結論テキスト
その余の指定商品についての審判請求は成り立たない。
審判費用は、被請求人の負担とする。
Trademark Appeal Case
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
| 審判番号 | 無効2004−89002(T2004−89002/J3) |
|---|---|
| 審判種別 | 無効 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
本件登録第4725032号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲(1)のとおりの構成よりなり、平成13年11月28日に登録出願、第18類「皮革,傘,ステッキ,つえ,つえ金具,つえの柄,愛玩動物用被服類」を指定商品として、同15年11月7日に設定登録されたものである。
請求人が本件商標の登録無効の理由に引用した登録商標は、次の(1)及び(2)のとおりである。
(1)登録第2324652号商標は、別掲(2)のとおりの構成よりなり、昭和63年6月30日に登録出願、第17類「被服(運動用特殊被服を除く)布製身回品(他の類に属するものを除く)寝具類(寝台を除く)」を指定商品として、平成3年7月31日に設定登録、その後、同13年8月7日に商標権存続期間の更新登録がされ、現に有効に存続しているものであるが、さらに、指定商品については、同14年5月15日の書換登録により、第20類「クッション,座布団,まくら,マットレス」、第22類「衣服綿,ハンモック,布団袋,布団綿」、第24類「布製身の回り品,かや,敷布,布団,布団カバー,布団側,まくらカバー,毛布」及び第25類「被服」となったものである。
(2)登録第2329483号商標(以下「引用商標」という。)は、別掲(2)のとおりの構成よりなり、昭和63年6月30日に登録出願、第22類「はき物(運動用特殊ぐつを除く)かさ、つえ、これらの部品および附属品」を指定商品として、平成3年8月30日に設定登録、その後、同13年8月7日に商標権存続期間の更新登録がされ、現に有効に存続しているものであるが、さらに、指定商品については、同14年5月15日の書換登録により、第18類「傘,ステッキ,つえ,つえ金具,つえの柄」、第25類「履物」及び第26類「靴飾り(貴金属製のものを除く。),靴はとめ,靴ひも,靴ひも代用金具」となったものである。
(上記登録商標をまとめていうときは、以下「各引用商標」という。)
請求人は、「本件商標の登録を無効とする。審判費用は被請求人の負担とする。」との審決を求めると申し立て、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として、甲第1号証ないし甲第13号証(枝番を含む。)を提出した。
(1)本件商標及び各引用商標の類否
本件商標は、動物の足跡と覚しき図形からなり、その動物を明確に特定することはできないが、単純に捉えて足跡(foot print)印の称呼、観念が生ずる。
本件商標及び各引用商標は、図形の傾き・大小、爪の有無を捨象した場合、その図形は動物の足跡そのものであり、正確にいえば、前者は「犬の足跡」であり、後者は「狼の足跡」であるが、一般世人が両者を区別するのは難しく、動物又は獣類の足跡(フットプリント又はフットマーク)として認識される。
両商標は、上記のように掌の部分と4本の指からなり、それぞれを仔細に観察すればその形状、大きさに若干の差異がみられるが、基本的構成は近似したものであり、これらの図形を上下、左右を逆に使用するのであれば格別、実際の態様において多少の傾斜があるとしても、又一方に指の先に爪が描かれているとしてもその外観、観念及び称呼に及ぼす影響は少なく、互いに類似の商標といわざるを得ない(甲第4号証)。
(2)各引用商標の著名性
請求人の創業者、ウーリッヒ・ダウズインは学生時代に生協向けにテントやザック、スリーピングバック等の製造・販売を始め、その後「使う身になってこそ、良い製品を作ることができる」と考え、世界各地でアウトドア旅行をし、川に残された野生動物の足跡を見て「人間を過酷な自然環境から守る、野生動物たちの毛皮(スキン)のような製品」を作ることを思い立ち、特に環境を破壊することなく自然の掟に従い、自然と共存する狼(ウルフ)をイメージした「ウルフスキン」の名前が生まれ、また、彼の愛読書の著者である「ジャック・ロンドン(Jack London・1876〜1916・米国の小説家)」から「ジャック(Jack)」と「狼の皮」を意味する「ウルフスキン・wolfskin」を組み合わせたブランドネームと「狼の足跡」の図形マークが誕生し、これらは、今日請求人製品を象徴するものとして、世界中のアウトドア・スポーツの愛好家に知られた存在となっている。
