Trademark Appeal Case
結合商標の一体性
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 判定2004−60063(T2004−60063/J6) |
|---|---|
| 審判種別 | 記載はありません。 |
| 結論 | other |
理由テキスト
第1 本件商標
本件登録第4740438号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲に示すとおりの構成よりなり、平成13年9月10日に登録出願、第25類「Tシャツ,洋服,コート,セーター類,ワイシャツ類,寝巻き類,下着,水泳着,水泳帽,和服,ずきん,すげがさ,ナイトキャップ,ヘルメット,帽子,バンド,ベルト,履物」を指定商品として、同16年1月16日に設定登録されたものである。
第2 イ号標章
請求人が商品「Tシャツ」に使用する標章として示したイ号標章は、別掲のとおりの構成よりなるものである。
第3 請求人の主張
請求人は、商品「Tシャツ」に使用するイ号標章は、本件商標の商標権の効力の範囲に属しない、との判定を求め、その理由を次のように述べ、証拠方法として、甲第1号証ないし甲第5号証(枝番号を含む。)を提出した。
1 判定請求の理由の要約
本件商標は、「UMIN CHU」と「海人」の明朝体の文字を横書きで2段に記してなるものである。そして、イ号標章は、黒地に白抜きの毛筆体で「海人」の文字を左上がりの斜め配置で記したものである。また、本件商標にかかる指定商品中、第25類の「Tシャツ」とイ号標章の使用商品「Tシャツ」とは、同一商品である。
しかしながら、本件商標は、平成14年9月27日に商標法第4条第1項第11号により拒絶査定となり、その拒絶査定不服審判において一転、登録査定となったものである。
そして、その審決において、「海人」の文字は、広辞苑などの辞書によると「カイジン」、「アマビト」、「アマ」等の読みを有するものであり、先願商標「アマ/AMA」などが登録されているが、本願商標は、「海人」の文字の上部に「UMIN CHU」の文字が付加されているので称呼は同じ(アマ)とはならないとの判断によるものであった。
したがって、本願商標は、あくまでも、「海人」の上に「UMIN CHU」の文字が付加された一体の商標として、外観、称呼、観念を生じるものと審決されたものであり、一体の商標としてその商標権が発生するものであり、単に「海人」の文字のみは、すでに何度も先願され、そして拒絶査定になっているとおり、本願商標とは異なるものであり、「海人」の文字のみからなるイ号標章は、本願商標の商標権の範囲に属さない。
2 判定請求の必要性
本件請求に係る登録第4740438号商標の商標権者である被請求人は、本件請求人が標章「海人」(以下、「イ号標章」という。)の下部に「UMINCHU」の文字を配置したTシャツ(甲第1号証)を以前より継続して使用していたところ、前記商標登録の本件商標の商標権を侵害しているとの警告を発した(甲第2号証)。
本請求人は、先使用権を有しているものとの認識はあるが、登録商標を尊重し、被請求人に対して「UMIN CHU」の文字を削除し、単に「海人」の文字のみのTシャツ(甲第3号証)とする修正を行い、商標権の効力の範囲に属さない旨の回答を行ったが、「海人」のみでも権利侵害であるとの再警告(甲第4号証)を受け、その対応に苦慮しているところである。
3 イ号標章の説明
請求人は、平成11年7月より、黒地に「海人」の白抜き毛筆文字と「UMINCHU」の白抜き文字とからなる「Tシャツ」(甲第1号証)を製造し、沖縄県内及び大阪、東京など幅広く販売していた(甲第5号証)。今回の被請求人の警告により、当該商品(甲第1号証)すべてを回収し、「UMINCHU」の白抜き文字の無い、単に黒地に「海人」の白抜き毛筆文字のみからなるTシャツ(甲第3号証)を平成16年7月より販売しているところである。
尚、「海人」の文字を記したTシャツは、沖縄県内では、ほとんどの観光土産品店や空港売店はもとより、スーパーや洋品店など以前より、多数の業者が取り扱ってきた経緯により、現在の知名度を得た沖縄県の代表的なTシャツであり、最初に手がけたとはいえ、Tシャツ業者全体の積極的な営業努力により、著名性が確立されたものであるという周知の事実があり、現時点において、1業者が商標としてその権利を独占することは、商業取引において問題を生じるものといわざるを得ない。
4 イ号標章が商標権の効力の範囲に属さないとの説明
本件商標は、「UMIN CHU」と「海人」の文字を横書きで2段に記してなるものである。そして、イ号標章は、黒地に「海人」の毛筆白抜き文字を斜めに配置して記したものである。また、本件商標にかかる指定商品中、第25類の「Tシャツ」とイ号標章の使用商品「Tシャツ」は同一商品である。
