結論テキスト
審判費用は、被請求人の負担とする。
Trademark Appeal Case
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
| 審判番号 | 取消2003−31521(T2003−31521/J2) |
|---|---|
| 審判種別 | 取消 |
| 結論 | 勝訴(請求認容) |
本件登録第4417540号商標(以下「本件商標」という。)は、「相良九代目」の文字を横書きしてなり、平成11年9月17日に登録出願され、第33類「日本酒,洋酒,果実酒,中国酒,薬味酒」を指定商品として、同12年9月14日に設定登録されたものであり、当該商標権は現に有効に存続しているものである。
請求人は、結論同旨の審決を求め、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証の1ないし同第11号証を提出した。
(1)請求人は、被請求人による本件商標の使用が、商標法第51条第1項の規定に該当するため、本件商標の登録の取り消しを求めるものである。
なお、本件審判請求においては、先に請求人が行った判定2002−60065(イ号標章が本件審判請求における被請求人の商標の使用態様)の判定公報(甲第5号証)の記載と整合性を担保するために、その記載を援用する。
(2)本件商標及び被請求人について
本件商標は、漢字5文字を横一連に同一・同大に「相良九代目」と書した構成態様からなり、これより「サガラキュウダイメ」の称呼及び「相良家またはその位を継いで、その地位にある九世代目にあたる人」の観念を生ずるものであり、「日本酒,洋酒,果実酒,中国酒,薬味酒」を指定商品とするものである。被請求人は、登記簿謄本(甲第2号証)に登記された本店所在地において、現に焼酎の製造・販売を業としている。
(3)請求人及び請求人の所有する商標について
請求人が所有する商標は、漢字3文字を横一連に同一・同大に「九代目」と書した構成態様からなり、これより「キュウダイメ」の称呼及び「家または位を継いで、その地位にある九世代目にあたる人」の観念を生ずるものであり、平成11年5月17日に「日本酒,洋酒,果実酒」を指定商品として商標登録出願され、平成12年5月12日に設定登録されたものである(登録第4381750号商標 甲第3号証)。請求人は、登記簿謄本(甲第4号証)に登記された本店所在地において、被請求人と同様に現に焼酎の製造・販売を業としている。
(4)請求人及び被請求人が使用する商標の使用態様について
請求人が所有する商標の商品「焼酎」についての使用態様は、甲第6号証の写真に示すとおりのものであり、商品「焼酎」についての被請求人の本件商標の使用態様は、甲第7号証の写真に示すとおりのものである。
(5)商標法第51条第1項における該当性
(a)商標の類似
本件商標は、外観上、漢字5文字を横一連に同一・同大に「相良九代目」と書した構成態様からなるものである。しかしながら、被請求人が使用する商標は、「相良」と「九代目」の部分が明らかに分離しており、また、「相良」の部分に比して「九代目」の部分が大書され、殊更に人目を惹く態様で構成されていることから、本件商標の使用ではなく、本件商標に類似する商標の使用である。
(b)誤認混同のおそれ
被請求人が商品「焼酎」について使用する商標は、請求人の所有する登録第4381750号商標と類似するので、請求人の業務に係る商品と混同を生ずる。
この点については、先の判定において、「・・・『九代目』の文字からなる本件商標は、イ号標章において顕著に表されている『九代目』の文字を共通にするものであり、その称呼『キュウダイメ』、観念『九世代目』も共通することから、本件商標は、イ号標章と類似するものと認められる。・・・」と述べられていることからも、被請求人が行う商標の使用は、請求人の業務に係る商品と出所の誤認混同を生じるものである。
(c)そして、商品の出所又は品質についての誤認混同は、現実に請求人の取引者あるいは需要者の間で生じている。この点については、請求人の取引者から請求人に寄せられた手紙の内容からも容易に理解し得るところである(甲第8号証)。なお、これらの手紙は、請求人が取引者に要請したものではなく、文面もそれぞれ異なっており、口頭での申し入れを書面にしてもらったものであるから、所謂、お願い証明的な書面ではない。
(d)また、被請求人の商標の使用は、品質の誤認を生じるおそれがある。焼酎の種類には、原材料の種類によって、「米焼酎」、「麦焼酎」、「芋焼酎」等に分けられるが、請求人は、球磨焼酎の蔵元として「米焼酎」にこだわりをもって昔ながらの酒造りを行っているものであり、被請求人が製造する商品は「芋焼酎」であることから、明らかに「米」と「芋」の原材料を相違しており、取引者あるいは需要者において品質の誤認を生ずるおそれがあることは容易に認識し得るところである。
