Trademark Appeal Case
商品形状の識別力
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 平成10年審判第17493号 |
|---|---|
| 審判種別 | 不服 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理由テキスト
1 本願商標
本願商標は、商標の構成を別紙に示すものとし、第25類「靴中敷き」を指定商品として、平成9年4月1日に立体商標として登録出願されたものである。
2 原査定の理由
原査定は、「本願商標は、『靴中敷き』の形状の一形態を認識させる立体的形状よりなるものであるから、これを本願指定商品について使用しても、単に商品の形状を普通に用いられる方法で表示するものと認める。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当する。」旨認定し、本願を拒絶したものである。
3 当審の判断
(1)平成8年法律第68号により改正された商標法は、立体的形状若しくは立体的形状と文字、図形、記号等の結合又はこれらと色彩との結合された標章であって、商品又は役務について使用をするものを登録する立体商標制度を導入した。
立体商標は、商品若しくは商品の包装又は役務の提供の用に供する物(以下「商品等」という。)の形状を含むものであるが、商品等の形状は、本来それ自体の持つ機能を効果的に発揮させたり、あるいはその商品等の形状の持つ美感を追求する等の目的で選択されるものであり、本来的(第一義的)に商品・役務の出所を表示し、自他商品・役務を識別する標識として採択されるものではない。
そして、商品等の形状に特徴的な変更、装飾等が施されていても、それは商品等の機能、又は美感をより発揮させるために施されたものであって、全体としてみた場合、商品等の機能、美感を発揮させるために必要な形状を有している場合には、これに接する取引者、需要者は当該商品等の形状を表示したものであると認識するに止まるというのが相当である。
また、商品等の形状は同種の商品等にあっては、その機能を果たすためには原則的に同様の形状にならざるを得ないものであるから、取引上何人もこれを使用をする必要があり、かつ、何人も使用を欲するものであって、一私人に独占を認めるのは妥当でないというべきである。
そうとすれば、商品等の機能又は美感とは関係のない特異な形状である場合はともかくとして、商品等の形状と認識されるものからなる立体的形状をもって構成される商標については、使用された結果、当該形状に係る商標が単に出所を表示するのみならず、取引者、需要者間において当該形状をもって同種の商品又は役務と明らかに識別されていると認識することができるに至っている場合を除き、商標法第3条第1項第3号に該当し、商標登録を受けることができないものと解すべきである。
立体商標制度を審議した工業所有権審議会の平成7年12月13日付け「商標法等の改正に関する答申」P30においても、「3.(1)立体商標制度の導入▲3▼需要者が指定商品若しくはその容器又は指定役務の提供の用に供する物の形状そのものの範囲を出ないと認識する形状のみからなる立体商標は登録対象としないことが適当と考えられる。・・・ただし、これらの商標であっても使用の結果識別力が生ずるに至ったものは、現行法第3条第2項に基づき登録が認められることが適当である。」としている。
(2)これを本願についてみれば、本願商標は、商品「靴中敷き」の形状としてその一形態を表すものであるから、これをその指定商品「靴中敷き」について使用しても、取引者、需要者は、単に商品の形状を表示したものと認識するにすぎないものと判断するのが相当である。
(3)請求人は、本願商標は、別紙に示すとおり、土踏まず近辺から後半の側縁部全周にひれ状の立上がり部を有し、また、裏面側には曲線及び凹みをもって幾何学模様を現出した靴中敷きの立体形状に係るもので、全体の平面形状及び指定商品との関係から靴中敷きの形状に係るものと認識するとしても、本願商標によって表される形状・模様は、通常の靴中敷きの形状・模様とは格段の相違を有しており、取引者、需要者の注意を喚起する外観特異性を有するものであって、本願商標は、指定商品について自他商品識別力を発揮し得る商標である旨等種々主張する。
しかしながら、本願商標は、靴中敷きの表面側において前記の如き側縁部全周にひれ状の立上がり部を形成した点及び裏面側において曲線及び凹みをもって幾何学模様を形成した点において、通常の靴中敷きとは異なる形状を示しているとしても、それは靴ズレや足ムレを少なくする等の靴を履きやすくするための目的で靴中敷きの表面側、裏面側に採用された形状・模様と認められ、通常の靴中敷きに比べその商品の機能をより発揮させるためのものというべきである。
そうとすれば、請求人の主張する本願商標の靴中敷きの形状の特異性も機能に係るものといえるから、それをもって、直ちに商品の出所を識別する自他商品の識別機能を有するものと認めることはできない。また、通常の靴中敷きの形状とは異なるものであっても、それが商品の機能に関わるものである以上は、これに接する取引者、需要者は、当該商品の形状を表示したものであると認識するに止まるというのが相当である。
そして、商品又は商品の包装の形状であっても、使用された結果自他商品の識別力を取得する場合があり、そのときに識別力を認めて商標登録をすることは前示のとおりであり、諸外国と比べ何ら異なるところはない。
(4)さらに、請求人は本願商標の靴中敷きの裏面側における略中央部には「Odor−Eaters」の表示が存在し、当該表示は請求人の登録商標を表示したものであるから、これによっても本願商標が立体商標として自他商品の識別力を有することは明らかであると主張している。
しかしながら、本願商標は、別紙のとおり写真(二葉)により表されており、その全体の形状については靴中敷きの立体的形状であると特定できるところ、その写真の一葉(靴中敷きの裏面側)において何らかの文字らしきものが付されているといえるとしても、それが請求人のいう「Odor−Eaters」の文字であると明確に判読し得ない不鮮明なものであるといわなければならない。
そして、このように立体的形状に判読不可能な不鮮明な文字等が表されている場合、その不鮮明な部分をもって自他商品の識別力の有無や他人の商標との類否判断の際の対象とはなし得ないと解するのが相当である。
そうとすれば、請求人の主張は認めることができない。
(5)したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当し、登録することができない。
よって、結論のとおり審決する。
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