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Trademark Appeal Case

称呼・観念の類否判断

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号平成10年審判第35512号
審判種別不服
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

本件審判の請求は、成り立たない。
審判費用は、請求人の負担とする。

理由テキスト

1 本件商標

本件登録第3189131号商標(以下、「本件商標」という。)は、別紙(1)に示すとおり、「CORINTH」の欧文字及び「コリント」の仮名文字を上下二段に書してなり、平成5年3月23日に登録出願、第8類「手動利器(「刀剣」を除く。)、スプーン、フォーク、パレットナイフ」を指定商品として、同8年8月30日に設定の登録、その後、該商標権は、指定商品中の「パレットナイフ」について、これを放棄する旨の権利抹消の登録が平成11年2月15日付にされているものである。

2 引用商標

請求人が本件商標は商標法第4条第1項第11号に違反して登録されたものとして、その理由に引用する各登録商標(以下、「引用各商標」という。)は、以下の2商標である。

(イ)登録第2079045号商標(以下、「引用A商標」という。)は、別紙(2)に示すとおり、「Clint」の欧文字を表してなり、昭和61年5月15日に登録出願、第25類「紙類、文房具類」を指定商品として、同63年9月30日に設定の登録がされたものである。

(ロ)登録第2722656号商標(以下、「引用B商標」という。)は、別紙(3)に示すとおり、「クリント」の仮名文字を横書きしてなり、平成3年8月19日に登録出願、第25類「紙類、文房具類」を指定商品として、同9年8月1日に設定の登録がされたものである。

3 請求人の主張

請求人は、本件商標の登録を無効とする、審判費用は被請求人の負担とする、との審決を求め、その理由を要旨つぎのように述べ、証拠方法として、甲第1号証乃至甲第8号証及び参考資料1を提出した。

(1)請求人は、紙類、文房具類をはじめ、印刷用機械器具、事務用機械器具等の製造・販売を業とする事業者である。請求人は、「クリント」、「CLINT」なる商標を第16類を指定して商標登録出願したところ(商願平7−129024,同7−129028)、これら出願は、本件商標に類似するとの理由により拒絶の査定を受け、現在、査定不服の審判に係属中(平成10年審判第14878号,同10年審判第14879号)である。また、請求人は、「引用A商標」及び「引用B商標」に係る権利の商標権者である。よって、請求人は、本件審判を請求するにつき重大な利害関係を有する。

(2)本件商標は、前記した引用各商標と類似し、かつ、本件商標に係る指定商品中の「パレットナイフ」は、引用各商標に係る指定商品中の「文房具類」と抵触するものであるから、商標法第4条第1項第11号又は同法第8条第1項の規定に違反してされたものである。よって、本件商標の登録は、同法第46条第1項第1号により、無効とされるべきである。

4 被請求人の答弁

被請求人は、結論同旨の審決を求める、と答弁し、その理由を要旨つぎのように述べた。

(1)本件商標と引用各商標に係る指定商品は、その指定商品中の「パレットナイフ」が類似するものと認められるが、被請求人は、平成11年1月6日付で本件商標の指定商品中の「パレットナイフ」を権利放棄するべく商標権の一部抹消の登録申請をした。この手続が完了した場合は、本件商標と引用各商標とは、標章自体の類否に関係なく、その指定商品が全く異なるものとなり、非類似の商標と認められるから、本件商標が商標法第4条第1項第11号又は同法第8条第1項に該当するということはできない。

(2)以上の理由により、本件商標は、前記いずれの法条にも違反して登録されたものとはいえないから、その登録は、同法第46条第1項第1号により、無効とされるいわれはない。

5 当審の判断

(1)当事者の主張の論点

本件審判における請求人、被請求人両当事者の主張の論点は、▲1▼本件商標が引用各商標と類似し指定商品も類似するものか否か、▲2▼仮に、本件商標と引用各商標とが商標において類似し、かつ、その指定商品の一部において類似するとした場合、本件商標の登録に係る指定商品のうち、抵触部分に係る指定商品を権利放棄することにより、直ちに無効理由を解消せしめることができるか否か、の2点にある。以下、この2点について検討する。

(2)本件商標と引用各商標との類否について

本件商標は、その構成前記のとおり、「CORINTH」、「コリント」の各文字よりなるところ、該文字(語)からは、古代ギリシャの都市名「Corinth」(コリント)の意味合いを容易に看取し得るものであるから、全体として、「コリント」(Corinth)の称呼、観念をもって取引に資されるものと認められる。

これに対して、引用各商標は、「Clint」の欧文字又は「クリント」の仮名文字よりなるものであって、共に特定の意味合いを看取せしめない造語と認め得るものであるから、いずれの場合も「クリント」と称呼され、その称呼をもって取引に資されるものと認められる。

そこで、本件商標より生ずる「コリント」の称呼と引用各商標より生ずる「クリント」の称呼とを比較するに、両称呼は、称呼の識別において重要な位置を占める語頭部分において、「コ」(ko)と「ク」(ku)の音の差異が認められ、差異音は母音の違いが比較的明瞭である点、また、両称呼が比較的短く共に一気に称呼される点よりして、全4音中の該音の差異が全体の音感、語調に及ぼす影響は決して小さいということはできないから、それぞれを一連に称呼しても彼此聞き誤るおそれはなく、明瞭に聴別し得るものと判断するのが相当である。

また、本件商標は、前記意味合いを容易に想起し得るのに対し、引用各商標は造語とみられるものであるから、両者は、観念的に別個のものと認められる。

さらに、本件商標は、欧文字・仮名文字の二段構成よりなること前記したとおりであり、一方、引用各商標は、それぞれ前記したとおりの構成よりなるものであるから、両者は、外観印象において判然と区別し得るものである。

以上によれば、本件商標と引用各商標とは、商品の類否を論ずるまでもなく、その外観、称呼及び観念のいずれの点よりしても区別し得る非類似の商標と判断するのが相当である。

そうとすれば、本件商標が商標法第4条第1項第11号に該当ものということはできないから、これを理由に本件商標の登録を無効とすることはできない。

(3)無効審判における商標権の放棄について

商標法第46条に基づく商標登録の無効審判において、当該商標登録を無効とすべき旨の審決が確定したときは、商標権は初めから存在しなかったものとみなされる(同法第46条の2)。また、商標権の放棄(商標法第35条において準用する特許法第97条)は、一般に商標権者等が自己都合により一方的に行う手続であって、その法的効果は専ら当該権利放棄以後において効力を有するものと解される。

そうすると、登録商標について、当該無効審判が請求されて後、当該商標権者がその商標権(又はその一部)を一方的に権利放棄したとしても、その効果は当該審判請求時ないしは権利設定時にまで遡及するものではないから、審判請求後、権利放棄までの間における無効審判の請求に係る法的利益は、なお存在するものといわなければならない。

してみれば、本件審判の請求について、当該権利の放棄事由に関わりなく請求理由の当否について判断することが正解とすべきである。

(4)結語

本件商標が商標法第4条第1項第11号に該当するものでないこと前述(2)において述べたとおりであるから、本件商標の登録は、同法第46条第1項の規定により、これを無効とすることはできない。

よって、結論のとおり審決する。

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