Trademark Appeal Case
コンテンツメーカーの識別力
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 不服2002−19443(T2002−19443/J1) |
|---|---|
| 審判種別 | 不服 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理由テキスト
1 本願商標
本願商標は、「ザ コンテンツメーカー」の文字を標準文字で表してなり、第16類、第38類及び第42類に属する願書に記載のとおりの商品及び役務を指定して、平成13年5月18日に登録出願されたものであり、その後、指定商品及び指定役務については、同14年6月19日付の手続補正書により、第16類「印刷物,紙類,紙製包装用容器,家庭用食品包装フィルム,紙製ごみ収集用袋,プラスチック製ごみ収集用袋,衛生手ふき,型紙,紙製テーブルクロス,紙製テーブルナプキン,紙製タオル,紙製手ふき,紙製のぼり,紙製旗,紙製ハンカチ,紙製ブラインド,紙製幼児用おしめ,裁縫用チャコ,荷札,書画,文房具類,事務用又は家庭用ののり及び接着剤,印刷用インテル,活字,装飾塗工用ブラシ,封ろう,マーキング用孔開型板,観賞魚用水槽及びその附属品」、第38類「テレビジョン放送,有線テレビジョン放送,ラジオ放送,報道をする者に対するニュースの供給」及び第42類「気象情報の提供,宿泊施設の提供,宿泊施設の提供の契約の媒介又は取次ぎ,飲食物の提供,美容,理容,入浴施設の提供,写真の撮影,オフセット印刷,グラビア印刷,スクリーン印刷,石版印刷,凸版印刷,求人情報の提供,結婚又は交際を希望する者への異性の紹介,婚礼(結婚披露を含む。)のための施設の提供,葬儀の執行,墓地又は納骨堂の提供,一般廃棄物の収集及び分別,産業廃棄物の収集及び分別,庭園又は花壇の手入れ,庭園樹の植樹,肥料の散布,雑草の防除,有害動物の防除(農業・園芸又は林業に関するものに限る。),建築物の設計,測量,地質の調査,機械・装置若しくは器具(これらの部品を含む。)又はこれらにより構成される設備の設計,デザインの考案,電子計算機・自動車その他その用途に応じて的確な操作をするためには高度の専門的な知識・技術又は経験を必要とする機械の性能・操作方法等に関する紹介及び説明,医薬品・化粧品又は食品の試験・検査又は研究,建築又は都市計画に関する研究,公害の防止に関する試験又は研究,電気に関する試験又は研究,土木に関する試験又は研究,農業・畜産又は水産に関する試験・検査又は研究,機械器具に関する試験又は研究,著作権の利用に関する契約の代理又は媒介,通訳,翻訳,施設の警備,身辺の警備,個人の身元又は行動に関する調査,あん摩・マッサージ及び指圧,きゅう,柔道整復,はり,医業,医療情報の提供,健康診断,歯科医業,調剤,栄養の指導,家畜の診療,保育所における乳幼児の保育,老人の養護,編み機の貸与,ミシンの貸与,衣服の貸与,植木の貸与,カーテンの貸与,家具の貸与,壁掛けの貸与,敷物の貸与,会議室の貸与,展示施設の貸与,カメラの貸与,光学機械器具の貸与,漁業用機械器具の貸与,鉱山機械器具の貸与,計測器の貸与,コンバインの貸与,祭壇の貸与,自動販売機の貸与,芝刈機の貸与,火災報知機の貸与,消火器の貸与,タオルの貸与,暖冷房装置の貸与,超音波診断装置の貸与,加熱器の貸与,調理台の貸与,流し台の貸与,凸版印刷機の貸与,美容院用又は理髪店用の機械器具の貸与,布団の貸与,理化学機械器具の貸与,ルームクーラーの貸与」と補正されたものである。
2 原査定の拒絶の理由
原査定は、「1.本願商標は、その商標中に『情報の内容(コンテンツ)』を作る人、『情報の内容(コンテンツ)』を作ること程の意味合いを想起させる『Contents Maker』の意味の英語の表音と認識される『コンテンツメーカー』の文字を書してなるものであるから、これをその指定役務中、例えば『テレビジョン放送』等の上記意味合いに照応する各種役務(例えば、放送・通信・情報提供・設計・作成・考案・・等々)に使用しても自他役務識別機能を有するものとは認められず、需要者が何人かの業務に係る役務であることを認識することができない商標であると認められる。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第6号に該当し、前記役務以外の役務に使用するときは、役務の質・内容の誤認を生じさせるおそれがあるので、商標法第4条第1項第16号に該当する。2.本願商標は、登録第4121844号商標及び登録第4545015号商標と同一又は類似であって、その商標に係る指定商品(指定役務)と同一又は類似の商品(役務)について使用するものであるから、商標法第4条第1項第11号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。
3 当審の判断
