結論テキスト
審判費用は、請求人の負担とする。
Trademark Appeal Case
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
| 審判番号 | 取消2003−31531(T2003−31531/J2) |
|---|---|
| 審判種別 | 取消 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
本件登録第2086379号商標(以下「本件商標」という。)は、「シンティラー」の文字を書してなり、昭和61年9月11日に登録出願され、商標登録原簿記載の商品を指定商品として、同63年10月26日に設定登録され、平成10年6月16日に存続期間の更新登録がされたものである。
(1)請求人は「本件商標の指定商品中下記の商品についての登録を取り消す。審判費用は被請求人の負担とする。との審決を求める。」と主張し、その理由を次のように述べた。
(2)本件商標は、その指定商品中「身飾品,ボタン類,宝玉およびその模造品,及び前記の各商品に類似する商品」について継続して3年間以上、日本国内において使用されていない。
よって、本件登録は商標法第50条の規定により取消を免れないものである。
(3)平成16年2月9日付けの答弁書に対して、以下の通り弁駁を行う。
a 請求人は、乙第1号証ないし第4号証に表れる英文字「SCINTILLA」は、本件商標「シンティラー」の使用と当然に認められる旨述べている。
しかしながら、英文字「SCINTILLA」の使用が、本件商標「シンティラー」と社会通念上同一と認められる商標の使用であるとは言い難い。商標法第50条第1項は、登録商標と社会通念上同一の商標として、「平仮名、片仮名及びローマ字の文字の表示を相互に変更するものであって同一の称呼及び観念を生じる商標」を例に挙げている。これを本件に当てはめた場合、「SCINTILLA」が「シンティラー」の片仮名文字をローマ字表記に変更したものであって、同一の称呼及び観念が生じるか否か、が問題となる。
ここで、「SCINTILLA」の最も一般的な称呼は、綴り並びに発音記号から、「シンティラー」ではなく、「シンティラ」(長音無し)と考えることが妥当である。一方、「シンティラー」の音から考えられる綴りは「SCINTILLAR」であると考えられる。
更に、「SCINTILLA」の語は、我が国において一般的に知られている英単語とは言い難く、現に、中高生に使用されているごく標準的な英和辞典「ライトハウス英和辞典/第2版」においては、「SCINTILLA」の単語は掲載されていない(甲第3号証)。このように、「SCINTILLA」の語が一般に知られていない以上、片仮名文字「シンティラー」から「SCINTILLA」を思い浮かべること、且つその観念を認識することは、我が国の一般的な需要者・取引者にとっては困難と考える方が妥当である。
以上より、英文字「SCINTILLA」の使用が、本件商標「シンティラー」と社会通念上同一と認められる商標の使用であるとは言い難い。
b 乙第1号証ないし乙第4号証について
被請求人は、乙第1号証ないし第3号証は「本件商標使用商品の写真」である旨、並びに乙第4号証は「本件商標使用商品の販売促進用リーフレット」である旨主張するが、これらの写真を撮影した日時が不明であり、いつ作成され、更にいつ、どこで配布されたのかが不明であるから、これらによって、本件商標を過去3年以内に使用したことの証拠にはならない。
c 乙第5号証ないし第15号証について
被請求人は、乙第5号証ないし乙第15号証は「本件商標使用商品の製品仕様書」である旨主張しているが、これらの製品仕様書中乙第9号証ないし乙第15号証は、そもそも本件商標使用商品のための製品仕様書であるか不明である。
また、これらの製品仕様書には被請求人の名称が入っていないため、被請求人に係るものであるのか否かも不明である。仮に当該製品仕様書が被請求人の作成に係るものであったとしても、作成日が「H11.3.10」となっているから、過去3年間に被請求人が本件商標に係る商品を製造したことの証明にはならない。
なお、製品仕様書には、刻印として「シンティラーマーク」と記載されているが、当該記載が意味することは、単に「S」の刻印を製品仕様書上「シンテイラーマーク」と呼んでいるということのみであって、このような記載は本件商標「シンティラー」が商品に使用されていることの証拠にはならない。また、そもそも製品仕様書における「S」の刻印が、乙第2号証及び第3号証の刻印と同一のものであるのか、提出された乙号証からは不明である。
