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Trademark Appeal Case

称呼の類似性と要部抽出

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号無効2004−89010(T2004−89010/J3)
審判種別無効
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

本件審判の請求は、成り立たない。
審判費用は、請求人の負担とする。

理由テキスト

1 本件商標

本件登録第4606966号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲(1)のとおりの構成よりなり、第18類「アメリカ製の皮革,アメリカ製のかばん類,アメリカ製の袋物,アメリカ製の携帯用化粧道具入れ,アメリカ製のかばん金具,アメリカ製のがま口口金,アメリカ製の傘,アメリカ製のステッキ,アメリカ製のつえ,アメリカ製のつえ金具,アメリカ製のつえの柄,アメリカ製の乗馬用具,アメリカ製の愛玩動物用被服類」及び第25類「アメリカ製の被服,アメリカ製のガーター,アメリカ製の靴下止め,アメリカ製のズボンつり,アメリカ製のバンド,アメリカ製のベルト,アメリカ製の履物,アメリカ製の仮装用衣服,アメリカ製の運動用特殊衣服,アメリカ製の運動用特殊靴」を指定商品として、平成13年2月26日登録出願、同14年9月27日に設定登録され、現に有効に存続しているものである。

2 引用商標

(1)登録第4219459号商標(以下「引用商標A」という。)は、別掲(2)のとおりの構成よりなり、第25類「被服,ガーター,靴下止め,ズボンつり,バンド,ベルト,履物,運動用特殊衣服,運動用特殊靴」を指定商品として、平成7年7月13日登録出願、同10年12月11日に設定登録されたものであるが、指定商品中の「被服」についての登録は、平成11年12月13日付け異議決定により取り消され、その確定の登録が同12年10月4日にされている。

(2)登録第4521704号商標(以下「引用商標B」という。)は、別掲(3)のとおりの構成よりなり、第9類「サングラス,普通眼鏡,その他の眼鏡,眼鏡の部品及び附属品」、第14類「時計,宝玉及びその原石並びに宝玉の模造品,身飾品,貴金属製の宝石箱,貴金属製のがま口・靴飾り・コンパクト及び財布,貴金属製喫煙用具,記念カップ,記念たて,キーホルダー」、第18類「皮革,かばん類,袋物,携帯用化粧道具入れ,かばん金具,がま口口金,傘,ステッキ,つえ,つえ金具,つえの柄,乗馬用具,愛玩動物用被服類」及び第25類「被服,ガーター,靴下止め,ズボンつり,バンド,ベルト,履物,仮装用衣服,運動用特殊衣服,運動用特殊靴」を指定商品として、平成12年12月28日登録出願、同13年11月16日に設定登録されたものである。

3 請求人の主張

請求人は、「本件商標の登録を無効とする。審判費用は被請求人の負担とする。」との審決を求めると申し立て、その理由を要旨次のとおり述べ、証拠方法として、甲第1号証ないし甲第18号証を提出した。

(1)請求の理由

(ア)本件商標は、その構成中、下段の「NEW YORK USA」の文字部分は、米国、ニューヨーク州(市)を意味する用語であって、商品の産地、販売地を表す自他商品識別力のない単なる地名表示であるにすぎず、簡易迅速を旨とする実際の取引において、この部分が略称されることはいうまでもない。

本件商標中、上段の「GLOBE CANVAS」は、その外観上、「GLOBE」と「CANVAS」の2語からなるものであることが明らかである。

その意味についてみても、前半の「GLOBE」は、「地球、天体、地球儀」を意味する英語であり、後半の「CANVAS」は、「(テント、帆などに用いる)粗布、画布、カンバス、荒織り、キャンバス」などを意味する英語である。

そして、「GLOBE」と「CANVAS」の単語は、それぞれにアクセントを有し、「グロウブ、キャンバス」と両語を区切って一息おいて、2語として発音するものであって、これが一語のように発音されるものではない。

特に、「CANVAS」は、カンバス、キャンバスといった表現で日本語化している平易な英語であって、本件商標の指定商品である被服、ベルト、かばん類、靴などの商品に関して、粗布、キャンバス地といった原材料を表す語として、わが国の市場において一般的、記述的に使用されている(甲第5ないし16号証)から、自他商品識別力のない語である。

