Trademark Appeal Case
商品形状の識別力
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 平成10年審判第12973号 |
|---|---|
| 審判種別 | 不服 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理由テキスト
1 本願商標
本願商標は、商標の構成を別紙に示すものとし、第6類「金属製鬼瓦」を指定商品として、平成9年4月1日に立体商標として登録出願されたものである。
2 原査定の理由
原査定は、「本願商標は、鬼瓦の一種の形状を表示したものと容易に理解し得るものであることから、これをその指定商品に使用したときは、その商品の形状を表示するにすぎないものと認める。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当する。」旨認定して、本願を拒絶したものである。
3 当審の判断
(1)平成8年法律第68号により改正された商標法は、立体的形状若しくは立体的形状と文字、図形、記号等の結合又はこれらと色彩との結合された標章であって、商品又は役務について使用するものを登録する立体商標制度を導入した。
立体商標は、商品若しくは商品の包装又は役務の提供の用に供する物(以下「商品等」という。)の形状も含むものであるが、商品等の形状は、本来それ自体の持つ機能を効果的に発揮させたり、あるいはその商品等の形状の持つ美感を追求する等の目的で選択されるものであり、本来的(第一義的)に商品・役務の出所を表示し、自他商品・役務を識別する標識として採択されるものではない。
そして、商品等の形状に特徴的な変更、装飾等が施されていても、それは商品等の機能、又は美感をより発揮させるために施されたものであって、全体としてみた場合、商品等の機能、美感を発揮させるために必要な形状を有している場合には、これに接する取引者、需要者は当該商品等の形状を表示したものであると認識するに止まるというのが相当である。
また、商品等の形状は、同種の商品等にあっては、その機能を果たすためには原則的に同様の形状にならざるを得ないものであるから、取引上何人もこれを使用する必要があり、かつ、何人もその使用を欲するものであって、一私人に独占を認めるのは妥当でないというべきである。
そうとすれば、商品等の機能又は美感とは関係のない特異な形状である場合はともかくとして、商品等の形状と認識されるものからなる立体的形状をもって構成される商標については、使用をされた結果、当該形状に係る商標が単に出所を表示するのみならず、取引者、需要者間において当該形状をもって同種の商品等と明らかに識別されていると認識することができるに至っている場合を除き、商標法第3条第1項第3号に該当し、商標登録を受けることができないものと解すべきである。
立体商標制度を審議した工業所有権審議会の平成7年12月13日付け「商標法等の改正に関する答申」30頁においても「3.(1)立体商標制度の導入▲3▼需要者が指定商品若しくはその容器又は指定役務の提供の用に供する物の形状そのものの範囲を出ないと認識する形状のみからなる立体商標は登録対象としないことが適当と考えられる。・・・ただし、これらの商標であっても使用の結果識別力が生ずるに至ったものは、現行法第3条第2項に基づき登録が認められることが適当である。」としている。
(2)これを本願についてみれば、本願商標は、商品「金属製鬼瓦」の形状としてその一形態を表したものとみられるものであって、これをその指定商品に使用しても、取引者、需要者は、単に商品「金属製鬼瓦」の形状と認識するにすぎないものと判断するのが相当である。
(3)請求人は、商品の形状であっても、その形状が一般的でない場合には自他商品の識別力は十分発揮されるものであって、本願商標はどこにでもある鬼瓦ではなく、自他商品識別力を十分有する旨主張している。
しかしながら、本願指定商品の形状が通常の鬼瓦の形状と相違があるとしても、それは該商品の美感をより発揮させるためのものというべきであるから、それをもって自他商品の識別力を有するものとは認められないことは、前記(1)で述べたとおりである。
なお、立体的形状からなる商標であっても、商品等の形状をもって構成されるものについては、平面的な商標とは明らかに異なるものであるため、商標法においては、立体商標制度の導入に当たっては、商標法第4条第1項第18号等が設けられ、また、前掲工業所有権審議会答申でも、「指定商品やその容器の形状そのものの場合には不登録とする運用を厳しくすること」としている(前掲答申P31▲5▼参照)。
そして、商品等の形状であっても、使用により自他商品の識別力を取得する場合があり、そのときに、識別力を認めて登録することは前記(1)で述べたとおりである。
この点に関して、請求人は、本願商標に係る商品は、昭和58年頃より販売を開始し、販売実績を上げている大ヒット商品で、これを見ただけで請求人の取り扱いに係る商品であると認識される程周知である旨主張して、甲第1号証(枝番を含む)を提出している。
しかしながら、甲第1号証(枝番を含む)に示された商標は、一葉の写真のみであって、これのみでは本願商標との同一性は認定し得ず、また、この証明書は、請求人が予め用意した書面を用い、「請求人の『金属製鬼瓦』は、.........新潟県において周知となっている」旨を証明したものであり、この証明書のみをもって、本願商標が、直ちに請求人の取り扱いに係る商品であると認識される程周知であると認定することは困難というべきである。
さらに、請求人は、斬新で意匠登録されるような立体的形状は自他商品識別力を有する旨主張して、参考資料として意匠公報を提出している。
しかしながら、意匠法における保護は、同法の目的に基づいて、保護の対象、要件、権利の範囲、効力等が定められているのであって、意匠登録されていることをもって、当該形状が自他商品識別標識としての機能を果たしているということはできないばかりか、意匠権等に重ねて又は、その権利の消滅後に商標登録することにより保護することは、知的財産権制度全体の整合性に不合理な結果を生ずることになる。
4 結論
以上のとおり、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当し、使用による識別性を得ているものとも認められないから、原査定の認定・判断は妥当なものであって取り消すことはできない。
よって、結論のとおり審決する。
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