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Trademark Appeal Case

著名商標の要部抽出

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号平成11年審判第35231号
審判種別不服
結論勝訴(請求認容)

結論テキスト

登録第2723534号商標の登録を無効とする。
審判費用は、被請求人の負担とする。

理由テキスト

1.本件商標

本件登録第2723534号商標(以下、「本件商標」という。)は、別紙に示すとおりの構成よりなり、昭和58年12月14日に登録出願、第21類「宝石、その他本類に属する商品」を指定商品として、平成9年11月14日に設定登録がなされたものである。

2.請求人の引用商標

請求人の引用する登録第655209号商標(以下、「引用商標」という。)は、別紙に示すとおりの構成よりなり、昭和36年10月23日に登録出願、第26類「印刷物、ただし、この商標が特定の著作物の表題(題号)として使用される場合を除く」を指定商品として、同39年10月9日に設定登録がなされたものである。

3.請求人の主張

請求人は、結論同旨の審決を求め、要旨次のとおり主張し、証拠方法として甲第1号証乃至甲第70号証(枝番号を含む。)を提出した。

本件商標は、商標法第4条第1項第15号の規定に違反して登録されたものである。

(1)引用商標の著名性は、既に22件の防護標章が登録されている事実、その中には、本件商標の指定商品と実質的に同じ「宝石、その他本類に属する商品」が含まれていること、一連の「VOGUE」判決に照らし、特許庁及び裁判所における顕著な事実であると主張し、さらに、各種辞典類、文献類、新聞、雑誌等に「VOGUE」誌についての記事より引用商標は、本件商標の出願日よりも以前から、我が国において著名である。

(2)本件商標は、「ノエルヴオーグ」のカタカナ文字と「NOELVOGUE」の欧文字を二段に横書きしてなる構成であり、その構成中に著名登録商標「VOGUE」の文字を顕著に有するものである。

本件商標の一部を構成する「ノエル」、「NOEL」は、フランス語に起源を持つ「クリスマス」や「クリスマスの祝歌」の意味を有する語であって、造語ではない。

しかしながら、我が国においては、フランス語は英語ほど普及しておらず、さらに、英単語としても、「Noel」が我が国においてさほど知られた単語ではない。

これに対し、引用商標は、日本国内において、世界的に有名なファッション雑誌である「VOGUE」(「ヴオーグ」)誌の題号として、ファッション関連商品の取引者、需要者の間において広く知られていたものである。

そして、本件商標は「ヴオーグ」、「VOGUE」をその構成の一部とするものであるが、「ヴオーグ」、「VOGUE」は、本件商標の登録出願時である昭和58年12月までに、我が国において、引用商標がファッション雑誌の題号としてファッションに関連する商品の取引者、需要者に広く知られていたのに対し「ノエル」、「NOEL」は、その意味がさほど知られていたとは認められない。

本件商標中の仮名文字及び欧文字の各文字は、同じ書体、同じ大きさ、同じ間隔で書してなり、構成各文字は外観上まとまりよく、一体に表わされている。又、これにより生ずる「ノエルヴオーグ」の称呼も冗長とはいえない。

一方、「ヴオーグ」、「VOGUE」は、本件商標の語頭ではなく、語尾(後半部)にあり、しかも、商標登録上、「ノエル」、「NOEL」との間に間隔やハイフンがあるわけではない。

しかしながら、「NOEL」と「VOGUE」は、それぞれ造語ではなく、意味をもった既成語であり、前記のとおり、「VOGUE」はファッション雑誌の題号として世界的に広く知られているのに対し、「NOEL」は殆ど知られていない。この事実からすると、本件商標は、称呼上も、外観上も、「ノエル」と「ヴオーグ」との間、及び「NOEL」と「VOGUE」との間で自然に区切って称呼され、認識されると考えるべきである。

従って、取引者・需要者の注意が集中する本件商標の「VOGUE」の部分から「ヴオーグ」の称呼が生ずるとともに、世界的に著名なファッション雑誌である「VOGUE」誌が想起されることは明らかである。

(3)本件商標と引用商標の指定商品を対比してみると、本件商標の指定商品は「宝石、その他本類に属する商品」であるのに対して、引用商標の指定商品は「印刷物ただし、この商標が特定の著作物の表題(題号)として使用される場合を除く」であって、引用商標は「ファッション雑誌」に使用することによって著名性を獲得したものである。

