Trademark Appeal Case
文字の要部と類似性
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 判定2004−60080(T2004−60080/J6) |
|---|---|
| 審判種別 | 記載はありません。 |
| 結論 | other |
理由テキスト
第1 本件商標
本件登録第1403900号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲(1)に表示したとおりの構成よりなり、昭和50年12月4日に登録出願、第24類「おもちゃ、人形、娯楽用具、運動具、釣り具、楽器、演奏補助品、蓄音機(電気蓄音機を除く)レコード、これらの部品及び附属品」を指定商品として、昭和55年1月31日に設定登録されたものである。
第2 イ号標章
被請求人が商品「空手衣」に使用する商標(以下「イ号標章」という。)は、別掲(2)の表示したとおりの構成よりなるものである。
第3 請求人の主張
請求人は、結論同旨の判定を求め、その理由を次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第5号証を提出した。
1.理由の要点
本件商標は、「首里城の守礼門を示す図形」と、横書きに漢字で「守礼堂」の文字と、横書きに英字で「SHUREIDO」の文字とを3段に記してなるものである。そして、イ号標章は、漢字で「東京守礼堂」の文字と、赤丸の背景に空手の蹴り動作を示す図形と、英字で「SHUREIDO」の文字と、数字で「2000」の文字と、日の丸国旗の図形と、英字で「TOKYO」の文字との組み合わせによる構成で記されている。また、本件商標に係る指定商品中第24類の「運道具」には、イ号標章の使用商品「空手衣」が含まれるものである。
本件商標は、図形として「首里城の門として著名な守礼門を示す図形」と、「守礼堂」、「SHUREIDO」の文字で構成されており、「守礼堂」が中心であり、これをイメージする「守礼門」の図形が配置され、その読みとしての英字の「SHUREIDO」が記されたものと認識されるものである。
そして、イ号標章は、空手の蹴り動作を示す図形が中心であるが、需要者から見ると、「東京守礼堂」が最も注意を喚起する部分であり、さらに「SHUREIDO」の英字も記されていることから、空手衣について使用すると、本件商標である「守礼堂」の東京店であるかのように誤認され、出所を識別するのに非常に紛らわしい表示となっているものである。
したがって、外観として、図形部分に相違はあるが、本件商標とイ号標章は、「守礼堂」、「SHUREIDO」の文字が共通となる。また、称呼として、両商標は、「シュレイドウ」の共通の称呼を生じる。観念として、両商標は、沖縄県の首里城の城門として著名な「守礼門」を想起するものである。よって、外観、称呼、観念のいずれにおいても共通点を有し、本件商標に類似するものであり、イ号標章は、本件商標の商標権の範囲に属するものである。
2.判定請求の必要性
請求人は、本件商標の商標権者であるが、被請求人が商品「空手衣」にイ号標章を使用していること(甲第1号証)について、平成16年6月25日、被請求人に対し、前記の商標登録の商標権を侵害するものである旨の警告を発した(甲第2号証)。
請求人は、今までの交渉状況を踏まえて、本件商標の商標権の効力の範囲について専門的知識をもって中立的立場から判断される判定を特許庁に求め、その判定に基づいてこの問題を解決することを適当であると判断し、本判定を求める次第である。
3.イ号標章の説明
被請求人は、平成10年12月頃より、イ号標章を付した商品「空手衣」(甲第1号証)を、東京(本社)及び大阪、名古屋、千葉、三重、香川、熊本の代理店において販売している(甲第3号証)。
請求人は、昭和50年12月頃より、商品「空手衣」について本件商標の使用を開始し(甲第4号証)、その後も継続して使用し、現在に至っている。同商品の生産数、売上数量、販売地域などは甲第5号証に示すとおりである。本件商標は、請求人が永年使用した結果、遅くとも被請求人に対し前記警告を発した平成16年6月25日頃までには、東京、大阪などの各都道府県において、請求人の業務に係る商品を表示するものとして需要者の間に広く認識されるに至ったものである。
なお、イ号標章の中で、「東京守礼堂」の文字の右側に登録商標を示す「R」記号が記されているが、「東京守礼堂」が商標登録されているものではなく、空手の蹴り動作を示す図形が商標登録(商標登録第4222261号)されているものである。
また、被請求人は、昭和57年に「SHUREIDO」の文字よりなる商標出願(商願昭57−76479号)を行い、拒絶査定となっており、請求人の本件商標が登録となっていることで拒絶査定となったものと思われ、この時点で本件商標のことは十分に認識していたものと思われる。
4.イ号標章が商標権の効力の範囲に属するとの説明
本件商標は、首里城の守礼門を示す図形と「守礼堂」と「SHUREIDO」の文字を書してなるものであるから、これより「シュレイドウ」の称呼および「首里城の城門として著名な守礼門」の観念を生じるものである。