請求人の設立は1981年(昭和56年)で、国内では東京都豊島区在の(株)キャラバンを通じ、1986年(昭和61年)に初めて輸入販売され、今日では三越、小田急、京王を始め直営店が14店舗のほか、特約店は全国に340店舗に広がり、これらの店舗でアウトドア関連グッズが販売され、また、アウトドア専門誌である「山と渓谷」(山と渓谷社発行)や「BE‐PAL」(小学館発行)等に広告を掲載している(甲第8ないし12号証)。
(3)出所の混同
本件商標がその指定商品中「皮革」及び「愛玩動物用被服類」に使用された場合、前者は皮革製の被服(ジャンバー等)が販売されていること、後者はペット用と用途を異にするが購入者は一般消費者であり、いずれの商品の使用についても各引用商標の著名性、互いの商品の関連性においてその出所が混同されるおそれは充分考えられるところである。
(4)むすび
以上、本件商標と各引用商標とはその余を詳論するまでもなく、称呼、観念及び外観上類似する点において商標法第4条第1項第11号に、また、各引用商標の著名性において本件商標の「皮革、愛玩動物用被服」への使用は、請求人との関係において商品の出所混同を来すことから同法第4条第1項第15号にも該当し、その登録は無効とされるべきである。
被請求人は、「本件審判の請求は、成り立たない。審判費用は請求人の負担とする。」との審決を求めると答弁し、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として、乙第1号証ないし乙第6号証を提出した。
(1)商標法第4条第1項第11号に基づく無効理由について
請求人は、「本件商標は、各引用商標と『アシアト(フットプリント)印』の称呼、観念において類似し、外観において類似する。」旨主張する。
しかしながら、本件商標及び各引用商標は、いずれも動物の足跡と思しき図形よりなるものと容易に理解されるとしても、特定の称呼、観念をもって一般に良く知られた図形を表したものとはいえないものであり、同一種の具体的特定の動物の足跡を認識させるものともいえず、その外観構成において爪の有無という顕著な差異を有することにより互いに別異の動物の足跡を認識するというべきである。
すなわち、各引用商標は、爪を有することにより、例えば狼のような猛獣を容易に認識させるものであり、爪のない本件商標とは全く別異の印象を与えるものである。
なお、本件商標が「犬の足跡」であり、各引用商標が「狼の足跡」であることは請求人の認めるところである。
してみると、本件商標及び各引用商標は、いずれも具体的特定の称呼・観念を生じさせないものであり、その外観構成の特異性において認識されるものというべきである。
そうであるとすれば、本件商標と各引用商標とは、「アシアト(フットプリント)印」の称呼・観念において類似するものとはいえないし、外観においても「爪」の有無という顕著な差異を有するものであるから、外観上も相紛れるおそれがないものである。
このことは、動物の足跡の図形と容易に理解される商標がその外観構成の僅かの差異をもって別異の商標として多数登録されている過去の審査例にも整合するものである(乙第1号証ないし乙第6号証)。
なお、請求人は、両商標の傾き、大小、爪の有無を捨象した図形を対比して、両商標の類似を論じているが、たとえ両商標が動物の足跡を表したと認識される場合があるとしても、「爪」の有無の差が看者に与える影響は極めて大きく、時と場所を異にして離隔的に観察する場合にも相紛れるおそれはないものである。
(2)商標法第4条第1項第15号に基づく無効理由について
請求人は、各引用商標が著名であるため、本件商標をその指定商品のうち「皮革」及び「愛玩動物用被服」に使用した場合には、出所の混同を生じる旨主張する。
しかしながら、甲第8号証ないし甲第11号証(枝番含む)を総合してみても、各引用商標がそれ自体独立して使用された結果、本件商標の登録出願前に、取引者・需要者に広く認識されていたものとは到底認めることができない。
甲第8号証及び甲第9号証は、作成者及び作成年月日が不明であり、証拠として成立しない。
甲第10号証は、証明書として作成されておらず、証拠として成立しない。また、広告を掲載した雑誌の発行部数も不明であり、一般需要者に対する著名性を立証するに足りない。
甲第11号証及び甲第12号証は、「Jack Wolfskin」の欧文字と、足跡の図形とを組み合わせた商標を掲載したものがほとんどであり、各引用商標が単独で著名であることを立証する証拠とならない。また頒布部数も不明である。