(6)以上のように、被請求人の商品「焼酎」についての本件商標の使用が請求人の商品と出所の混同あるいは請求人と経済的若しくは組織的に何らかの関係がある者の業務に係る商品ではないかとの出所について誤認混同を生じ、また、品質の誤認を生じるため、本件商標の使用は、商標法第51条第1項の規定に該当するいわゆる不正な使用と認められる。
(7)故意について
被請求人は、本件商標の使用の以前において、「九代目」のみからなる甲第11号証の標章の使用を行っており、これに対して、請求人は、口頭で被請求人に対して使用の中止の申し入れを行っていることから、その時点において、「九代目」の標章を使用するにあたり、その使用の結果、他人の業務に係る商品と混同を生じさせること等を十分に認識していたものと解するを社会通念上も相当であると思料する。
それにもかかわらず、被請求人は、甲第7号証の構成態様で本件商標の使用を行ったものであり、その構成態様は、中央に「九代目」を縦書きに大書し、その上部に「相良」を小さく横書きに書したものであって、被請求人が先に使用していた甲第11号証の「九代目」の標章の上部に「相良」の標章を付したにすぎず、被請求人は、本件商標を使用して「焼酎」の販売を開始した当時において、請求人による「九代目」の商標を付した商品「焼酎」の販売の事実を当然に知っていたものと言うべきであり、更に、被請求人の本件商標の使用の構成が前記のとおり、殊更に「九代目」を強調したものであること等を勘案すると、被請求人は、本件商標の指定商品である「焼酎」について、本件商標を使用するにあたり、請求人の業務に係る商品と混同を生じさせることを当然に認識していたものと解するを相当と考える。
(8)商標法第52条の規定について
被請求人は、本件商標に類似する商標を審判請求前5年以内に商品「焼酎」について使用している。すなわち、被請求人は、先の判定請求事件に対する平成14年9月6日付けの答弁書において、平成14年3月11日以降は新ラベルに変更して出荷している旨主張しており、少なくとも平成14年3月11日以前においては、本件商標に類似する商標をその指定商品「焼酎」に使用していたものであるから、本件審判請求は、商標の使用の事実がなくなった日から5年を経過しておらず、商標法第52条の規定には該当しない。
(9)以上の通り、被請求人は、故意に本件商標に類似する商標をその指定商品である「焼酎」に使用し、請求人の業務に係る商品と混同を生じ、また、品質の誤認を生じさせたものであるから、商標法第51条第1項の規定により、その登録は取り消されなければならない。
被請求人は、本件審判の請求は成り立たない、審判費用は請求人の負担とするとの審決を求めると答弁し、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として乙第1号証の1ないし同第13号証を提出した。
被請求人所有に係る本件商標の使用は、商標法第51条第1項の規定に該当するものでないから、その登録を取り消すべき理由はない。
(1)本件商標の採択理由及びその使用の経緯
被請求人相良酒造合名会社は、享保15年(1730年)初代相良仲右衛門によって酒屋を開業された歴史の古い伝統をもった由緒ある蔵であって、現当主は「九代目」(乙第1号証の1ないし乙第1号証の3)であることから「九世代」の永きにわたる古い伝統をもった由緒ある蔵であることを記念し、また、その蔵で製造された商品は品質の優れた焼酎であることを強調するために、先願、先登録商標が存在しないことを確認した上で、平成11年3月頃から、現当主である「九代目」の標章を焼酎の標章として採択使用していたところ、請求人より、その使用を中止されたい旨の口頭での申入れがあり(この時には請求人は「九代目」の商標登録出願はしていなかった。)、そして、その後に「九代目」の標章は請求人が平成11年5月17日に商標登録出願しているものであるから、「九代目」の標章の使用を中止されたい旨の口答での再度の申入れがあった。
被請求人は、これらの対応策を検討した結果、請求人によって「九代目」の標章が商標登録出願された以上、その登録の有無にかかわらず、その商標登録出願の事実を尊重するとともに、同業者同志の争いを避けるために「九代目」の標章の使用を断念し、新たに「相良九代目」の標章に変更するとの結論に達し、平成11年9月17日に、「相良九代目」の商標登録出願をした(甲第1号証の1及び甲第1号証の2)。そして、請求人商標(甲第3号証の1及び甲第3号証の2)が登録された平成12年5月12日には、「九代目」の標章の使用は中止され、請求人商標とは類似しないとの印刷所の説明と指導のもとに、乙第5号証別紙1の標章を採択使用していたものである。
ところが、平成14年2月6日付で、請求人から乙第5号証別紙1の標章の使用は、その構成態様上、請求人商標に類似し、請求人の商品との誤認と出所の混同を生ずる旨の通告書(乙第2号証)を受けた。
乙第5号証別紙1の標章の採択使用に際しては、デザインも含めて平成11年9月17日付商標登録出願された「相良九代目」商標のラベルを印刷所に依頼したところ、印刷所から乙第5号証別紙1の標章の図案が提示され、請求人商標の「九代目」の商標とは類似しない旨の説明・指導を受けたこともあり、被請求人もまた、乙第5号証別紙1の標章の使用は、本件商標と同一範囲内の使用であるとの認識で使用していたものであって、請求人主張のごとく、故意に不正競争の目的をもって採択使用したものではない。