よって、本件商標は、上段の「GLOBE CANVAS」より「グロウブキャンバス」のみならず、「グロウブ」のみの称呼をも生ずることが明らかである。

(イ)各引用商標

引用商標Aは、その欧文字に相応して「グロウブ」の称呼及び「地球、天体、地球儀」の観念を生ずるものである。

また、引用商標Bは、欧文字「globeshoesco」からなるものであるが、このうち「shoes」は靴、「co」は会社を意味する用語であるにすぎず、両語は指定商品中の靴類の分野において、自他商品識別力を有する要素ではないから、「globe」を要部とし、これより「グロウブ」のみの称呼、「地球、天体、地球儀」なる観念をも生ずるものである。

(ウ)本件商標と各引用商標の類似について

両商標は、「グロウブ」の称呼及び「地球、天体、地球儀」の観念を共通にする類似の商標である。

また、本件商標と各引用商標は、その指定商品が互いに抵触する。

さらに、本件商標は、各引用商標より、後願にかかるものである。

したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当することが明らかである

本件商標と各引用商標とが類似することは、過去の審判例、裁判例によっても首肯し得る(甲第17、18号証)。

(2)答弁に対する弁駁

(ア)被請求人は、本件商標中の「GLOBE CANVAS」の文字部分は、同書、同大であること、両文字は観念上からみても軽重の差を見出しえないこと、その全体から生ずる称呼も冗長にわたるものではないことを理由に、一連に称呼し得るものであると主張する。

しかしながら、「GLOBE CANVAS」の文字部分は、「GLOBE」と「CANVAS」の間にスペースを配してなり、これが「GLOBE」と「CANVAS」の2語からなるものであること、各語の意味上からも、「GLOBE」が要部であることは、前記したとおりである。

被請求人は、その全体から生ずる称呼も冗長にわたるものではないと主張するが、「GLOBE CANVAS」は、全体で7音にも達し、やや冗長な音構成であり、「CANVAS」は、自他商品識別力のない語であるから、「GLOBE」より生ずる「グローブ」の称呼をもって特定されることは否定できない。

(イ)乙第1号証の1ないし乙第3号証の2は、本件と関係するものではなく、むしろ、靴、かばん等の商品分野において、原材料を示す用語「CANVAS」を後半に含む商標の採択が多いことを意味するにすぎない。

乙第4、5号証の商標は、一体不可分の用語を形成したと理解される事例であるし、乙第6号証の事例では、一連に表示されてなり、間隔を配した外観構成からなる本件商標とは構成を相違してなるものであって、いずれも本件とは事案を相違する。

(3)むすび

以上のとおり、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第11号に該当し、同法第46条に基づき無効とされるべきものである。

4 被請求人の答弁

被請求人は、結論同旨の審決を求めると答弁し、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として、乙第1号証ないし乙第6号証を提出した。

(1)本件商標について

本件商標は、その構成中の「NEW YORK USA」が米国ニューヨーク州(市)を意味し、商品の産地、販売地を表すため、「GLOBE CANVAS」の部分が自他商品識別標識としての要部である。

そして、「GLOBE CANVAS」の文字は、同書同大に書されているばかりでなく、「GLOBE」と「CANVAS」の両文字の文字数にしてもさほどの違いはなく、視覚上いずれか一方のみが強く印象付けられる構成よりなるものではない。

また、両文字とも平易な部類に属する英単語であって、観念上からみても軽重の差を見出し得ないものである。

そして、その全体から生ずる称呼も冗長にわたるものではなく一連に称呼し得るものである。

そうすると、その構成中の「CANVAS」の文字がそれ自体では「画布、帆布」を認識させる語であるとしても、かかる構成においては本件商標の指定商品との関係における品質、原材料等を具体的に表示するものとして直ちに理解し得るものとはいい難い。強いていえば、「GLOBE」が「地球」、「CANVAS」が「画布、帆布」という意味があることから、「地球が画布」又は「地球に帆布」等の意味合いを読み取れるとしても、むしろ、該文字よりは、特定の意味合いを表現し得ない造語と判断するのが相当であり、「GLOBE CANVAS」の文字は、その構成全体をもって一体不可分のものと認識し把握されるとみるのが自然である。

ちなみに、被服、履物、かばん類等を指定商品とし、商標構成中に「CANVAS」の文字が存在するものであっても、一連不可分のものとして、分離抽出せずに一体のものとして、何ら商品を限定されずに商標登録されている(乙第1号証の1ないし乙第3号証の2)。これらの審査・審判における判断が、本件商標の検討において異にされるべき理由はない。

