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Trademark Appeal Case

称呼・観念の類似性

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号無効2004−35150(T2004−35150/J3)
審判種別無効
結論勝訴(請求認容)

結論テキスト

登録第4529881号の指定商品中「紙類,文房具類」についての登録を無効とする。
審判費用は、被請求人の負担とする。

理由テキスト

1 本件商標

本件登録第4529881号商標(以下「本件商標」という。)は、「シェード」の文字(標準文字)を書してなり、平成12年12月15日に登録出願、第16類「紙類,紙製包装用容器,印刷物,書画,写真,写真立て,文房具類,事務用又は家庭用ののり及び接着剤,青写真複写機,あて名印刷機,印刷用インテル,印字用インクリボン,活字,こんにゃく版複写機,自動印紙はり付け機,事務用電動式ホッチキス,事務用封かん機,消印機,製図用具,装飾塗工用ブラシ,タイプライター,チェックライター,謄写版,凸版複写機,文書細断機,封ろう,マーキング用孔開型板,郵便料金計器,輪転謄写機」を指定商品として、平成13年12月14日に設定登録されたものである。

2 引用商標

請求人が、本件商標の登録無効の理由に引用する登録第2476633号商標(以下「引用商標」という。)は、別掲に示すとおり「SHADE’S」の文字を横書きしてなり、平成2年7月16日に登録出願、第25類「紙類、文房具類」を指定商品として、平成4年11月30日に設定登録、その後、その商標権は、平成14年11月30日に存続期間満了により消滅し、平成15年8月20日に抹消の登録がされているものである。

3 請求人の主張

請求人は、結論同旨の審決を求め、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として、甲第1号証ないし甲第4号証(枝番号を含む。)を提出した。

本件商標は、その指定商品中の「紙類、文房具類」につき、本件商標の査定時において、請求人の所有していた引用商標と同一又は類似であるから、商標法第4条第1項第11号に該当し、同法第46条第1項の規定により無効とされるべきものである。

(1)本件商標と引用商標との類否について

本件商標は、「シェード」の片仮名文字を横書してなるものであるから、「シェード」の称呼を生じ、また、「陰」等の観念を生ずるものである。

他方、引用商標中の「’S」は、英文字を用いる際、日常的に使用される「の」といった程度の意味合いを発するにすぎないものであり、「’S」を付すことによって、当該「’S」が付された語の意味が大きく変化するわけではない。すなわち、「Shade」に「’S」を付したとしても、当該語である「SHADE’S」からは、「陰」等の意味合いをも発すると解するのが至当である。してみると、本件商標と引用商標とは観念上明らかに類似するものである。

また、本件商標から生ずる「シェード」の称呼と、引用商標から生ずる「シェーズ」の称呼は、それぞれ語尾が「ド」、「ズ」であるが、全体から見れば、僅か1字の差であり、しかも、相違する音の子音がともにダ行(「ズ」は当然ザ行であるが、「ズ」と「ヅ」は同音であるため、音のみを考慮する場合は、ダ行ともいえる。)に属し、その母音が近似(口の開き方と舌の位置の比較から、母音オはウに近似する)していることから、両称呼は、近似、すなわち、本件商標と引用商標は、称呼においても類似する。

以上の点より、本件商標と引用商標とは、称呼及び観念の点において、類似する商標と解される。

そして、本件商標に係る指定商品中の「紙類、文房具類」と引用商標の指定商品旧第25類「紙類、文房具類」とは、同一又は類似の商品である。

以上のとおり、本件商標は、引用商標と類似する商標であり、その指定商品中の「紙類、文房具類」は、引用商標の指定商品と同一又は類似である。

よって、本件商標は、商標法第4条第1項第11条に違反にして登録されたものであるから、同法第46条第1項の規定により、その指定商品中「紙類、文房具類」についての登録を無効とすべきである。

(2)商標法第4条第1項第11号にいう当該商標登録出願の日前の商標登録出願に係る他人の登録商標について

引用商標は、現時点では既に商標権存続期間満了により消滅しているが、本件商標の査定時には適法に存していたので、商標法第4条第1項第11号にいう当該商標登録出願の日前の商標登録出願に係る他人の登録商標として引用し得るものである。

(3)まとめ

上述したとおり、本件商標は、その指定商品「紙類、文房具類」に関する限り、引用商標と同一又は類似であるので、商標法第4条第1項第11号に違反して登録されたものである。

したがって、その指定商品中「紙類、文房具類」についての登録は、同法第46条第1項の規定により無効とされるべきである。

4 被請求人の答弁

被請求人は、本件審判請求は成り立たない、審判費用は請求人の負担とするとの審決を求めると答弁し、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として、乙第1号証及び乙第2号証を提出した。

