Trademark Appeal Case
専用タイヤの識別力
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 不服2000−17316(T2000−17316/J1) |
|---|---|
| 審判種別 | 不服 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理由テキスト
第1 本件商標登録出願
本件商標登録出願に係る商標(以下「本願商標」という。)は、「専用タイヤ」の文字を横書きしてなり、第12類「自動車用タイヤ」を指定商品として、平成11年4月23日に登録出願されたものである。
第2 原査定の拒絶の理由
原査定は、「本願商標は、『専用タイヤ』の文字を書してなるものであるから、これより全体として『雪道専用タイヤ、ワゴン専用タイヤ、RV専用タイヤ等の、用途又は車種に適した専用タイヤ』的意味合いを容易に想起させ、これを本願指定商品中、前記に照応する商品に使用した場合は、単にその商品の用途、品質を表示するにすぎない。したがって、本願商標は、商標法3条1項3号に該する。」旨の理由で本願を拒絶したものである。
第3 当審の判断
1 商標法3条1項3号について
本願商標の構成は、前記したものであるところ、その構成中の「専用」の語は、「特定の目的・対象だけに用いること。」を意味し(広辞苑)、また、「タイヤ」の語は、「車輪の外囲にはめる鉄またはゴム製の輪。」を意味する語である(広辞苑)。
そして、審判請求人(出願人。以下「請求人」という。)の提出に係る、意見書添付の甲第1号証ないし同第4号証によれば、自動車用タイヤには、4×4(四輪駆動車用)、バン・小型トラック用、ミニバン・ワンボックス用、二輪車用、夏用、冬用など、車種や用途別のタイヤがあることが認められる。
さらに、「横浜ゴム、RV車用ラジアルタイヤの新ブランドを発売。排土性、排水性高める」との見出しのもと、「横浜ゴムはレクリエーショナル・ビークル(RV)車用ラジアルタイヤの新ブランド『ジオランダー』を六月十四日から発売する。・・・市街地走行からオフロードまで対応できるRV専用タイヤで、排土性、排水性、トラクションを高めた。」との新聞記事(1996年5月17日付 日刊工業新聞 15頁)、「住友ゴム工業、ワゴン・ミニバン専用タイヤを発売」との見出しのもと、「住友ゴム工業はワゴン・ミニバン専用タイヤの『ダンロップ・ルマンRV=写真』を三月一日に発売する。同社はワゴン、ミニバンなどのレクリエーショナル・ビークル(RV)用は乗用車パターンのタイヤで対応してきたが、高重心、高荷重のRV専用タイヤを開発した。」との新聞記事(1997年2月4日付 日刊工業新聞 18頁)、「ニュース拡大鏡/ブリヂストン栃木工場火災−各メーカー調達へ窮地」との見出しのもと、「新車装着用タイヤを他社製に切り替えるのは思った以上に難しい。自動車メーカーが車両開発を進めるとき、タイヤメーカーに専用タイヤ開発を依頼し、乗り心地を調整する。開発段階でタイヤの評価が加わるため、仕様(スペック)が同じでもほかのタイヤをそのまま使用することはできない。」との新聞記事(2003年9月10日付 日刊工業新聞 14頁)などにみられるように、「専用タイヤ」の語は、ある特定の目的や、特定の車だけに用いるタイヤであることを意味する語として、本願商標登録出願前から現在に至る間、普通に使用されているものである。
しかして、本願商標は、これをその指定商品に使用するときには、上記の事情に照らせば、ある特定の目的や、特定の車だけに用いるタイヤであること、すなわち、指定商品「自動車用タイヤ」の品質・用途を表示するものとの認識をされるにとどまり、それ以上に自他商品の識別標識としての認識を与えるものではないとみるのが相当である。
2 商標法3条2項に該当するとの主張について
請求人は、本願商標は永年の使用により自他商品識別標識としての機能を獲得するに至っている旨主張して、証拠方法として甲第5号証ないし同第221号証を提出している。
そこで、以下、審判請求人の上記主張について検討する。
(1)甲第5号証ないし同第15号証について
甲第5号証ないし同第15号証は、1995年7月号および8月号の雑誌の写しと推認されるが、これらによれば、「大人気のミニバン市場に初めて専用タイヤが生まれた。」(甲第5号証)とあるように、請求人がこの時期に、ミニバン専用のタイヤを販売し始めたことが認められるが、本願商標を構成する「専用タイヤ」の文字が、その指定商品の自他商品識別標識(商標)として使用されている事実は認められない。
(2)甲第16号証ないし同第26号証について
甲第16号証ないし同第26号証は、1996年7月号および8月号の雑誌の写しと推認されるが、これらによれば、「トーヨーからワゴン専用タイヤ『トランパスSW』がリリースされた。ミニバン専用タイヤに続く、RV用リプレイスタイヤ第2弾である。」(甲第16号証)とあるように、請求人がこの時期に、ワゴン専用のタイヤを販売し始めたことが認められるが、本願商標がその指定商品の自他商品識別標識(商標)として使用されている事実は認められない。
むしろ、このワゴン専用タイヤについては、「トランパスSW(TRANPATH SW)」が、商標として使用されているとみるべきである。
(3)甲第27号証ないし同第41号証について
