに掲載された商品やその価格等との関係で、何年何月から何年何月まで有効である旨が明示されることが多いが、そのような記載も一切なく、おそらくは発行者にとってメモあるいは覚書程度の役割を果たすに相違ない「99.01.300000」をもって「1999年(平成11年)1月に30万部作られたものである」とするのは不当である。

仮に、乙第2号証が被請求人主張のように「1999年(平成11年)1月に30万部作られたものである」としても、それは単に「作られたもの」にすぎず、本件審判の請求の登録前3年以内からに頒布されたことを証拠付けるものは何も示されていないから、乙第2号証に付された本件商標が取引の目印たる商標としての自他商品識別機能を果たしているとはいえない。

(イ)乙第2号証は、株式会社アルソア本社(以下「アルソア本社」という。)発行のものであるが、アルソア本社が本件商標の商標権についての通常使用権者であるかどうかは不明である。一般に、通常使用権に関する契約書、あるいは通常使用権の設定登録を証する書面等の提示もなく、アルソア本社が通常使用権者であるとするのは当を得たものではない。

(ウ)このように、乙第2号証は、「本件審判の請求の登録前3年以内に、日本国内においてその商標権者、専用使用権者、通常使用権者のいずれかがその請求に係る指定商品のいずれかについての登録商標の使用をしていること」を証明するものではない。

(2)乙第3号証(化粧せっけん及びその包装用外箱の写真)について

乙第3号証の外箱が「化粧せっけん」10ケ入のものであることは理解できても、それが乙第2号証の「化粧せっけん」と一致するものかどうかは示されておらず、また、後述する乙第4号証との関係も不明である。

乙第3号証の外箱が、実際に製造され、商品「化粧せっけん」が当該外箱を包装として、本件審判において「使用」を要求される期間内に取引の場において使用されたものであるか否かについては、何の根拠もなく、名目的使用にすぎないものである。

(3)乙第4号証の1及び2(包装用外箱の仕様書)について

乙第4号証の1は、レンゴー株式会社(以下「レンゴー」という。)からアルソア本社に宛てた書類であることが理解できたとしても、被請求人がいう「通常使用権者宛の『レンゴー』の上記『化粧せっけん』の外箱の仕様書」であることを特定する情報が存在しない。

乙第4号証の1及び2は、綴じられて一体とされているが、これらが原本において一体であることは示されておらず、乙第4号証の2を乙第4号証の1に添付して一体とし、「仕様書」であると称しているだけのものであるとも考えられる。

仮に乙第4号証が「仕様書」であったとして、何故に、その仕様(乙第4号証の2のものがそれであるとして)のものが、「使用」を要求される期間に取引に供されていたことが立証されているものといわざるをえないのであるか、疑念を禁じ得ない。そもそも仕様書なるものは、納入物につきこのような仕様であることを示すものであり、例えば、乙第4号証の2に示す仕様の提案があったからといって、その仕様のものが、製造販売に供され、取引の場に置かれたことを立証することにはならない。

さらに、年月日欄に「2003/1/20」の印刷があり、「’03.1.22」のゴム印が押されているが、これが日付を示すものであるとして、その日付はおそらく、乙第4号証の1なる書面を提出した日を示すだけのものであって、その仕様のものの製造販売とは何の関係もないのである。

また、乙第4号証の1には、「変更内容:中を広げた。(中箱を取り出し易くした)」の記載があり、その仕様提案の前に異なる提案のあったことが窺えることからして、仮に「仕様提案」がなされたものであったとしても、これが最終仕様であり、製造販売につながる仕様であることすら定かでない。

このように、乙第2号証の「化粧せっけん」と一致することの不明な乙第3号証と、意味不明であり、仮に仕様提案書と受けとめることができたとしても、仕様提案にとどまるはずの乙第4号証をもって、「化粧せっけん」についての使用の事実を立証するものではない。

(4)乙第5号証(一般肌用化粧水及びその包装用外箱の写真)及び乙第6号証(包装用外箱の仕様書)について

前記(3)において述べたように、一般肌用化粧水の外箱の写真と、意味不明ではあるが仕様提案と理解できなくもない書面のみでもって、一般肌用化粧水についても、商標法第50条第2項の要件は満たしていない。