他方、イ号標章は、空手の蹴りの動作を示す図形と、「東京守礼堂」、「SHUREIDO」の文字とからなるものであるが、空手の蹴りの図形は、一般的な模写図であり、特別な識捌性を有するものではなく、また、「東京」の文字は地名であるから、「守礼堂」、「SHUREIDO」の文字部分より、「シュレイドウ」の称呼及び「首里城の守礼門」の観念を生じるものである。
したがって、本件商標とイ号標章とは、一部の外観が相違するとしても、「シュレイドウ」の称呼、「首里城の守礼門」の観念を共通とし、商品の出所について混同を生じさせる恐れがあるから、類似の標章というべきである。
そして、本件商標に係る指定商品の中で、第24類「運動具」には、イ号標章の使用商品である「空手衣」が含まれる。
以上のとおり、イ号標章は本件商標と類似する標章であり、その使用商品と指定商品も類似する商品であるから、被請求人が商品「空手衣」に使用するイ号標章は、本件商標の商標権の効力の範囲に属するものである。
第4 被請求人の答弁
被請求人は、「空手衣」について使用するイ号標章は、商標登録第1403900号の商標権の効力の範囲に属さない、との判定を求めると答弁し、その理由を次のように述べ、証拠方法として、乙第1号証ないし乙第3号証(枝番を含む。)を提出した。
1.イ号標章は本件商標に類似していない。
(1)最高裁判決
「商標の類否は、対比される両商標が同一または類似の商品に使用された場合に、商品の出所につき誤認混同を生ずるおそれがあるか否かによって決すべきであるが、それには、そのような商品に使用された商標がその外観、観念、称呼等によって取引者に与える印象、記憶、連想等を総合して全体的に考察すべく、しかもその商品の取引の実情を明らかにしうるかぎり、その具体的な取引状況に基づいて判断するのを相当とする。」
「商標の外観、観念又は称呼の類似は、その商標を使用した商品につき出所の誤認混同のおそれを推認させる一応の基準にすぎず、従って、右三点のうちその一において類似するものでも、他の二点において著しく相違することその他取引の実情等によって、何ら商品の出所の誤認混同をきたすおそれの認めがたいものについては、これを類似商標と解すべきではない。」(最高裁昭和43年2月27日判決、民集22巻2号399ページ)。
また、同旨の判決として最高裁平成9年3月11日判決(民集51巻3号 1055ページ)がある。
(2)本件商標とイ号標章との対比
本件商標の外観が判定請求書記載のとおり沖縄県所在の首里城の城門たる「守礼門」を想起させるものであるのに対し、イ号標章の外観は空手の蹴り動作を示す図形が中心となっていることは請求人も自認しているとおりであり、その外観は両者全く異っていて、相互に何らの共通性も認められないことは一目瞭然である。
(3)しかして、本件商標の使用者は、本件商標のうち図形すなわち外観を「シンボルマーク」と称し、外観たる守礼門を想起させる図形を本件商標の中心として認識していることが認められる(乙第1号証)。
(4)また、漢字についても本件商標が「守礼堂」であるのに対し、イ号標章は「東京守礼堂」であるうえ、書体も著しく相違しており、英字も本件商標は極めて稚拙な書体であるのに対し、イ号標章は専門デザイナーによって高度に図案化された書体であって、本件商標の文字と同一の文字とはとうてい認められない程度にまで書体を異にしており、とうてい相互間の共通性は認められないものであることが明らかである。
(5)そうすると、本件商標とイ号標章との間には、一部において文字、称呼等に共通の部分が存するとしても、双方の商品の中心と認識されている外観が、上記のとおり著しく相違しているうえ、漢字および英字の記載も上記のとおり共通性が認められない以上、商品の出所につき誤認混同をきたすおそれは認められず、したがって、イ号標章を本件商標の類似商標と解することはできないものというべきである。
2.「守礼堂」なる文字の使用について
(1)自己名称の使用
被請求人は平成14年11月7日設立された株式会社であるが、設立時の商号は株式会社東京守礼堂であった(乙第2号証)。
よって、イ号標章に表示されている「東京守礼堂」なる文字は、被請求人の自己名称の略称であることが明らかである。
しかして、イ号標章中の上記文字は被請求人が自己の略称を普通に用いられる方法で表示しているものであるから、商標法第26条第1項第1号により、本件商標権の効力は及ばないものというべきである。
(2)「守礼堂」が普通名称であることについて
守礼門は人類共通の遺産として世界遺産にも登録された首里城の門であることは公知の事実である。
そのため、特に沖縄県においては、守礼堂の名称を使用している者により泡盛、菓子、ウコン等の健康食品、料理、ガラス製品その他の伝統工芸品等多種多様な商品が製造・販売されている(乙第3号証の1ないし7及び乙第4号証)。
すなわち、守礼堂の名称は特に沖縄県においては普通名称にすぎず、これが普通に用いられる方法で表示された場合、自他商品の識別機能を果すことができず、したがって商標法第26条第1項第2号により商標権の効力が及ばないものというべきである。
