Trademark Appeal Case
POLO商標の混同判断
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 不服2000−7324(T2000−7324/J1) |
|---|---|
| 審判種別 | 不服 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理由テキスト
1 本願商標
本願商標は、「POLO」の欧文字を横書きしてなり、第34類「たばこ」を指定商品として、平成8年2月27日に登録出願されたものである。
2 原査定における拒絶の理由
原査定は、「本願商標は、アメリカの著名なデザイナーである、ラルフ・ローレンがデザインに係る商品(特に、被服、眼鏡等)に使用する商標として、本願商標出願前に既に取引者・需要者間において周知・著名な『POLO』の文字と同じ文字よりなるものであるから、これを本願商標について使用するときは、該商品がラルフ・ローレン又は同人と何らかの関係を有する者の業務に係る商品であるかの如く商品の出所について混同を生じさせるおそれがある。したがって、本願商標は、商標法第4条第1項第15号に該当する。」として、本願を拒絶したものである。
3 当審の判断
(1)証拠調べ通知
本願商標が、商標法第4条第1項第15号に該当するものであるか否かについて、当審において証拠調べを行い、平成16年3月1日付け証拠調べ通知書をもって、下記の内容を通知した。
(a)株式会社講談社昭和53年7月20日発行「男の一流品大図鑑」、サンケイマーケティング同58年9月28日発行「舶来ブランド事典’84ザ・ブランド」によれば、以下の事実が認められる。
アメリカ合衆国在住のデザイナーであるラルフ・ローレンは、1967年に幅広ネクタイをデザインして注目され、翌1968年にポロ・ファッションズ社(以下「ポロ社」という。)を設立、ネクタイ、シャツ、セーター、靴、カバンなどのデザインをはじめ、トータルな展開を図ってきた。1971年には婦人服デザインにも進出、服飾界の名誉ある賞「コティ賞」を1970年と1973年の2回受賞するとともに、数々の賞を受賞。1974年に映画「華麗なるギャツビー」の主演俳優ロバート・レッドフォードの衣装デザインを担当したことから、アメリカを代表するデザイナーとしての地位を確立した。ラルフ・ローレンのデザインに係る商品には「Polo」の文字とともに「by RALPH LAUREN」の文字、及び「馬に乗ったポロ競技のプレーヤー」の図形を組み合わせた標章が用いられ、これらの標章は単に「ポロ」と略称されて紹介されていた。
(b)株式会社洋品界昭和55年4月発行「海外ファッション・ブランド総覧1980年版」の「ポロ/Polo」の項、及びボイス情報株式会社同59年9月発行「ライセンス・ビジネスの多角的戦略 ’85」の「ポロ・バイ・ラルフローレン」の項の記述、及び同63年10月29日付け日経流通新聞によれば、我が国においては、西武百貨店が同51年にポロ社から「Polo」の文字よりなる標章をはじめ、「Polo」の文字、「by RALPH LAUREN」の文字、及び「馬に乗ったポロ競技のプレーヤー」の図形を組み合わせた標章などの使用許諾を受け、同52年からラルフ・ローレンのデザインに係る紳士服、紳士靴等、同53年から婦人服の輸入、製造、販売を開始したことが認められる。
(c)ラルフ・ローレンに係る紳士服、婦人服、メガネ、ベルト、バッグ等について、株式会社婦人画報社昭和59年1月発行「MEN’S CLUB1月号」を始め、前出「男の一流品大図鑑」、前出「舶来ブランド事典’84 ザ・ブランド」、株式会社講談社昭和55年5月発行「世界の一流品大図鑑 ’80年版」、において、「POLO」「ポロ」「Polo」「ポロ(アメリカ)」等の標章の下に紹介されていることが認められる。
(d)前出「舶来ブランド事典’84 ザ・ブランド」に、よれば、「ピエール・バルマン」「ヴァレンチノ・ガラヴァーニ」「アンドレ・クレージュ」等の著名デザイナーが、商品「喫煙用具」を販売していることが認められる。インターネットにおいては、グッチタバコケースの販売(http://www.uribou.jp/bland/GUCCI/page003.html )、ルイ・ヴィトンのタバコケースの販売 (http://www.brand-shops.com/lv13.html )、ブランドライターの販売(http://www.barockhaus.co.jp/ )がされ、また、タバコと喫煙用具が同じ店舗において販売されている(http://www.tabako.co.jp/)ことが認められる。