そうとすれば、本件商標中の「GLOBE CANVAS」の文字からは、「グローブキャンバス」の称呼のみを生じるものというべきであり、また、それぞれの構成文字からは、特定の観念は生じないものといわなければならない。

(2)各引用商標について

引用商標Aは、その構成中の「globe」より、「グローブ」の称呼及び「地球、天体、地球儀」の観念を生ずるとされるのが自然である。

引用商標Bは、図形と欧文字「globeshoesco」との組み合わせで、かつ、欧文字部分は同書・同大・同間隔に一連に横書きされた商標であり、その構成から「グローブシューズコ」とのみ一連不可分の称呼が生じるものであり、特別の意味合いを有しない造語のため特定の観念が生じないものである(乙第6号証参照)。

(3)本件商標と各引用商標が類似しないことについて

(ア)称呼について

本件商標より生ずる「グローブキャンバス」の称呼と引用商標Aより生ずる「グローブ」の称呼は、「グローブ」の音を共通にするとしても後半部の「キャンバス」の有無という明らかな相違のため、称呼全体の語調・語感の著しく異なるものであることは明らかであり、互いに相紛れるおそれがないものである。

また、本件商標より生ずる「グローブキャンバス」の称呼と引用商標Bより生ずる「グローブシューズコ」の称呼は、前半部の「グローブ」の音を共通にするとしても、後半部に前者は「キャンバス」を有し、後者は「シューズコ」を有するという明らかな相違のため、称呼全体の語調・語感の著しく異なるものであることは明らかであり、互いに相紛れるおそれがないものである。

したがって、本件商標と各引用商標は、称呼上相紛れるおそれがない。

(イ)観念について

本件商標の「GLOBE CANVAS」は、前記のとおり、特定の意味合いを表現し得ない造語を表示したものである。一方、引用商標Aは、「地球、天体、地球儀」の観念を生ずるものであり、引用商標Bは、前記のとおり特定の意味合いを表現し得ない造語を表示したものである。したがって、本件商標と各引用商標の観念は、比較し得べきもないものであるから、観念について相紛れるおそれがないものである。

(ウ)外観について

本件商標は、欧文字による上下2段の配列であるのに対し、各引用商標は、図形と欧文字の組み合わせよりなるものであるから、明確に区別されるものである。したがって、本件商標と各引用商標とは、外観において相紛れるおそれのないものである。

(4)以上のとおり、本件商標は、各引用商標とは称呼、観念及び外観のいずれにおいても非類似の商標であるので、商標法第4条第1項第11号に該当しないものである。

5 当審の判断

(1)本件商標について

(ア)本件商標は、別掲(1)のとおり、「GLOBE CANVAS」の文字と「NEW YORK USA」の文字を二段に横書きしてなるものであるところ、その構成中の「NEW YORK USA」の文字部分は、「アメリカ合衆国ニューヨーク州」若しくは「アメリカ合衆国ニューヨーク市」の意味を表したと理解されるから、これをその指定商品について使用した場合は、商品の産地若しくは販売地を表示する語として、自他商品の識別標識としての機能を有しないものというべきである。

(イ)一方、本件商標中の上段に書された「GLOBE CANVAS」の文字部分は、「GLOBE」と「CANVAS」の各文字の間に1字程度の間隔があるとしても、同一の書体をもって、同一の大きさで外観上軽重の差なく表されているばかりでなく、構成全体より生ずると認められる「グローブカンバス」又は「グローブキャンバス」の称呼もよどみなく称呼し得るものである。

また、甲第4号証によれば、「CANVAS」の語は、「(テント・帆などに用いる)ズック、粗布。画布、カンバス。(カンバスに描いた)油絵。テント、一群のテント。帆布、帆。(芯地や刺繍のステッチの台として用いるリンネル・木綿などの)粗織り、キャンバス。(ボクシング・レスリングの)床、マット、キャンバス。(歴史・物語などの)背景、舞台。サーカス、巡業興行場。(レース用ボートなどの)カンバス。」などその有する意味は多岐にわたるものであることが認められる。そして、我が国においては、甲第5号証ないし甲第7号証にあるように、一義的には、「油絵の画布」を意味するものとして知られているというのが相当である。

