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Trademark Appeal Case

称呼類似と混同のおそれ

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号不服2002−17390(T2002−17390/J1)
審判種別不服
結論勝訴(請求認容)

結論テキスト

原査定を取り消す。
本願商標は、登録すべきものとする。

理由テキスト

1 本願商標

本願商標は、「花惣」の文字を書してなり、第42類「宿泊施設の提供,宿泊施設の提供の契約の媒介又は取次ぎ,飲食物の提供,美容,理容,入浴施設の提供,写真の撮影,オフセット印刷,グラビア印刷,スクリーン印刷,石版印刷,凸版印刷,気象情報の提供,求人情報の提供,結婚又は交際を希望する者への異性の紹介,婚礼(結婚披露宴を含む。)のための施設の提供,葬儀の執行,墓地又は納骨堂の提供,一般廃棄物の収集及び分別,産業廃棄物の収集及び分別,庭園又は花壇の手入れ,庭園樹の植樹,肥料の散布,雑草の防除,有害動物の防除(農業・園芸又は林業に関するものに限る。),建築物の設計,測量,地質の調査,機械・装置若しくは器具(これらの部品を含む。)又はこれらにより構成される設備の設計,デザインの考案,電子計算機・自動車その他その用途に応じて的確な操作をするためには高度の専門的な知識・技術又は経験を必要とする機械の性能・操作方法等に関する紹介又は説明,電子計算機のプログラムの設計・作成又は保守,医薬品・化粧品又は食品の試験・検査又は研究,建築又は都市計画に関する研究,公害防止に関する試験又は研究,電気に関する試験又は研究,土木に関する試験又は研究,農業・畜産又は水産に関する試験・検査又は研究,機械器具に関する試験又は研究,通訳,翻訳,施設の警備,身辺の警護,個人の身元又は行動に関する調査,栄養の指導,老人の看護,編み機の貸与,ミシンの貸与,衣服の貸与,植木の貸与,カーテンの貸与,家具の貸与,壁掛けの貸与,敷物の貸与,会議室の貸与,展示施設の貸与,カメラの貸与,光学機械器具の貸与,漁業用機械器具の貸与,鉱山機械器具の貸与,計測器の貸与,コンバインの貸与,祭壇の貸与,自動販売機の貸与,芝刈機の貸与,火災報知器の貸与,消火器の貸与,タオルの貸与,暖冷房装置の貸与,超音波診断装置の貸与,加熱器の貸与,調理台の貸与,流し台の貸与,凸版印刷機の貸与,電子計算機(中央処理装置及び電子計算機用プログラムを記憶させた電子回路・磁気ディスク・磁気テープその他の周辺機器を含む。)の貸与,美容院用又は理髪店用の機械器具の貸与,布団の貸与,理化学機械器具の貸与,ルームクーラーの貸与」を指定役務として、平成13年2月23日に登録出願されたものである。

2 原査定の拒絶の理由

原査定は、「本願商標は、『花惣』の文字よりなるものであるが、調査したところ、雑誌・新聞に掲載された清酒の広告及び紹介によれば、商標権者を株式会社加賀屋とし、西宮酒造株式会社(明治22年創業)が販売する清酒について使用されている『惣花』の文字を有する商標(登録第1509347号商標を含む。)は、明治32年から宮中で使用される御用酒となり、昭和58年頃から雑誌に紹介され、新聞への広告も平成5年頃から全国紙から地方紙にわたるなど幅広く多大な広告がなされ、使用されてきた結果、少なくとも本願商標の出願前には、清酒の需要者・取引者の間で広く認識され、その状態は現在も継続しているものと認められるものである。そして、本願の指定役務中にはアルコール飲料の提供を含む『飲食物の提供』を有していること、本願商標も引用商標もその要部は『花』の文字と『惣』の文字との組み合わせ又は『惣』の文字と『花』の文字との組み合わせからなること、『飲食物の提供』とする役務の需要者も清酒の需要者もともに一般消費者であること、『アルコール飲料の提供』とする役務において、酒瓶に付された商標を目にすることも少なくないこと、などを考慮すると、本願商標をその指定役務中『飲食物の提供』に使用したときは、一般需要者は本願商標の『花惣』の文字より、清酒の需要者・取引者の間で広く認識されている引用商標を想起し、西宮酒造株式会社、株式会社加賀屋の業務に係る役務であるかのごとく、役務の出所について混同を生じさせるおそれがあるものと認める。したがって、本願商標は、商標法第4条第1項第15号に該当する。」旨認定、判断して、本願を拒絶したものである。