(e)1985年にタバコ輸入が自由化され、現在では、約300銘柄の輸入タバコが日本市場に出回っており、消費者のライフ・スタイルや嗜好の変化にともない、ブランド選択はますます多様化している旨の記載が、インターネットホームページ(http://sco.tomen-g.co.jp/sco/pdf/tabaco.pdf )において記載されている。
(f)前記、(a)〜(c)の事実を総合すると、「Polo」ないし「POLO」の文字よりなる標章、「by RALPH LAUREN」の文字よりなる標章、「馬に乗ったポロ競技のプレーヤー」の図形よりなる標章及びこれらを組み合わせた標章は、我が国においては、遅くとも本願出願時までにはラルフ・ローレンのデザインに係る商品を表示するものとして、取引者、需要者の間において広く認識され、かつ著名となっていたものであり、その状態は現在においても継続しているものということができる。
(g)本願商標の指定商品である「たばこ」は、「喫煙用具」とともに使用されるものであるところ、前記(d)及び(e)によれば「喫煙用具」は、たばことともに同じ場所で販売される場合のある商品であって、その需要者を同じくするものと認められるものであり、また、「喫煙用具」は、被服や宝飾品などのファッション関連の商品をデザインする著名なデザイナーによってデザインされ、販売されることの少なくない商品であるから、本願指定商品「たばこ」は、ファッションに関連する商品の分野と全く関連性がないとは言い難いものである。そして、タバコの輸入自由化によって、世界中の多彩な銘柄が我が国に輸入され、販売されている実情からすれば、商品「たばこ」を購入する消費者にあっては、著名なデザイナーの標章と同一または類似する標章が商品「たばこ」に付されていた場合、その商品について出所の混同をおこすおそれがあることは否定し得ないというべきである。
(h)以上(a)〜(g)を総合的に考慮すれば、本願商標をその指定商品について使用した場合、上記ラルフ・ローレンのデザインに係る「POLO(ポロ)」商標と関係のある者の業務に係る商品であるかの如くその商品の出所について混同を生じさせるおそがあるものというべきである。
(2)結び
当審において、請求人に対し上記(1)の証拠調べ通知を送付し、相当の期間を指定して意見書を提出する機会を与えたが、請求人からは何らの意見、応答もない。
したがって、本願商標が商標法第4条第1項第15号に該当するとして、本願を拒絶した原査定は妥当であり、これを取り消すことはできない。
なお、請求人は、上記2に示した拒絶理由通知に対し次のような主張をしている。
「平成11年9月10日に送付された拒絶理由通知は、憲法第31条及び標章の国際登録に関するマドリッド協定の1989年6月27日にマドリッドで採択された議定書(以下、「議定書」という。)第5条並びに商標法第16条のそれぞれの「法の精神」に反する違法な手続きである。平成12年3月14日に効力が生じた議定書第5条(2)(a),(b)は、領域指定の通報を当該官庁に行った日から18カ月の期間が満了する前に「すべての拒絶の理由を記載した文書」と共に拒絶の通報を行わなければならない旨の規定をしている。そして、本願の出願は、平成8年2月27日であるから、議定書及び改正された商標法第16条の規定が直接適用されるものではないが、改正の趣旨からすれば、本願についてもこれを適用すべきである。」
しかしながら、議定書の効力前になされた登録出願については、平成11年5月14日法律第41号の附則第6条において、「附則第1条第2号に定める日(平成12年3月14日)前にした商標登録出願についての商標登録をすべき旨の査定又は審決については、第5条の規定による改正後の商標法第16条の規定にかかわらず、なお従前の例による。」と規定されており、本願の登録出願は、前記1認定のとおり、議定書の効力発生前である平成8年2月27日にされたものであるから、請求人の主張はこれを採用することができない。
よって、結論のとおり審決する。
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