Trademark Appeal Case
記述的商標の識別力
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 不服2003−14386(T2003−14386/J1) |
|---|---|
| 審判種別 | 不服 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理由テキスト
第1 本願商標
本願商標は、「マイナスイオンモイスチャー乾燥」の文字を標準文字で書してなり、第7類「家庭用食器洗浄機,家庭用電気式ワックス磨き機,家庭用電気洗濯機,家庭用電気掃除機,電気ミキサー」及び第11類「家庭用電熱用品類」を指定商品として、平成14年8月6日に登録出願されたものである。
第2 原査定の拒絶理由の要点
本願商標は、「マイナスイオンモイスチャー乾燥」の文字を普通に用いられる方法で書してなるところ、その構成中の「マイナスイオン」の文字部分は、「空気中に存在するイオンのうち,マイナスに帯電したもの」、「モイスチャー」の文字部分は、「湿気、うるおい」、そして、「乾燥」の文字部分は、「乾くこと」等の意味で一般に親しまれて使用されているものであるから、これを指定商品中の例えば、「家庭用電気洗濯機」に使用した場合は、「過乾燥となっている衣類にうるおいを与えるマイナスイオンモイスチャーを利用した家庭用電気洗濯機」程度の意味合いを認識させるにすぎず、単にその商品の品質を表示するにすぎないものと認める。
したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当し、前記商品以外の商品に使用するときは、商品の品質の誤認を生じさせるおそれがあるから、商標法第4条第1項第16号に該当する。
第3 当審の判断
1 当審で行った職権による証拠調べによれば、以下の事実が認められる。
(1)2001年7月2日付け日刊工業新聞(26頁)には、「松下電工、イオン発生機構搭載し潤い保てるドライヤー発売」の見出しのもと、「・・髪の乾燥と同時にブラシ中央の吹き出し口からマイナスイオンが噴出する仕組み。同イオンが髪表面に付着して水分を保護するため、うるおいを保ちながら髪をやさしくセットできる。」との記事の掲載がある。
(2)2001年9月13日付け毎日新聞(東京朝刊22頁)には、「[特集]役立つ住宅情報 ハウジング・ミニ情報 のどや肌に潤いを−−松下電工」の見出しのもと、「松下電工はこのほど、独自のマイナスイオンミストで乾いた部屋に潤いといやしを与える『アクアリフレ・イオンミスト』を新発売した。通常のスチームミストの約3倍の吸着力を持ったマイナスイオンミストでのどや肌に潤いを提供。パソコン、AV機器などから放出されるプラスイオンを緩和し、部屋をリフレッシュする。本体のエアフィルターで小さなホコリもキャッチする空気清浄機能が付いている。」との記事の掲載がある。
(3)2002年4月9日付け共同通信には、「『経済ウイークリー』〈気のなる商品〉『マイナスイオン家電』『癒やし効果』に高い関心 髪や肌に潤い」の見出しのもと、「水滴がぶつかり合った際などに生じる、マイナスの電気を帯びた微細な水の粒子『マイナスイオン』。渓流のほとりや雨上がりの森を歩くと心身が安らぐように、マイナスイオンが豊富な環境は、人に精神安定や血液浄化などの作用をもたらすと言われている。『癒やし効果』に科学的な裏付けは希薄だが、最近は消費者の関心の高まりを反映し、マイナスイオンを発生させる手軽な家電製品が続々と登場している。松下電工が三月から売り出したのは・・エステサロンなどで使われている顔に水蒸気を当てて潤いを与えるスチーマーに『マイナスイオン機能』を付加した。従来品よりもきめ細かな水の粒を発生させ、肌の表面の角質に浸透するので『潤いのあるツルツル肌をつくる』という。日立製作所の『マイナスイオンドライヤー』は、枝毛やぱさつきなど、傷んだ髪に潤いを与えて水分で覆う効果をうたう。温風吹き出し口はドーナツ型で、中央部にマイナスイオンを閉じ込めて吹き付ける仕組み。」との記事の掲載がある。
(4)2002年7月4日付け共同通信には、「イオン家電で買い替え促進 除菌やリフレッシュうたう」の見出しのもと、「滝のほとりなどに漂うイオンを人工的につくりだして、除菌やリフレッシュ効果をうたった『イオン家電』が増加の一途だ。国内家電メーカーは安価な輸入製品にはない高付加価値製品として、イオン機能付きの機種を続々投入、買い替え需要を掘り起こしている。イオンは空気中に含まれている粒子で、森の中や水辺などに多く、マイナスとプラスがある。医学的には完全に証明されていないが、マイナスイオンは細胞の老化を遅らせ新陳代謝を促し、ストレスの緩和や疲労感の軽減、快眠などに効果があるといわれている。さらに、除菌や脱臭など、使い方によってさまざまな効果があると期待されている。シャープはイオンの力で脱臭、除菌する『プラズマクラスター』機能を備えた家電を相次いで発売。・・松下電工は、マイナスイオンの力で髪に潤いを与えるヘアドライヤーが大ヒットしたほか、マイナスイオンによる『リラックス効果』をうたった加湿器などの売れ行きも好調という。今後はイオン関連製品のラインアップを強化し、電動マッサージいすなどにも広げていく方針だ。」との記事の記載がある。