しかしながら、本件商標は、平成14年9月27日に商標法第4条第1項第11号他により拒絶査定となり、その後拒絶査定不服審判において一転、登録査定となったものである。
そして、その審決において、本件商標は、上段の「UMIN CHU」の文字が下段の「海人」の読みを表したものと看取されるものであることと相俟って、これに接する取引者、需要者は、「UMIN CHU」の文字が「海人」の読みを特定したものと認識し、これより生じる「ウミンチュ」の称呼をもって取引に資するものと判断するのが相当である。」との判断がなされた。
すなわち、「海人」の文字は、広辞苑などの辞書によると「カイジン」、「アマビト」、「アマ」等の読みを有するものであり、先願商標「アマ/AMA」などが登録されているが、本件商標は、「海人」の文字の上部に「UMIN CHU」の文字が付加されているので称呼は、「ウミンチュ」となり、先願商標の「アマ」とは同じとはならないとの判断によるものであった。
そうなると、本件商標の上段の「UMIN CHU」の文字が本件商標において非常に重要な部分となり、この「UMIN CHU」が付加されなかった場合においては、本件商標は登録できなかったものと判断でき、単に「海人」の文字のみでは、本件商標には該当しないものとなる。以前にも何度も「海人」の文字からなる商標出願がなされたが、すべて拒絶査定となっている。
以上のとおりであるから、本件商標は、あくまでも、「海人」の上に「UMIN CHU」の文字が付加された一体の商標として、外観、称呼、観念を生じるものであり、一体に商標としてその商標権が発生するものであり、単に「海人」の文字のみでは、識別機能を有する「UMIN CHU」の文字が含まれておらず、本件商標とは言えず、特徴が無いので類似ともならない。また、「海人」の標章から直接的に被請求人と結びつくと認識されるような、出所表示機能を有しているとは、多くの業者及び商品が販売されている状況においては言えないことも明らかである。よってイ号標章は、本件商標の商標権に属さない。
5 被請求人の答弁に対する弁駁
請求人は、被請求人の答弁書に対して、次のとおり弁駁し、証拠方法として、甲第6号証を提出した。
(1)答弁の趣旨は、被請求人の「海人Tシャツ」は周知されていること、請求人の「海人Tシャツ」は、外観、称呼、観念すべてにおいて同一であるとするものである。
そして、多数の周知証明書を添付して、被請求人の「海人Tシャツ」が周知されていることを示しているが、周知されている「海人Tシャツ」のロゴは特別な書体のものである。(甲第6号証)
本件商標は、乙第6号証の審決に示される識別性が認められて登録となったものであり、その識別性は、読みとなる「UMIN CHU」の英字が付加されていることによるものである。
(2)答弁の理由「2 判定請求の必要性について」の答弁について
被請求人は、警告書に対する請求人の回答に対して、「単に本件商標が「UMIN CHU」の英文字と「海人」の漢字文字を二段併記したものであり、「UMIN CHU」の称呼を伴うものであることの確認を求める内容にすぎず、その後あらためて明確な回答が判定請求人から送付されなかったため、判定被請求人は再警告に及んだものです。」との答弁であるが、甲第4号証に示したとおり、「2004年(平成16年)3月12日付け「御回答」」と被請求人が述べているように、明確に回答を行っている。
また、被請求人は、その回答について「単に「UMIN CHU」の称呼を伴うものであることの確認を求める内容にすぎず」と述べているが、再警告の警告書(甲第4号証)が述べているように「この商標と称呼、外観、観念のいずれかにおいて類似するものはすべて、この商標権の侵害になります。例えば、「海人」の文字のみの商標も外観類似となり、」 と最初の警告に続いて強行に述べている。乙第6号証の審決に示すように、この商標が多くの称呼を持つ「海人」の漢字文字に、「UMIN CHU」の英字を付加することで特別な読みを発生することによって登録査定となったこと、すなわち、「海人」の漢字と「UMIN CHU」の英字とによる不可分、一体の商標であるという事実については、まったく触れていない。申請人からの上記のような審決内容の指摘に対しても、故意に無視しているものといわざるを得ない。
また、先使用権については、当初、被請求人からの受注により、「海人」Tシャツを製造、卸しを請求人が行っていたものであり、その製造を継続しているものである。
(3)答弁の理由「3 イ号標章が本件商標の効力の範囲に属する理由」の答弁について