そうすると、本件商標中の「GLOBE CANVAS」の文字部分は、外観及び称呼上一体不可分のものとして認識されるばかりでなく、その構成中の「CANVAS」の文字部分が直ちに商品の原材料を表したと理解されるものでもないというべきであるから、これを「GLOBE」と「CANVAS」とに分離して、「GLOBE」の文字部分のみを抽出して称呼、観念するものとみることはできない。他に、本件商標がその構成中の「GLOBE」の文字部分のみを抽出して称呼、観念しなければならないとする格別の事情は見出せない。

なお、請求人は、甲第8号証ないし甲第16号証を提出し、本件商標中の「CANVAS」の文字部分は、かばん、靴、被服等の原材料を表す語として使用されているから、自他商品の識別力がない部分である旨主張するが、本件商標中の「GLOBE CANVAS」の文字部分は、外観及び称呼上一体不可分のものとして把握されること及び「CANVAS」の文字部分が直ちに商品の原材料を表示するものとして理解され得ないものであること前記のとおりであり、加えて、甲第8号証ないし甲第16号証は、その発行日等について、本件商標の登録査定前のものであるか必ずしも明確であるとはいえない。

(ウ)以上のとおり、本件商標中の「GLOBE CANVAS」の文字部分より生ずる称呼は、「グローブカンバス」又は「グローブキャンバス」の一連の称呼のみであって、単に「グローブ」の称呼は生じないといわなければならない。そして、「GLOBE CANVAS」の文字全体からは明確な観念は生じないとみるのが相当である。

したがって、本件商標は、その構成中の「GLOBE CANVAS」の文字部分より「グローブカンバス」又は「グローブキャンバス」の称呼を生ずるものであって、特定の観念を有しない造語よりなるものと認められる。

(2)各引用商標について

(ア)引用商標Aは、別掲(2)のとおり、楕円図形内に「globe」の文字を配してなるものであるところ、該「globe」の文字部分より「グローブ」の称呼を生ずるものであって、「globe」の英単語は「地球、天体、地球儀」(小学館ランダムハウス英和大辞典)などの意味を有するものであるから、「地球、天体、地球儀」の観念を生ずるものと認められる。

(イ)引用商標Bは、別掲(3)のとおり、特定の称呼、観念を生じない抽象的な図形と「globeshoesco」の文字との組み合わせよりなるものであるから、「globeshoesco」の文字部分より生ずる称呼をもって商品の取引に当たるというのが相当である。そして、該「globeshoesco」の文字部分は、同一の書体をもって、同一の大きさ・間隔で書され、外観上一体のもとして看取されるものであるから、これより「グローブシューズコ」の称呼を生ずるものというのが相当であり、特定の観念を想起させない造語よりなるものと認められる。

この点に関し、請求人は、引用商標B中の「shoes」は靴、「co」は会社を意味する語であるから、要部は「globe」であり、これより「グロウブ」のみの称呼、「地球、天体、地球儀」なる観念をも生ずる旨主張するが、上記構成よりなる引用商標Bを「globe」、「shoes」、「co」とに分離しなければならない理由は見出せない。

(3)本件商標と各引用商標との類否

(ア)称呼について

本件商標より生ずる「グローブカンバス」又は「グローブキャンバス」の称呼と引用商標Aより生ずる「グローブ」の称呼は、後半部において「カンバス」又は「キャンバス」の音の有無の差異を有するものであるから、それぞれの称呼を一連に称呼した場合においても、明瞭に聴別し得るものである。

また、本件商標より生ずる「グローブカンバス」又は「グローブキャンバス」の称呼と引用商標Bより生ずる「グローブシューズコ」の称呼は、後半部において「カンバス」又は「キャンバス」の音と「シューズコ」の音の顕著な差異を有するものであるから、それぞれの称呼を一連に称呼した場合においても、明瞭に聴別し得るものである。

(イ)観念について

本件商標は、前記のように、特定の観念を生じない造語よりなるものであるから、「球、球体、地球」の観念を生ずる引用商標A及び造語よりなる引用商標Bとは、観念上比較することができない。

(ウ)外観について

本件商標と各引用商標は、ぞれぞれ別掲(1)ないし(3)のとおりの構成よりなるものであるから、外観上明らかに区別し得るものである。

(エ)以上(ア)ないし(ウ)によれば、本件商標と各引用商標は、称呼、観念及び外観のいずれの点においても非類似の商標といわなければならない。

(3)むすび

以上のとおり、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第11号に違反してされたものではないから、同法第46条第1項の規定により、無効とすることはできない。

よって、結論のとおり審決する。

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