(1)本件商標は、片仮名文字で「シェード」と表されてなり、また、該文字を表音文字とする「SHADE」なる英単語は、現代の英語教育の事情をかんがみても、学習者が早期に習得する英単語ではなく、該英単語が広く知られているとはいい難いことからすると、本件商標に接する取引者・需要者は、「シェード」なる片仮名文字から直ちに英単語「SHADE」を認識し、その英単語の有する「陰」等の意味合いを看取するとは考えられないものである。

また、引用商標は、その構成中に「’S」の文字を有するものであるが、該文字が英文法における所有格を表す文字であると認識される場合であっても、この所有格の用法としては、生類名詞、特に、人に関して用いられるものが原則であり、かつ、「’S」は、その後に、名詞等の一定の語を伴うことが多いことからすると、引用商標中の「SHADE」の文字から直ちに「陰」等の意味を有する「SHADE」なる英単語が認識されるとは考えられないものである。

このような状況、さらには、第16類の本件指定商品との関係において、「陰」等の意味が容易に想起し得るとする特段の事情が存在しないことをも考慮すると、引用商標中の「SHADE」の文字から「陰」等を意味する英単語の「SHADE」が想起されるとは考えられず、むしろ、引用商標は、その構成中に「’S」を付すことにより、視覚上強い印象を与える態様で表された商標であり、特定の観念を有しない一種の造語であると考えるのが相当である。

以上詳述したように、本件商標からは、その構成上、直ちに「陰」等の観念が看取されることはなく、また、引用商標からは、特定の観念が生じないと考えられることから、本件商標と引用商標とは、観念上類似しない商標であることは明らかである。

(2)このように、本件商標は、引用商標と観念上類似しない商標であると考えられるが、次に、両者の類否を称呼の観点から検討することとする。

これに関し、請求人は、本件商標から生じる「シェード」の称呼と引用商標から生じる「シェーズ」の称呼とは、語尾において、「ド」と「ズ」の音が相違し、これは全体からみれば、僅か一音の差である点を強調し、また、このような一音の差の場合には、特許庁商標課編・商標審査基準第4条第1項第11号の項に記載されている判断法則に照らせば、相違する音の子音がともにダ行に属し、その母音が近似していることから、両商標は、称呼上においても類似する旨主張する。

しかしながら、本件商標から生じる称呼「シェード」と引用商標から生じ得る称呼「シェーズ」は、ともに3音という短い音数から構成されてなり、このような短い称呼にあっては、一音一音が明確に聴取されることにかんがみると、「ド」と「ズ」の音の差異は、僅か1音の差異として考えられるべきものではなく、むしろ、一音一音が明確に聴取される三つの音のうちの一つの音が顕著に相違すると考えられるべきものである。

また、差異音である「ド」と「ズ」の音を考察すると、「ド」の音は、舌先を上歯茎に接触させて離すと同時に発する破裂音(d)と母音(o)の結合であるのに対し、「ズ」の音は、舌先を下歯茎に接触させた上下の歯の間から発する摩擦音(z)と母音(u)との結合であって、調音位置、調音方法を異にし、両音は、明確に聴別し得るものである。

上述の状況及び差異音である「ド」と「ズ」の音が、いずれも濁音であって強く発音される音であることをも考慮すると、両音は、相紛れるおそれはなく、商標全体からみて、僅かな音の差といえども、「ド」と「ズ」の音の差異が両商標の称呼全体に及ぼす影響は、極めて大きいものといえる。

また、請求人が参照している上記特許庁商標課編・商標審査基準の第4条第1項第11号の項の判断法則に関しては、相違する音の子音が共通又は近似する例として、「1音の相違にあって(i)相違する音の子音がともに50音図の同行に属しその母音が近似(例えば、口の開き方と舌の位置の比較から、母音オはアとウに近似する。)するとき。」と記載されているが、同審査基準においては、括弧書き中において、「ただし、相違する音の位置、音調、全体の音数の多少によって異なることがある。」とただし書が付されている。

そこで、上記判断法則に照らして、本件商標と引用商標との差異音である「ド」と「ズ」の音を考察すると、請求人も指摘しているとおり、「ド」の音は、ダ行であるのに対し、「ズ」の音は、ザ行に属するものであるが、音のみを考慮する場合であっても、上述したように、両音は、明らかに音質を異にするものであることからすると、相違する子音は、ともに「ダ行」に属するとはいえず、ゆえに、50音図の同行に属すものではないといえる。

また、相違する音が末尾に位置するとしても、その音質が明らかに異なり、全体として、3音という短い音数の中で1音が相違することをも考慮すると、両音は、明瞭に区別し得ると考えられるものである。

上述の諸点からすると、上記特許庁商標課編・商標審査基準の第4条第1項第11号の項の判断法則に照らしても、本件商標は、引用商標と称呼上類似する商標であるとはいえないものと考える。

