Trademark Appeal Case
とんこくラーメンの記述性
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 異議2003−90854(T2003−90854/J7) |
|---|---|
| 審判種別 | 異議 |
| 結論 | 勝訴(請求認容) |
理由テキスト
1 本件商標
本件登録第4714048号商標(以下「本件商標」という。)は、「とんこくラーメン」の文字(標準文字)を横書きしてなり、平成15年1月23日に登録出願され、第43類「ラーメンを主とする飲食物の提供」を指定役務として、平成15年10月3日に設定登録されたものである。
2 登録異議申立ての理由
本件商標は、ラーメンの種類である「とんこくラーメン」の文字よりなるものであるから、本件指定役務に使用しても、役務の質等を表示するにすぎない。
したがって、本件商標の登録は、商標法第3条第1項第3号又は同第6号に該当し、取り消されるべきものである。
3 当審における取消理由の要点
当審において平成16年9月27日付で商標権者に通知した取消理由は、要旨次のとおりである。
(1)登録異議申立人が提出した甲第6号証の1ないし34によれば、「とんこくラーメン」「とんこくらーめん」「とんこくらあめん」「とんコクラーメン」「とんこく」「トンコク」などと称するラーメンが全国各地のラーメン店において提供されている事実、また、甲第8号証の1ないし5によれば、即席麺、生麺について「京都豚コク醤油」「豚コク味噌ラーメン」「とんこくラーメン」の表記を使用したものが販売されている事実が認められる。
そうしてみると、「とんこくラーメン」は、ラーメンの一種類を表す名称といういうべきあり、本件商標について登録査定がされた平成15年8月29日時点においてラーメンを提供する飲食店で既に普通に使用されていたものと認められから、これを本件商標の指定役務に使用しても役務の質を表示するにすぎない。
(2)したがって、本件商標は、商標法第3条第1項第3号に違反して登録されたものである。
4 商標権者の意見の要点
上記2の取消理由に対し、商標権者は、要旨次のように意見を述べている。
(1)ラーメン店において、「とんこくラーメン」「とんコクラーメン」などと称して全国各地のラーメン店で使用されていることについて。
登録異議申立人の提出した甲第8号証1ないし34は、甲第6号証の21をのぞいて、全て、本件商標登録出願について、登録査定がなされた後に取得された証拠である。申立人は、「登録査定後、これらの証拠を取得するまでの1ヶ月の間に、これらのサイトが急増したとは常識的に考えられない」旨主張しているが、このような予測の基に、査定時にこれらのラーメン店で「とんこくラーメン」が使用されていると認定してしまうことは、妥当でなく、さらには、これらの証拠に基づいて商標法第3条第1項第3号に該当すると認定することは適当でない。
また、提出されている証拠物件数は、34件である。この34件のラーメン店において、査定時に仮に使用されていたとしても、この34件の使用の事実をもって、「ラーメンを提供する飲食店で既に普通に使用されている」と認定すること自体妥当でない。
日本全国において存在するラーメン店は、数万件に上るものである。例えば、インターネットの検索サイトにて、「ラーメン店」を検索タームとして検索した結果を挙げると、全国で、42,122件がヒットする(乙第1号証)。
なお、インターネットの検索サイトで、特定の検索タームを入力してヒットする件数は、そのタームを含むホームページを開設した主体の数ではなく、頁の数である場合がある。即ち、「とんこくラーメン」という検索タームで、検索した場合、1つの店舗の開設したホームページにおいて、2つの頁に検索ターム「とんこくラーメン」が使用されていると、ヒット数は、「2」となる場合がある。また、「とんこくラーメン」というタームが使用されているホームページであったとして、これがラーメン店のホームページであるとは限らない。
要するに、インターネットの検索サイトにおける検索ヒット数は、実際の店舗数を表すものではなく、実際の店舗数よりも多い数が検索される可能性が高いということである。
一方、上記検索サイト「gooタウンページ」は、店を検索するものであり、全国で、42,122件とは、店舗数を正確に検索した数である。無論、申立人が主張するように、タウンページに登録していない(ホームページを有さない)ラーメン店も存在する事は、容易に予想できる。実際にはもっと多くのラーメン店が存在する。乙第号1証は、少なくとも、日本には、4万件以上のラーメン店が存在するという事実を示している。
このように、全国で、4万件以上あるラーメン店の中で、ほんの0.07%である店が「とんこくラーメン」を使用しているという予想に基づいて、「本件商標が、「全国各地のラーメン店で使用され、」ラーメンを提供する飲食店で既に普通に使用されている」との認定は、極めて妥当性を欠くものである。