被請求人は、請求人から前記の通告書において権利侵害であるとの指摘を受けたことから、専門家である弁理士事務所で相談したところ、乙第5号証別紙1標章の使用は、請求人商標「九代目」の商標権を侵害するおそれがあるので、本件商標を正しく使用すべく変更して使用した方が良いとの指導を受け、請求人商標「九代目」が登録されている以上、これを尊重することによって、同業者同志の争いを避けるべきであるとの理由から、乙第5号証別紙1標章の使用を全廃し、平成14年2月18日付で、本件商標と同一範囲内の「相良九代目」の新ラベル(乙第5号証別紙2)に変更したい旨の回答書(乙第3号証)を送付し、新商品ラベルの見本を送付するとともに、平成14年3月11日付新商品ラベル(乙第5号証別紙2)が納入されたことにより、同日以降の新しい商品は勿論のこと、全在庫商品についても新商品ラベルに貼り替えて出荷するようにしたものである。
にもかかわらず、請求人から、平成14年4月23日付で、平成14年4月20日を過ぎても、ラベルの変更もされず、商品が販売されている。販売数量についても報告がない旨の警告書(乙第4号証)が送付された(この分については平成14年5月16日付報告書をもって通知した。)。請求人は、上記の主張をしているのみで、その事実を証する書類は提示されていなかった。
被請求人としては、平成14年3月11日以降は新商品ラベルに変更して出荷しており、旧ラベルの商品は販売されていないとの思いはあったが、万が一のことを考えて、徹底した指導を行うべく、平成14年4月28日付「緊急のお願い」(乙第5号証)を被請求人の各問屋先宛に書面をもって、お願いの通知をするとともに、請求人に対しても、その旨を平成14年5月1日付で平成14年4月23日付警告書(乙第4号証)に対する回答書(乙第6号証)に添付同封して通知したところである。
また、売上についても、平成12年8月ないし平成14年2月分までの旧ラベル(乙第5号証別紙1)を付した商品「焼酎」の出荷数量を平成14年5月16日付報告書(乙第7号証)で通知してきたところである。
ところが、請求人から、「(イ)被請求人の使用行為は、その使用経緯からみて故意に、不正競争の目的で使用されたものであるとの印象を強くしている。(ロ)被請求人が登録商標のとおりの『相良九代目』の態様で使用しても、既に、取引者又は消費者に誤認混同を来たしている現状では、その誤認混同は容易に解消できるものではない。(ハ)したがって、被請求人に『相良九代目』の登録商標の使用の中止を求める。(ニ)これまでの損害金として金壱千萬円を要求させて戴きたい」旨の申入書(乙第8号証)が平成14年5月24日付で通知されてきた。
請求人の上記申入書に対して、被請求人は、平成14年5月30日付回答書(乙第9号証)において、「(イ)については、その標章の採択理由(乙第1号証の1ないし乙第1号証の3)及びこれまでの経緯からみて、また、平成14年2月18日付回答書(乙第3号証)及び平成14年5月16日報告書(乙第7号証)においても釈明したとおり、決して故意に、不正競争の目的をもって変更使用したものではなく、商標に関して知識が浅い被請求人としては、先の商標の構成文字の配置、態様の変更は、被請求人の登録商標の一使用態様であると安易に考えていたことに他ならないものであること。(ロ)については、取引者又は消費者間において、客観的にどの程度の混同を生じているかの事実を被請求人は具体的に知り得ないので、現段階ではこの点に関して見解を回答できないこと。(ハ)については、登録商標を正しく使用する限り、登録商標の使用行為は商標権者の専権であるから、被請求人は登録商標「相良九代目」の適法な態様での使用を中止する意思のないこと。(ニ)については、金壱千萬円の損害金額を如何なる具体的な根拠に基づいて算出されたのか不明であり、具体的な算出根拠が明示された段階で、損害金額の妥当性の是非についての被請求人の考えを述べさせて戴く。」旨回答した。
このように、被請求人は、請求人の要求に対しては誠意をもって、その都度、迅速、的確に対応して、使用の中止、使用の変更を実行し、平成14年3月11日以降はその出荷を中止し、登録商標を正しく使用してきたにもかかわらず、既にその使用が中止されている標章の使用について、平成14年7月1日付で判定請求書が提出されたものである。
なお、請求人は、判定請求書の判定理由の要約の経緯において「イ号標章は現在使用中」であると主張しているが、現在使用中の標章は「相良九代目」の文字を同書、同大、同間隔に表示してなる乙第5号証別紙2の標章である。イ号標章とは、乙第5号証別紙1の標章であって、平成14年3月11日以前に被請求人が各問屋先宛に出荷した商品に使用された標章である。