而して、本件商標の指定商品である「宝石」等のファッション関連商品とファッション雑誌「VOGUE」とは相互に密接な関係を有するものである。また、「宝石」の他に、21類中の「装身具」、「かばん類」(ハンドバッグ)等がファッション商品に属する。

また、各出版社における多角経営の実体から判断しても、世界的な出版社である請求人が、経営の多角化を展開していく可能性について、取引者・需要者は、何らの違和感も有しないものと考えちれる。

そうとすれば、ファッションの代表的商品である宝石、装身具、バッグ等の取引者、需要者が本件商標が付された宝石等の製品に接すれば、引用商標との構成上の相違にもかかわらず、「ヴオーグ」、「VOGUE」の部分に着目して、ファッション雑誌である「VOGUE」誌を連想し、上記の製品が請求人、又は請求人と経済的若しくは組織的に何らかの関係がある者の業務に係る商品ではないかと、その出所について混同するおそれがあることは明らかである。

(4)従って、本件商標をその指定商品に使用すれば、あたかも請求人の取扱いに係る商品であるかの如く、取引者、需要者をして、商品の出所の混同を生じさせるおそれがあることは明らかである。

4.被請求人の答弁

被請求人は、何ら答弁していない。

5.当審の判断

(1)引用商標の著名性について

▲1▼1992年、1996年の「VOGUE」誌の表紙及び1998年の「VOGUE」誌によれば、1992年4月号として「VOGUE」誌100周年記念号が発行されていること、イギリス版「VOGUE」誌、イタリア版「VOGUE」誌等各国版が1996年に発行されていること、「VOGUE」誌は、ファッション雑誌として婦人服のみならず、宝石、時計、化粧品、バッグ等も内容として扱っていることが認められる(甲第5号証、甲第6号証の1乃至同号証の9及び甲第7号証)。

▲2▼1949(昭和24)年10月3日発行の朝日新聞には、「世界的スタイル雑誌『VOGUE』が十年ぶりに入荷した。」旨の記載がある(甲第8号証の1及び2)。

▲3▼1955(昭和30)年8月30日平凡社発行の「世界大百科事典3」、1970年(昭和45)年8月25日平凡社発行の「アポロ百科事典3」、1971年(昭和46)年3月15日小学館発行の「大日本百科事典ジャポニカ−16」、1973年(昭和48)年3月2日平凡社発行の「小百科事典」、1974年(昭和49)年8月1日集英社発行の「外国からきた新語辞典第3版」、1981年(昭和56)年4月20日平凡社発行の「世界大百科事典3」、1981年(昭和56)年7月16日講談社発行の「写真大百科事典」、1983年(昭和58)年1月10日小学館発行の「最新英語情報辞典」、1983年(昭和58)年5月25日講談社発行の「大事典desk」、1986年(昭和61)年9月20日名著普及会発行の「アメリカ州別文化事典」、1986年(昭和61)年8月20日平凡社発行の「アメリカを知る事典」、1959年(昭和34)年9月10日自由国民社発行の「現代用語の基礎知識1959年版」、1980年(昭和55)年1月1日自由国民社発行の「現代用語の基礎知識1980年版」、1968年(昭和43)年5月20日婦人画報社発行の「服飾事典(34版)」、1979年(昭和54)年7月5日同文書院発行の「田中千代 服飾事典(増補)」、1979年(昭和54)年3月5日文化出版局発行の「服飾辞典」、1980年(昭和55)年10月5日雄山閣発行の「総合服飾史事典」に「VOGUE」の記載がみられる(甲第9号証乃至甲第25号証)。

▲4▼1967(昭和42)年10月6日発行の朝日新聞、1967(昭和42)年10月21日発行の「週刊新潮」、1984(昭和59)年4月20日講談社発行の「アメリカ情報コレクション」、1985(昭和60)年11月20日講談社発行の「気になるアメリカ雑誌」、1977(昭和52)年2月8日発行の「週刊女性」、1977(昭和52)年1月19日発行の読売新聞、1977(昭和52)年1月20日発行の朝日新聞、1977(昭和52)年4月1日文化出版局発行の「ハイファッション」における「VOGUE」に関する記事(甲第26号証の1乃至甲第33号証)。

