結論テキスト
審判費用は、被請求人の負担とする。
Trademark Appeal Case
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
| 審判番号 | 平成10年審判第35341号 |
|---|---|
| 審判種別 | 不服 |
| 結論 | 勝訴(請求認容) |
本件登録第3199431号商標(以下「本件商標」という。)は、別紙に表示したとおりの構成よりなり、平成5年10月4日登録出願、第12類「自動車の部品及び附属品、二輪自動車・自転車並びにそれらの部品及び附属品、車いす、タイヤ又はチューブの修繕用ゴムはり付け片」を指定商品として、同8年9月30日に設定の登録がされたものである。
請求人は、結論同旨の審決を求めると申し立て、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証乃至同第8号証(枝番を含む。)を提出している。
(1) 請求人は、昭和58年4月に「Gショック」「G−SHOCK」(以下「引用商標」という。)なる特異な造語よりなる商標を腕時計に付して発売し、当初年間1万本程度であったものが、米国において人気となり、これが逆輸入現象となり、また、機能追加等による機種の増加もあって、91年3万、93年50万、96年100万本と急上昇した。そして、新機能種の販売は、大々的に宣伝広告すると共に次々に各新聞、雑誌にも報道、紹介され、販売高も上昇したことによって(甲第3号証の1乃至13)、異常な人気となり、その人気は今日に至るまで継続している。
(2) 請求人の引用商標は、国内外で人気を博し、一種のファッション的なブームを巻き起こす現象となっているが、その異例な状況は、刊行物(甲第7号証の1乃至3)が発行されていることからも窺え、若者を中心として知名度も抜群であり、引用商標を見聞きすれば、直ちに請求人の扱いに係る商品を想起することは明白なところである。
(3) 本件商標は、請求人の前記著名な引用商標中の「G−SHOCK」と同一態様のものであり、引用商標を付した時計は、アウトドアレジャー用として使われ、スポーツウオッチと呼ばれ、本件商標の指定商品である「二輪自動車、自転車」などの利用時に一緒に使われるものといえることより、商品も使用時、使用する場所が一緒であるなど極めて密接な関係にあるものであるから、本件商標に接する取引者及び需要者は、それが請求人の取扱いに係る商品であるかのように又は請求人と何らかの関係にある者の取扱いに係る商品であるかのように認識し、商品の出所について混同を生ずるおそれがある。したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当するものである。
被請求人は、本件審判の請求は成り立たない、審判費用は請求人の負担とする、との審決を求めると答弁し、その理由を要旨次のように述べている。
(1) 商標法第4条第1項第15号に該当するか否かの判断は、出願時が基準となるものであり、甲第2号証は、1997/1998年版の会社案内であって、本件商標の出願日である平成5年(1993年)10月4日当時の請求人の状況を示すものではない。さらに、本件商標の登録出願当時、請求人がデジタル時計、電卓では業界1位であることを示す記載はなく、また、同号証の24頁及び25頁に記載された沿革の製品欄によれば、デジタルカメラの発売は1995年2月であり、ハンドヘルドパソコンの発売は1996年11月である。そして、同号証の31頁及び32頁に記載された海外関連会社のリストにおいて、生産系関連会社16社中9社及び販売系関連会社4社中1社が1993年12月以降の設立である。
(2) 甲第3号証の8〜13は、本件商標の出願日以降に発表されたものであり、本件商標が商標法第4条第1項第15号に該当するか否かを判断する際の根拠にはなりえないものである。
(3) 国内外のあらゆる層に浸透しているとして、甲第4号証の1〜3を引いているが、甲第4号証の3は本件商標の出願日以降に発表されたものである。
一方、甲第4号証の2には、「若者の間で爆発的にヒットしている」とあり、引用商標を付した腕時計が、本件商標の出願当時に、デジタル式スポーツウオッチとして若者に知られていたことは認められるが、国内外のあらゆる層に浸透するまでの著名性を獲得していたとは、到底いえないこと明らかである。
(4) 具体的な使用例として甲第5号証の時計の総合カタログを引いているが、この総合カタログは1997年4月現在の商品を示すものであるから、これが直ちに1993年(答弁書には1995年と記載されているが、誤記と認める。)10月当時の引用商標の使用態様を示すものとはいえない。
(5) 甲第6号証の1及び2に基づいて、引用商標が、プレミアム商品に採用されたことが、直ちに商標としての知名度の高さに結びつくものではなく、甲第6号証の2は、本件商標の出願後に発表されたものである。
(6) 甲第7号証の1〜3には、デジタル式腕時計についての使用しか記載がなく、本件商標の出願当時である平成5年10月に、デジタル式腕時計について引用商標が有名であったとしても、デジタル式腕時計以外の商品との関連で、請求人あるいは請求人の扱いに係る商品を想起するまでの著名性を獲得しているとの立証は、なされていないものである。
(7) 被請求人が、本件商標を採用したのは、地面(ground)からの衝撃に強い商品ということで、groundの頭文字Gをとって、「G・SHOCK」「ジーショック」としたものであり、地面に関連のある指定商品で、本件商標は、被請求人が独自に創案したものである。そして、二輪自動車、自転車などの利用者が、必ずスポーツウオッチを着用するものでもなく、また、スポーツウオッチはファッション感覚で着用される場合も多く、必ずしもスポーツとは結びつかない。そして、二輪自動車、自転車等と引用商標を付して販売している時計とは、その原材料、製造工程や製造場所、販売の流通過程や販売場所、使用目的や使用場所が異なり、甲各号証にこれらの商品の密接な関係を明確に示す記載は存在しないので、請求人の事業は多角化しているといっても、「情報機器、電子時計、電子楽器、通信・映像機器、デバイス等のハード及びソフトの製造販売事業」であり、デジタル技術を中心とした電子機器関連事業の範囲内に止まり、二輪自動車や自転車をはじめとする本件商標の指定商品にまで及ばない。
