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Trademark Appeal Case

イオンフィルターの記述性

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号不服2003−14389(T2003−14389/J1)
審判種別不服
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

本件審判の請求は、成り立たない。

理由テキスト

第1 本願商標

本願商標は、「イオンフィルター」の文字を標準文字で書してなり、第7類「家庭用食器洗浄機,家庭用電気式ワックス磨き機,家庭用電気洗濯機,家庭用電気掃除機,電気ミキサー」を指定商品として、平成14年7月8日に登録出願されたものである。

第2 原査定の拒絶理由の要点

本願商標は、「イオンを利用したフィルターを有するもの」のごとく認識される外来語「イオンフィルター」の文字を普通に用いられる方法で書してなるものであるから、これをその指定商品中、例えば「イオンを利用したフィルターを有する掃除機等」に使用しても、単に商品の品質を表示する標章のみからなる商標と認める。

したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当し、前記商品以外の商品に使用するときは、商品の品質の誤認を生じさせるおそれがあるから、商標法第4条第1項第16号に該当する。

第3 当審の判断

1 当審で行った職権による証拠調べによれば、以下の事実が認められる。

[A]本願の指定商品の分野における「イオン」、「フィルター」の語の使用について

(1)2001年10月20日付け朝日新聞(東京夕刊7頁)には、「冷蔵庫・エアコン・洗濯機・・・『イオン家電』花盛り」の見出しのもと、「エアコンや冷蔵庫など、暮らしに密着した家電製品に、『イオンの力』を売り物にした新顔が次々と登場しています。においや雑菌を取り除いたり、洗浄力を高めたりと、新機能は多彩。・・・邪魔もの退治 邪魔なイオンを取り除くことで性能向上を図ったのは、日立製作所の全自動洗濯機・・カルシウムやマグネシウムなど、水道水に含まれる金属イオンは洗剤と結合しやすく、洗剤が衣服の汚れにたどり着く前に石けんかすに変えてしまう。そこで3年前、水道水を樹脂フィルターに通し、金属イオンを7割減らす初代製品を出した。」との記事の掲載がある。

(2)2002年1月29日付け日刊工業新聞(5頁)には、「メイキング田中、マイナスイオンで水・空気を浄化するネット発売」の見出しのもと、「・・マイナスイオンと遠赤外線が発生するネット『イオストン』を製品化した。空気や水を消臭、除菌、活性化させる作用があるという。・・・家庭用、自動車用のエアコンのフィルター、冷蔵庫の鮮度保持材、浴槽や水質改善に関する装置のフィルターとして家電メーカーなどに販売していく。」との記事の掲載がある。

(3)2003年7月16日付け化学工業日報(5頁)には、「日立H&S、除菌システム搭載の家庭用クリーナーを発売」の見出しのもと、「家庭用掃除機市場は、紙パックが不要なサイクロン方式が増えている。同社独自の『スパイラルたつまきサイクロン方式』は、吸込仕事率を大幅アップし、強力パワーを実現しているが、かつ細菌を徹底除去し、匂いを軽減したマルチ除菌・消臭システムも大きな特徴。ヒダ折りブラックフィルターや洗える抗菌HEPAクリーンフィルターなどの多段フィルターを通してから排気するため、細菌を九九%以上除去できる。また両側面には(竹炭・イオン)抗菌・消臭HEPAクリーンフィルターなど備えたことにより、微細なほこりもキャッチする。」との記事の記載がある。

(4)2003年8月19日付け毎日新聞(大阪夕刊2頁)には、「[情報ひろば]イオンできれいな排気など」の見出しのもと、「イオンできれいな排気 三洋電機は、吸い込んだ空気をイオンで除菌する掃除機『ジェットターン』を9月1日、発売する。掃除機内に『プラズマ除菌ユニット』を搭載。高濃度のイオンを発生させ、フィルターに引っかかった雑菌を分解し排気をきれいにする。」との記事の掲載がある。

