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Trademark Appeal Case

記号と略語の結合商標の識別力

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号不服2002−5882(T2002−5882/J1)
審判種別不服
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

本件審判の請求は、成り立たない。

理由テキスト

1 本願商標

本願商標は、「4D−CT」の文字を標準文字で表してなり、第10類「医療用機械器具」を指定商品として、平成12年11月28日に登録出願されたものである。

2 原査定の拒絶の理由

原査定は、「本願商標は、商品の品番・等級等を表示する符号・記号として、一般に使用されている数字、アルファベットの2文字『4D』と『コンピュータ断層撮影法』の意味合いの英語である『Computed Tomography』の略語である『CT』の文字を『−』で結んで、『4D−CT』と書してなるが、指定商品との関係では、これよりは、『コンピュータ断層撮影法に使用する4D型のX線診断用装置』程度の意味合いを容易に想起させ、これをその指定商品中、前記に照応する商品に使用しても、需要者が何人の業務に係る商品であるかを認識することができない。また、前記商品以外の商品に使用するときは、商品の品質について誤認を生じさせるおそれがある。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第6号及び同法第4条第1項第16号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。

3 請求人の主張

商品の品番・型名等を接頭辞として使用する場合は、商品又はメーカー名等の略号を用いるのが一般的であって、数字とアルファベットが組み合わされることは極めて稀であり、ハイフンの後に商品の形式、性能、種別等を表す場合は、数字のみ又は数字とアルファベットを組み合わせることが一般的である。

また、「4D」は、「3D」が「3次元」の意味合いで使用されていることと相俟って、「3Dの次の次元のCT」ないし「先進的なCT」とでもいうべき意味合いを想起させる用語でもあり、単なる記号・符号とはいえない。

さらに、「CT」なる文字は、「コンピュータ断層撮影法」の意味ばかりでなく、「電信・電報為替」の意味をも有するものである。

したがって、本願商標は、単なる記号・符号ではない「4D」と特定の意を有しない用語である「CT」とをハイフンをもって結合した商標であって、特定の意味合いを持たない造語商標というべきである。

仮に、「4D」が記号・符号であり、「CT」なる文字に「コンピュータ断層撮影法」の意味合いがあるとしても、一般人にも知られた「CT」の文字と「4D」とを組み合わせることにより、総称的な「CT」では言い表せない「三次元の次の次元のCT」ないし「何らか先進的なCT」の如き観念を想起させる自他商品識別力のある商標というべきである。

したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第6号及び同法第4条第1項第16号には該当しない商標である。

4 当審の判断

(1)本願商標は、前記のとおり、「4D−CT」の文字よりなるところ、その構成中の「CT」の文字部分は、本願商標の指定商品が「医療用機械器具」であることとの関係からみれば、「コンピュータ断層撮影法」の意味合いの英語である「Computed Tomography」の略語である「CT」を表したものと容易に認識し得るものであり、日常一般においても「CTスキャナ」等と呼ばれ、知られているものということができる。

また、「4D」の文字部分については、一般的には、商品の品番・等級等を表示する符号・記号として理解されるものではあるが、先進的な医療用機械器具との関係からいえば、「3D」が「3次元」の意味合いで使用されていることとも相俟って、空間の3次元に時間の要素を加えた4次元の意味合いを表したものともみられる語であり、この点については、請求人の主張を否定するものではない。

そして、これらのことは、新聞記事やインターネット情報にも多数掲載されており、例えば、以下の記事からも首肯し得るものである。

(a)「日本放射線技術学会雑誌 Vol.58 No.12 DECEMBER 2002」(http://www.nv-med.com/jsrt/contents/2002/58_12_j.html)には、放射線技術に関わる技術者や医師の論文が多数掲載されているところ、その中には、請求人の関連会社とも認められる株式会社東芝医用システム社の資料「256列検出器を搭載した4D−CTの開発」と題する論文も掲載されており、「4D−CTのシステムコンセプト」の項には、「4D(4−dimension:四次元)とは,立体の3D(3−dimension:三次元、X、Y、Z軸)に時間軸を加えることを意味している。方式としては、4D−CTは高速スキャンが可能なコーンビームCTであるが、従来から開発されているコーンビームCTと異なり、現在のマルチスライスCT同等な、時間分解能、密度分解能を実現したうえで、広範囲を1回転でカバーすることを目指している・・・」と記載されている。また、「脳神経外科領域における3D画像診断と治療応用」と題した論文には「3D−CTで後方よりアプローチする手術を予定して・・・」との記載や、「Synchronized Sampling Method(SSM)を利用した4D−MRI」と題した論文には「現在、magnetic resonance imaging(MRI)を利用した動態観察が多くの分野で利用されている。・・・この方法を利用した四次元(4D)MRIの発話器官への適用と有用性について述べる。・・・」と記載されている。

(b)化学工業日報社2000.4.4化学工業日報には「島津製作所は、新技術の導入により幅広いニーズに対応したCTスキャナーを開発、今月から新機種四モデルを発売した。・・・最新の各種3D画像処理・表示機能や血管のMIP画像上で指定した任意断面をリアルタイム表示し、狭窄や乖離像を表現する独自の臨床アプリケーションを備えている。また、管状臓器のフライスルー画像による仮想内視鏡アプリケーションの4D表示機能、マルチスライスCTシミュレーターの構築など幅広い拡張性も有する。・・・」と記載されている。

(c)「OH脳HomePage」(http://user.shikoku.ne.jp/tobrains/index.html)には「最近になって開発された特殊なCTスキャンでX線の細いビームを連続的にヘリカル(スパイラル)に出しながら撮影する。このヘリカルCTスキャンで検査すると3次元的な画像を得ることができる。さらに造影剤を併用すると3次元的な血管の画像(これを3DCTアンギオと呼びます)を得ることができる。・・・」と記載されている。

(2)上記した各種文献に記載されているこれらの用語についての使用の実情をも併せみれば、医療用機械器具の中でも、特に「CTスキャナー」の分野においては、「3D」の語は、3次元の意味を表し、「4D」の語は、3Dに時間軸を加えた4次元を意味する語として用いられており、「3D−CT」の語は、3次元での画像処理・表示機能を有するスキャナーを表す語として用いられていることを認めることができる。

そうとすれば、本願商標の指定商品である「医療用機械器具」の取引者・需要者は、専ら、医師をはじめとする医療や医療用機械器具に携わる専門家・専門技術者ということができるから、これらの者が「4D−CT」の構成からなる本願商標に接した場合、これよりは、4次元での画像処理・表示が可能となり得るX線診断用装置(スキャナー)を表したものと理解・認識するに止まるものというべきであり、自他商品を識別するための標識とは認識し得ないものと判断するのが相当である。

そして、本願商標を上記商品以外の商品に使用するときは、商品の品質について誤認を生じさせるおそれがあるものといわなければならない。

なお、請求人は、審判決例等を挙げて主張しているが、そもそも、商標の識別性の判断は、各商標につき、それぞれの取引の実情などをも勘案し、個別具体的に判断されるべき性質のものであるばかりでなく、請求人の主張している審判決例は、いずれも、本願商標とはその構成態様を異にするものであって、事案を異にするものというべきであるから、本願商標の識別性の判断の参考として採用することはできない。

(4)結 論

したがって、本願商標は、その構成中の「4D」の語の捉え方の如何にかかわらず、需要者が何人かの業務に係る商品であることを認識することができないものというべきであるから、商標法第3条第1項第6号及び同法第4条第1項第16号に該当し、登録することはできない。

よって、結論のとおり審決する。

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