(5)2003年8月29日付け日刊工業新聞(8頁)には、「松下電工、空気浄化機を発売−超微細ミストで加湿も」の見出しのもと、「松下電工は、超微細サイズのナノイーミストとマイナスイオンミストで加湿する空気浄化機・・を9月1日に発売する。水に高電圧をかけ、直径約18ナノメートルに微細化したのがナノイーミストで、通常のスチームでは入り込めない人肌の角質まで浸透、潤いを保つ。」との記事の掲載がある。
(6)2004年3月18日付け朝日新聞(東京夕刊5頁)の「プレゼント マリオン」欄には、「マイナスイオンドライヤー」の項目に「マイナスイオン吹き出し口を2カ所設けて効率よく髪にうるおいを与える。遠赤外線の効果で素早く乾燥するので、髪へのダメージが少ないという。」との記載がある。
(7)「現代用語の基礎知識2004」(株式会社自由国民社発行)の「マイナスイオン・ドライヤー」の項目(1158頁)には、「・・従来、『ドライヤーを当てると髪が傷む』のが常識だったが、ここにきてマイナスイオンの効果で髪をしっとり潤わせるドライヤーが登場した。髪に当てるだけで、微粒子のマイナスイオンがキューティクルの間に入り込み、水分を浸透させるという。髪がしっとりする、まとまりやすくなるなど利用者の評判は良く、通常のドライヤーの3倍程度の高値にもかかわらずヒットしている。」との記載がある。
2 前記1で認定した事実によれば、近時、マイナスイオンを発生させ、脱臭や除菌、あるいはリフレッシュ効果等をうたった家電製品が市場に多数販売されていることが認められる。そして、家電製品の中には、衣類や住居、あるいは毛髪、皮膚等を乾燥させることを目的とする商品が存在することは周知の事実であるところ、例えば、ドライヤーは、マイナスイオンを発生させることにより、毛髪を乾燥させると同時に毛髪に潤いを与えるといった効果があることをうたい文句として宣伝広告している実情にあることなどが認められる。
3 本願商標は、前記のとおり、「マイナスイオンモイスチャー乾燥」の文字よりなるものであるところ、その構成中の「マイナスイオン」の文字部分は、前記2で認定した家電製品を取り扱う分野の実情よりすれば、「マイナスイオンを発生する商品」の意味合いを表したと理解させるものである。
また、我が国における英語の普及程度から考えると、「モイスチャー」の語が「潤い」を意味するものであることは、家電製品の一般的需要者においても十分に理解されるものといえるから、該「モイスチャー」が「乾燥」の文字と結合した場合、前記2で認定した家電製品を取り扱う分野の実情を考慮すれば、「乾燥と同時に潤いを与える効果のある商品」の意味合いを理解させるものであって、本願商標全体としては、「マイナスイオンを発生させることにより、乾燥と同時に潤いを与える効果のある商品」なる意味合いを認識させるというのが相当である。
したがって、本願商標は、これをその指定商品中、「乾燥させることを目的とした商品」若しくは「乾燥機能が備え付けられた商品」について使用しても、上記意味合いをもって、商品の品質、効能を表示するにすぎないものであって、自他商品の識別標識としての機能を発揮することはできないとみるのが相当である。また、本願商標は、上記商品以外の商品について使用するときは、商品の品質について誤認を生じさせるおそれがあるものといわざるを得ない。
4 請求人は、本願商標を構成する「マイナスイオンモイスチャー乾燥」や「マイナスイオンモイスチャー」、「モイスチャー乾燥」の表現が使用されている事実は見出すことはできない。また、本願商標は、「マイナスイオン」と組み合わせて用いられることのない「モイスチャー」との意外な組み合わせであり、かつ、「モイスチャー」と相反する意味の「乾燥」との組み合わせが需要者の注意を引くものであるから、商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当しない旨主張する。
確かに、「マイナスイオンモイスチャー乾燥」の語それ自体は、本願の指定商品の分野において普通に使用されている事実がないことは否定し得ないが、前記2で認定した家電製品を取り扱う分野における実情を考慮すれば、本願商標は、前記3のとおり判断するのが相当であるから、請求人の上記主張は採用することができない。
5 以上のとおりであるから、本願商標が商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当するとして本願を拒絶した原査定は、取り消すことはできない。
よって、結論のとおり審決する。
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