3 当審の判断

商標法第4条第1項第15号にいう「他人の業務に係る商品又は役務と混同を生ずるおそれ」の有無は、当該商標と他人の表示との類似性の程度、他人の表示の周知著名性及び独創性の程度、当該商標の指定商品等と他人の業務に係る商品等との間の性質、用途又は目的における関連性の程度並びに商品等の取引者及び需要者の共通性その他取引の実情などに照らし、当該商標の指定商品等の取引者及び需要者において普通に払われる注意力を基準として、総合的に判断すべきである(最判平12・7・11民集54巻6号1848頁)。

(1)本願商標と他人の表示との類似性

ア 外観

本願商標は、上記のとおり「花惣」の文字よりなるものである。

他方、商標権者を株式会社加賀屋とし、西宮酒造株式会社(以下「使用権者」という。)が販売する商品「清酒」について使用されている「惣花」の文字を有する商標(以下「引用商標」という。)は、主に使用権者の販売する清酒において、登録第1509347号商標(別掲参照)のような態様で酒瓶のラベルとして使用されているものと認められるところ、その構成は縦の格子模様の中に桜の花を図案化し、その中に種々の飾りがぶら下げられた木の枝の図形を配し、その木の枝の図形の下方に「惣花」の文字を毛筆書き風に字体が崩されて右から左下方向へ縦書きで表記されており、かつ、該文字のふりがなとして「そうはな」の文字が付されているものである。

してみれば、両者の外観は明らかに相違するものというべきである。

また、引用商標の要部である「惣花」の文字部分に着目して、該文字部分と本願商標との外観上の類似性をみた場合であっても、引用商標は、毛筆体の手法をもって「惣」と「花」の文字が右から左下方向へ段を変えて表記されているところ、本願商標は、通常の字体で表記されていることから、両文字より受ける外観上の印象も明らかに異なるものである。

なお、引用商標においては、「花」が「惣」の左下に記載されており、この2文字を横に並べると「花惣」と読むことも不可能とはいえず、また、本願商標を右書きの表記と見れば引用商標と同一になるのであるが、そもそも、現在では右書きの表記は、存在しないとまではいえないとしても、日常目にすることはほとんどなく、そのようなほとんど見られない事態を想定して、本願商標を引用商標と同一と評価することは相当でない。

したがって、引用商標の文字構成上、「惣花」の文字が右から左下方向へと書かれていることや、老舗と呼ばれる飲食店では横書きを右書きの方法で表記することがあり得ることから、本願商標と引用商標の要部である「惣花」の文字部分とは、外観上の類似性を完全に否定することはできないとしても、その類似性の程度は低きにとどまるというべきである。

さらに、引用商標が雑誌・新聞における紹介記事や宣伝広告において、「惣花」である旨が通常の字体で表記されている場合があるとしても、本願商標「花惣」は、引用商標「惣花」の「惣」と「花」の文字を転置したものであって、両者が同じ漢字2文字で構成されているものの、その受ける印象は全く異なることから、両者は視覚上容易に識別することができるというべきである。

イ 称呼

本願商標は、その構成文字に相応して「ハナソウ」の称呼が生ずるものである。

他方、引用商標は、その要部である「惣花」の文字に相応して、「ソウハナ」の称呼が生ずるものである(「惣花」の文字にふりがなが付されている場合には、そのふりがな部分である「そうはな」にも相応して「ソウハナ」の称呼が生ずる。)。

してみれば、両者の称呼は明らかに異なり、類似しているとはいえない。

ウ 観念

本願商標と引用商標は、いずれも「惣」と「花」の漢字2文字で構成されているものの、両商標からは共に格別の意味合いを看取し得ないから、両者の観念は比較すべくもない。

エ まとめ

以上のとおり、本願商標と引用商標とは、称呼及び観念の点で類似しておらず、外観の点においては、その要部である文字部分において、その類似性を完全に否定できないとしても、その程度は低く、しかも、本願商標を引用商標の主な使用態様と認められる酒瓶のラベルと比較した場合には、両者の外観は明らかに相違しているものというべきである。