この類似の問題については、本件商標は、乙第6号証の審決にしめされているように、「「カイジン」、「アマビト」、「アマ」などの読みを有し、一つの読みを特定できるものとはいえない。」ものであるが、「本件商標の構成上、上段の「UMIN CHU」の文字が下段の「海人」の読みを表したものと看取されるものであることと相侯って、これに接する取引者、需要者は、これより生じる「ウミンチュ」の称呼をもって取引に資するものと判断するのが相当である。」と述べられており、商標の識別性の観点から、読みである「UMIN CHU」の英字が付加されていることがこの商標の構成上、不可分であり、重要であることは明らかである。
また、被請求人による「海人」Tシャツのロゴは、甲第6号証に示すとおりであり、本件商標と同一のものではなく、請求人のTシャツとして、広く周知されているのは独特の書体による「海人」の漢字文字によるものであり、実際に、被請求人のホームページ (http://www uminchu-okinawa.com/s1.html)において、「石垣島で登場して26年〜 人気の定番商品」とする「海人」Tシャツは、甲第6号証に示すものであり、本件商標と同一の書体と構成によるTシャツの販売を行っておらず、周知されている被請求人の「海人Tシャツ」と言えば、甲第6号証のロゴによる独特に書体による「海人」Tシャツである。
また、被請求人は〈結論〉の中で審決について述べていますが、称呼問題として「本件商標が「ウミンチュ」と称呼されるために、互いに相紛らわしい商標ではない、と判断されたものです。」と述べているとおり、本件商標は、読みが「ウミンチュ」と特別な読みが発生することで初めて、称呼における識別性を有するものであり、本商標構成中に上段の読みとして機能を有する「UMIN CHU」の英字が必要不可分な構成であることによる審決である。
なお、被請求人は、「版権」と称して、他社デザインの「海人」関連Tシャツの販売に対して、本件商標をもって、権利行使し、沖縄県内の販売業者に対して、「海人」のみならず、たとえば、「海遊人」のTシャツなどにまでその権利を行使しており、商標権の乱用とも疑いたくなるような権利行使を行っている現状がある。
以上のとおりであるから、イ号標章のTシャツは、本件商標の効力の範囲に属しないものとの判定を求めるものである。
第4 被請求人の答弁
被請求人は結論同旨の判定を求め、その理由を次のように述べ証拠方法として乙第1号証ないし第6号証を提出している。
1 イ号標章について
判定請求人が判定の対象としているイ号標章は、判定請求書の「請求の理由 1 判定請求の理由の要約」の欄によれば、黒地の長方形に毛筆体で「海人」の文字を左上がりの斜め方向に白地で打ち抜いた標章であるかのように記載されている。しかしながら、「同3 イ号標章の説明」や「同4 イ号標章が商標権の効力の範囲に属さないとの説明」の欄の記載全体から判断すると、判定請求人が求めている判定の対象としてのイ号標章は、Tシャツに使用された「海人」の文字からなる標章と思われる。従って、判定被請求人は、イ号標章が「海人」の文字のみからなる標章として答弁する。
2 判定請求の必要性について
判定被請求人が、登録第4740438号商標(以下「本件商標」という)に基づき、平成16年3月6日付で判定請求人に警告を発したのは事実であり、また、平成16年5月12日付けで再警告を行ったのも事実である。
これに関し、判定請求人は、「2 判定請求の必要性」の欄において、判定被請求人の3月6日付け警告に対し、先使用権を有しているものとの認識はあるが、登録商標を尊重し、自己の製作販売するTシャツで使用した「UMIN CHU」の文字を削除し、単に「海人」の文字のみのTシャツとする修正を行い、判定被請求人に対して、商標権の効力の範囲に属さない旨の回答を行った、と述べている。しかしながら、判定請求人が行った回答(乙第1号証)は、単に本件商標が「UMIN CHU」の英文字と「海人」の漢字文字を二段併記したものであり、「UMIN CHU」の呼称を伴うものであることの確認を求める内容にすぎず、その後あらためて明確な回答が判定請求人から送付されなかったため、判定被請求人は再警告に及んだものである。
なお、判定請求人は、先使用権を有しているとの認識がある、と述べているが、Tシャツに「海人」の文字を最初に使用したのは判定被請求人であり、昭和56年頃沖縄県石垣市字川平185番地シーマンズクラブ内の手作り館(店舗)にて販売して以降、販売店舗の拡大、販売地域の拡大、インターネットを介した販売等を通じて判定被請求人の販売努力により沖縄の周知ブランドとして定着させたもので、判定請求人は当該「海人」のTシャツが注目され、販売が拡大した頃に、自らも「海人」を使用したTシャツの販売を開始したものである。従って、判定請求人が先使用権を有しているとの認識は誤りである。