d 乙第16号証ないし乙第21号証について
乙第7号証の製品仕様書に表れる製品図のみ、乙第4号証の写真に対応する可能性があり、且つ対応する品番の請求書(乙第17号証)も存在する。但し、乙第7号証の製品図も、乙第4号証に表れる写真であるかさだかでない。
以上より、乙第7号証以外の製品仕様書、並びに乙第17号証以外の請求書は、本件商標が過去3年以内に使用されたことの証明としては意味をなさない。
また乙7号証についても、これが真に乙第4号証に記載された製品の仕様書であるのか、以下の理由から不明である。
乙第5号証ないし乙第15号証の上方部に「重量」という記載があり、ここに「K18」「Pt950」「SV925」の欄がある。これらは順に「18金」「プラチナ950」「シルバー925」という貴金属の種類を表す言葉であり、数値が記載されている欄の貴金属が、当該製品に使用される貴金属であることが容易に推察できる。また、この推察が正しいことは、被請求人が、乙第17号証の説明として、「またその(乙第7号証)の記載内容から、(中略)、本件商標使用商品(イヤリング)に『金(K18)』(中略)が使用されていること、(中略)などが明らかであります」と答弁書で記述していることからも明らかである。
よって、乙第7号証の製品は、18金の製品であるということになる。ここで、18金には、イエローゴールド(ゴールドトーン)やホワイトゴールド(シルバートーン)等の色の種類があるものの、乙第7号証にはその記載がないため、色調は明らかでない。しかしながら、被請求人によれば、乙第4号証に表れる写真と一致するから、乙第5号証ないし乙第15号証の製品図は本件商標使用商品の製品仕様書ということのようであるから、例えば乙第5号証のブローチ(兼用ペンダント)の製品図(18金使用)は、乙第4号証の左下又は右下の写真に掲載された製品(ゴールドトーン)に該当すると考えられる。同様に、乙第6号証のブローチ(兼用ペンダント)の製品図(プラチナ950使用)は、乙第4号証右中央の写真に掲載された製品(シルバートーン)に該当すると考えられる。
このように考えるとすれば、本件商標を使用した商品においては、18金使用のものはゴールドトーンであり、プラチナ使用のものはシルバートーンということになる。即ち、乙第8号証の製品図(プラチナ950使用)が、乙第4号証右中央の写真に掲載されたシルバートーンのイヤリングに該当し、乙第7号証の製品図(18金使用)に該当すると思われるゴールドトーンのイヤリングの写真は、乙第1号証ないし乙第4号証には存在しないことになる。
そうであるとすると、乙第17号証が乙第7号証の製品に関する請求であったとしても、乙第7号証に対応する製品写真がないから、結果的に乙第17号証は本件商標使用商品が過去3年以内に使用されたことの証明にはならない。
e 以上のとおり、「SCINTILLA」の表示は、本件商標「シンティラー」と社会通念上同一と認められる商標とは言えないから、提出された乙第1号証ないし第21号証は、本件商標の使用の証拠とはならない。仮に「SCINTILLA」の表示が、本件商標「シンティラー」と社会通念上同一と認められる商標と言い得るとしても、乙第1号証ないし第15号証は、本件商標が過去3年以内に使用されたことの証明にはならなず、乙第16号証ないし乙第21号証も、乙第1号証ないし第15号証との対応関係が不明確であるから、過去3年以内に本件商標使用商品の取引が行われたことを明確には証明していない。
よって、本件登録は商標法第50条の規定により取り消しを免れないものである。
被請求人は、結論同旨の審決を求め、その答弁及び第2答弁を概要次のように述べ、証拠方法として乙第1号証ないし乙第31号証を提出した。
(1)本件商標は、商標権者である被請求人により、請求に係る指定商品中「身飾品,宝玉およびその模造品」について、本件審判請求の登録前3年以内に日本国内において継続的に使用されているものである。
この使用事実は、証拠として提出する「本件商標使用商品の写真」(乙第1号証ないし乙第3号証)、「本件商標使用商品の販売促進用リーフレット」(乙第4号証)、「本件商標使用商品の製品仕様書」(乙第5号証ないし乙第15号証)、「本件商標使用商品の売買取引に係る請求書」(乙第16号証ないし乙第21号証)により明確である。
まずは、「本件商標使用商品の写真」(乙第1号証ないし乙第3号証)および「本件商標使用商品の販売促進用リーフレット」(乙第4号証)ついて説明する。
本商品には、英文字「S」を図案化したマークならびに英文字「SCINTILLA」からなる商標を付したタグが付けられ、また商品の形状に応じ、商品の内面部や側面部に英文字「S」を図案化したマークが刻印されている。
