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Trademark Appeal Case

地名商標の識別力

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号不服2001−9597(T2001−9597/J1)
審判種別不服
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

本件審判の請求は、成り立たない。

理由テキスト

1 本願商標

本願商標は、「KENSINGTON」の欧文字を標準文字により書してなり、第3類、第6類、及び第9類の願書記載の商品を指定商品として、平成11年2月1日登録出願、その後、指定商品については、平成13年6月7日付、及び同15年11月14日付手続補正書をもって、最終的に、第3類「コンピュータ及びOA機器用洗浄剤(工業用のものを除く。),つや出し剤,つや出し紙,つや出し布」、第6類「コンピュータ・コンピュータの周辺機器その他の電子応用機械器具及びその部品・事務用機器及び電気通信機械器具用金属製安全錠・鍵及びワイヤー錠,その他の安全錠・鍵・南京錠,その他の金属製金具」、及び第9類「コンピュータ,記録媒体に記録されたコンピュータ用マニュアルその他のコンピュータソフトウェア,コンピュータ用キーボード,コンピュータ用マウス,その他のコンピュータ用入力装置,コンピュータ用リストレスト,コンピュータ用光輝防止用ディスプレイスクリーン,コンピュータ用冷却放熱扇風機,コンピュータ用ディスプレイパネル,コンピュータデータバックアップ装置,磁気ディスク・CD−ROMその他の記録媒体収納用容器,その他の電子応用機械器具及びその部品,ディジタルカメラ及びその附属品,サージ保護装置,無停電電源供給器,電線及びケーブル,電気通信機械器具,コンピュータ及びその附属品用キャリングケース」と補正されたものである。

2 当審において通知した拒絶の理由

平成15年7月11日付拒絶理由通知書をもって、以下の拒絶の理由を通知した。

この商標登録出願に係る商標は、「KENSINGTON」の欧文字を書してなるものであるところ、この文字については以下の事実が認められるところである。

すなわち、ケンジントン(KENSINGTON)については、JTB発行「ワールドガイド『ロンドン』」、株式会社大修館書店発行「ロンドン事典」等のイギリスを紹介する書籍、観光案内書等における紹介記事も多く、それらによれば、ケンジントンは、イギリス、ロンドン中心部にあり、高級住宅地として発展してきた街で、ショップやレストランも充実しており、また、同地区内には、ケンジントン・パレス(KensingtonPalace、東側部分は一般公開、西側部分は王族の住居、チャールズ皇太子妃プリンセス・ダイアナの最後の住いでもあった。)と、その庭園として整備されてきた公園で一般に公開されているケンジントン・ガーデンズ(KensingtonGardens)もあり、緑豊かな観光地としても知られていることが認められる。さらに、実業之日本社発行「ロンドンミシュラン・グリーンガイド」によれば、同地区には、ケンジントン・ハイ・ストリート(KensingtonHighStreet)を中心とする商業地区があり、最新流行ファッションや古着などを揃えたマーケット、大型デパート並にあらゆる品を揃えている店などもあることが認められる。

してみると、「KENSINGTON」の文字は、イギリス、ロンドン中心部にある地区名の一つを表示したものであり、同地区は、著名な観光地であると共に商業地区もあり、各種商品が販売されているものと認められるものである。そして、我が国からイギリスへの観光客の多いこと、近年、個人輸入の増加等により各種商品がイギリスから多数輸入されている実情からすれば、本願商標をその指定商品に使用しても、単に商品の産地又は販売地を表示するに止まり、自他商品の識別標識としての機能を果たすことはできないものとみるのが相当である。

したがって、この商標登録出願に係る商標は、商標法第3条第1項第3号に該当するものである。

3 請求人の意見

請求人は、上記2の拒絶の理由に対し、要旨次のように述べている。

(1)本願商標「KENSINGTON」は、ロンドンの旧首都圏区の一つの名称であったことは否定しないが、現在は、「KENSINGTON AND CHELSEA」(ケンジントン=チェルシー)の名称が使用されており、単独の地名としては存在せず、また、「ケンジントン言葉」や「ケンジントン気質」といった、意味を有するものであるから、かならずしも地名としてのみ認識されるものではない。

(2)本願の指定商品は、コンピュータ及びその周辺・付属機器類を指定商品の主とするものであるところ、「ケンジントン・ハイ・ストリート」には、流行の先端を行く高級商店が存在するかもしれないが、「ケンジントン」がそれ自体単独で、本願指定商品の販売地、製造地として認識、或いは我が国に知られている事実は全くない。