第5 当審の判断
1.本件商標は、別掲(1)に示したとおり「首里城の守礼門と認識される図形」及びその下に「守礼堂」の文字と「SHUREIDO」の文字を二段に横書きしてなるものであるところ、図形部分より「守礼門」の観念を、また、「守礼堂」及び「SHUREIDO」の文字より「シュレイドウ」の称呼を生じるものである。
そして、本件商標は、商品「空手衣」に使用されているものである(甲第4号証)。
2.他方、イ号標章は、別掲(2)に示したとおり「東京守礼堂」の文字(右下に小さく登録商標であることを表すために慣用的に使用されている「マルR」が表示されている。)、「赤丸を背景にした空手の蹴り動作を示す図形」、多少デザイン化された「SHUREIDO」の文字、「日の丸国旗の図形」、「TOKYO」の文字、「2000」の数字、「WASH IN COLD DO NOT USE COMMERCIAL DRYERS」の文字及び「日本製」の文字を組み合わせた構成よりなるものである。
そして、イ号標章の構成中、看者の注意を引く部分は、「東京守礼堂」の文字、「赤丸を背景にした空手の蹴り動作を示す図形」及び多少デザイン化された「SHUREIDO」の文字にあるものと認められるものであって、「空手の蹴り動作を示す図形」は、空手の一動作を表すにすぎず、その使用商品「空手衣」との関係よりみると、商品の識別標識として強い印象を与えるものではなく、むしろ、「東京守礼堂」及び「SHUREIDO」の文字を捉え、これをもって商品の識別に当たるものとみるのが相当である。
してみると、イ号標章は、「東京守礼堂」の文字から「トウキョウシュレイドウ」の称呼を、また「SHUREIDO」の文字から「シュレイドウ」の称呼を生じるものであるが、「東京守礼堂」の文字については、単に「シュレイドウ」の称呼が生じる「SHUREIDO」の文字が表示されていること、本件商標とは「守礼堂」及び「SHUREIDO」の文字を共通にすること、さらに、本件商標とはその使用商品が、ともに「空手衣」であり同一であることを勘案すると、「東京守礼堂」中の「東京」の文字は、地名であって「守礼堂」の一販売地を表示しているものと解される場合があり、「守礼堂の東京店」と認識されることが少なくないものと認められる。そうすると、「東京守礼堂」の文字からは、自他商品識別力の強い「守礼堂」の文字部分より、単に「シュレイドウ」の称呼をも生じるものといえるものである。
3.そうすると、本件商標とイ号標章とは、全体の外観、観念においては相紛れるおそれはないものであるとしても、両者は、「守礼堂」及び「SHUREIDO」の文字を共通にし、これより生じる「シュレイドウ」の称呼を同一にする相紛らわしい類似のものと判断するのが相当であり、かつ、イ号標章が使用されている「空手衣」は、本件商標の指定商品に包含されているものである。
したがって、「空手衣」に使用するイ号標章は、本件商標の商標権の効力の範囲に属するものといわなければならない。
4.ところで、被請求人は、被請求人の設立時の商号は株式会社東京守礼堂であり、イ号標章に表示されている「東京守礼堂」の文字は、被請求人の名称の略称であって、自己の略称を普通に用いられる方法で表示しているものであるから、商標法第26条第1項第1号により、本件商標の商標権の効力は及ばない旨主張している。
しかしながら、被請求人の設立時の名称が株式会社東京守礼堂であったことは認められるが、過去の名称はそうであったとしても、現在においては、被請求人の名称の略称とは認められないばかりか、その著名性も立証されていないものである。さらに、イ号標章においては、「東京守礼堂」の右下に登録商標であることを表すために慣用的に使用されている「マルR」を付し(実際には商標登録されていない。)、識別標識たる商標として見せ掛けて使用しているものであって、自己の名称の著名な略称を普通に用いられる方法で表示しているものとはいい難いから、この主張は採用することができない。
さらに、特に、沖縄県においては、守礼堂の名称を使用している者により泡盛、菓子、ウコン等の健康食品、料理、ガラス製品その他の伝統工芸品等多種多様な商品が製造・販売されているから、守礼堂の名称は普通名称にすぎず、これが普通に用いられる方法で表示された場合、商標法第26条第1項第2号により、本件商標の商標権の効力が及ばない旨主張している。
しかしながら、該規定は、当該指定商品若しくはこれに類似する商品の普通名称を表示する商標には、商標権の効力が及ばない旨を定めるものであり、被請求人の提出に係る乙第3号証は、「守礼堂」という名称の店のショッピングサイトのホームページであり、その店の取り扱い商品を紹介しているにすぎないものであり、また、乙第4号証は、「守礼堂民芸乃里」という名称の店のホームページにすぎないものであるばかりか、「守礼堂」の語が、本件商標の指定商品のいずれについてもその普通名称を表すものでないことは明らかであるから、この主張も採用することができない。
よって、結論のとおり判定する。
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