また、請求人は、判定事件弁駁書において、平成14年6月26日に大阪府箕面市外院2丁目16番5号所在の酒販売店である「みのお銘醸蔵」に被請求人の商品を購入に行ったところ、依然としてイ号標章を使用した商品が販売されていたと主張して、「みのお銘醸蔵」の領収書の写し(乙第10号証)を提出している。
しかしながら、被請求人の問屋先に「みのお銘醸蔵」なる酒販売店は存在していないばかりでなく、「みのお銘醸蔵」の酒販売店の所在地とされている大阪府箕面市には、被請求人の問屋先も存在しないことから、被請求人は「みのお銘醸蔵」なる酒販売店が、イ号標章を使用した商品を、いつ頃から、どこから仕入して、どれ位の数量を仕入、販売してきたか、それとも、注文により1本だけを販売したのか等の事実関係を確認し、もし、本当に現在販売されているとしたら、その販売を中止し、回収する必要があるとの判断から、領収書に記載されている電話番号に電話したが、何らの応答もなかった。そこで、被請求人は、「みのお銘醸蔵」の所在地を現地訪問したところによれば、「みのお銘醸蔵」なる酒販売店は既に閉業状態にあり、隣人によれば、倒産したのではないかとの話であった。
結局、イ号標章を使用した商品が販売されている事実は確認することができなかった。そして、請求人も、平成14年3月11日以降にイ号標章を使用した商品が何時、何処で販売されたかを立証するに足りる証拠を何ら提示していない。
したがって、この判定の結論は、「イ号標章の使用は、請求人商標の商標権の権利範囲に属する。」としたもので、イ号標章が使用された平成14年3月11日以前に出荷された商品についての損害賠償の対象とはなっても、この判定をもって、ただちに故意に不正競争の目的をもって使用したものであるから、商標法第51条第1項に該当するとの主張は失当である。
また、被請求人は、問題とされているイ号標章については、引続きその使用がないように指導を強化し、平成14年8月24日には「『弊社製品の焼酎、旧『相良九代目』ラベル商品についてお願い」(乙第11号証)を被請求人問屋先宛送付し、その管理体制の徹底を図っているところである。
そして、平成15年5月30日に判定の結論が出たことにより、請求人は、平成15年6月27日付通告書(乙第12号証)において、「(イ)イ号標章の使用は、請求人商標の商標権の権利範囲に属する旨の判定があったこと、(ロ)被請求人は、既にラベルを一連の『相良九代目』に変更されているが、未だに通告人の取引者あるいは需要者間において出所の誤認混同を生じており、被請求人の『相良九代目』の標章の使用を中止し、今回事件に要した費用の負担を戴きたい」旨の要求があった。
これに対し、被請求人は、「(イ)については、判定が出た以上は、判定を尊重する。イ号標章は平成14年3月11日以降の出荷分から使用を中止し、同日以降は、新ラベル『相良九代目』(乙第5号証2)に変更使用し、現在ではイ号標章は使用されていない。したがって、被請求人は、穏便に解決すべく希望しており、誠意をもって対応する。(ロ)については、正当に登録された商標を正しく使用しているものであり、その使用は商標権者の専権であること、現在、使用中の『相良九代目』の使用は適法な態様の使用であり、これを中止する意思はないこと、また、今回に要した費用の負担とは、具体的にどのような費用であるか、その費用はいくらであるか、具体的な提案があれば、誠意をもって検討したい」旨の回答書(乙第13号証)を平成15年7月8日付で請求人に送付したところである。
しかしながら、これに対する請求人からの具体的な回答は何ら提案されることもなく、平成15年11月7日付で審判請求書が提出された。
(2)商標法第51条第1項に該当するか否かについて
(イ)商標法第51条第1項の立法趣旨についてみると、商標権者が故意に指定商品についての登録商標に類似する商標の使用又は指定商品に類似する商品についての登録商標若しくはこれに類似する商標の使用をして、一般公衆を害したような場合についての制裁規定である。
そこで、このような使用であって商品の品質又は商品の出所の混同を生ずるおそれのあるものの使用を故意にしたとき、つまり、誤認、混同を生ずることの認識があったときには、請求により、その商標登録を取り消すこととしたものである。これは商標の不当な使用によって、一般公衆の利益が害されるような事態を防止し、かつ、そのような場合に当該商標権者に制裁を課す趣旨である。
したがって、前述のように故意を要件とし、過失の場合は適用がない。しかし、当初は過失であっても、その後このような事態を認識しながらその使用を継続するようなことがあれば、もちろん本条に該当する。
(ロ)そこで、本件商標の使用についてみると、本件商標の現在における商標の使用態様は、乙第5号証別紙2に表示したとおり「相良九代目」の標章を同書、同大、同間隔で縦書きしてなるものであるから、請求人商標「九代目」の商標とは、その外観、称呼、観念のいずれの点においても類似しないものであることは明らかである。