(3)請求人は、本願商標をその指定商品に使用し販売しており、実際に商標として機能しているものであり、長い歴史を有する世界的に著名な商標である。

(4)「KENSINGTON」の文字よりなる商標は、他の複数の国において識別力有るものとして登録されているから、我が国のみが識別性を否定するのは、不合理である。

(5)「KENSINGTON」の文字を含む「KENSINGTON PALACE」の文字よりなる登録第4631294号商標、及び「Kensington Club」の文字と図形よりなる登録第3264782号商標が存在し、いずれも指定商品を「イギリス製」とはしていないことから、該文字は、特許庁において商品の産地、販売地とは認識されないという判断がなされていることが窺え、また、イギリスの地名に係る登録商標が多数存在している。

(6)本願商標は商標法第3条第1項第3号に該当するものではないが、仮に該当する場合であっても、本願商標は、使用により識別性を有するに至ったものであり、商標法第3条第2項の適用を受けることができるものであるから、これに関する資料として、甲第114号証ないし甲第142号証を提出する。

4 当審の判断

本願商標は、「KENSINGTON」の欧文字よりなるところ、「ケンジントン(KENSINGTON)」は、イギリス、ロンドン中心部にある旧自治区であって、1965年に近隣のチェルシー(Chelesea)地区と合併し、現在は「Kensington and Chelsea」の一部であるが、上記2の拒絶理由で示したイギリスを紹介する書籍、観光案内書等における紹介記事等によれば、合併し、「Kensington and Chelsea」となった後においても、単に「ケンジントン」の文字をもって、我が国においては地名の如く紹介され、使用されていると認められるものである。

そして、「ケンジントン」は、著名な観光地であると共に商業地区でもあって、各種商品が販売されており、我が国からイギリスへの観光客の多いこと、近年、個人輸入の増加等により各種商品がイギリスから多数輸入されている実情からすれば、本願商標をその指定商品に使用しても、単に商品の産地又は販売地を表示したものと認識されるに止まり、自他商品の識別標識としての機能を果たすことはできないものとみるのが相当である。

したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当するものであり、上記2の拒絶の理由をもって拒絶すべきものである。

なお、請求人は、「KENSINGTON」は、地名として存在せず、かつ、複数の意味合いを有するから、産地販売地とは認識されない旨主張するが、「商標登録出願に係る商標が商標法第3条第1項第3号にいう『商品の産地又は販売地を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標』に該当するというためには、必ずしも当該指定商品が当該商標の表示する土地において現実に生産され又は販売されていることを要せず、需要者又は取引者によって、当該指定商品が当該商標の表示する土地において生産され又は販売されているであろうと一般に認識されることをもって足りるというべきである。」との判決例(昭和61年1月23日 昭和60年(行ツ)第68号 最高裁第1小法廷判決 当庁審決取消訴訟集 昭和61年版1775頁)に照らせば、必ずしも「ケンジントン(KENSINGTON)が指定商品の産地、販売地として実際に周知であることを要するものではない。

また、請求人の挙げる「KENSINGTON」の文字を含む登録例は、構成文字全体から特定の意味合いを把握させるものであって、必ずしも「KENSINGTON」の文字部分が独立して、地名を認識させるとはいえないものである。

そして、イギリスの地名に係る過去の我が国における登録例、及び外国における登録例を挙げ、本願商標も登録を認められるべきであると主張しているが、過去における登録例が本件の判断の基準とされるものとはいえず、本願商標が産地、販売地として認識され得るものであることは、前記認定のとおりであって、かつ、本願商標は、我が国商標法のもとで、その登録の可否が判断されるのであるから、諸外国における登録例をもって、本願商標に関する自他商品識別性の判断結果に影響を与えるとはいえないものである。

してみれば、本願商標について識別性があるものと主張する、上記3(1)ないし(5)の請求人の主張は、採用することができない。

なお、請求人は、上記3(6)において、本願商標は、商標法第3条第2項の適用をうけることのできるものである旨主張し、証左を提出している。

しかしながら、前記条文の規定の適用を受けることができるのは、使用された結果需要者が何人かの業務に係る商品又は役務であることを認識することができるものであるところ、請求人の提出した証左によっては、本願商標と同一の商標を、上記1で認定した本願の指定商品全てにおいて使用をしているとはいえず、かつ、本願商標を使用しているとする商品が請求人の製造、販売に係る商品であることを確認することができないから、請求人のこの主張も採用することができない。

よって、結論のとおり審決する。

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