(1)本願商標は、前記のとおり、「ザ コンテンツメーカー」の文字よりなるところ、例えば、株式会社岩波書店発行「広辞苑(第5版)」には、「コンテンツ」の語は「中身、内容」等と記載され、「メーカー」の語は「作る人、製造者」等と記載されており、株式会社集英社発行「日本語になった外国語辞典(1989年6月25日第2版第3刷)」にも同様の記載がなされている。また、自由国民社発行「現代用語の基礎知識(1996年1月1日)」には、「コンテンツ」の語は「情報・通信ネットワークやコンピュータ上で取り扱われる情報の中身の総称」を表す語として説明されており、「コンテンツビジネス」(同上「現代用語の基礎知識)、「コンテンツ配信サービス」(株式会社集英社発行「imidas2003」)のように用いられている。
そうとすれば、この「コンテンツ」の語と、殆ど日本語化して用いられている「メーカー」の語とを一連に表した「コンテンツメーカー」の語からは、「情報の内容(コンテンツ)を作る人」の如き意味合いを容易に理解・認識し得るものというべきである。そして、近年におけるパソコンやインターネットの普及に伴って、「コンテンツメーカー」の語は、情報通信に関わる専門家ばかりでなく、日常一般においても、上記意味合いを表す語として理解され、頻繁に使用されているものということができる。
このことは、原査定において開示したインターネットのホームページ情報「http://japan.internet.com/topics/20010908/1.html(日経ビジネス9/3号・日経BP・9/3発売)ブロードバンドの呼び声で、一気に注目が集るコンテンツメーカー達。そして、我が道を行く任天堂・・・。」ばかりでなく、例えば、以下の新聞記事及びインターネットのホームページ情報によっても首肯し得るものである。
(a)「コンピュータソフト著作協とJASRAC/料金問題など協議/ゲームソフトの音楽利用」(1997.2.20日本工業新聞)
ゲームやパソコンソフトの著作権問題を処理する業界団体、コンピュータソフトウェア著作権協会は、4月からゲームソフトを含むマルチメディアコンテンツへの音楽利用の方法や利用料金について、日本音楽著作権協会(JASRAC)との協議を始める。昨年秋から、コンピューターソフトウエア著作権協会とJASRACは、音楽利用時の料率を価格の3%程度とするなどの措置を一年間の暫定期間を設けて試行。しかし、具体的な使用契約は、音楽ソフトメーカーとコンテンツメーカーが個別に結んでおり、7%という高額な料率が要求されるケースもあるという。
(b)「フジテレビ17年ぶり機構大改革」(1997.6.28産経新聞東京朝刊)
・・・編成局の機能が事実上4分割されるなど、従来の「編成主導型」から「放送事業とコンテンツメーカーという二本柱型」への移行となる。
(c)「知的財産権認める動き/大企業が制作者を支援(最前線)」(1998.9.5朝日新聞大阪朝刊)
情報産業で「デジタルコンテンツ」の市場が急成長している。・・・コンテンツメーカーは小規模で資金力が弱いために、大手の映画会社やゲーム会社などの下請けになり、作品のキャラクターの使用権や映像の二次利用権など知的財産権ごと、作品を売るケースが多い。・・・JDC(ジャパンデジタルコンテンツ)は、事業に必要な資金の4分の3を投資する代わりに、投資額の2.5倍の資金を回収するまではそのコンテンツの独占販売権を持つ。その後は、コンテンツメーカーが自由に権利を処分することができる。すでに約120件の応募があった。
(d)「マルチメディアコンテンツ展示会、2日から大阪で開催」(1999.1.28日刊工業新聞)
関西発のマルチメディアコンテンツ(情報内容)を一堂に紹介。マルチメディアコンテンツOSAKAフェスティバル99(関西の産官による実行委員会主催)が2月2日から3日間、大阪市中央区のマイドームおおさかで開催される。今回が2回目で、関西のコンテンツメーカーなどを中心に62社が出展する。
(e)「三洋電機、音楽配信事業の実証実験を開始」(2000.2.25日刊工業新聞)
三洋電機は24日、店舗設置型の専用ネット端末「サウンドブティック=写真」を使い、音楽コンテンツ配信とCDなど商品のネット販売を行う実証実験を3月中旬から関西圏で開始すると発表した。コンテンツメーカーや放送事業者、流通業など計8社の協力を得て、セキュリティーを確保し娯楽性の高い音楽販売の新しい仕組みを構築する。
(f)「デジタル化進展で音楽・書籍産業4800億円の損害/著作権侵害や独立加速」(2000.9.21産経新聞東京朝刊)
米調査会社のフォレスター・リサーチは、コンテンツ(情報内容)のデジタル化に伴う著作権侵害や音楽家、作家の独立などで、音楽、書籍産業が2005年までに46億ドル(約4800億円)の損害を被るという調査結果を発表した。調査は音楽、映画、書籍出版、ゲーム、テレビのコンテンツメーカー50社にインタビュー形式で行った。・・・
(g)「列島経済/地域再生計画を追う(1)住環境・観光・国際交流」(2004.8.10日刊工業新聞)
政府が第1回目として認定した214件の地域再生計画が各地で動き始めた。・・・[KYOTOケータイ計画ー京都府]京都府には携帯電話関連の電子部品やコンテンツメーカーが集積している。このため、ケータイ産業を新たな地場産業に育成する狙いもある。
(h)「最新ブロードバンドビジネスニュース/2001年11月9日/九州電力のIT子会社、視聴状況を把握できるブロードバンド有料配信サービス」( http://www.streamnow.tv/bbnews/01/1109/bn011109-02.html)