(2)「豚コク」と「とんこく」との違いについて。
申立人は、商標「あっさり豚コク」にかかる出願(商願2000−127319号)が、商標法第3条第1項第3号に該当する旨の認定を受けて拒絶された例を挙げ、本件商標「とんこくラーメン」も同様である旨主張しているが、この主張は、妥当でない。
「豚コク」は、漢字「豚」と片仮名「コク」とから構成され、漢字「豚」は、動物の「豚」を直接的に意味するものであり.上記のような拒絶理由の認定もあり得る。しかし、本件商標「とんこく」は、平仮名文字を「同書」「同大」「同間隔」にて一連に横書してなるものであり、「とんこく」の称呼のみが生じ、全体として1つのまとまりのある称呼が発生する。そして、特定の意味は直接的には発生しないと認識するのが妥当である。つまり、「とん」又は「こく」の部分を抽出して、これらから特定の意味が発生するといった、強引な解釈は成り立たない。
即ち、「豚コク」には自他商品識別力は生じないが、「とんこく」には、自他商品識別力は認められるべきである。
これは、以下に挙げるように、二音「○○」十「こく/コク」で構成される商標「○○こく/○○コク」が登録され、また、「とん〜」で構成される商標が登録されていることからも肯定さるものである。
(a)とるコク(商標登録第4689424号) 第30類
(b)うまこく(商標登録第4727065号) 第43類
(c)ピリコク(商標登録第4746464号) 第30類
(d)まろこく(商標登録第4689428号) 第30類
(e)うまこく(商標登録第3106794号) 第30類
(f)とんしやぶ(商標登録第1080289号) 旧第32類
(g)とんすき(商標登録第2213678号) 旧第31類
(h)とんみの(商標登録第4481477号) 第29類
(i)とんみそ(商標登録第4491006号) 第30類
登録商標は、本件商標と指定商品が異なるが、これらの指定商品は、ラーメンと同様に、食物(または食物の原料、材料となるもの)であり、これらの指定商品と商標との関係は、本件商標と同様であると思料する。
このことから、甲第8号証の1ないし3は、本件商標が、自他商品識別力がないとする証拠とはならない。
以上、要するに、申立人の提出した甲第号6証及び甲第号8証は、本件商標が商標法第3条第1項第3号に該当すると認定するために十分な証拠ではない。
また、出願が拒絶された「あっさり豚コク」と本件商標は、根本的に構成の異なる商標であり、「あっさり豚コク」の拒絶理由が、本件商標に当てはまるものではない。
(3)むすび
以上述べたとおり、登録申立人の主張は当を得ないものであり、本件商標登録の取消理由は存在しないものであるから、本件商標登録は維持されるべきである。
5 当審の判断
当審において商標権者に通知した上記3の取消理由に示すとおり、「とんこくラーメン」の語は、既に、査定時において一般的にラーメンの種類を表すものとして使用されていたものであると認め得るものであるから、本件商標は、これをその指定役務に使用しても役務の質を表示するにすぎないものというべきである。
(1)商標権者は、「全国で、4万件以上あるラーメン店の中で、僅か34店が「とんこくラーメン」を使用しているという予想に基づいて、「本件商標が、「全国各地のラーメン店で使用され、」ラーメンを提供する飲食店で既に普通に使用されている」との認定は妥当ではない旨述べている。
しかしながら、前記認定のとおり、「とんこくラーメン」の語は、既に、一般的にラーメンの種類を表すものとして使用されていたと認め得るものであり、また、全国各地のラーメン店のうち一部の店しか「とんこくラーメン」を提供していないとしても、不特定多数の者が「とんこくラーメン」を食し、該メニューに接し、さらに、ラーメン情報としてラーメン店はもとより、「とんこくラーメン」を提供している者又はメニューとし食することのできるラーメン店の情報を不特定多数の者がインターネットのホームページ上において自由に得ることができる現状からみても、一部の店しか「とんこくラーメン」を提供していないからといって、「とんこくラーメン」がラーメンの種類として一般に使用されていないという理由にはならない。
(2)また、商標権者は、登録例を挙げて主張しているが、そもそも、商標の識別性の判断は、各商標につき、それぞれの構成態様や取引の実情等も勘案し、個別具体的に判断されるべき性質のものであるばかりでなく、商標権者の主張している登録例をもって本件の判断が拘束されるものでもないから、商標権者の主張は、いずれも採用することが出来ない。
(3)本件商標は、上記3で述べたとおりの取消理由があり、商標法第3条第1項第3号に違反して登録されたものであるから、同法第43条の3第2項の規定に基づき、その登録を取り消すべきものである。
よって、結論のとおり決定する。
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