したがって、請求人商標「九代目」の標章を使用した商品が永年にわたり、大量に、継続的に生産又は販売され、かつ、テレビや新聞、雑誌、業界誌・紙、カタログ、その他チラシ等において広告宣伝を行った結果、周知・著名となっている等、格別の事情が存在しない限り、本件商標の現在使用中の標章と請求人商標とは類似しないものであって、商品の品質の誤認又は商品の出所の混同を生じさせるおそれはないものである。
なお、本件商標の現在使用中の標章は、平成14年3月11日以降に出荷された商品のすべてに使用されてきたもので、現在使用中の標章については全く問題はないものであって、これらの使用が商標法第51条第1項の規定に該当しないことは明らかである。
(ハ)また、平成14年3月11日以前に出荷された商品に使用された標章の構成態様は、乙第5号証別紙1の構成よりなるものであるところ、乙第5号証別紙1の標章の使用は、平成15年5月30日付の特許庁の判定結果によれば、「商品『焼酎』に使用する乙第5号証別紙1の標章は請求人商標の商標権の権利範囲に属する。」とする結論であるから、この判定を尊重すれば、本件商標の平成14年3月11日以前に出荷された商品に使用された乙第5号証別紙1の標章の使用は、請求人商標と類似する標章の使用であり、請求人商標の商標権を侵害することとなり、商標権侵害に対する損害賠償の対象となり得るものではあるが、本件商標の乙第5号証別紙1の標章の使用は、故意に不正競争の目的をもって使用したものではないから、商標法第51条第1項の規定には該当しないものである。
(3)以上、被請求人は、請求人の要求に対しては誠意をもって、迅速、的確に対応してきたものであること、また、先の乙第5号証別紙1の商標の使用についても、本件商標と同一範囲内の使用であるとの認識で使用していたものであり、そのことが判明したときには速やかに中止、変更してきたものである。
したがって、本件商標の使用は、故意に不正競争の目的をもって使用したものではないものであるから、商標法第51条第1項の規定に該当するとして取り消すべき理由はないものである。
1.本件商標及び被請求人の使用商標・使用商品
本件商標は、前記したとおり、「相良九代目」の文字を横書きしてなり、第33類「日本酒,洋酒,果実酒,中国酒,薬味酒」を指定商品とするものであり、本件取消審判において、請求人が本件商標の不正な使用に該当すると主張している被請求人の使用に係る商標(以下「本件使用商標」という。)は、甲第7号証の写真に示されているとおりの商標であり、被請求人は、これを乙第5号証の別紙1として提出している。その態様は、別掲(1)に示すとおり、
(a)胴張りラベルの横中央四分の三程の縦幅の青色の帯状の地の上四分の三程の位置から、「九代目」の文字が白色で筆書体風に縦書きされ、
(b)その上側、四分の一程の位置に黄土色のやや厚みを持った横長の木片風の図形(左右の端がちぎれた木片の如く描かれている図形)を地として、赤色で氏と認められる「相良」の文字が右横書きされ、その下に小さく「さがら」と振り仮名風に書されているものである。
(c)そして、その青色の縦帯状の地の左側に「本格焼酎」「相良酒造合名会社」等の文字が、右側に「黒こうじ仕込み」の文字等がそれぞれ配されており、胴張りラベルの上部分(瓶の肩部分)に、「下田七窪の銘水」と記載されたラベルが右上側から左下側にかけて斜めに貼られているものである。
そして、被請求人は、この商標を「焼酎」について使用している。
2.請求人の所有する商標及び使用商標・使用商品
請求人は、「九代目」の文字を横書きした構成からなり、平成11年5月17日に登録出願され、第33類「日本酒,洋酒,果実酒」を指定商品として、同12年5月12日に設定登録された登録第4381750号商標を所有している。
そして、請求人が現実に使用している商標(以下「請求人使用商標」という。)は、甲第6号証の写真に示されているとおりの商標であり、その態様は、別掲(2)に示すとおり、
(a)胴張りラベルの中央に瓶壺と樽の図形を背景とした地に、「九代目」の文字が黒色で筆書体風に縦書きされ、その下に小さく「きゅうだいめ」と振り仮名風に朱書きされており、
(b)その右側に、赤地に白抜き文字で「天然/石室手造りこうじ」と縦書きされ、左側には、ラベルの縦約四分の一程度の大きさで朱色の印影状に「球磨焼酎」と書されている。
(c)また、その胴張りラベルの上部分(瓶の肩部分)に、「蔵人伝承づくり」の文字と、その下に朱色の印影状に「宮元酒造」と記載されたラベルが右上側から左下側にかけて斜めに貼られている。
そして、請求人は、この商標を「焼酎」について使用している。
3.商標の類否について
(1)本件商標と本件使用商標との類否
本件商標は、前記のとおり、「相良九代目」の文字を同じ書体、同じ大きさ、同間隔をもって横一連に表してなるものであるから、その構成文字に相応して、「サガラキュウダイメ」の称呼を生ずるものであり、また、「相良」の文字は氏を表したものと容易に認められるものであるから、全体として「相良家における九世代目」の観念を生ずるものと認められる。