・・・このサービスを利用する事でコンテンツメーカーは、自身のブランドでブロードバンドコンテンツを配信することが可能となり、課金、コンテンツ著作権管理、インターネット視聴率を中心としたマーケティングデータサービスも利用できる。
(i)「東京ゲームショウ2003」(http://k-tai.impress.co.jp/cda/article/event/15791.html)
コンテンツメーカーの小ブースでは505iの実機が3機程度用意されていて、来場者が手にとってゲームを楽しめるようになっている。
(j)「ブロードバンド推進協議会オンラインゲーム専門部会(SIG−OG)」(http://www.bbassociation.org/activity/sig-og/3rd.html)
第3回オンラインゲーム専門部会研究会「オンラインゲーム運営に於けるインフラストラクチャ問題/コンテンツメーカーとネットワークキャリアとの接点をつくる」
2004年8月28日、オンラインゲーム専門部会第3回研究会が東京千駄ヶ谷にて開催されました。・・・
(2)以上のような取引の実情をも併せみれば、「コンテンツメーカー」の語(文字)からは、「情報の内容(コンテンツ)を作る人」の如き意味合いを理解・認識させるにすぎないものというべきである。
しかして、本願商標は、「ザ コンテンツメーカー」の文字からなるものであって、語頭部分に「ザ」の文字を有するが、「ザ」の文字は、英語の定冠詞「the」に相応するものと認められるところ、英語の用法としては多様な用法があるものの、例えば、株式会社三省堂発行「コンサイス英和辞典(2001年11月15日第1刷)」の「the」の項の冒頭には、「その、あの、例の(限定詞で、日本語に訳されない場合が多い)」と記載されているように、単語や熟語の前に「ザ(the)」の語を付加しても、その単語や熟語の持つ意味合い以外の格別な一定の意味合いを看取し得るものということはできない。
そうとすれば、本願商標は、これをその指定役務中、テレビジョン放送をはじめとする放送、気象情報の提供、求人情報の提供、医療情報の提供等の役務に使用しても、これに接する取引者・需要者は、「コンテンツメーカー」と同義のものとして理解・認識するにとどまり、コンテンツメーカーの作成した情報内容により提供される役務であることを表したにすぎないものであって、自他役務を識別するための標識とは認識し得ないものと判断するのが相当である。
(3)この点について、請求人は、「情報の内容(コンテンツ)を作る人、情報の内容(コンテンツ)を作ること」という意味合いで実際に取引において「ザ コンテンツメーカー」が使用されている事実はなく、「情報の内容(コンテンツ)を作る人、情報の内容(コンテンツ)を作ること」といっても、直接どのような品質を表すのかは不明であって、本願商標は、あくまでも暗示的なものであり、取引者・需要者はそれによって具体的に何らかの品質を認識するものではないこと、また、本願商標を英文表記した「The Content Maker」の商標は、平成14年9月27日に登録されている事実があり、更に、「コンテンツ・プランナー」(第42類)等の登録例も有る旨主張している。
しかしながら、商標法第3条第1項各号列挙のいわゆる自他商品又は役務の識別機能を有しない商標について商標登録できないこととするのは、「これらは通常、商品又は役務を流通過程又は取引過程に置く場合に必要な表示であるから何人も使用をする必要があり、かつ、何人もその使用を欲するものだから一私人に独占を認めることは妥当でないこと、また、多くの場合にすでに一般的に使用されているものであるから、これらのものに自他商品又は役務の識別力を認めることができないこと」と解される(社団法人発明協会発行 特許庁編「工業所有権法逐条解説(第16版)」参照)。
そうすると、「コンテンツメーカー」の語に「ザ」を付加した「ザ コンテンツメーカー」の語が一般に使用されている事実がないとしても、上記のとおり、「コンテンツメーカー」の語は、既に一般的に使用されているものであり、これに「ザ」の文字を付加しても、「情報の内容(コンテンツ)を作る人」の如き意味合い以外の格別の一定の意味合いを理解・認識させるものとは認められないから、上記した観点からみても、一私人に「ザ コンテンツメーカー」の文字からなる標章の独占を認めるのは妥当でないものというべきである。
また、請求人は、登録例を挙げて主張しているが、そもそも、商標の識別性の判断は、各商標につき、それぞれの構成態様や取引の実情等をも勘案し、個別具体的に判断されるべき性質のものであるばかりでなく、請求人の主張している登録例をもって本件の判断が拘束されるものでもないから、請求人の主張は、いずれも採用することができない。
(4)結 論
したがって、本願商標は、その指定役務中の「テレビジョン放送をはじめとする放送、気象情報の提供、求人情報の提供、医療情報の提供」等の役務に使用しても、需要者が何人かの業務に係る役務であることを認識することができないものであるから、商標法第3条第1項第6号に該当するとして、その出願を拒絶した原査定は、妥当であって取り消すことはできない。
よって、結論のとおり審決する。
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