結論テキスト
審判費用は、請求人の負担とする。
Trademark Appeal Case
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
| 審判番号 | 無効2004−89014(T2004−89014/J3) |
|---|---|
| 審判種別 | 無効 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
本件登録第4731121商標(以下「本件商標」という。)は、「三国志英雄伝」の文字(標準文字による商標)を書してなり、平成14年12月4日に登録出願、第9類「耳栓,加工ガラス(建築用のものを除く。),アーク溶接機,金属溶断機,電気溶接装置,オゾン発生器,電解槽,検卵器,金銭登録機,硬貨の計数用又は選別用の機械,作業記録機,写真複写機,手動計算機,製図用又は図案用の機械器具,タイムスタンプ,タイムレコーダー,パンチカードシステム機械,票数計算機,ビリングマシン,郵便切手のはり付けチェック装置,自動販売機,ガソリンステーション用装置,駐車場用硬貨作動式ゲート,救命用具,消火器,消火栓,消火ホース用ノズル,スプリンクラー消火装置,火災報知機,ガス漏れ警報器,盗難警報器,保安用ヘルメット,鉄道用信号機,乗物の故障の警告用の三角標識,発光式又は機械式の道路標識,潜水用機械器具,業務用テレビゲーム機,電動式扉自動開閉装置,乗物運転技能訓練用シミュレーター,運動技能訓練用シミュレーター,理化学機械器具,写真機械器具,映画機械器具,光学機械器具,測定機械器具,配電用又は制御用の機械器具,回転変流機,調相機,電池,電気磁気測定器,電線及びケーブル,電気アイロン,電気式ヘアカーラー,電気ブザー,電気通信機械器具,電子応用機械器具及びその部品,磁心,抵抗線,電極,消防艇,ロケット,消防車,自動車用シガーライター,事故防護用手袋,防じんマスク,防毒マスク,溶接マスク,防火被服,眼鏡,家庭用テレビゲームおもちゃ,携帯用液晶画面ゲームおもちゃ用のプログラムを記憶させた電子回路及びCD−ROM,スロットマシン,ウエイトベルト,ウエットスーツ,浮袋,運動用保護ヘルメット,エアタンク,水泳用浮き板,レギュレーター,レコード,メトロノーム,電子楽器用自動演奏プログラムを記憶させた電子回路及びCD−ROM,計算尺,映写フィルム,スライドフィルム,スライドフィルム用マウント,録画済みビデオディスク及びビデオテープ,電子出版物」を指定商品として、同15年12月5日に設定登録されたものである。
請求人が本件商標の登録無効の理由に引用した登録第2535359号商標(以下「引用A商標」という。)は、「三国志」の文字を書してなり、昭和61年4月25日に登録出願、第11類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、平成5年5月31日に設定登録、その後、同15年5月6日に商標権存続期間の更新登録、さらに、同16年12月22日に、その商品の区分及び指定商品を第7類「家庭用食器洗浄機,家庭用電気式ワックス磨き機,家庭用電気洗濯機,家庭用電気掃除機,電気ミキサー」、第8類「電気かみそり及び電気バリカン」、第9類「電子計算機,ワードプロセッサ,電子計算機用プログラムを記憶させた電子回路・CD−ROM・ROMカートリッジ・光ディスク・DVD・磁気ディスク・磁気テープ・磁気カード・磁気カートリッジ,電子計算機用プログラム,その他の電子応用機械器具及びその部品,電池,電気磁気測定器,電線及びケーブル,電気アイロン,電気式ヘアカーラー,電気ブザー,電気通信機械器具,配電用又は制御用の機械器具,回転変流機,調相機,磁心,抵抗線,電極」、第10類「家庭用電気マッサージ器」、第11類「電球類及び照明用器具,家庭用電熱用品類」及び第21類「電気式歯ブラシ」とする書換の登録がされたものである。
同じく登録第1692034号商標(以下「引用B商標」という。)は、「三国志」の文字を書してなり、昭和56年8月18日に登録出願、第24類「おもちゃ、その他本類に属する商品」を指定商品として、同59年6月21日に設定登録、その後、同6年9月29日及び同16年6月15日の2回に亘る商標権存続期間の更新登録がされているものである。
