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Trademark Appeal Case

複合商標の要部と称呼の類否

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号無効2004−89035(T2004−89035/J3)
審判種別無効
結論勝訴(請求認容)

結論テキスト

登録第4716930号の登録を無効とする。
審判費用は被請求人の負担とする。

理由テキスト

第1 本件商標登録の無効の審判

1 本件商標

本件商標登録の無効の審判に係る、登録第4716930号商標(以下「本件商標」という。)は、「ホワイトイブ」の片仮名文字を上段に、「WHITEIBU」の欧文字を下段に、それぞれ横書きしてなり、平成15年2月6日に登録出願、第5類「薬剤」を指定商品として、平成15年8月27日に登録査定、同年10月10日に設定登録されたものである。

2 本件商標登録の無効の審判

本件商標登録の無効の審判は、本件商標が商標法4条1項15号に違反して登録されたものであるとして、同法46条1項により本件商標の登録を無効にすることを請求するものである。

第2 請求人が本件商標の無効の理由に引用する登録商標

請求人が本件商標の無効の理由に引用する登録第1598640号商標(以下「引用商標1」という。)は、「イブ」の片仮名文字と「EVE」の欧文字を上下二段に横書きしてなり、昭和55年8月4日に登録出願、第1類「化学品、薬剤、医療補助品」を指定商品として、昭和58年6月30に設定登録されたものである。同じく、登録第3065022号商標(以下「引用商標2」という。)は、「イブ」の片仮名文字を横書きしてなり、平成4年12月4日に登録出願、第5類「薬剤,歯科用材料,医療用油紙,衛生マスク,オブラ―ト,ガ―ゼ,カプセル,眼帯,耳帯,生理帯,生理用タンポン,生理用ナプキン,生理用パンティ,脱脂綿,ばんそうこう,包帯,包帯液」を指定商品として、平成7年7月31に設定登録されたものである。同じく、登録第3065023号商標(以下「引用商標3」という。)は、「EVE」の欧文字を横書きしてなり、平成4年12月4日に登録出願、第5類「薬剤,歯科用材料,医療用油紙,衛生マスク,オブラ―ト,ガ―ゼ,カプセル,眼帯,耳帯,生理帯,生理用タンポン,生理用ナプキン,生理用パンティ,脱脂綿,ばんそうこう,包帯,包帯液」を指定商品として、平成7年7月31に設定登録されたものである。

第3 請求人の主張

請求人は、結論同旨の審決を求め、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として、甲第1号証ないし同第15号証(枝番を含む。)及び資料1を提出した。

1 本件商標は、「ホワイト」「WHITE」の語と「イブ」「IBU」の語とを同大一連にしてなるため、一連の称呼「ホワイトイブ」が生じると考えられる。

しかしながら、「ホワイト」「WHITE」の語は色彩を表す言葉であり、何人も「ホワイト/WHITE」の語自体を商標として登録し、あるいはこれを独占的に使用できるものでないことは明らかである。事実、薬剤や化粧品等の分野においても「WHITE」「ホワイト」の語は記述的な意味(すなわち、商標的な識別標識としてではなく)で使用されていることが多い。従って、本件商標が「ホワイトイブ」「WHITEIBU」と一連に構成されていたとしても、商標的な識別力を発揮する部分は「IBU」「イブ」の部分であることは明らかであり、取引者、需要者にとって識別標識として認識する部分は「IBU」「イブ」にあることは明らかでる。

上記事情に加え、請求人が引用する各登録商標(甲第2号証ないし同第4号証。以下「引用各商標」という。)は、請求人が「薬剤」について長年使用してきた著名商標「イブ」、「EVE」であり、これら著名商標の存在を合わせ考えると、本件商標は請求人の著名商標との間で混同を生じさせる恐れがある商標である。

引用各商標は、請求人により、「鎮痛・熱剤」について、昭和60年(1985年)12月に販売開始がされて以来(甲第9証の1及び同号証の2)、需要者より好評を得、今日においては同業他社により多数販売されている「鎮痛・解熱剤」の中でも日本のトップ4番に入る商品となっている(甲第10号証)。

2 引用各商標の使用実績と使用態様

(1)請求人が引用各商標を用いて販売する鎮痛・解熱剤「EVE」「イブ」は、商品パンフレット(甲第11号証)に示す通りである。

(2)請求人が昭和60年12月に商標「イブ」、「EVE」を用いた「鎮痛・解熱剤」の販売を開始して以来、2002年現在におけるシェアは11.5%で、かかる商品の年商は2002年度で約57億円(小売価格ベース)に上っている(甲第10号証)。

