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Trademark Appeal Case

商品形状の識別力

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号平成10年審判第14925号
審判種別不服
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

本件審判の請求は、成り立たない。

理由テキスト

1 本願商標

本願商標は、商標の構成を別紙に示すものとし、第21類「モップ」を指定商品として、平成9年4月1日に立体商標として登録出願されたものである。

2 原査定の理由

原査定は、「この商標登録出願は、指定商品との関係から清掃用具の一種である『モップ』であるから、これを本願指定商品に使用しても、取引者、需要者は通常採用し得るモップの形状そのものと認識するに止まり、単に前記商品の形状にすぎず、自他商品の識別機能を有しない立体商標と認める。

したがって、この商標登録出願に係る商標は、商標法第3条第1項第3号に該当する。」旨認定して本願を拒絶したものである。

3 当審の判断

(1)平成8年法律第68号により改正された商標法は、立体的形状若しくは立体的形状と文字、図形、記号等の結合又はこれらと色彩との結合された標章であって、商品又は役務について使用するものを登録する立体商標制度を導入した。

立体商標は、商品若しくは商品の包装又は役務の提供の用に供する物(以下「商品等」という。)の形状も含むものであるが、商品等の形状は、本来それ自体の持つ機能を効果的に発揮させたり、あるいはその商品等の形状の持つ美感を追求する等の目的で選択されるものであり、本来的(第一義的)には商品・役務の出所を表示し、自他商品・役務を識別する標識として採択されるものではない。

そして、商品等の形状に特徴的な変更、装飾等が施されていても、それは商品等の機能、又は美感をより発揮させるために施されたものであって、全体としてみた場合、商品等の機能、美感を発揮させるために必要な形状を有している場合には、これに接する取引者、需要者は当該商品等の形状を表示したものであると認識するに止まるというのが相当である。

また、商品等の形状は、同種の商品等にあっては、その機能を果たすためには原則的に同様の形状にならざるを得ないものであるから、取引上何人もこれを使用する必要があり、かつ、何人もその使用を欲するものであって、一私人に独占を認めるのは妥当でないというべきである。

そうとすれば、商品等の機能又は美感とは関係のない特異な形状である場合はともかくとして、商品等の形状と認識されるものからなる立体的形状をもって構成される商標については、使用をされた結果、当該形状に係る商標が単に出所を表示するのみならず、取引者、需要者間において当該形状をもって同種の商品等と明らかに識別されていると認識することができるに至っている場合を除き、商標法第3条第1項第3号に該当し、商標登録を受けることができないものと解すべきである。

立体商標制度を審議した工業所有権審議会の平成7年12月13日付け「商標法等の改正に関する答申」P30においても「3.(1)立体商標制度の導入▲3▼需要者が指定商品若しくはその容器又は指定役務の提供の用に供する物の形状そのものの範囲を出ないと認識する形状のみからなる立体商標は登録対象としないことが適当と考えられる。・・・ただし、これらの商標であっても使用の結果識別力が生ずるに至ったものは、現行法第3条第2項に基づき登録が認められることが適当である。」としている。

(2) これを本願についてみれば、本願商標は、別紙に示した構成のとおり、指定商品との関係から、ハンディタイプの「モップ」の形状を表してなるものと認められるから、これを指定商品「モップ」に使用しても、取引者、需要者は、単に「モップ」の形状を表示したものと認識するにすぎないものと判断するのが相当である。

(3) 請求人は、本願商標が「モップ」の形状からなるとしても、「モップ」の形状は、通常、全体としてT字状に形成されており、この全体形状の域を脱しない範囲で種々の形状が考えられ、採用されているところであるから、これと異なる本願商標のような特殊な形状からなるものは、自他商品識別標識としての機能を有する旨主張する。

しかしながら、T字型の形状に係る「モップ」は主に床面清掃用のものであって、家具、本棚、電化製品、OA機器等の清掃を目的とするハンディタイプの「モップ」にあっては、その清掃に係る物を傷つけず、かつ、隙間等に付着したホコリ等を容易にふき取りやすくするために、例えば「モップ」の本体部分に軟らかい布、毛又は使い捨てタイプの紙を取り付けた小型で軽量の様々な形状のものが見受けられるところである。

そして、本願商標にあっても、前記した家具、本棚、電化製品、OA機器等の清掃を目的とするハンディタイプの「モップ」と認められ、清掃に係る物を傷つけず、かつ、凹凸部分の隙間等のホコリをより効率的に取るため等の機能をより効果的に発揮させるために施された形状と認められるから、これをもって、直ちに本願商標に関し自他商品の識別性に影響を与えるものとは認め難く、本願商標に接する取引者、需要者もまた、「モップ」の形状の範囲のものと認識するにすぎないものとみられるものである。

(4) 請求人(出願人)は、本願商標に係る商品を発売以来継続的に広告宣伝に努めてきたことから、本願商標が使用により識別力を有するに至っている旨主張し、資料1及び2並びに甲第1号証ないし同第14号証を提出している。

しかしながら、CFヒストリーの写しである甲第1号証ないし同第6号証及び雑誌広告である甲第7号証ないし同第14号証には、本願商標に係る「モップ」の形状の要部が明示されていることは認められるとしても、当該CFヒストリーの画面上に表された「モップ」及び雑誌広告中に表された「モップ」は、いずれも商品の形状そのものを表したものであって、前者は、画面上に表された「クイックルハンドワイパー」の文字からなる商標及び音声によって、また、後者は、広告中に表された「クイックルハンドワイパー」の文字からなる商標によって、それぞれ商品の出所が識別されているものとみるのが商取引の実際に照らして自然というべきであるから、これら甲各号証によって本願商標(モップの形状)それ自体が自他商品の識別標識として認識されたとみることはできない。

したがって、本願商標が使用により識別力を有するに至っているものと認定することはできないというべきである。

4 結論

以上のとおり、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当するものであって、使用による識別性を得ているものとも認められないから、登録することはできない。

よって、結論のとおり審決する。

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