また、本リーフレットは、本件登録商品の販売促進を目的として被請求人が作成し、卸売業者や小売業者、一般需要者などに配布しているものであり、英文字「S」を図案化したマークならびに英文字「SCINTILLA」からなる商標、および英文字「SCINTILLA」からなる商標が表記されている。
これら商品写真ならびに記載事項から、本件商標使用商品が「身飾品,宝玉およびその模造品」であること、本件商標が被請求人により使用されていること、などが明らかである。
次に、「本件商標使用商品の製品仕様書」(乙第5号証ないし乙第15号証)について説明する。
本仕様書は、被請求人が本件商標使用商品の製造を行う際に、商品の仕様を詳細に記載し指定した書面である。
一例として乙第7号証につき詳述する。まずは本製品仕様書記載の製品図(イヤリング)と「本件商標使用商品の販売促進用リーフレット」(乙4号証)記載の商品写真とが一致する事から、乙第7号証は本件商標使用商品の製品仕様書であることは明確であり、またその記載内容から、本件商標使用商品が「イヤリング」であること、本件商標使用商品(イヤリング)に「金(K18)」ならびに「ダイヤモンド」が使用されていること、英文字「S」を図案化したマーク(本製品仕様書中では「シンティラーマーク」と表記)が刻印されていること、後述の請求書に記載された品名(品番)「M−EAH−STK02」が本件商標使用商品を表すこと、などが明らかである。
最後に、「本件商標使用商品の売買取引に係る請求書」(乙第16号証ないし乙第21号証)について説明する。
本請求書は、被請求人が卸売業者に対し本件商標使用商品の売買取引に係わり発行している書面である。
一例として乙第17号証につき詳述する。本請求書右肩部に記載された被請求人のハウスマーク「(図)PILOT」ならびに品番「M−EAH−STK02」の記載から、乙第17号証は被請求人と卸売業者「(有)クレドビアンコ」間における商品の売買取引に係る請求書であることは明確であり、またその記載内容から、本件商標使用商品の売買取引が平成15年2月18日に行われたこと、当該売買取引に係る請求書が平成15年3月10日に卸売業者に対して発行されたこと、などが明らかである。
以上詳述したように、本件商標は、商標権者である被請求人により、請求に係る指定商品中「身飾品,宝玉およびその模造品」について、本件審判請求の登録前3年以内に日本国内において継続的に使用されているものであるので、本件商標は商標法第50条第1項の規定に該当するものではない。
(2)平成16年3月30日付けの弁駁書に対する答弁
請求人は、「SCINTILLA」の一般的な称呼は「シンティラ」であるから、社会通念上同一とは認められない及び「SCINTILLA」の語は、中高生に使用されている標準的な英和辞典「ライトハウス英和辞典/第2版」に掲載されておらず、わが国において一般に知られた英単語とは言い難い旨述べている。
本件商標を使用する商品は乙第1号証ないし乙第4号証に示すとおり、非常に高額な商品であり、その需要者は「成人男性」および「成人女性」であるから、「SCINTILLA」の語が、中高生に使用されている標準的な英和辞典に掲載されていないことをもって、本件商標の使用商品の需要者に知られていないとは言えず、仮に知られていないとしても、その綴りからローマ字読みで「シンティラ」若しくは「シンティラー」の称呼を生じ、本件商標と社会通念上同一と認められるものである。
また、請求人は、乙第1号証ないし乙第21号証は、本件商標が過去3年以内に、指定商品について使用されたことを明確に証明していない旨述べているが、乙第4号証(販売促進用リーフレット)の作成時期を証明する書類として、第23号証(販売促進用リーフレット 納品控)を提出する。本納品書は、印刷業者「(株)フェイス」が被請求人に対しリーフレット(納品書の表記は「SCINTILLA宝飾品カタログ」)を納品した際に発行されたものであり、その記載内容から、平成10年4月30日に6000部納入されたことが明らかである。当該リーフレットは、長期にわたり使用する目的で一度に大量に作成したものであり、これを現在まで使用し続けることにより、ブランドイメージを高める努力を行っている。また、当該リーフレットには品番、価格、作成日付が記載されていないが、これは「高級宝飾品」である商品ブランドイメージ維持、並びにリーフレットのデザイン性を重視する目的で意図的に記載してないためであり、何ら奇異のことではない。