これに対し、本件使用商標は、前記のとおり、青色の帯状の地に白色で「九代目」の文字を縦書き・筆書体風に大きく表し、その上側に黄土色のやや厚みを持った横長の木片風の図形を地として、赤色で「相良」の文字を右横書きし、その下に小さく「さがら」と振り仮名風に書されているものである。
してみれば、本件使用商標は、その全体の構成文字からみれば、「サガラキュウダイメ」の称呼をも生じ、「相良家における九世代目」の観念をも生ずる場合のあることを否定できないから、本件商標と同一の称呼及び観念を生ずるものであるといえる。しかし、外観においては、本件商標の構成態様とは明らかな差異を有するものであるから、本件商標そのものの使用ではなく、本件商標に類似する商標の使用といわなければならない。
(2)本件使用商標と請求人使用商標との類否
(a)本件使用商標は、上記のとおりの構成からなるところ、「九代目」の文字と「相良」の文字とは、縦書きと横書きの差、書体の差、文字の大小の差、色彩の差等の差異を有し、明らかに分離して認識され得るものであるから、中央に大きく顕著に表された「九代目」の文字部分から、単に「キュウダイメ」の称呼及び「九世代目」の観念をも生ずるものと認められる。
これに対し、請求人使用商標は、「九代目」の文字が黒色で筆書体風に縦書きで表されているものであるから、その構成文字に相応して、「キュウダイメ」の称呼及び「九世代目」の観念を生ずるものである。
してみれば、本件使用商標と請求人使用商標とは、筆書体風の縦書きで表した「九代目」の文字を共通にし、「キュウダイメ」の称呼及び「九世代目」の観念をも共通にする類似の商標といわなければならない。
4.商品の類否について
被請求人が本件使用商標を使用した「焼酎」は、本件商標の指定商品中の「日本酒」に含まれる商品であり、また、請求人も請求人使用商標を「焼酎」に使用しており、両者の使用商品は、同一又は類似のものと認められる。
5.他人の業務に係る商品との混同について
(1)請求人使用商標の周知性について
請求人の提出に係る甲第8号証の6(平成14年10月3日付北九州市大島酒舗からの嘆願書、なお、甲第8号証の6と7は同一の者からのものと認められる。)によれば、「宮本酒造場の米焼酎『九代目』を販売して9年目になりますが、数年前お客様より『九代目のいも焼酎があるのですか?』とのお問い合わせがあり、おかしいと思い調べましたところ、相良酒造(名)の九代目と判明しました。見ると書体もまったく同じように見え、お客様が間違えるのも無理はないと宮元社長に幾度となく相談いたしました。今現在もそのようなお問い合わせが続いている状況です。宮元酒造場『九代目』は発売当時、まったく無名でした。しかし、その品質の素晴らしさ、宮元酒造場と我々酒販店の日々絶え間ない努力によって今の地位を確立しました。・・・」と記載されており、このことからみれば、請求人が請求人使用商標を米焼酎について使用し始めたのは、平成6年頃からと推認される。また、甲第8号証の1(平成14年2月6日付東京都銘酒の華/莊酒店からの手紙)には、「・・・熊本県球磨群多良木町黒肥地で代々合資会社宮本酒造場さんが丹精こめて造る蔵人伝承つくり、球磨焼酎『九代目』を世に出し、これまた長い年月をかけてお陰様で市場に認められ、お客様のご支持を頂きやっと今日の隆盛をみました。・・・従いまして、今日『九代目』という名称は、これらの不断の努力や歴史や事柄を含めた総称のことで、私達が長年にわたり手塩にかけて育て作り上げて来た『ブランド』であります。・・・見聞する所によれば、他の分野ならいざ知らず、同じアルコール飲料の生産者さんが私達の『九代目』を呼称しているとの事誠に遺憾なことと考えます。・・・」と記載されており、甲第8号証の2(平成14年6月10日付東京都黒門町壽屋からの手紙)には、「・・・一生懸命大事に育てている商品『九代目』を名前に乗って売っていこうというこの鹿児島の蔵の考えは、どんな事があっても、宮本さん、許せません・・・」と記載されており、甲第8号証の3(平成14年6月2日付大阪市、有限会社向井商店からの手紙)には、「・・・『九代目』という酒名におきまして、消費者の方々から『それは芋焼酎でも聞いたことがある。』とか『芋の蔵元と九代目米焼酎の蔵元は同じなのか』とか『九代目は米焼酎・芋焼酎どっちが本当なのか』と今まで聞いて参りました。当店と致しましては、消費者の混乱を招く恐れがあると思われます。米焼酎『九代目』を主力として販売している私共と致しましても、宮本酒造様の『九代目』と云う酒名のみにして頂きたく存じ上げます。」と記載されており、甲第8号証の4(浜松市、有限会社リカーズさとうからの手紙)には、「・・・今や当店に於いて『九代目』といえば、米焼酎の代名詞となっております。ところが、最近、九代目の芋焼酎があるとの話をよく耳に致します。・・・同じ乙類焼酎でありながら、似かよった名称は市場に混乱を招く恐れがあると思います。・・・」と記載されており、甲第8号証の5(平成14年10月4日付川崎市、株式会社石澤商店からの手紙)には、「・・・米焼酎『九代目』と同名及びひじょうに類似した商品が現在市場に出回っており、多くの消費者の方々から、商品に対してのまちがった問い合わせ及び苦情をいただき昨今ひじょうに困惑しております。