同じく登録第4495872号商標(以下「引用C商標」という。)は、「英雄伝」の文字(標準文字による商標)を書してなり、平成12年8月8日に登録出願、第9類「測定機械器具,電池,写真機械器具,映画機械器具,光学機械器具,眼鏡,電気通信機械器具,レコード,メトロノーム,電子計算機用プログラムを記憶させた記憶媒体,その他の電子計算機用周辺機器,その他の電子応用機械器具及びその部品,業務用テレビゲーム機,業務用テレビゲーム機用プログラムを記憶させた記憶媒体,業務用テレビゲーム機の部品及び附属品,その他の遊園地用機械器具,スロットマシン,電気アイロン,電気式ヘアカーラー,電気ブザー,映写フィルム,スライドフィルム,スライドフィルム用マウント,データ処理成果物たる新聞・雑誌・書籍・地図・図面・写真の画像及び文字を記憶させた記憶媒体,録画済みビデオディスク及びビデオテープ,自動販売機,ウエイトベルト,ウエットスーツ,浮袋,エアタンク,水泳用浮き板,レギュレーター,家庭用テレビゲームおもちゃ用のプログラムを記憶させた記憶媒体,家庭用テレビゲームおもちゃの部品及び附属品,その他の家庭用テレビゲームおもちゃ」及び第16類、第28類並びに第41類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品及び役務を指定商品又は指定役務として、平成13年8月3日に設定登録されたものである。
同じく登録第3337285号商標(以下「引用D商標」という。)は、「英傑伝」の文字を書してなり、平成7年1月17日に登録出願、第9類「コンパクトディスク,その他のレコード,電子計算機用プログラムを記録させた電子回路・磁気ディスク・磁気テープ,その他の電子応用機械器具及びその部品,遊園地用機械器具,映写フィルム,スライドフィルム,スライドフィルム用マウント,録画済みビデオディスク及びビデオテープ,家庭用テレビゲームおもちゃ用のプログラムを記録させたROMカートリッジ,同磁気テープ,同磁気ディスク,同磁気カード,その他の家庭用テレビゲームおもちゃ」を指定商品として、同9年8月8日に設定登録されたものである。 以下、これらをまとめていう場合には、「引用各商標」という。
請求人は、本件商標の登録を無効とする、審判費用は被請求人の負担とする、との審決を求め、その理由を概略次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第4号証を提出した。
(1)本件商標と引用各商標との類否
(ア)本件商標と引用A商標及び引用B商標
(a)本件商標と引用A及びB商標の指定商品とは、同一又は類似である。
(b)本件商標「三国志英雄伝」と引用A及びB商標「三国志」とは、文字形態が同一又は類似であり、しかも、本件商標は、前半に引用A及びB商標に相当する「三国志」そのものを含んでおり、語数は相違するものの、外観上類似するものである。
(c)本件商標は、我が国においても広く知られている中国の歴史書としての「三国志」及び「三国志」中の英雄の伝説との観念を有するのに対し、引用A及びB商標は、「三国志」そのものであり、当然に中国の歴史書としての観念を有するので、両者は観念上類似する。
(d)本件商標からは、「サクゴクシエイユウデン」という称呼を生ずるのに対し、引用A及びB商標からは、「サクゴクシ」の称呼を生ずる。
そこで、本件商標の称呼「サクゴクシエイユウデン」と引用A及びB商標の称呼「サクゴクシ」とを比較するに、両者は、発音動作の初期段階において同一の「サクゴクシ」の称呼を有している。
よって、本件商標の発音動作の後期段階において、異なる称呼である「エイユウデン」と発音しても、「サクゴクシ」が発音時の初期段階において強調されることにより、発音動作の後期段階の差異が称呼全体を覆うことはなく、発音動作の初期段階における「サクゴクシ」が称呼全体を覆うこととなり、本件商標と引用A及びB商標とを称呼上区別することが困難であり、本件商標と引用A及びB商標とは、称呼上類似する。
(イ)本件商標と引用C商標
(a)本件商標と引用C商標の指定商品とは、同一又は類似である。
(b)本件商標「三国志英雄伝」と引用C商標「英雄伝」とは、文字形態が同一又は類似であり、しかも、本件商標は、後半に引用C商標に相当する「英雄伝」そのものを含んでおり、語数は相違するものの、外観上類似するものである。