▲5▼1980(昭和55)年3月1日発行の「芸術新潮」、1980(昭和55)年3月6日発行の朝日・読売・毎日の各新聞、1980(昭和55)年3月14日発行の朝日新聞、1980(昭和55)年3月7日発行の日本経済新聞、1980(昭和55)年3月8日発行の読売新聞、1980(昭和55)年3月13日発行の朝日新聞、1980(昭和55)年4月12日発行の「太陽」にみられる「ヴォーグ60年展」の広告並びにそれに関連する記事(甲第34号証乃至甲第42号証)。

▲6▼1980昭和55年4月7日発行の「MODE et MODE No.195」には、「ヴォーグ60年展・・・ファッション雑誌の中で常に最高峰として君臨し、ファッションをリードし続けている『VOGUE』」との記載がみられる(甲第43号証)。

▲7▼1984(昭和59)年11月23日発行の「FOCUS」において「『VOGUE』誌も飾ったトップ・モデル、シプトン譲の告白」との記載がみられる(甲第44号証)。

▲8▼1996(平成8)年6月1日発行の朝日新聞における「時計のオメガのVOGUE誌に広告掲載を取りやめる」旨の記事(甲第46号証)。

▲9▼引用商標の周知著名性の証拠として70通の周知証明書が提出されているが、その中には、東京商工会議所、在日本フランス商業会議所、在日ドイツ商工会議所、Christian Dior、ルイ・ヴィトンジャパン株式会社等の周知を認めるにたる証明書が含まれている(甲第47号証及び甲第48号証の1乃至同号証の70)。

▲10▼パリ・ヴォーグ日本支局発行の広告掲載主リスト及び「VOGUE」誌に掲載された宣伝広告頁によれば、我が国の一流企業が掲載されている(甲第55号証及び甲第56号証)。

▲11▼1999年4月19日から同年同月23日発行の日本経済新聞のヴォーグ編集長アナ・ウインター氏の「ファッション発世界へ▲1▼から▲5▼」に関する記事(甲第69号証の1乃至同号証の5)。

▲12▼1997年3月10日文春文庫発行の「ヴォーグで見たヴォーグ」(甲第70号証)。

以上を総合勘案すると、「VOGUE」誌は、1892年アメリカで創刊され、1909年からは、コンデ・ナスト社により、ファッション雑誌として発行されるようになり、本件商標の出願当時において、アメリカ、フランス、イギリス等で出版され、世界各国で販売されており、古典的かつ世界的な権威をもったファッション雑誌として、世界的に広く知られていること、更に、本件商標の出願時である1983(昭和58)年12月においてはもちろん、その登録時である1997(平成9)年11月においても、引用商標は、日本国内において、請求人が発行している世界的に有名なファッション雑誌である「VOGUE」(ヴオーグ)誌の題号として、服飾関係のデザイナーはもちろん、ファッションに関連する商品の取引者、需要者間において広く知られていたものと認められる。

(2)本件商標は「NOELVOGUE」及び「ノエルヴオーグ」の各文字よりなるところ、「VOGUE」はファッション雑誌の題号として広く知られているが、「クリスマス」等を意味する「NOEL」の語はさほど知られていないと認められることからすると、本件商標は、称呼上も、外観上も、「ノエル」、「NOEL」と「ヴオーグ」、「VOGUE」の文字間で自然に区切って称呼され、認識されると認められる。

そして、本件商標の指定商品中の「宝石、かばん等」はファッションに関連する商品である。

(3)そうとすれば、ファッションに関連する商品である宝石、かばん等の取引者、需要者が、「ヴォーグ」、「VOGUE」を構成中に含む本件商標が付された宝石、かばん等の製品に接すれば、「ヴオーグ」、「VOGUE」の部分に着目して上記「VOGUE」誌を連想し、上記被服が請求人、又は請求人と何らかの関係がある者の業務に係る商品であるかの如く、その出所について誤認混同するおそれがあるものと判断するのが相当である。

(4)したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号の規定に違反して登録されたものであるから、同法第46条の規定により、その登録を無効とすべきである。

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