結局、本件商標の欧文字部分が、請求人の引用商標とほぼ同一態様のものであっても、使用する商品が全く異なり、互いの商品間に何らの関連性もなく、さらには本件商標出願当時に本件指定商品を請求人が取り扱う蓋然性もないこと明らかであるから、本件商標出願時を基準に判断すれば、本件指定商品に付した本件商標に接する取引者及び需要者が、それが請求人の取扱いに係る商品であるとか、請求人と何らかの関係にある者の取扱いに係る商品であると、誤認することはなく、商品の出所について混同を生ずるおそれがない。したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当するものではない。
商標法第4条第1項第15号においていう他人の業務に係る商品又は役務と出所の混同を生ずるかどうかの認定に当たっては、当該商品又は役務の取引者、需要者の一般的な注意の程度に照らし、商標自体とそのほか当該他人の使用する商標の著名の程度等、客観的な諸般の事情よりして、そのおそれがあるかどうかにより具体的に判断すべきものと解される。
そこで、引用商標の著名性についてみるに、請求人の提出に係る書証の全趣旨よりみて、以下の点を認めることができる。
(1) 激しいスポーツや野外の仕事にも安心して使えるよう耐衝撃性に的をしぼったアウトドア用の腕時計を「GーSHOCK」として、1983(昭和58)年4月より発売していること、1985(昭和60)年にアメリカで放映された耐衝撃性をアピールしたCMをきっかけにアメリカでブームとなり、そのブームが日本に逆輸入されたのが、1991(平成3)年秋であって、日本では、ジーンズに似合うファッショナブルな時計として受け入れられ、一時は店頭で品切れになったり、日本で売られていない機種をアメリカから逆輸入する業者が現れた旨の新聞記事(甲第4号証の2)、また、1992(平成4)年に「Gショック」が爆発的な売れ行きとなっていること、衝撃に強いアウトドア用の腕時計「Gショック」が10万個を越すペースで売れている旨の新聞記事(甲第4号証の1)が掲載されていることが認められる。また、本件商標の登録出願前の新聞において、衝撃に強い腕時計を「カシオ Gショック」として掲載された紹介記事(甲第3号証の1ないし6)が認められる。
(2) 平成5年6月9日産経新聞において、カシオの腕時計「GーSHOCK」が、全国のセブン−イレブン各店においてコカコーラのキャンペーン用のプレミアム品に採用された(甲第6号証の1)ことが認められる。
(3) GーSHOCKの文字を付した腕時計を1983(昭和58)年11月に事実上、量産開始し、国内最初に登場したモデルは1991(平成3)年11月発売開始され、ウインタースポーツのために氷点下20°C以上に耐えるもの、本格派ダイバー200m防水性能を持ったもの、気圧計・気圧演算高度計を内蔵したもの等が発売されていることが認められる(甲第7号証の1)。また、スカイダイバーに必要な情報の時刻・高度・温度、そしてそれらを計測した月日を最大50本メモリーできるもの(甲第7号証の2)、泥や埃の侵入をシャットアウトするもの(甲第7号証の3)も発売されている。
以上の(1)ないし(3)の各点よりして、引用商標は、本件商標の登録出願時である平成5年(1993年)10月4日以前において、すでに、わが国の時計関連用品の取引者、需要者のみならず各種のアウトドアスポーツ関連分野において、請求人会社の業務に係る腕時計を表示するものとして需要者間に広く認識された、いわゆる著名商標と認め得るものである。
しかして、本件商標は、その構成別紙に示すとおり、「G−SHOCK」の欧文字と「ジーショック」の片仮名文字とを二段に書してなるものである。
そこで、本件商標と引用商標とを比較するに、両者はともに「ジーショック」の称呼を生ずるものであって、欧文字の構成、配列を同一にしているから、取引者、需要者に外観において近似した印象を与えるものである。
そうすると、本件商標の指定商品の分野における取引者、需要者の一般的な注意の程度に照らし、商標自体とその他客観的な諸般の事情を総合勘案するに、本件商標と引用商標とが称呼、外観印象において紛れ得るものである。
そして、自転車競技、自転車によるアウトドアスポーツにおいては、衝撃・振動に強い多機能なスポーツウオッチを選択し着用することが多いことから、本件商標の指定商品と請求人の引用商標の付された商品「時計」とは互いに何らの関係のない商品とはいえず、需要者層を同じくするものであり、請求人に係る引用商標の著名性が本件商標の登録出願前において自転車の分野にまで及んでいたといえるものであるから、本件商標をその指定商品について使用した場合、これに接する取引者、需要者は、前記事情よりして、該商品が請求人会社又は請求人会社と事業上何らかの関係を有する者の取扱いに係る商品であるかのごとく、商品の出所について混同を生ずるおそれが少なからずあると判断するのが相当である。
以上のとおり、本件商標は商標法第4条第1項第15号に違反して登録されたものであるから、同法第46条第1項第1号により、その登録を無効とすべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
Next Action
類似審決の追加調査から中間応答、新規出願の費用確認まで、この審決を起点に次のアクションへ進めます。
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