(1)商標法第4条第1項第11号について
本件商標は、別掲(1)のとおり、下部に黒塗り山形図形を配し、その上部に、4つの黒塗り歪形の図形を該黒塗り山形図形の凸部に沿うように配してなるものであり、全体の図形は仮想垂直線より左方向にやや傾いて描いてなるものである。そして、上記黒塗り山形図形は獣類の足裏の肉瘤を、また、上部の4つの黒塗り歪形の図形はその足指を表したかのように看取され、これらは全体として、獣類の足跡を表したと理解させるものといえる。
これに対して、引用商標は、別掲(2)のとおり、下部に黒塗り山形図形を配し、その上部に、4つの黒塗り歪形の図形を該黒塗り山形図形の凸部に沿うように配し、これら4つの黒塗り歪形の図形の上部には、それぞれ小さな黒塗り三角形を配してなるものであり、全体の図形は仮想垂直線より右方向に約45度の傾きをもって描いてなるものである。そして、上記黒塗り山形図形は獣類の足裏の肉瘤を、また、上部の4つの黒塗り歪形の図形はその足指を、また、先端の小さな黒塗り三角形はその爪を表したかのように看取され、これらは全体として、獣類の足跡を表したと理解させるものといえる。
そうすると、本件商標と引用商標は、それぞれを構成する図形の傾斜の向き・角度、獣類の爪を表したと理解される小さな黒塗り三角形の有無等において差異を有するものであるとしても、これらの差異は、両商標の全体構成からみれば微差といえるものである。すなわち、両商標は、いずれも直ちに獣類の足跡を理解させ、かつ、商標の要部といえる黒塗り山形図形及びその凸部に沿うように上部に配された4つの黒塗り歪形の図形を共通にし、構成の軌を一にする商標というべきであるから、両商標に接する需要者は、これより「獣類の足跡」との印象を強く受け、時と所を異にして両者を離隔的に観察するときは、外観はもとより、「獣類の足跡」との観念及び該観念より生ずる「ジュウルイノアシアト」の称呼において、互いに紛れるおそれがあるものとみるのが相当である。
したがって、本件商標と引用商標とは、外観、観念及び称呼のいずれの点においても類似する商標というべきであり、本件商標の指定商品中の「傘,ステッキ,つえ,つえ金具,つえの柄」は、引用商標の指定商品と同一又は類似の商品である。
以上のとおりであるから、本件商標の登録は、その指定商品中「傘,ステッキ,つえ,つえ金具,つえの柄」について、商標法第4条第1項第11号に違反してされたものといわなければならない。
(2)商標法第4条第1項第15号について
甲第10号証ないし甲第12号証(枝番を含む。)によれば、請求人は、各引用商標と同一の構成よりなる商標(以下「引用標章」という。)を被服を中心としたアウトドア関連商品に使用し、宣伝広告していた事実を認めることができ、引用標章は、請求人の取扱いに係る被服を中心としたアウトドア関連商品を表示するためのものとして、本件商標の登録出願時には、この種商品分野の需要者の間に広く認識されていたものと認め得るところである。
しかしながら、本件商標の指定商品中の「皮革」及び「愛玩動物用被服類」と請求人の取扱いに係る商品「被服を中心としたアウトドア関連商品」とは、生産者、販売場所、需要者、商品の品質等において大きく異なるばかりでなく、引用標章の著名性は、上記アウトドア関連商品の範囲を超えてなお有するものとは、提出に係る各証拠を検討しても認めることはできない。
そうすると、本件商標は、これをその指定商品中の「皮革,愛玩動物用被服類」について使用しても、その需要者は、引用標章を連想することはなく、該商品が請求人若しくはこれと何らかの関係を有する者の取扱いに係る商品であるかのように、商品の出所について混同を生ずるおそれはないとみるのが相当である。
したがって、本件商標の登録は、その指定商品中「皮革,愛玩動物用被服類」について、商標法第4条第1項第15号に違反してされたものと認めることはできない。
(3)以上のとおり、本件商標の登録は、その指定商品中「傘,ステッキ,つえ,つえ金具,つえの柄」について、商標法第4条第1項第11号に違反してされたものであるから、同法第46条第1項の規定により、その登録は無効とされるべきである。
しかしながら、同じく指定商品中の「皮革,愛玩動物用被服類」については、商標法第4条第1項第15号に違反して登録されたものはないから、これについての請求は成り立たない。
よって、結論のとおり審決する。
Next Action
類似審決の追加調査から中間応答、新規出願の費用確認まで、この審決を起点に次のアクションへ進めます。
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