(c)本件商標は、我が国においても広く知られている中国の歴史書としての「三国志」及び「三国志」中の英雄の伝説との観念を有するのに対し、引用C商標は、「英雄伝」であり、「英雄」を考えた場合には、日本国内の戦国時代に登場する英雄や中国の歴史書、例えば、「三国志」に登場する英雄等についての概念を有するので、両者は、観念上類似する。
(d)本件商標からは、「サクゴクシエイユウデン」という称呼を生ずるのに対し、引用C商標からは、「エイユウデン」の称呼を生ずる。
そこで、本願商標の称呼「サクゴクシエイユウデン」と引用C商標の称呼「エイユウデン」とを比較するに、両者は、発音動作の後期段階において同一の「エイユウデン」の称呼を有している。
よって、本件商標の発音動作の初期段階において、「サクゴクシ」と弱く発音された場合には、後期段階において「エイユウデン」が強調されることとなり、初期段階において異なる称呼が発音されても、後期段階の「エイユウデン」が発音時に強調されることにより、発音動作の初期段階の差異が称呼全体を覆うことはなく、発音動作の後期段階における「エイユウデン」が称呼全体を覆うこととなり、本件商標と引用C商標とを称呼上区別することが困難であり、本件商標と引用C商標とは、称呼上類似する。
(ウ)本件商標と引用D商標
(a)本件商標と引用D商標の指定商品は、同一又は類似である。
(b)本件商標「三国志英雄伝」と引用D商標「英傑伝」とは、外観が類似しているとはいい難く、両者は、外観上非類似であると思われる。
(c)本件商標は、我が国においても広く知られている中国の歴史書としての「三国志」及び「三国志」中の英雄の伝説との観念を有するのに対し、引用D商標は、「英傑伝」であり、「英傑」を考えた場合には、日本国内の戦国時代に登場する英傑や中国の歴史書、例えば、「三国志」に登場する英傑等についての概念を有するので、両者は、観念上類似する。
因みに、「英傑」とは「才知にすぐれた人。英雄豪傑」を意味し、「英雄」とは「文武の才の特にすぐれた人物。実力が優越し、非凡な事業をなしとげる人」を意味するため、「英傑」と「英雄」とは極めて近い意味を有すると思料されるので、両者は、観念上類似する。
(d)本件商標からは、「サクゴクシエイユウデン」という称呼を生ずるのに対し、引用D商標からは、「エイケツデン」の称呼を生ずる。
そこで、本件商標の称呼「サクゴクシエイユウデン」と引用D商標の称呼「エイケツデン」とは、「サクゴクシ」の有無及び「ユウ」と「ケツ」との相違から称呼において区別することが容易であると思料され、両者は、称呼上非類似であると思われる。
(2)引用A及びB商標は、請求人の所有する商標権であり、そのうちの引用A商標「三国志」は、それに係る商品であって、一般ユーザーに供給するための記憶媒体が小容量のカセットから大容量のCD−ROM等に変化しているとしても、初期の家庭用ビデオゲームであるファミリコンピュータの時代から現在に至るまで、雑誌やインターネット等から明らかなように、一貫して広く使用されている。
そして、現在においては、引用A商標以外にも、これから波及した「三國志曹操伝(登録商標第4363510号)」や「三國志 INTERNET(登録商標第4363941号)」、「三國志戦記(登録商標第4607586号)」、「三国志英傑伝(登録商標第4698131号)」、「三國志 撃天(登録商標第4740416号)」、及び引用D商標「英傑伝」等も権利化され、使用されている。
よって、引用A商標及び引用D商標が一般ユーザーに広く認識されるに至っていることは明白であり、周知であると思料される。
また、本件商標は、上述の点から明らかなように、外観、称呼及び観念において引用A商標と類似し、観念において引用D商標と類似する。
さらに、本件商標は、平成14年に出願、同15年に登録されたものであって、他人の業務に係る商品等を表示するものとして日本国内又は外国における需要者の間において広く認識されている、いわゆる、周知な引用A商標等と同一又は類似する商標であるとともに、引用A商標等の権利が長期に亘り存在し、かつ、使用されているにもかかわらず、周知な他人の商標に化体した業務上の信用を利用して不正の利益を得る目的等をはじめとして、取引上の信義則に反する不正の目的を持って使用するために権利化されたことは明らかであるから、本件商標は、商標法第4条第1項第19号の要件をも満たしている。