(3)「イブ」、「EVE」の宣伝に費やす広告費用は、平成10年度...1億円、平成11年度...7300万円、平成12年度...1億2500万円、平成13年度...1億100万円、平成14年度...5500万円、平成15年度...5400万円である(甲第12号証)。

(4)請求人は「風邪薬」に関して「エスタツクイブ」「S.TAC EVE」を用いているが(甲第13号証及び同第14号証)、これも数多い風邪薬の中において最も人気ある商品の一つとして知られていることは誰もが認めるところである。従って、風邪薬について単に「イブ」といえば請求人の風邪薬を指すものとして認識されており、薬局等で「イブ」を下さいと言えば、何らの説明も要せず、直ちに請求人の「鎮痛・解熱剤」としての「イブ」、「EVE」、あるいは風邪薬の「エスタックイブ」「S.TAC EVE」を示すものとして理解される状況となっている。

従って、「薬剤」関係について「イブ」と言えば、取引者、需要者は請求人の商標、商品を直ちに連想するものであり、本件商標のような商標としての要部が「イブ」「IBU」にあると解される商標が「薬剤」に使用されるときは、あたかも、請求人の商品であるか、あるいは請求人と何らかの業務上の関連を有する者により提供される商品であるかのごとく誤認、混同を生じることは明らかである。

3 特許庁における著名商標の認定

請求人は過去において「イブ」の語を含む商標登録に対し異議申立をしたが、かかる異議申立につき、請求人の商標「イブ」「EVE」は「解熱鎮痛剤」に関し著名であることを認定し、登録を取り消した事案があり、本件においても参照されるべきである(甲第15号証)。

4 最高裁判決、高裁判決にみる混同のおそれの認定

(1)最高裁は、平成10年(行ヒ)第85号に関する判決(資料1)にて、商標法4条1項15号にいう「混同のおそれ」の解釈について判示している。

この判決の趣旨は、他人の著名な商標を商品、役務等(以下、「商品等」と云う)に使用した場合に、その著名な商標権者の商品等との間で現実に混同が生じるおそれがある場合(狭義の混同)のみならず、著名商標の商標権者との間に何らかの営業上の関係(親子関係であるとか関連企業であるとか)があるかのように誤信されるおそれがある場合(広義の混同)も含むというものである。

(2)これを本件について見てみると、請求人の「イブ」「EVE」は薬剤に関してすでに著名商標となっているが、本件商標も「薬剤」を指定商品とするものであるから、これが「鎮痛・解熱剤」について使用されるときは請求人の商品等との間に誤認混同が生じるおそれが強い(狭義の混同)ことは当然であり、上記以外の「薬剤」あるいは薬剤以外の医療補助品等の関連ある分野にて使用される場合であっても、最高裁判決に示されるように何らかの営業上の関係があるかのごとく誤信されるおそれ(広義の混同)があるものと言わなければならない。

5 従って、本件商標は、商標法4条1項15号に該当するものであり、商標法46条1項に基づき無効とされなければならない。

第4 被請求人の答弁

被請求人は、本件審判請求は成立たない、審判費用は請求人の負担とする、との審決を求める、と答弁し、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として、乙第1号証ないし同第8号証を提出した。

1 本件商標は、「ホワイトイブ」と「WHITEIBU」を同書同大かつ一連一体に二段に併記してなるものであるため、「ホワイト」と「イブ」及び、「WHITE」と「IBU」に分断される必然性がなく、あくまでも本件商標から生じる称呼は全体称呼の「ホワイトイブ」のみである。

また、仮に「ホワイト」という語と「イブ」という語の合成語であると認識されることがあったとしても、薬剤等の分野においては商品の性質上、商品の色彩表示として使用されることはなく、「ホワイト」「WHITE」の部分も識別標識の役割を果たすものである。事実、薬剤等の分野において、「ホワイト」または「WHITE」が自他商品識別力を持つ部分であると判断されたことを示す先例が多数存在している。同一の指定商品(薬剤)を含んでいるにも拘わらず、商標の構成に関して「ホワイト」「WHITE」の有無の差異あるいは、「ホワイト」「WHITE」と「グリーン」「GREEN」という差異しかない2つ以上の商標が、異なる商標権者によって多数並存登録されている(乙第1号証)。