甲第27号証ないし同第41号証は、1997年9月号および10月号の雑誌の写しと推認されるが、これらによれば、「東洋ゴムの新作タイヤをもうひとつ紹介しよう。FFセダン専用タイヤと銘打った“トランサス・イーノ”だ。東洋ゴムはRV向けがトランパス、スポーツカー向けがトランピオ、セダン向けにトランサスというブランドを、それぞれ用意したわけだ。」(甲第27号証)、「時代のニーズに応えてオンロードでの使用を重視したクロカン専用タイヤ『TRANPATH(トランパス)S/U』が東洋ゴムからデビュー。性能やいかに!?」(甲第39号証)とあるように、請求人がこの時期に、ワゴン専用のタイヤを販売し始めたことが認められるが、本願商標を構成する「専用タイヤ」の文字が、その指定商品の自他商品識別標識(商標)として使用されている事実は認められない。
(4)甲第42号証ないし同第54号証について
甲第42号証ないし同第54号証は、1999年2月号ないし4月号の雑誌の写しと推認されるが、これらによれば、「ミニバン専用タイヤとして発売されたトランパスmp。そのトランパスmpがフルモデルチェンジして新たに登場。名前も、進化の意味を含んだ『トランパスMPプラス』になった。」(甲第42号証)とあるように、請求人がこの時期に、ミニバン専用のタイヤをモデルチェンジして販売し始めたことが認められるが、本願商標を構成する「専用タイヤ」の文字が、その指定商品の自他商品識別標識(商標)として使用されている事実は認められない。
(5)甲第55号証ないし同第122号証について
甲第55号証ないし同第122号証は、1997年3月(甲第106号証)ないし2000年6月(甲第55号証)の雑誌における請求人の商品であるタイヤの広告・宣伝活動を示すものであるが、「RV専用タイヤ/トランパス/RVキャンペーン」「ミニバン専用タイヤ」「コンパクトワゴン専用タイヤ」など(甲第55号証)、「専用タイヤ発想のTOYOTIRE」「それは専用タイヤだから」(甲第66号証、同第105号証)のように、「専用タイヤ」の語が使用されてはいるものの、これらの各号証によっては、「専用タイヤ」の語が独立した商標として使用されているとは認められないものである。
他方、「専用タイヤ」の文字がカッコの中に、「進化したミニバン『専用タイヤ』」、「コンパクトワゴン『専用タイヤ』」のように表示されている甲第72号証、同第104号証、同第118号証などの広告・宣伝方法についても、「専用タイヤ」の文字は、本願商標とその構成態様を異にするばかりか、これら各号証中の他の文字と同じ書体で記述的に表されており、ここにおける「専用タイヤ」の文字が自他商品を識別する標識として認識される使用方法とはいい得ないものである。
(6)甲第123号証ないし同第161号証について
甲第123号証ないし同第161号証の業界新聞に掲載された広告についてみるに、これらは、「TOYOは専用タイヤ発想」「専用タイヤ発想のTOYO TIRE」「ミニバン専用タイヤ トランバスMB」「セダン専用タイヤ」「進化したミニバン専用タイヤ」などのように、「専用タイヤ」の語が使用されてはいるものの、これらの各号証によっては、「専用タイヤ」の語が独立した商標として使用されているとは認められないものである。
(7)甲第162号証ないし同第189号証について
甲第162号証ないし同第189号証の一般新聞及びスポーツ誌に掲載された広告についてみるに、これらには「進化したミニバン専用タイヤ」「ミニバン専用タイヤ」「専用タイヤ発想のTOYO TIRE」などのような使用例であり、これらの各号証によっては、「専用タイヤ」の語が独立した商標として使用されているとは認められないものである。
また、「専用タイヤ」のように、この語が独立して使用されている甲第167号証、同第170号証、同第171号証、同第173号証、同第176ないし同第180号証号証、同第182号証ないし同第185号証、同第187号証、同第189号証にしても、これら広告の中央部には、「TRANPATH MP puls」「トランパス・エムピープラス」などの文字が強調されて表示されており、ここにおける「専用タイヤ」の文字が当該商品の商標と認識されるような使用方法とはいい得ないものである。
(8)甲第190号証ないし同第216号証について
甲第190号証ないし同第216号証の、テレビスポットコマーシャルは、「トランパスmp『専用タイヤポリス』」「TARANPATHMPplusなぜはかないの?編」などに関するものであって、これらによっては、本願商標の使用の程度は推し量れないものである。
(9)その他の甲号証について
甲第217号証ないし同第221号証をによっては、本願商標「専用タイヤ」が請求人のタイヤに使用される商標であるとすることはできないものである。
(10)以上のとおり、請求人が提出した甲各号証によっては、本願商標「専用タイヤ」が、指定商品である「自動車用タイヤ」について使用された結果、これが自他商品識別機能を発揮し得るものとして使用されているとすることはできないものである。
よって、この点に関する請求人の主張は採用することができない。
3 結論
したがって、本願商標は、商標法3条1項3号に該当するものであって、同法3条2項の要件を備えているとはいえないから、これと同旨の理由で、本願を拒絶した原査定は妥当なものであり、これを取り消すことはできない。
よって、結論のとおり審決する。
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