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Trademark Appeal Case

レタリング文字の称呼認定

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号無効2003−35238(T2003−35238/J3)
審判種別無効
結論勝訴(請求認容)

結論テキスト

登録第4620713号の登録を無効とする。
審判費用は被請求人の負担とする。

理由テキスト

第1 本件商標

本件登録第4620713号商標(以下「本件商標」という。)は、後掲のとおりの構成よりなり、平成14年1月4日に登録出願、第3類「せっけん類,化粧品」を指定商品として、平成14年11月15日に設定登録されたものである。

第2 引用商標

請求人が、本件商標の登録無効の理由に引用する登録第3250809号商標(以下「引用商標」という。)は、「アールシー」の片仮名文字を横書きしてなり、平成6年8月11日に登録出願、第3類「せっけん類,香料類,化粧品,歯磨き」を指定商品として、平成9年1月31日に設定登録されたものである。

第3 請求人の主張

請求人は、結論同旨の審決を求める、と申し立てその理由を次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第4号証を提出している。

<請求の理由>

1.本件商標の構成は、後掲のとおりであるが、現在のレタリング技術の向上に伴い各種のレタリング文字が宣伝、広告などの伝達媒体としてさかんに使用されている実情よりすれば、本件商標はローマ文字2字である「R」と「C」のレタリング文字をもって、「R」の文字の斜め右下に接するように「C」の文字よりなるものであることは容易に認識し理解されるところである。さらに、本件商標の「R」と「C」の文字はスクリプト体であって、「R」の文字は「バンク・スクリプト」、また、「C」の文字は「キャバナー・ぺン・スクリプト」であることは、桑山弥三郎著、グラフィック社発行の「レタリング デザイン」(甲第4号証)に掲載されているところである。してみれば、本件商標は前記した如く、一般の商品表示としてデザイン文字が多数使用されている現状よりすれば、ローマ文字の「R」と「C」文字をレタリング文字で表示してなるものであることは、この種商品の取引者、需要者間においても充分に認識し理解し得るところであるから、これよりは「アールシー」又は「アアルシイ」の称呼を生ずるものであり、該称呼もって商取引に資することは明らかである。

そうとすれば、本件商標よりは、「アールシー」又は「アアルシイ」の称呼を生ずるものである。

2.これに対し、引用商標は「アールシー」の片仮名文字を横書にしてなるものであるから、書された文字より「アールシー」の称呼を生ずることは明らかである。

3.したがって、本件商標と引用商標とは「アールシー」の称呼を共通にする類似の商標であり、かつ、その指定商品においても相抵触するものであるから、商標法第4条第1項第11号の規定に該当し、同法第46条第1項の規定により、その登録を無効とすべきである。

第4 被請求人の答弁

被請求人は、本件審判の請求は成り立たない、審判費用は請求人の負担とする、との審決を求める、と答弁し、その理由を次のように述べている。

<答弁の理由>

1.請求人は、本件商標が「RC」のレタリング文字よりなると主張する根拠として、甲第4号証のレタリング辞典によれば、本件商標は「バンク・スクリプト」の「R」と「キャバナー・ペン・スクリプト」の「C」であり、各種レタリング文字が宣伝、広告媒体としてさかんに使用されている実情からすれば、この種商品の取引者、需要者が本件商標がローマ文字の「R」と「C」をレタリング文字で表示してなるものであることは十分に認識し理解し得るところである、と主張している。しかしながら、甲第4号証のレタリング辞典は特殊なものであり、普通の家庭が蔵しているようなものではなく、また、需要者が購入に際しいちいち各種辞典を参照するわけではないから、これのみをもって、そこに記載されているレタリング文字が良く知られていることに繋がるものではない。甲第4号証のようなレタリング辞典の存在は、むしろ、こういったレタリング文字が容易に判読できないことを示すものとさえいえる。

2.レタリング文字といっても各種のものが有るのであって、そのような辞典に関わり無く、容易に判読できるものもあれば、およそ判読できないものもある。本件商標は、極端に図案化されており、その一部が「R」を図案化したものと認識できるとしても、その余の部分は、「C」の文字を図案化したものと容易に理解される程に商品の広告・宣伝等に普通に使用され良く知られているものとはいえないものである。