3 イ号標章が本件商標の効力の範囲に属する理由
(ア)商品の類似について
判定請求人がイ号標章を使用する商品は「Tシャツ」であり、本件商標の指定商品に含まれている「Tシャツ」と同一である。
(イ)商標の類似について
イ号標章は、毛筆体による「海」と「人」の漢字二文字を、左側に位置するやや左上がり斜め方向に配置したものであるが、全体として「海人」の文字を横画きした印象を与えるものである。
一方、本件商標は、英文字「UMIN CHU」と漢字「海人」とを横方向に2段併記して構成されているが、「UMIN CHU」の文字の大きさは「海人」の漢字に比して略9分の1程度の大きさで構成されており、「海」の文字の上部に「UMIN」が、「人」の上部に「CHU」が配置されているため、あたかも「UMIN」と「CHU」がそれぞれ「海」と「人」の振り仮名であるかのようにそれぞれの文字の読みを表わしている印象を与えている。
次に、イ号標章と本件商標とを、外観、称呼、観念の点から比較する。
〈外観〉
まず、イ号標章と本件商標とを外観上比較する。イ号標章は、左方向を上にしてやや傾斜気味に配置された毛筆体「海」と「人」の漢字2文字で構成されている。一方、本件商標は、英文字「UMIN CHU」と漢字「海人」とを横方向に2段併記して構成されているが、上部に配置された「UMIN」と「CHU」の英文字は、その文字の大きさから「海」と「人」の読みを示す添え字的な印象を与える。本件商標の構成において、英文字「UMIN CHU」の部分と漢字「海人」の部分は、それぞれ識別力を備えた部分と考えられるが、本件商標の構成中、「海人」の構成部分は商標全体のうちその占める面積の割合が大きいので、本件商標に接した場合に看る者に強い印象を与えるのはまず「海人」の部分である。従って、イ号標章と本件商標とを外観上比較すると、多少の文字体の相違は存在するが、両者は共に漢字の「海」と「人」とが横書きされているという印象を与える点で共通している。そして、その印象は、例え本件商標がさらに「UMIN CHU」の文字部分を有していたとしても、その文字部分の大きさ及び配置による添え字的な構成のために、全体として両者が漢字の「海」と「人」が横方向に配置されて構成されているという印象を左右することはないと考えられる。すなわち、本件商標と、イ号標章とが、それぞれTシャツに使用されている場合に、看る者がそれぞれの商品に時と場所を違えて接すると、外観上強い印象を与えるのはそれぞれ横方向に配置された漢字の「海人」という点で共通し、本件商標を付したTシャツと、イ号標章を付したTシャツとが、同一の出所から流出したとの印象を与えるのは明らかである。よって、本件商標と、イ号標章とが、外観上類似するのは明らかである。
〈称呼〉
イ号標章「海人」からは、判定請求人が主張するように「アマ」「ウミビト」「アマビト」「カイジン」の称呼が生ずると考えられる。また、Tシャツに「海人」を使用した場合には、判定被請求人の製品の販売や宣伝、雑誌やインターネット上の掲載記事、マスコミ報道等により、「ウミンチュTシャツ」が相当程度沖縄地域をはじめとして周知されているため(甲第2号証その1〜その10)、イ号標章「海人」に接した場合でも「ウミンチュ」の称呼が生ずる可能性は十分にある(判定請求人も、判定被請求人から警告書を受領する前は、「海人」と「UMIN CHU」の文字をセットで使用していた経緯がある。)。従って、イ号標章をTシャツに使用した場合には、「ウミンチュ」の称呼が生ずる可能性は十分にあるといえる。
一方、本件商標は、「UMIN CHU」部分が「海人」の読みを特定していると見られることから当然「ウミンチュ」の称呼が生じる。
従って、イ号標章と本件商標とは、特にTシャツに使用する場合に称呼上類似する可能性が高いといえる。
〈観念〉
イ号標章「海人」からは、「漁師」の観念が生じることは明らかである。一方、本件商標にあっても「海人」の部分からは「漁師」の観念が生じるのはもちろんのこと、「UMIN CHU」の称呼「ウミンチュ」は、沖縄の方言では漁師を指すものであるから、本件商標から「漁師」の観念が生じるのは明らかである。よって、イ号標章と本件商標とは、観念上類似するのは明らかである。
〈結論〉
以上述べたように、イ号標章と本件商標とは、外観、称呼、観念の少なくとも一以上において相紛らわしく、イ号標章を使用する商品Tシャツは、本件商標の指定商品と同一であるから、Tシャツについて使用するイ号標章は、本件商標の効力の範囲に属するのは明らかである。<判定請求人によるイ号標章が商標権の効力の範囲に属さないとの説明>