『九代目』商品は、宮本酒造場様が大切に取扱い、また地道な努力により、今日の信頼及びブランドとしての地位を築いて来られたものと確信しております。速やかに、この問題を解決していただきたく、ここにお願い申し上げます。」と記載されており、また、甲第8号証の8(平成14年4月13日付大分県、タマルヤ商店からの手紙)には、「・・・この頃『相良九代目』という芋焼酎が出回っていて、お客様(消費者)からのクレームが相次いでいます。それと言うのも、私の店は、こだわり手造り焼酎を主体とした個別的シェアの拡大に力をそそいでまいりました。お客様との信頼関係を個々に築いている私にとっては多大な迷惑をしています。『相良九代目』が、ディスカウント商品の目玉になっていて、お客様が勘違いして、私の取り扱っている宮元酒造場さんの『九代目』と間違っているのです。同じ焼酎でネーミングが同じであれば当然だと思います。・・・」と記載されている。
以上の甲第8号各証を総合してみれば、遅くとも、被請求人が本件使用商標の使用を中止したと主張している平成14年2月頃までには既に、請求人使用商標は、少なくとも、焼酎の愛好者の間においては、相当程度知られていたものとみるのが相当である。なお、甲第8号各証は、その体裁からみて、いずれも真正に成立したものと認め得るものである。
(2)商品の出所の混同について
前述のとおり、本件使用商標は、請求人使用商標と称呼及び観念において類似し、外観においても相紛らわしいものであり、また、被請求人が本件使用商標を使用した商品と請求人が請求人使用商標を使用した商品とは、「芋焼酎」と「米焼酎」との違いがあるとしても、いずれも「焼酎」であって互いに類似する商品である。そして、上記のとおり、請求人使用商標は、本件使用商標が使用されていた時点において、既に、焼酎の愛好者の間においては、相当程度知られていたものと認められるものである。
そうすると、甲第8号各証の酒販売店から寄せられた顧客からの苦情をも併せみれば、被請求人が本件使用商標を「芋焼酎」について使用すれば、その商品に接する取引者・需要者は、該商品が請求人の業務に係る商品であるかのように誤認し、その商品の出所について混同をするものといわなければならない。
6.故意について
被請求人の主張によれば、被請求人は、平成11年3月頃から、「九代目」の標章を焼酎の標章として採択使用していたところ、請求人より、その使用を中止されたい旨の口頭での申入れがあり、その後、「九代目」の標章は請求人が平成11年5月17日に商標登録出願しているものであるから、「九代目」の標章の使用を中止されたい旨の口答での再度の申入れがあり、この請求人の申入れに対して、被請求人は、同業者同志の争いを避けるために、「九代目」の標章の使用を断念し、新たに「相良九代目」の標章に変更するとの結論に達し、平成11年9月17日に「相良九代目」の商標登録出願をすることとした旨述べている。
そうとすれば、被請求人は、請求人からの上記2度にわたる申入れを受けた時点で、既に、請求人が「九代目」の商標を焼酎に使用していた事実及び「九代目」の文字からなる商標の商標登録出願をしていた事実を認識していたものといわなければならない。
加えて、被請求人は、鹿児島県鹿児島市に事業所を有しており、一方、請求人も熊本県球磨群に事業所を有する者であり、鹿児島県も熊本県も焼酎の産地としては有名な地域であって、被請求人は、焼酎の製造・販売を業とする専門業者であるから、その業務を展開するにあたっては、少なくとも、請求人をはじめとする近県における焼酎製造業者に係る各銘柄の販売状況について十分な情報を把握していたものとみることができる。
それにもかかわらず、被請求人は、前記したとおり、青色の帯状の地に白色で「九代目」の文字を縦書き・筆書体風に大きく表し、その上側に黄土色のやや厚みを持った横長の木片風の図形を地として、赤色で「相良」の文字を右横書きし、その下に小さく「さがら」と振り仮名風に書した態様からなる本件使用商標を商品「焼酎」に使用したものである。
してみれば、被請求人は、「相良九代目」の文字からなる商標への変更を意思決定しておきながら、そして、同書・同大・同間隔に一連に表した「相良九代目」の文字からなる商標の登録出願をして登録を受けておきながら、依然として、本件商標構成中の「九代目」の文字を殊更目立つ態様に変更して使用していたものであって、上記した一連の経緯からみれば、そのような態様で本件商標を「焼酎」に使用すれば、請求人の業務に係る商品「焼酎」と混同を生ずるおそれがあることを認識して、その使用を行っていたものと推認するほかない。
したがって、被請求人は、故意に、請求人の業務に係る商品と混同を生じさせる行為をしたものと認められる。
7.被請求人の主な主張について
(1)被請求人は、本件使用商標の採択使用に際しては、デザインも含めて商標登録出願された「相良九代目」の商品ラベルを印刷所に依頼したところ、印刷所から乙第5号証別紙1の標章が提案され、「九代目」の商標とは類似しない旨の説明・指導を受けたこともあり、被請求人もまた、前記標章の使用は本件商標と同一範囲内の使用であるとの認識で使用していたものであって、故意に不正競争の目的をもって採択使用したものではないから、商標法第51条第1項の規定には該当しない旨主張している。
