結論テキスト
審判費用は被請求人の負担とする。
Trademark Appeal Case
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
| 審判番号 | 無効2003−35390(T2003−35390/J3) |
|---|---|
| 審判種別 | 無効 |
| 結論 | 勝訴(請求認容) |
本件登録第4187860号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲(1)に示すとおりの構成からなり、平成9年2月10日に登録出願、第25類「被服,履物」を指定商品として平成10年9月18日に設定登録されたものである。
請求人が引用する登録第2324652号商標は、別掲(2)に示すとおりの構成からなり、昭和63年6月30日に登録出願、第17類「被服(運動用特殊被服を除く)布製身回品(他の類に属するものを除く)寝具類(寝台を除く)」を指定商品として平成3年7月31日に設定登録され、その後、平成13年8月7日に商標権の存続期間の更新登録がされ、さらに、指定商品を第20類、第22類、第24類及び第25類に属する商標登録原簿記載のとおりの商品とする書換登録が平成14年5月15日にされているものである。同じく、登録第2329483号商標は、別掲(2)に示すとおりの構成からなり、昭和63年6月30日に登録出願、第22類「はき物(運動用特殊ぐつを除く)かさ、つえ、これらの部品および附属品」を指定商品として平成3年8月30日に設定登録され、その後、平成13年8月7日に商標権の存続期間の更新登録がされ、さらに、指定商品を第18類、第25類及び第26類に属する商標登録原簿記載のとおりの商品とする書換登録が平成14年5月15日にされているものである。以下、これらをまとめて「引用商標」という。
請求人は、結論掲記のとおりの審決を求め、その理由及び被請求人の答弁に対する弁駁の理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として甲第1ないし第7号証(枝番を含む。)を提出している。
(1)本件商標と引用商標との類否を検討するに、前者は動物の足跡と思しき図形からなり、その動物を明確に特定することはできないが、単純に捉えて足跡(foot print)印の称呼・観念が生ずると思われる。
一方、引用商標も、ある種動物の足跡を連想し、指先に爪跡のようなものを点で描いてなるも、全体的印象としてはどのような動物の足跡か特定できないとはいえ、一見して足跡であるイメージは強く、引用商標からも本件商標と同じく足跡(foot print)印の称呼・観念が生ずることは否定し得ない。
さらに、本件商標の足跡は、中心からやや左に傾斜しているのに対し、引用商標は中心から45度右斜め上に向く図形で上述のように指先に爪跡が付されているとはいえ、実際の使用においてその傾きは問題にはならず、また、爪跡の有無も全体からみて細部に属し、いずれにしても両者がある動物の足跡を描いているという共通の作意があり、一般に動物の足跡からこれを識別し特定することは専門家以外には困難であるから、これらを付した商品の購入者に対し似たような足跡図形と認識がなされるものと思われ、両者は外観上も類似の商標と判断する。
(2)本件商標の指定商品が「被服、履物」であるのに対し、引用商標は「第25類 被服」又は「第25類 履物」に書換登録がなされており、両商標の指定商品が相抵触するものであることは明らかである。
(3)よって、本件商標は、称呼、観念及び外観において引用商標に類似するから、商標法第4条第1項第11号に該当し、同法第46条第1項第1号により、その登録を無効にすべきものである。
(4)弁駁の理由
(ア)本件商標及び引用商標を構成する図形から明らかなのは、両図形は動物の足跡そのものであり、正確にいえば前者は「犬の足跡」であり後者は「狼の足跡」であるが、一般世人が両者を区別するのは難しく、動物又は獣類の足跡(フットプリント又はフットマーク)として認識されるものと思われる。
(イ)両商標は掌の部分と4本の指からなり、それぞれを仔細に観察すればその形状、大きさに若干の差異がみられるが、基本的構成は近似したものであり、これらの図形を上下、左右を逆に使用するのであれば格別、実際の態様において多少の傾斜があるとしても、また、一方に指の先に爪が描かれているとしてもその外観、観念及び称呼に及ぼす影響は少なく、互いに類似の商標といわざるを得ない(甲第4号証)。
(ウ)ところで被請求人が乙号証として掲げた登録商標であるが、乙第1及び第7号証は足跡というよりも6つの大小の円からなる幾何学模様であり、乙第2,第4及び第5号証も同様の印象を与え、乙第3号証は5本の指及び爪からなる足跡で、引用商標との類似性は強いが、指の数の差異によって登録が認められたと思われ、乙第6号証は請求人の所有に係る商標である。