(5)むすび

以上のように、乙各号証によっては、本件商標を付した商品等が取引の場に置かれる等使用の定義に合致すること、その使用が商標権者、専用使用権者、通常使用権者のいずれかによって本件審判の請求前3年以内にされたことが証明されていないから、本件商標は、商標法第50条により取り消されるべきである。

第3 被請求人の主張

被請求人は、結論同旨の審決を求めると答弁し、その理由を次のように述べ、証拠方法として、乙第1号証ないし乙第10号証(枝番を含む。)を提出した。

1 本件商標は、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において本件商標の通常使用権者であるアルソア本社(山梨県北巨摩郡小淵沢町2961)によって、本件商標の指定商品中「化粧せっけん」及び「一般肌用化粧水」について使用されていた(乙第2号証ないし乙第10号証)から、その登録が取り消されるべきものではない。

(1)乙第2号証(カタログ)は、1999年(平成11年)1月に30万部作られたものであることが、カタログの裏表紙右下方の数字から明らかであって、これは現在も引続き頒布されているものである。

そして、このカタログの表紙の中央に、「ARSOA」の文字の登録商標(ハウスマーク)の型押しされた「化粧せっけん」が大きく写実され、その右下方に、「ARSOA」の下段に本件商標「THE NATURAL ONE」が表示されているから、本件商標は「化粧せっけん」について使用されていることが商標法の商標の使用の定義から明らかである。

(2)乙第3号証(商品写真及びその包装用外箱の写真)の外箱の右下方には、「ARSOA」の下段に本件商標「THE NATURAL ONE」が表示されており、乙第4号証のレンゴーから本件商標の通常使用権者に宛てた上記「化粧せっけん」の外箱の仕様書には、その表紙に年月日として、2003年1月20日が示され、箱自体の仕様には本件商標「THE NATURAL ONE」も表示されている。

したがって、乙第2号証ないし乙第4号証によって、本件商標はその指定商品中、少なくとも「化粧せっけん」について、本件審判の請求の登録前3年以内に国内において、本件商標の通常使用権者であるアルソア本社によって使用されていたことが立証されている。

(3)乙第5号証(一般肌用化粧水及びその包装用外箱の写真)の包装用外箱の右下方には、「ARSOA」とその下段に本件商標「THE NATURAL ONE」が表示されており、乙第6号証のレンゴーからアルソア本社に宛てた上記「一般肌用化粧水」の外箱の仕様書には、その表紙に年月日として、2003年2月17日が示され、箱自体の仕様には本件商標「THE NATURAL ONE」も表示されている。

したがって、乙第5号証及び乙第6号証によって、本件商標はその指定商品中、「一般肌用化粧水」についても、本件審判の請求の登録前3年以内に国内において、本件商標の通常使用権者によって使用されていたことが立証されている。

2 請求人の主張について

(1)請求人は、乙各号証によっては、本件商標を付した商品等が取引の場に置かれる等使用の定義に合致すること、その使用が商標権者、専用使用権者、通常使用権者のいずれかによって本件審判の請求前3年以内にされたことが証明されていない旨主張する。

しかしながら、「化粧せっけん」及び「一般肌用化粧水」の各10ケ入り外箱(乙第3、5号証)に本件商標が表示されていることは、商標法第2条第3項第1号に規定されている「商品の包装に標章を付する行為」に基づくものであるから、本件商標の使用があったことを明らかにしているというべきである。

(2)請求人は、本件商標が本件審判の請求の登録前3年以内に使用されたことについて疑義を有する旨主張するが、「化粧せっけん」及び「一般肌用化粧水」の各外箱がその仕様書(乙第4、6号証)に基づいて作成されたものであり、仕様書には、仕様書の作成(納入)年月日が明らかにされているから、その日付からも上記外箱が本件審判の請求の登録前3年以内に作成されたものであることを明らかにしている。

3 むすび

してみると、本件商標は、商標法第50条第1項の規定により、その登録が取り消される理由はないものである。

第4 当審の判断

1 乙第2号証ないし乙第10号証(枝番を含む。)によれば、以下の事実を認めることができる。

(1)乙第2号証は、「ARSOA QUEEN SILVER」、「アルソア クイーンシルバー」との表題のあるカタログであるところ、表紙の右下には、やや図案化した「ARSOA」(以下「ロゴマーク」という。)の文字とその下に小さく「THE NATURAL ONE」の文字が表示され、ロゴマークが型押しされた「洗顔せっけん」が掲載されている。また、「SKIN CARE」として、「パック、化粧水、美容液、美容オイル、乾性肌用化粧液」などが掲載されている。