さらに、請求人は乙第5号証ないし乙第15号証について、これらの製品仕様書には被請求人の名称が入っておらず、作成日が「H11.3.10」となっているから、過去3年間に使用したことの証明にはならない旨述べているが、該製品仕様書は被請求人の社内文書であり名前が入っていなくても奇異なことではない。また、このような仕様書は、一旦製品が決定した後は仕様変更が行われるまで更新されないのが普通であり、現在まで有効に用いられているものである。当該仕様書は其の製品図が乙第1号証の商品写真と一致し、その品名(品番)が乙第16号証ないし乙第21号証の請求書並びに乙第31号証の請求書に記載された品番と一致する。
なお、当該製品仕様書の記載から明らかなように、本件使用商品は、その製造工程の一部を外部業者に委託しており、当該製造委託に係る書面として、乙第29号証(本件使用商品の入庫伝票)及び乙第30号証(本件使用商品の納品書)を提出する。これにより、本件使用商品が外部業者の製造過程を経て被請求に納入されたことが明らかである。
さらに被請求人は、乙第16号証ないし乙第21号証、及び第31号証について、当該請求書に記載されている品名(品番)の製品仕様書が存在し、且つその製品仕様書に現れる製品図と共通する写真が、乙第1号証ないし乙第4号証に存在することを示す。
また、乙第5号証、乙第24号証、乙第10号証、乙第11号証、乙第12号証の製品仕様書の各製品図と乙第4号証の各商品写真は一致し、且つ対応する品番の請求書が存在する。
以上のとおり、本件商標と社会通念上同一と認められる「SCINTILLA」は、乙第1号証ないし第21号証及び乙第23号証ないし乙第31号証を総合的に勘案すると、過去3年以内に本件使用商品の取引が行われたことを明確に証明し得るものである。
したがって、本件商標は、商標権者である被請求人により、請求に係る指定商品中「身飾品、宝玉およびその模造品」について、審判請求の登録前3年以内に日本国内において継続的に使用されているから、本件商標は商標法第50条第1項の規定に該当するものではなく、本件審判請求は成り立たない。
被請求人の提出した乙各号証より、以下のことが認められる。
乙1号証は、商品(ブレスレット、ブローチ)を写した写真のカラーコピーであり、「SS」をデザイン化した図形及び「SCINTILLA」の文字よりなる商標を表示したタグが付されている。
乙第4号証は、商品販促用リーフレットのカラーコピーであり、乙第1号証の写真に表示されている商品(ブレスレット、ブローチ)が掲載され、その中央左側に本件商標と社会通念上同一の商標が表示されている。また、該リーフレットには、乙第1号証に撮影された「ブレスレット、ブローチ」が表示されている。さらに、第23号証の納品書(控)(納品書の表記は「SCINTILLA宝飾品カタログ」)及びその説明によれば、該リーフレットは平成10年4月30日に印刷業者(株)フェイスにより6000部納入されたことが明らかであり、現在まで継続使用していることが認められる。
乙第24号証は、製品仕様書のコピーであるが、品名欄に「M−FRH−STK03」とあり、作成日の欄にはH11.3.10の日付けが記載され、備考欄には<リング:標準#12>及び其の製品図が表されている。そして、該製品図は乙第4号証のリーフレットの右側中央部分に表示されている製品と同様のものと認められる。
乙第31号証は、平成15年1月10日付け請求書であり、神奈川県横浜市金沢区能見台5−63−8 (有)クレドビアンコ様、PILOT、品番の欄に「M−FRH−STK03」、伝票日付12/13の記載が認められる。
以上を総合して判断するに、被請求人(商標権者)は、「SCINTILLA」の文字を有する販売促進用リーフレットを作成し、該リーフレットに掲載された商品「リング」を平成14年12月13日に販売したものと認められる。
そして、商品のタグ及びリーフレットに使用されている「SCINTILLA」の文字は、「稀少の」等の意味を有する英語であり、「シンティラー」と発音されることよりすれば、本件商標と社会通念上同一のものと認められる。
そうとすると、本件商標は、被請求人(商標権者)により、日本国内において本件審判請求の予告登録日前3年以内である平成14年12月13日に、本件審判請求に係る指定商品に含まれる「リング」について、使用されていたものと認められる。
したがって、本件審判請求に係る商品についての登録は、商標法第50条第1項の規定により取り消されるべきではない。
よって、結論のとおり審決する。
Next Action
類似審決の追加調査から中間応答、新規出願の費用確認まで、この審決を起点に次のアクションへ進めます。
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