3.したがって、甲第4号証のレタリング辞典に本件商標構成中の「R」のレタリング文字を除く部分が「C」のレタリング文字として記載されている事実があるとしても、その事実のみをもって需要者がこれを「C」のレタリング文字と認識することにはならない。

してみると、本件商標に接する取引者・需要者は、本件商標を「アールシー(アアルシイ)」の称呼をもって認識することなく、特異な図形と認識する場合が極めて多いと見るのが相当である。そうであるとすれば、本件商標からは、「アールシー(アアルシイ)」なる称呼は生じないというべきである。

その他、本件商標から「アールシー(アアルシイ)」の称呼が生じると見なければならない格別の事由は見出せないところである。

よって、本件商標からは、「アールシー(アアルシイ)」の称呼が生じることを前提としてなす請求人の主張は失当である。

第5 当審の判断

1.近年の商標採択の実情をみると、商標の構成文字を図案化(レタリング)することは数多く見受けられるところである。しかして、本件商標は、構成後掲のとおりであるところ、その構成は、一見してローマ文字を手書き風(筆記体によるレタリング)の書体で表した2字を上下斜めに配置したものと容易に理解し把握させるものというのが相当である。

すなわち、本件商標構成字形をみるに、その字体を構成する線は曲線をもって美しさを強調するが如く描かれていることを特徴とした図案化(レタリング)されたローマ文字であって、上段の文字をローマ文字の一である「R」を表したものとするところを被請求人も特に否定しないその字形は、字体を構成する主要な線を太い線で描き、これに比して細く描かれた線は飾り的なものと容易に理解させるといえる体裁であり、これと同様に下段の字形においても飾り的な線を除きみれば、字体の認識に際しその主要な太い線からして、ローマ文字の一である「C」を表したものと自ずと識別できるものであるとみて差し支えない。

そして、本件商標の「C」字形は、その字体の主要線及び飾り線からみて、請求人提出に係る「レタリング デザイン」(甲第4号証)に掲載されている「キャバナー・ぺン・スクリプト」にある「C」の書体を参考にして採択したものと推認できる程に酷似した書体であって、極端に図案化されたとするような独自なものということもできない。

2.この点を被請求人は、甲第4号証のレタリング辞典に本件商標構成中の「R」のレタリング文字を除く部分が「C」のレタリング文字として記載されている事実があるとしても、その事実のみをもって需要者がこれを「C」のレタリング文字と認識することにはならないから、本件商標に接する取引者・需要者は、本件商標を「アールシー(アアルシイ)」の称呼をもって認識することなく、特異な図形と認識する場合が極めて多いと見るのが相当である旨主張している。しかし、被請求人が後掲のとおりの図案化された本件商標を採択する際しては、レタリング文字(スクリプト書体)である「R」と「C」を参考としたことは十分に推認できること上述のとおりであって、かかる構成からなる本件商標をその指定商品に使用する場合、これを取引指標として使用する者が上段の字形を「R」と認識し、下段の字形を特異な図形と認識して商取引に資するとは直に認め難いところであって、むしろ、商取引に際して本来の採択の意図を伝播するというのが経験則上自然であり、本件商標に接する取引者、需要者も自ずと商取引の過程で図案化(レタリング)された「R」と「C」と認識してこれにあたるものというべきである。

3.そうすると、本件商標に接する取引者、需要者は、その構成全体に相応して、これを「R」と「C」とのローマ文字2字により構成される商標と観念し、及び各ローマ文字毎の読みにより「アールシー(アアルシイ)」の称呼をもって取引にあたることも決して少なくないものといわなければならない。

4.他方、引用商標は、「アールシー」の片仮名文字により構成され、これより、ローマ文字の「R」と「C」とを片仮名表記したものと容易に認識するものであって、これに相応して「アールシー」の称呼、及びローマ文字2字「R」と「C」の観念を生ずるものと認められる。

5.してみると、本件商標と引用商標とは、外観の相違を考慮してもなお、その称呼及び観念を共通にする類似の商標であり、かつ、本件商標と引用商標の指定商品は、同一又は類似の商品と認められる。

したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に違反して登録されたものであるから、商標法第46条第1項の規定により、その登録を無効とすべきである。

よって、結論のとおり審決する。

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