(2)他人の表示の周知著名性及び独創性の程度

本願商標が商標法第4条第1項第15号に該当するというためには、本願の査定時及び出願時に、引用商標が他人の業務に係る商品又は役務を表示するものとして取引者、需要者の間に広く認識されるに至っていることを要するものと解される。

しかして、引用商標が我が国の取引者、需要者の間に広く認識されるに至っているか否かについて、当審において職権をもって調査するも、引用商標は、本願の査定時及び出願時に、酒類に特に関心がある需要者層や酒類の取引業者の間などの限定された日本国内の需要者層ないし取引者層のみの間で、使用権者の販売する清酒の商標として広く認識されるに至っているものの、それより広い酒類の需要者層や取引者層一般の間にまで広く認識されるに至っていると認めるに足りる十分な資料を見いだすことはできなかった。

ところで、酒類に特に関心がある需要者層や酒類の取引業者は、酒の銘柄、特に酒瓶に貼付されたラベルに着目し、特別の注意を払った上で商品の売買取引を行うのが通常であると考えられるから、一旦引用商標を目にしたこれらの者は、その要部である「惣花」の文字部分のみならず、ラベル全体についても強い記憶を有しているものというのが相当である。

そうとすれば、これらの者の間で広く認識されるに至っている引用商標が本願商標と相紛れるおそれは却って低くなるというべきである。

また、引用商標は、「惣」と「花」の漢字2文字で構成された独創的な造語商標であり、本願商標も同じ漢字2文字で構成されているのであるが、本願商標は、「惣」と「花」の文字を転置したものであって、その受ける印象は全く異なることから、引用商標とは別個の独創的な造語商標というべきである。

(3)本願商標の指定役務と他人の業務に係る商品との間の性質、用途又は目的における関連性の程度、取引者、需要者の共通性並びに取引の実情について

引用商標は、商品「清酒」について使用するものであるところ、本願商標の指定役務中には「アルコール飲料の提供」とする役務をも含むものであって、その役務の提供の用に供するアルコール飲料には清酒も含まれる。しかし、そもそも、引用商標を使用する商品「清酒」と、本願商標の指定役務中の「アルコール飲料の提供」とする役務とでは、その属する業種業態(分野)が異なるものである。そして、清酒の販売業者が「アルコール飲料の提供」とする役務を提供することがあるとしても、それらが同一の事業者によって行われていることが一般的であるとまではいえない。

また、「アルコール飲料の提供」とする役務は、利用者が飲酒するためにアルコール飲料が提供されるのであるが、商品「清酒」は、購入者が自ら飲酒するために限らず、転売、贈答等の目的のために購入する場合もあるので、両者はその目的・用途・需要者層等においても一致するものとはいえない。

さらに、「アルコール飲料の提供」とする役務の提供場所は、通常酒場であるのに対し、商品「清酒」は、一般的に酒屋などの小売店舗で販売されるものであるから、両者の提供場所、販売場所の一致性も認められない。

加えて、出願人(請求人)は、商取引の実際において、本願商標をその指定役務中「飲食物の提供」とする役務に専ら使用しているところ、当該役務ではアルコール飲料は飲食物の中心的な役割を果たすものでなく、また、アルコール飲料とりわけ清酒を中心に据える形で顧客を誘引するなどの営業活動を行っているとも認められない。

以上のとおり、本願商標の指定役務中「アルコール飲料の提供」とする役務と引用商標を使用する商品「清酒」とは、事業者・目的・用途・需要者層等において、一部に重なり合うものの、一致するものではないから、その類似性の程度は低きにとどまるというべきであって、かつ、両者の提供場所、販売場所の一致性も認められないから、酒類に特に関心がある需要者層や酒類の取引業者はもとより、それより広い酒類の需要者層や取引者層一般の間でも、両者は明瞭に区別されるものというべきである。

(4)結語

以上に認定したところからすれば、本願商標をその指定役務中「飲食物の提供」、さらには「アルコール飲料の提供」について使用しても、これに接する取引者、需要者が、引用商標を直ちに連想・想起するようなことはなく、引用商標の商標権者、使用権者又はこれらの者と経済的・組織的に何らかの関係を有する者の業務に係る役務であるかのように、役務の出所について混同を生じさせるおそれはないものというべきである。

したがって、本願商標が商標法第4条第1項第15号に該当するとして本願を拒絶した原査定は、取消しを免れない。

その他、政令で定める期間内に本願について拒絶の理由を発見しない。

よって、結論のとおり審決する。

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