本件商標が「ホワイト」と「イブ」及び「WHITE」と「IBU」に分断される必然性は全くないが、万一本件商標が「ホワイト」「WHITE」という語と「イブ」「IBU」という話の合成語であるとの認識をされることがあったとしても、「ホワイト」「WHITE」の部分も商品の色彩表示として認識されるのではなく、識別標識の役割を果たすものであり、「ホワイトイブ」「WHITEIBU」全体が識別標識となるものである。それゆえ、本件商標から「イブ」または「IBU」のみを取り出して標識として認識されることはなく、請求人の引用各商標のいずれとも類似しないのは明白である。

2 甲第15号証の異議決定の中で、「イブ」及び「EVE」の文字からなる引用商標1は、「申立人が解熱鎮痛剤に使用する商標として取引者、需要者の間に広く認識され著名性を獲得していたものと認められる。」と判断しているので、引用商標1が著名商標であるということには被請求人としても異論がない。

しかしながら、本件商標「ホワイトイブ」「WHITEIBU」と請求人の引用各商標「イブ」「EVE」を比較した場合、本件商標の英文字部分には引用各商標の「EVE」が含まれていないことは一目瞭然である。従って、本件商標は、その商標構成中に著名商標「イブ」「EVE」を含むとはいえないから、引用商標1が周知・著名商標であるからといって、本件商標が「周知・著名商標と他の文字または図形と結合している商標である」とはいえないのであり、現行の周知・著名商標の保護等に関する審査基準の「周知・著名商標と他の文字または図形と結合している商標は、原則として、拒絶される」との対象には当たらない。

請求人の引用各商標に関して確認すべき重要点は、著名商標はあくまでも「イブ」及び「EVE」の両方からなる商標であり、「イブ」というカタカナ文字のみからなる商標や「EVE」という英文字のみからなる商標ではないという事実である。甲第11号証を見てもわかる通り、請求人の商品パッケージには、英文字表記の「EVE」が大きく印刷されていると共に、「イブA錠」という表記が同時に使用されている。従って、引用商標1は著名であるといえるが、カタカナ表記のみからなる引用商標2及び英文字表記のみからなる引用商標3までもが、著名商標であるという事実はない。

次に、引用商標1と商標「イブ」及び「EVE」との使用における同一性について検討することにより、たとえ引用商標1が著名商標であっても、商標「イブ」及び「EVE」が著名商標とはいえないということを論じたい。

登録商標の使用の認定において、登録商標が二段書きであるケースでは、上下の商標の観念が異なる場合及び上下の商標の称呼が異なる場合には、一方の商標の使用のみでは登録商標の使用と認められない。請求人の引用商標1の場合、「イブ」というカタカナ部分からは、「EVE」に相当する観念の「祭日などの前夜」という意味や「神が創造した最初の女性であるイブ」という意味のほかに、「evening(夕方)」の略語の「eve.」や、「lbidem.(同じ箇所にという意味)」の略語の「lb.」、女子の名前の「lsabel」又は「lsabella」の愛称の「lb」等、「EVE」という綴りの英語に対応しない他の観念をも生じる(乙第2号証)。

それゆえ、カタカナ表記部分「イブ」と英文字表記部分「EVE」は称呼も観念も同一とはいえない。従って、使用の認定においては、「イブ」あるいは「EVE」のどちらか一方を使用していたとしても、請求人の引用商標1の使用とは認められない。この事実は、引用商標1の使用と、カタカナ文字のみから成る商標「イブ」や英文字のみからなる商標「EVE」の使用を同一視してはいけないということを示すものである。そして、このことは、「イブ」と「EVE」が同時に使用されてきたために引用商標1が著名であっても、カタカナ表記のみからなる引用商標2及び英文字表記のみからなる引用商標3までもが著名商標であるとはいえないということの論拠になるものである。

なお、本件商標は、その商標構成中に「EVE」の文字は含まないので、引用商標3が著名であるか否かは重要でないが、本件商標はカタカナ部分に「イブ」の文字を含むので、引用商標2が著名であると認められると、本件商標が著名商標と他の文字または図形と結合している商標とみなされる可能性がでてくるため、引用商標2が著名商標か否かは被請求人にとって重大な問題である。そこで、さらに、引用商標2が著名商標ではないという点に関して補足する。

勿論、請求人の著名商標の引用商標1から、「イブ」という称呼を生じることについては当然認める。しかしながら、「イブ」という語が二音というごく短い構成であるという事実及び「イブ」という語が「IBUPROFEN」(イブプロフエン)の「IBU」「イブ」に通じる語であるということが医薬品業界では常識であり、「イブ」「IBU」を語頭または語尾に含む商標を採用する医薬品メーカーが多い事実を勘案すれば、引用商標1が著名であるからといって、カタ力ナ表記のみからなる商標「イブ」も著名商標であるとの主張は妥当とはいえない。