同カタログの裏表紙の下段には、「株式会社アルソア本社/山梨県北巨摩郡小淵沢町2961」、「カタログ価格20円」、「99.01.300000」などの文字が表示されている。

(2)乙第3号証は、ケースに入った商品10個が包装用外箱入った状態の写真2葉であるところ、包装用外箱の側面左端に「アルソア/クイーンシルバー」、「(洗顔石けん・ケース付)/135g×10」、「ARSOA QUEEN SILVER」と表示され、同側面右端にロゴマークとその下に小さく「THE NATURAL ONE」の文字が表示されている。

(3)乙第4号証の1及び2は、レンゴーがアルソア本社に宛てた「クイーンシルバー(洗顔石鹸・ケース付)50入 外箱」の仕様書と認められるところ、乙第4号証の1の「年月日」欄には、「2003/1/20」と記載され、「検印」欄に捺印及び「03.1.22」のゴム印があり、その下に「変更内容:巾を広げた。(中箱を出し易くした)」と記載されている。また、乙第4号証の2(外箱の展開図)には、「アルソア/クイーンシルバー」、「(洗顔石けん・ケース付)」、「ARSOA QUEEN SILVER」、ロゴマーク、「THE NATURAL ONE」、「10ケ入り×5」などの文字が表示されている。

(4)乙第5号証は、商品及びその包装用外箱の写真2葉であるところ、包装用外箱の正面左上に「アムニー/ローション」、「(一般肌用化粧水)」、「AMUNY LOTION」と表示され、同正面右下にロゴマークとその下に小さく「THE NATURAL ONE」の文字が表示されている。

(5)乙第6号証の1及び2は、レンゴーがアルソア本社に宛てた「アムニーローション 外箱」の仕様書と認められるところ、乙第6号証の1の「年月日」欄には、「2003/2/17」と記載され、「検印」欄に捺印及び「03.2.19」のゴム印がある。また、乙第6号証の2(外箱の展開図)には、「アムニー/ローション」、「AMUNY LOTION」、ロゴマーク、「THE NATURAL ONE」、「10ケ入り×5」などの文字が表示されている。

(6)乙第7号証及び乙第8号証は、被請求人及びアルソア本社の登記簿謄本であるところ、これらによれば、両者は、いずれも本店の所在地を「山梨県北巨摩郡小淵沢町2961番地」とし、代表取締役は同一人と認められること、「目的」の一つに「化粧品の製造販売」が掲げられていること、被請求人は、平成11年1月29日に東京都渋谷区渋谷三丁目26番地20号から上記住所に本店を移転したことなどが認められる。

(7)乙第9号証は、被請求人とアルソア本社との間で締結した平成16年2月27日付け「事務委託契約書」であるところ、該契約書によれば、被請求人は、アルソア本社に対し、アルソア本社の製造する商品等に被請求人の所有する商標の使用をする権利を与え、アルソア本社がその対価を支払うことを内容の一つとするものである。

(8)乙第10号証は、本件商標の登録原簿(写し)であるところ、これによれば、被請求人は、平成16年6月7日受付の登録名義人の表示の変更により、「山梨県北巨摩郡小淵沢町2961番地」となり、その登録が同年6月21日にされている。

2 前記1で認定した事実を総合すると、アルソア本社は、本件商標の通常使用権者と認めることができる。そして、本件商標の通常使用権者は、1999年(平成11年)1月ころ、ロゴマーク及び「THE NATURAL ONE」を表示したカタログに「洗顔せっけん」、「化粧水」などを掲載し、広告したことが認められ、また、上記商品中の「洗顔せっけん」について、その包装用外箱の仕様書を本件審判の請求の登録(平成16年4月21日)前3年以内である平成2003年(平成15年)1月20日にレンゴーより送付され、同年1月22日に検印したこと、及び「一般肌用化粧水」について、その包装用外箱の仕様書を上記期間内の平成2003年(平成15年)2月17日にレンゴーより送付され、同年2月19日に検印したことが推認される。そして、「洗顔せっけん」及び「一般肌用化粧水」の包装用外箱には、本件商標と同一の書体からなる「THE NATURAL ONE」の文字が表示されていたことが認められる。