なお、判定請求人は、本件商標が平成14年9月27日に商標法第4条第1項第11号により拒絶査定となり、その後拒絶査定不服審判において登録審決を得た経過に言及し、その審決中で、「本件商標は、上段の「UMIN CHU」の文字が下段の「海人」の読みを表したものと看取されるものであることと相侯って、これに接する取引者、需要者は「UMIN CHU」の文字が「海人」の読みを特定したものと認識し、これにより生じる「ウミンチュ」の称呼をもって取引に資するものと判断するのが相当である」との判断がなされたことを根拠として、「本件商標の上段の「UMIN CHU」の文字が本件商標において非常に重要な部分となり、この「UMIN CHU」が付加されていなかった場合においては、本件商標は登録できなかったものと判断でき、単に「海人」の文字のみでは本件商標に該当しない、本件商標はあくまでも「海人」の上に「UMIN CHU」が付加された一体の商標として外観、称呼、観念を生じるものであり、一体の商標としてその商標権が発生するものであり、単に「海人」の文字のみでは、識別機能を有する「UMIN CHU」の文字が含まれておらず、本件商標とは言えず、特徴が無いので類似ともならない」等主張しているがいささか見当はずれであるといわざるを得ない。
本件商標は、平成14年7月11日付けの拒絶理由通知書(乙第3号証)において、4件の引用商標、すなわち登録第1829492号商標(乙第4号証、以下、「引用商標1」という)、登録第3231091号商標(乙第5号証、以下「引用商標2」という)、登録第4479463号商標(以下、「引用商標3」という)及び商願2001−76082号商標(以下、「引用商標4」という)を引用され、意見書・手続補正書を提出したものの、拒絶査定となった。その後、拒絶査定に対する審判請求を行ったが、審判の段階で、引用商標4は拒絶査定が確定し、引用商標3については抵触する指定商品を削除する補正を行ったため、引用商標3及び引用商標4についての拒絶理由は審決が出される前に解消していた。従って、審決(乙第6号証)において判断されたのは、引用商標1及び引用商標2と、本件商標との類似についてである。ここで、引用商標1は乙第4号証に示されるとおり、カタカナ文字「アマ」と英文字「AMA」を横に二段併記したものである。また、引用商標2は、図案化された英文字「AMA」で構成されたものである。そして、本件商標と引用商標1及び2とは、外観及び観念上は全く異なっており、さらに本件商標が「ウミンチュ」と称呼されるために、互いに相紛らわしい商標ではない、と判断されたものである。従って、この審決では、本件商標と商標「海人」との類似については全く判断されていないし、まして、本件商標の構成中「海人」の部分が識別機能を有していないなどとはどこにも記載されていない。従って、この審決から、本件商標とイ号標章とが非類似であるとの結論が導かれるはずがない。
4 むすび
以上述べたように、イ号標章と本件商標とは、外観、称呼、観念の少なくとも一以上において相紛らわしく、イ号標章を使用する商品Tシャツは、本件商標の指定商品と同一であるから、Tシャツについて使用するイ号標章は、本件商標の効力(類似)の範囲に属する、との判定を求めるものである。
第5 当審の判断
本件商標は、別掲に示すとおり「UMIN CHU」及び「海人」の文字を二段に横書きしてなるところ、「海」の文字の上に「UMIN」の文字を、「人」の文字の上に「CHU」の文字をそれぞれ小さめに配してなるものである。
そして、沖縄地方においては、漁師のことを「うみんちゅ」といい「海人」と書いて「ウミンチュ」と読ませる実情がある。
また、最近においては、沖縄地方のみならず新聞、雑誌やテレビなどでいわゆる「ウミンチュ」という言葉が広く使われるようになっている。
そうとすれば、本件商標は、これより「ウミンチュ」又は「カイジン」の称呼を生じるものとするのが相当である。
これに対し、イ号標章は、別掲のとおりの構成よりなるところ、「海人」の文字部分に相応して「カイジン」の称呼及び「海人」が前述した実情にあることから「ウミンチュ」の称呼をも生ずるものであるとするのが相当である。
そうとすれば、本件商標とイ号標章は、「ウミンチュ」又は「カイジン」の称呼を共通にする類似の商標といわざるを得ない。
なお、請求人が主張する不服2002−20907の審決例は、商標の構成等において事案を異にするものであるから、この点に関する主張は採用し得ない。
したがって、本件商標とイ号標章は、その称呼において類似するものであり、かつ、本件商標の指定商品に含まれる商品「Tシャツ」に使用するイ号標章は、本件商標の商標権の効力の範囲に属するものである。
よって、結論のとおり判定する。
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