(5)2003年12月22日付け日刊工業新聞(9頁)には、「ダイワボウ、消臭機能持つ高付加価値繊維の市場開拓へ」の見出しのもと、「ダイワボウは、消臭機能を持つ高付加価値繊維『デオメタフィ』の市場開拓に乗り出す。掃除機フィルターなど家電製品の分野で売り上げ拡大を目指すほか、排ガス中のNOXやSOXの吸着分解能力を生かして自動車分野の攻略も狙う。・・『デオメタフィ』は有機化合物のフタロシアニンを繊維にイオン結合させた構造。フタロシアニンがにおいを吸着し、組成構造を分解して消臭する。この特徴を応用、掃除機やエアコンのフィルターとして家電分野の拡販に取り組む。すでに一部家電メーカーに納入しており、近く本格的な販売に移行する。」との記事の掲載がある。

(6)2004年5月1日付け読売新聞(大阪朝刊11頁)には、「掃除機 高性能で勝負 販売数3割サイクロン 吸引力アップ/ダニ不活化」の見出しのもと、「電機メーカーが高機能の掃除機を次々に投入している。床材の多様化や健康への関心の高まりを背景に、吸引力を強めたり、排気口にダニやウイルスを不活化するフィルターを使用したりした特徴ある製品が増えている。・・シャープの『EC―BP2』は、ごみをためる容器に、雑菌の繁殖を抑える効果がある銀イオンを塗った。・・松下電器産業が五月に売り出す『あっちこっち ふき掃除機(MC―P2XD)』は、吸引力が業界最高の六百二十ワットある。排気口に付けた独自開発のフィルターで、花粉やダニを99%不活化するとしている。」との記事の掲載がある。

(7)2004年10月16日付け読売新聞(大阪朝刊10頁)には、「松下電器 抗菌フィルター、白物家電にも アジアでも販売」の見出しのもと、「松下電器産業は十五日、アレルギー物質の活動を抑える独自の抗菌フィルターを、白物家電全般に付けることを明らかにした。フィルターは空気清浄機用に開発したが、健康志向の高まりから、幅広く需要が見込めると判断した。・・ フィルターは、ポリマー(高分子)、緑茶カテキン、酵素を組み合わせて、表面に付着させている。空気中に浮遊する花粉、カビ菌、ダニの死がい、ペットのフケなど九種類のアレルギー物質を捕らえ、活動を99%抑制するという。フィルターは二〇〇三年八月に空気清浄機に初めて付け、二〇〇三年度中は加湿器、布団乾燥機、ファンヒーター、エアコンなど六分野を対象にした。二〇〇四年度はさらに、除湿器、扇風機、洗濯乾燥機、電気カーペット、掃除機の五分野にも本格的に展開する計画だ。今後は海外市場も強化し、中国、香港などアジアでも空気清浄機を中心に販売する方針だ。家電メーカーは、イオンや電解水による除菌、省電力機能など独自の技術を、各製品に応用する動きを強めている。」との記事の掲載がある。

[B]本願の指定商品以外の分野における「イオン」、「フィルター」の語の使用について

(1)1987年1月8日付け日本経済新聞(夕刊6頁)には、「那須ロイヤル美術館−肉筆の浮世絵一堂、外観、周囲の景観にピタリ」の見出しのもと、「・・・年中、室温は摂氏二〇度、湿度五〇%に保ち、温泉地の硫黄分を除くためイオンフィルターで空気を浄化している。」との記事の掲載がある。

(2)1993年1月7日付け日経産業新聞(16頁)には、「温水専用浄水器、ジオックスが発売。」の見出しのもと、「ジオックスは特殊銅イオンフィルターを使用した温水専用浄水器『ジオクリーン シャワー』を発売した。カルキ臭などにおいの原因となる水道水中の残留塩素や様々な雑菌を除去する・・」との記事の掲載がある。

(3)1993年1月20日付け日経産業新聞(7頁)には、「日立、新タイプ冷蔵庫、包装しなくても乾燥させず保存。」の見出しのもと、「・・・除菌作用の高い銀イオンをフィルターや樹脂に入れてあるため、従来機種以上に衛生的という。」との記事の掲載がある。