実際、乙第3号証及び同第4号証に示す通り、薬剤を指定商品に含む商標で、「イブ」という語を語尾に含む登録商標は133件、「イブ」という語を語頭に含む登録商標は51件存在している。周知・著名商標の保護等に関する審査基準の改正により、現在では「周知・著名商標と他の文字または図形と結合している商標は、原則として、拒絶される」こととなっている。これらの133件及び51件の商標の中には、引用商標1よりも先に登録された商標も含まれているし、引用商標1が著名になる前に出願された商標や、意味を持つ単語の一部に「イブ」を含むものも含まれているので、すべてが拒絶されるはずであった商標だと主張するつもりはないが、カタカナ表記のみから成る商標「イブ」も著名商標であるとのことであれば、「イブ」と出所混同を引き起こす可能性がある商標が多数登録されていることになってしまう。

甲第15号証の異議決定の取消理由の中の記述によれば、少なくとも平成12年8月1日には、引用商1は著名商標であったわけである。

にもかかわらず、指定商品中に薬剤を含むもので平成12年8月1日以後に出願された商標に限定しても、商標構成中に「イブ」を含む登録商標(請求人以外のもの)は多数存在している(乙第5号証)。この事実は、引用商標1が著名商標だからと言って、「イブ」というカタカナのみを含む商標までも拒絶するべきではないということであろう。

なお、特許電子図書館に「日本国周知・著名商標検索」として掲載されている商標中に、引用商標1ないし引用商標3は、いずれにも掲載されていない(乙第6号証及び同第7号証)。

異議決定の中で著名であると認められた以上、引用商標1が著名商標であるということについては争うつもりはないが、「イブ」という語が2音というごく短い構成であり、しかも「イブ」という語が医薬品業界において商標の構成要素として広く使用されている現状を考慮すれば、引用商標1が著名であるという事実をもって、「イブ」というカタ力ナ文字のみからなる商標までもが著名商標であると認定し、「イブ」を商標の構成中に含むというだけで、引用商標1と類似と判断して出願を拒絶し、登緑を取り消すというのは、あまりに行き過ぎである。

上述の通り、請求人の著名商標は引用商標1のみである。そして、本件商標は、その著名商標と他の文字または図形と結合している商標とはいえないので、著名商標の引用商標1を商標構成中に含むとの理由で拒絶されることはありえない。従って、本件商標から生じる称呼は「ホワイトイブ」という全体称呼のみであるため、引用商標1とは明らかに非類似である。

また、本件商標から生じる称呼は「ホワイトイブ」のみであるから、請求人の引用する、引用商標2及び引用商標3のいずれとも類似しないのは明白である。

従って、本件商標は、引用各商標のいずれとも類似せず、請求人の商品であるかのごとく誤認、混同を生じる恐れはない。

第5 当審の判断

1 請求人の提出に係る、甲第9号証ないし同第12号証(枝番を含む。)に徴すれば、下記の事実が認められる。

(1)甲第9証の1及び同号証の2(「薬事日報」)によれば、請求人は、「EVE」の欧文字よりなる商標、「イブ」の片仮名文字よりなる商標、及び「EVE」の文字を大書し「V」の文字の下部に小さく「イブ」の文字を書した構成よりなる商標を「解熱鎮痛剤」に使用して、昭和60年(1985年)12月に販売を開始したことが認められる。

(2)甲第10号証(薬効別上位銘柄の販売状況)によれば、請求人が販売する「解熱鎮痛剤」(イブ)の、本件商標の登録出願前である2000年度ないし2002年度における販売額は、約57億円前後を維持し、そのシェアは約12%であり、各メーカーの「解熱鎮痛剤」の売上順位中第4位にランクされ続けていることが認められる。

(3)甲第11号証(商品カタログ)によれば、請求人は、「解熱鎮痛剤」に「イブA錠」の文字よりなる商標(以下「請求人使用商標」という。)、「EVEATABLETS(各文字の大きさは均一ではない)」の文字よりなる商標を使用していることが認められる。

2 そこで、以下、本件商標が商標法4条1項15号に違反して登録されたものであるか否かについて検討する。

(1)「イブ」の文字の周知・著名性について

請求人が「解熱鎮痛剤」に使用している商標は、甲第9号証ないし同11号証(枝番を含む。)によれば、「EVE」、「イブ」との構成の商標、「イブA錠」の文字よりなる請求人使用商標等の各商標を使用してきていることが認められる。