また、本件使用に係る商品「洗顔せっけん」及び「一般肌用化粧水」が本件取消に係る指定商品中に含まれていることは明らかである。

そうすると、本件商標の通常使用権者は、本件審判の請求の登録前3年以内に、本件取消に係る指定商品中の「洗顔せっけん、一般肌用化粧水」について、本件商標を使用していたと推認することができ、本件商標の使用は、自他商品の識別標識としての機能を果たし得る態様のものというのが相当である。

3 請求人の主張について

(1)請求人は、乙第2号証について、「99.01.300000」の数字より、これが1999年1月に30万部作られたものであるとするのは不当である旨主張し、さらに、仮に30万部作られたとしても、本件審判の請求の登録前3年以内に頒布されたことは何ら示されていない旨主張する。

しかしながら、カタログの場合、表紙あるいは裏表紙の下部等に、その作成日や作成部数等を、例えば本件のように、「99.01.300000」と表示することは決して少なくなく、このような実情に照らせば、乙第2号証が1999年1月に30万部作られたものであるとすることに何ら不自然なところはなく、このような大量の作成部数からすれば、頒布することが前提となっていたと容易に推認し得るところである。

そして、乙第2号証の作成年月日が本件審判の請求の登録前3年より以前であったとしても、乙第3号証ないし乙第6号証の2を総合すれば、通常使用権者は、本件審判の請求の登録前3年より以前から継続して本件商標を使用したことが推認されるから、上記に関する請求人の主張は採用することができない。

(2)請求人は、乙第3号証について、乙第2号証及び乙第4号証との関係が不明であり、また、乙第3号証が本件審判の請求の登録前3年以内に使用されたとの証拠がないから、名目的使用にすぎない旨主張し、乙第4号証ないし乙第6号証の2について、要するに「仕様書」があったとしても、これをもって、本件商標が使用された商品が製造販売に供され、取引の場に置かれたことを立証することにはならない旨主張する。

しかし、前記認定のとおり、乙第2号証には、「ARSOA QUEEN SILVER/アルソア クイーンシルバー」、ロゴマーク及び「THE NATURAL ONE」の文字のもと、ロゴマークが型押しされた「洗顔せっけん」などが掲載されており、乙第3号証に表示された「アルソア/クイーンシルバー」、「(洗顔石けん・ケース付)/135g×10」、「ARSOA QUEEN SILVER」、ロゴマーク及び「THE NATURAL ONE」の文字との関係、並びに乙第4号証の2に表示された「アルソア/クイーンシルバー」、「(洗顔石けん・ケース付)」、「ARSOA QUEEN SILVER」、ロゴマーク及び「THE NATURAL ONE」などの文字との関係からすれば、これらが同一の商品であると認めることに何ら困難を要しない。そして、乙第3号証が名目的に作成されたものであると認めるに足る証拠は見出せない。

また、前記認定のとおり、通常使用権者は、本件審判の請求の登録前3年以内に、その取扱いに係る「洗顔せっけん」及び「一般肌用化粧水」の包装用外箱に本件商標を表示したことが認められ、本件商標の使用は、自他商品の識別標識としての機能を果たし得る態様のものというのが相当であり、これは、商標法第2条第3項第1項に規定する「商品又は商品の包装に標章を付する行為」に該当するものといわざるを得ない。

(3)したがって、請求人の主張は、いずれも理由がなく、他に前記認定を覆すに足る的確な証拠の提出はない。

4 むすび

以上のとおりであるから、被請求人は、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において、通常使用権者が本件請求に係る指定商品中の「洗顔せっけん、一般肌用化粧水」に本件商標の使用をしていたことを証明したと認め得るところである。

したがって、本件商標の登録は、商標法第50条の規定により、取り消すことができない。

よって、結論のとおり審決する。

Next Action

次の一手につながるサービス

類似審決の追加調査から中間応答、新規出願の費用確認まで、この審決を起点に次のアクションへ進めます。

次の一歩へ

商標の登録可能性を無料で確認するか、費用の目安を料金表・シミュレーターで把握できます。