(4)2001年10月5日付け日刊工業新聞(31頁)には、「タキオン、マイナスイオン式床下換気装置を開発」の見出しのもと、「価格は、・・マイナスイオンフィルターが1枚3500円、・・・新製品は換気扇で吸い込まれた外気がトルマリン鉱石の微粉末が付いたフィルターを通過することでマイナスイオンを含んだ気体となり、さらに電極を用いたマイナスイオン発生部を通ることで、より強力なマイナスイオンを発生させ吹き出し口から床下に拡散する仕組み。フィルターと発生部で作られた気体は性質が異なるためハイブリッド効果を生み、湿気の多い床下に多くせい息するゴキブリや白アリなどの害虫駆除に効果を発揮する。」との記事の掲載がある。

(5)2004年3月9日付け日刊工業新聞(14頁)には、「コロナ、空気を除菌・脱臭する除湿器を発売」の見出しのもと、「新しく光触媒菌・脱臭フィルターを搭載し、マイナスイオンで脱臭と除湿しながら部屋の空気を除菌、脱臭する。」との記事の掲載がある。

(6)2004年9月30日付け日刊工業新聞(14頁)には、「松下エコシステムズ、空気清浄機用フィルターを異業種へ拡販」の見出しのもと、「松下エコシステムズは、空気清浄機用フィルターの用途開拓に乗り出す。家電製品への横展開に加え、住宅や自動車など異業種への展開にも取り組む。ダニや花粉、新型肺炎(SARS)ウイルスを不活化(働きを抑える)できる機能を浸透させる・・松下エコシステムズは空気清浄機用に開発したフィルターを同社の保湿器、換気扇や、松下電器産業のエアコン、洗濯乾燥機、掃除機などの家電にも展開している。」との記事の掲載がある。

2 前記1で認定した事実によれば、近時、マイナスイオンを発生させ、脱臭や除菌、あるいはリフレッシュ効果等をうたった家電製品等が市場に多数販売されていること、家電製品の中には、イオンとフィルターとを相互に連関させ、脱臭や除菌効果等を高めることをうたい文句としたエアコンディショナー、空気清浄機、電気掃除機、電気冷蔵庫などの商品が存在し、販売されている実情にあること、家電製品以外の分野であっても、家電製品にきわめて近い商品といえる浄水器や床下換気装置等を取り扱う分野において、マイナスイオンの力を利用し、脱臭や除菌の効果等を高めるためのフィルターを「イオンフィルター」と称している事実があることなどが認められる。

3 本願商標は、前記のとおり、「イオンフィルター」の文字よりなるものであるところ、前記2で認定した家電製品の分野、あるいは家電製品にきわめて近い商品分野である浄水器や床下換気装置等を取り扱う分野の実情よりすれば、需要者が「イオンフィルター」の文字に接した場合、「イオンの力を利用し、脱臭や除菌効果等を高めるフィルター」の意味合いを表したと理解することは容易いというのが相当である。

そうすると、本願商標は、これをその指定商品中、一般的にフィルターが備え付けられていると考えられる家庭用電気掃除機、家庭用電気洗濯機について使用しても、上記意味合いをもって、商品の品質、効能を表示するにすぎないものであって、自他商品の識別標識としての機能を発揮することはできないとみるのが相当である。また、本願商標は、上記以外の商品について使用するときは、商品の品質について誤認を生じさせるおそれがあるものといわざるを得ない。

4 請求人は、本願商標を構成する「イオンフィルター」の表現が使用されている事実は見出すことはできない。また、前記1の証拠調べから明らかなように、「イオン」と「フィルター」との関係はきわめて多様であり、様々な意味を暗示するものであるから、本願商標は、商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当しない旨主張する。

確かに、本願商標の指定商品の分野においては、「イオンフィルター」の語それ自体は、普通に使用されている事実が見出せないことは否定し得ないが、前記2で認定したとおり、エアコンディショナー、空気清浄機、電気掃除機等の家電製品には、イオンとフィルターとを相互に連関させ、脱臭や除菌効果等を高めるとうたった商品が存在するばかりでなく、家電製品にきわめて近い商品分野において、マイナスイオンの力を利用し、脱臭や除菌の効果等を高めるためのフィルターを「イオンフィルター」と称している事実があることを考慮すれば、本願商標は、前記3のとおり判断するのが相当であるから、請求人の上記主張は採用することができない。

5 以上のとおりであるから、本願商標が商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当するとして本願を拒絶した原査定は、取り消すことはできない。

よって、結論のとおり審決する。

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