そこで、以上の諸点を総合的に勘案して、本件商標から生じる称呼「シェード」と引用商標から生じる称呼「シェーズ」とを対比すると、両者を一気一連に称呼した場合には、両者は、全体の語調・語感を異にし、称呼上相紛れるおそれはないと考えられてしかるべきものである。

(3)さらに、本件商標は、「シェ−ド」なる片仮名文字で表されてなり、引用商標は、「SHADE’S」なる欧文字で表されてなるものであるが、両者が文字の種類を異にし、それぞれ異なった印象を与えると考えられることからすると、本件商標と引用商標とは、外観上においても、相紛れるおそれはないと考えられるべきものである。

(4)上述の諸点を勘案すると、本件商標と引用商標とは、称呼、観念、外観のいずれにおいても類似しないことから、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に違反して登録されたものではなく、同法第46条第1項の規定により無効にされるべき商標ではないことが明らかである。

(5)引用商標は、平成14年11月30日をもって、該商標権の存続期間満了により消滅しており、審判請求時である平成16年3月19日の時点で既に1年半弱が経過しているものであるが、「工業所有権法逐条解説」(発明協会発行・特許庁編)の商標法第46条の解説部分の参考の項において、「(商標法)第4条第1項第13号中の規定に違反して商標登録がされ、その後、同号違反を理由として無効審判の請求があったが、その時には、既に商標登録が効力を失った日から1年を経過してしまっている場合の取扱いはどうかという問題があるが、この場合には、瑕疵が治癒したと考えて審判の請求はできないと解釈される。」と記載されていることをかんがみると、商標法第4条第1項第11号の適用に際しても、このような法理が適用されるとするのが妥当である。

したがって、前述のように、本件商標と引用商標とは類似しないものであるが、既に存続期間の満了により消滅している商標を引用商標とすることの適法性という点にかんがみると、両者の類否判断を待つまでもなく、本件商標は、請求人の主張する引用商標をもって無効にされる商標ではないと考えられるものである。

(6)いずれにしても、本件商標は、引用商標との関係において、商標法第4条第1項第11号に違反して登録されたものではなく、同法第46条第1項の規定により、その指定商品中「紙類,文房具類」について登録が無効にされるものではないので、答弁の趣旨のとおりの審決を求める次第である。

5 当審の判断

(1)本件商標と引用商標の類否について

本件商標は、上記のとおり、「シェード」の文字を書してなり、一方、引用商標は、別掲に示すとおり、「SHADE’S」の文字を書してなるところ、引用商標に接する取引者、需要者は、これから「SHADEの」という意味合いを直ちに理解し、ひいては、引用商標が使用される商品との関係において、それが「SHADE」という商標により販売等される商品の一つであると認識する場合が多いものと認められる。

そうすると、引用商標は、その構成中の「SHADE」の文字部分が主要な自他商品識別標識として認識され、独立して自他商品識別機能を果たすものということができる。

そして、本件商標は、「シェード」と称呼されものであることは明らかであり、引用商標の独立して自他商品識別機能を果たす「SHADE」の文字部分もまた、「シェ−ド」と称呼されるものと認められるから、その称呼においては同一である。また、欧文字表記とその片仮名表記は、互換して使用されることが少なくないことからすると、「シェード」と「SHADE」とは、同一の観念を生じさせる文字ということができる。

したがって、本件商標と引用商標とは、同一の称呼及び観念を生ずる場合のある類似の商標といわなければならない。

(2)指定商品について

本件商標の指定商品中の「紙類,文房具類」は、引用商標の指定商品「紙類、文房具類」と同一又は類似の商品と認められる。

(3)商標権が消滅した引用商標を無効理由に引用することに対する被請求人の主張について

被請求人は、「工業所有権法逐条解説」(発明協会発行・特許庁編)の商標法第46条の解説部分の参考の項に記載されている商標法第4条第1項第13号に関する審判請求についての解釈を示して、商標法第4条第1項第11号に関する審判請求についても、このような法理が適用されるべきであるとの主張をする。

しかし、前記「工業所有権法逐条解説」の商標法第46条の解説部分の商標法第4条第1項第11号に関する審判請求については、そのような解釈をすべき記載がないことからすれば、通常のとおり、査定又は審決の時に無効理由が存在した場合は、無効審判請求が可能との見解と考えられる。

そして、被請求人は、他に、既に存続期間の満了により消滅している商標を引用して無効審判請求をすることが具体的に、どのような理由で適法性に欠けるかについて示すところがないから、この点についての被請求人の主張は採用できない。

また、引用商標は、上記のとおり、平成14年11月30日に商標権存続期間満了により、その商標権が消滅したものであるが、本件商標について、登録査定がされた時及び本件商標が設定登録された時には、商標登録がされていて有効に存続していたものである。

(4)結び

したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に違反して登録されたものであるから、商標法第46条第1項の規定に基づき、本件審判請求に係る指定商品「紙類,文房具類」についての商標登録を無効とすべきである。

よって、結論のとおり審決する。

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