(エ)請求人は引用商標と同一商標を旧第21類に登録出願したが(商願昭63−75299)、登録第1724500号商標が引用され拒絶査定となり、不服の審判(平成3年審判第9918号)を請求するとともに該登録商標に対し取消審判(平成3年審判第9983号)を請求したが、不成立となったため不服審判を取下げたという経緯があり、また、本件商標と同一商標の出願(商願2001−106143)に対し上記登録第1724500号商標が引用され外観上類似と判断されたが、商品補正により登録された事例もある(甲第5ないし第7号証)。
(オ)以上、図形商標においては特定の称呼・観念が生じない場合もありうるが、本件の場合、その図形は動物の足跡を明確に描いてなり、これより同一の称呼・観念が生じ、また、外観上も「足跡(フットプリント)」という同一イメージから時と所を異にして観察したとき互いに相紛らわしい商標と考える。
被請求人は、「本件審判の請求は成り立たない、審判費用は請求人の負担とする、との審決を求める。」と答弁し、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として乙第1ないし第7号証を提出している。
(1)請求人は、本件商標と引用商標とは「アシアト(又は「フットプリント」)ジルシ」の称呼、「足跡印」の観念及び外観において類似する旨主張している。
しかしながら、本件商標及び引用商標は、いずれも動物の足跡と思しき図形よりなるものと容易に理解されるものといえるとしても、特定の称呼・観念をもって一般に良く知られた図形を表わしたものとはいえないものであり、同一種の具体的特定の動物の足跡を認識させるものともいえず、その外観構成において爪の有無により互いに別異の動物の足跡を認識するという顕著な差異を有するものである。
してみると、本件商標と引用商標は、いずれも具体的特定の称呼・観念を生じさせないものであり、その外観構成の特異性において認識されるものというべきである。
そうすると、本件商標と引用商標とは、「アシアト(又は「フットプリント」)ジルシ」の称呼、「足跡印」の観念において類似するものとはいえないし、外観においても「爪」の有無という顕著な差異を有するものであるから、外観上も相紛れるおそれがないものである。
(2)このことは、動物の足跡の図形と容易に理解される商標がその外観構成の僅かの差異をもって別異の商標として多数登録されている過去の審査例にも整合するものである(乙第1ないし第7号証参照)。
本件商標と引用商標との類否について検討するに、本件商標は、別掲(1)のとおり、全体をやや左に傾斜させ、中央下部に山形の黒塗り図形を配し、その上方に4個の黒塗りの変形楕円状の図形を配した構成からなるところ、中央下部の山形図形は獣類の足裏の肉瘤を表し、上方の4個の変形楕円状図形はその足指を表したかのように看取され、全体として獣類の足跡を連想、想起せしめるものといえる。
他方、引用商標は、別掲(2)のとおり、全体を中心からほぼ45度右に傾斜させ、中央下部に山形の黒塗り図形を配し、その上方に4個の黒塗りの変形楕円状図形を配し、さらに各変形楕円状図形の上部に小さな黒塗り三角形を配した構成からなるところ、中央下部の山形図形は獣類の足裏の肉瘤を表し、上方の4個の変形楕円状図形と小さな三角形はその足指と爪を表したかのように看取され、本件商標と同様に、全体として獣類の足跡を連想、想起せしめるものといえる。
しかして、本件商標と引用商標とは、構成図形の傾斜の方向及び角度を異にし、爪状の図形の有無という差異を有しているとしても、これらの差異は、他の構成要素すなわち黒塗りの山形図形と4個の変形楕円状図形を共通にし、共に獣類の足跡を連想、想起せしめるという共通点に比して僅かなものというべきであり、両者はこれらの共通点において構成の軌を一にするものであって、時と処を別にして観察するときは酷似した印象を看者に与え、彼此相紛らわしいものである。してみれば、両商標は、「アシアト」(足跡)の称呼及び観念が生ずるかどうかはさておき、その外観において類似する商標というのが相当である。
また、本件商標の指定商品と引用商標の指定商品は、同一又は類似のものである。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号の規定に違反して登録されたものであるから、その登録を無効にすべきものである。
なお、被請求人は、両商標はその外観構成において爪の有無により互いに別異の動物の足跡を認識し外観上相紛れるおそれがない旨主張し、当庁における商標登録例を掲げているが、両商標の外観上の類似性については上記のように判断するのが相当であり、また、掲げられた商標登録例は、いずれも本件とは商標の構成が相違し事案を異にするものであって、本件の判断に影響を及ぼすものではないから、被請求人の主張は採用することができない。
よって、結論のとおり審決する。
Next Action
類似審決の追加調査から中間応答、新規出願の費用確認まで、この審決を起点に次のアクションへ進めます。
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