しかるところ、甲第9号証(枝番を含む。)は、昭和60年12月の「薬事日報」の写しであるが、これ以降に「イブ」の商標が継続して使用されていることを示す証拠の提出はなく、昭和60年12月以降「イブ」の文字よりなる商標が使用されてきたことは推認し得るものの、この号証のみをもってしては、「イブ」の商標が使用された結果、周知・著名となっているとはいい得ないものである。

他方、甲第11号証の3葉目の下部には、「●イブA錠の確かな効きめと安全性 市販後調査結果」との見出し部があり、この下部に「イブA錠は、1990年9月の発売以来・・・」との記載がされていることが認められる。

これによれば、請求人は、1990年9月以降「解熱鎮痛剤」に請求人使用商標を継続して使用してきていると推認し得るものである。

そして、請求人使用商標についてみるに、構成中の「A」の文字部分は、商品の記号・符号ないしは「イブ」の商標を基幹とする関連商品であることを示す表示等であって、また、「錠」の文字部分は、その商品が錠剤であることを示す品質を表示したものといえることから、請求人使用商標の要部は、「イブ」の文字にあると認識、看取されるといえるものである。

そうとすれば、請求人の取り扱いに係る商品「解熱鎮痛剤」は、「イブ」の文字部分をもって、取引に資されてきたとみて差し支えないといえるものである。このことは、件外「株式会社インテージ マーケテイング情報事業部」発行に係る「2002年度 SDIアニュアルレポート」(甲第10号証)において、「解熱鎮痛剤」の順位表には「イブ」と記載されている一方、その右欄の「主要メーカー手持ち商品一覧」には「【エスエス製薬】イブ(A錠)」と記載されていることからも相当といえるところである。

そして、甲第10号証に示される販売金額とシェア、及び、甲第12号証に示された平成10年度以降平成15年度にかけての広告宣伝等の取引の実情を踏まえて総合的に勘案して検討すれば、請求人使用商標は、1990年9月以降に使用が開始され、本件商標の登録出願時を経て登録査定時に至るまで継続して使用された結果、遅くとも本件商標の登録出願時である平成15年当初には、取引者、需要者間において、請求人の取り扱いに係る商品「解熱鎮痛剤」に使用する商標として広く認識され著名性を獲得し、これが現在も継続しているということができるものである。また、その結果、請求人使用商標中の要部である「イブ」の文字部分、すなわち引用商標2についても、周知・著名な商標となっていたとみても差し支えないといい得るものである。

(2)出所の混同について

本件商標の構成は、前記したように、「ホワイトイブ」「WHITEIBU」の文字よりなるところ、前半部に位置する「ホワイト」(WHITE)の文字は、色彩の「白色」を意味する語として親しまれ一般に使用されている文字(語)であるから、本件商標は、取引者、需要者をして、容易に「ホワイト」と「イブ」及び「WHITE」と「IBU」の文字を結合してなるものと理解、看取されると見るのが相当である。

そうしてみると、本件商標の指定商品は、請求人の使用する商品「解熱鎮痛剤」と同一又は類似の商品に使用するものであり、請求人使用商標及び引用商標2の周知・著名性を勘案すれば、本件商標をその指定商品に使用する場合は、取引者、需要者をして、本件商標を構成する「イブ」の文字に着目し、請求人使用商標ないしは引用商標2を連想、想起し、その商品が請求人又は同人と関係のある者の取り扱いに係るものであるかの如く、商品の出所について誤認・混同を生ずるおそれがあるというべきである。

この点について、被請求人は、カタ力ナ表記のみからなる商標「イブ」も著名商標であるとの被請求人の主張は妥当とはいえず、薬剤を指定商品に含む商標で、「イブ」という語を含む登録商標が多数登録され、平成12年8月1日以後に出願された商標に限定しても、商標構成中に「イブ」を含む登録商標は多数存在している、旨述べている。

しかしながら、本件は上記のように判断するのが相当であって、本件商標についての上記の認定、判断が、他の審査例、登録例に拘束されるものではない。

また、被請求人は、本件商標から生じる称呼は「ホワイトイブ」のみであるから、請求人の引用各商標のいずれとも類似せず、請求人の商品であるかのごとく誤認、混同を生じる恐れはないとも主張している。

本件商標と引用各商標が互いに類似しないことは、被請求人主張のとおりであるとしても、両商標が類似しないことをもって、本件商標が出所の混同を生じさせないとすることはできず、この点をいう被請求人の主張は採用することができない。

(3)結び

したがって、本件商標は、商標法4条1項15号に違反して登録されたものであるから、商標法46条1項の規定により、その登録を無効とすべきである。

よって、結論のとおり審決する。

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