しかしながら、商標法第51条第1項に謂う「故意」については、最高裁昭和55年(行ツ)第139号判決によれば、「商標権者が指定商品について登録商標に類似する商標を使用し又は指定商品に類似する商品について登録商標若しくはこれに類似する商標を使用するにあたり、右使用の結果、商品の品質の誤認又は他人の業務に係る商品と混同を生じさせることを認識していたことをもって足り・・・」と判示されており、また、東京高裁平成7年(行ケ)第17号判決においても、「商標権者が登録商標に類似する商標を使用するにあたり、使用の結果、他人の業務に係る商品と混同を生じさせることを認識していたことで足りると解され、・・・」と判示されているように、商標権者が指定商品について登録商標に類似する商標を使用し、その使用の結果、他人の業務に係る商品と混同を生じさせることを認識していたことをもって足りるのであって、他人の利益を侵害する意思や不正競争の目的等のような悪意があることまでが要件とはなっていないものと解される。
そうとすれば、「本件使用商標を故意に不正競争の目的をもって採択使用したものではないから、商標法第51条第1項の規定には該当しない」旨の被請求人の主張は、その前提において誤っているものといわなければならない。
しかも、被請求人は、弁理士岩永方之を代理人として、本件商標の登録を受けており、その後も、被請求人の使用に係る商標についての請求人との交渉にあたっては、同弁理士を代理人として、平成14年2月18日付の回答書(乙第3号証)、平成14年5月1日付の回答書(乙第6号証)、平成14年5月16日付の報告書(乙第7号証)及び平成14年5月30日付の回答書(乙第9号証)を請求人に送っていたことが認められる。
そうとすれば、焼酎のラベルのデザインについて、印刷所の助言を受けることは有り得るとしても、請求人との間で既に商標を巡る問題が生じている状況のもとにおいて、商標の類否判断について、専門家である弁理士ではなく、一般的に商標の類否判断等の鑑定業務を行い得るとも思えない印刷所からの説明・指導を受けたとの主張には大きな疑問があり、このことが商標の類否判断にあたって故意がなかったことの理由の一つであるかのように述べている被請求人の主張は俄には採用し難いところである。
(2)また、被請求人は、請求人の要求に対しては誠意をもって、その都度、迅速、的確に対応して、使用の中止、使用の変更を実行し、平成14年3月11日以降は本件使用商標を付した焼酎の出荷を中止し、登録商標を正しく使用してきたものである旨主張している。
確かに、請求人による平成14年2月6日付の通告(乙第2号証)以降の請求人からの申入れに対して、被請求人は、その都度、迅速な応答をしていたものと認められ、また、被請求人の取引先に対しても、一定程度の対応をしていたことを認めることができる。
しかしながら、本件審判において問題とされるべき点は、先において述べたとおり、被請求人は、請求人による「九代目」商標の使用を認識しながら、そして、被請求人自身、一連一体の構成からなる「相良九代目」の商標の登録出願をしておきながら、「九代目」の文字を殊更目立つ態様に変更して、他人の業務に係る商品と混同を生ずるような使用をし、本件商標の登録後も、引き続き該商標の使用をしていた事実である。商標法第51条の取消審判は、ただ単に、類似した商標を有する者(請求人)との関係を調整する規定ではなく、一般公衆を害するような登録商標の使用をした場合についての制裁規定であり、何人でも請求し得るものである。そうとすれば、請求人との関係において、迅速・的確な対応をしたからといって、また、その後、本件商標を適正な態様での使用に変更したからといって、そのことによって、商標法第51条の適用を免れることにはならない。
なお、本件使用商標は、少なくとも平成14年3月11日頃まで引き続き使用されていたものであり、本件取消審判は、平成15年11月7日に請求されたものであるから、不当な使用を中止してから5年以上経過しておらず、本件審判請求は、商標法第52条(同法第51条の取消審判についての除斥期間の規定)の規定に該当するものではない。
以上のとおり、これらの点についての被請求人の主張は、いずれも採用できない。
8.結び
したがって、本件商標の商標権者である被請求人は、故意に、本件商標と類似する商標をその指定商品について使用し、他人の業務に係る商品と混同を生ずるものをしたものというべきであるから、商標法第51条第1項の規定により、本件商標の登録は取り消しを免れない。
よって、結論のとおり審決する。
Next Action
類似審決の追加調査から中間応答、新規出願の費用確認まで、この審決を起点に次のアクションへ進めます。
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