(3)むすび
以上述べた理由から明らかなように、本件商標は、引用A商標ないし引用C商標と同一又は類似であって、その商標に係る指定商品(指定役務)と同一又は類似の商品(役務)に使用するものであるから、商標法第4条第1項第11号に該当し、無効とすべきである。
また、本件商標は、他人の業務に係る商品等を表示するものとして日本国内又は外国における需要者の間において広く認識されている引用A商標等と同一又は類似の商標であって、不正の目的をもって使用をするものであるから、商標法第4条第1項第19号に該当し、無効とされるべきである。
被請求人は、結論同旨の審決を求め、その理由を概略次のように述べ、証拠方法として乙第1号証ないし乙第14号証を提出した。
(1)利害関係について
商標登録の無効審判を請求する者は、所謂民事訴訟法上の「利益なければ訴権なし」の原則に基づき、当該商標登録が存することによって直接不利益を被る関係になければならない筈である。しかるに、請求人は、かかる利害関係を何ら立証していない。
したがって、請求人が利害関係を立証しないときは、商標法第56条で準用する特許法第135条の規定により、本件審判請求は却下されるべきである。特に、他人の登録商標を引用している事実との関係について、請求人は、利害関係を立証されたい。
(2)商標法第4条第1項第11号について
(ア)本件商標と引用A及びB商標との類否
請求人が主張する外観類似の根拠は、本件商標の前半部分に「三国志」そのものを含んでいるとの点のみである。かかる漢字3文字を含んでいることのみをもって、外観上類似するといえないことは火を見るよりも明らかである。なお、「三国志英雄伝」と「三国志」は、「文字形態を同一又は類似とする」との請求人の主張は、その意味するところが不詳であり、反論のしようがない。
次に、観念類似については、そもそも観念類似というのは、同一の観念を生じない限り、出所の混同を生ずることはないのであるから、同一の観念を生ずる場合だけである。しかし、請求人は、本件商標は、「中国の歴史書として我が国においても広く知られている『三国志』と、この『三国志』における英雄の伝説」との観念を生ずるとしているが、引用A商標及び引用B商標は、「中国の歴史書としての『三国志』そのもの」を意味する、と主張している。したがって、観念同一ではなく、観念上類似するものではない。
さらに、称呼類似について、請求人は「『サンゴクシ』が発音時の初期段階において強調されることにより(中略)称呼全体を覆う」と主張しているが、その強調される理由が不明であり、「覆う」の意味もまた不明である。
換言すれば、請求人も認めている本件商標より生ずる「サンゴクシエイユウデン」の称呼と、引用A商標及び引用B商標から生ずる「サンゴクシ」の称呼とは、彼此相紛れ聞かれるおそれがないというべきである。
なお、請求人以外の所有に係る「三国志」又は「三國志」を含む登録商標として、「漫画三国志伝」(旧第24類)、「群雄三国志」(旧第24類)、「麻雀三国志演義」(第9類)、「三国志奇譚」(第9類)、「三國志正史」(第9類)、「昇龍三國志」(第9類)、「三国志群雄伝」(第9類)、「企業三国志」(第9類)、「三國志事典」(第9類)、「英雄三国志」(第16類)、「特打ち三國志」(第9類及び第38類)、「ボール雀三国志」(第28類)が存在し又は存在していたことを提示する(乙第1号証ないし同第12号証)。
(イ)本件商標と引用C商標との類否
請求人が主張する外観類似の根拠は、本件商標の後半部分に「英雄伝」そのものを含んでいる、との点のみである。かかる漢字3文字を含んでいることのみをもって、外観上類似するといえないことは火を見るよりも明らかである。なお、「三国志英雄伝」と「英雄伝」は、文字形態を同一又は類似とする、との請求人の主張は、その意味するところが不詳であり、これまた反論のしようがない。
次に、観念類似については、上述したとおり、同一の観念を生じない限り、出所の混同を生ずることはないのであるから、観念類似といえるのは、同一の観念を生ずる場合だけである。しかし、請求人は、本件商標は、「中国の歴史書として我が国においても広く知られている『三国志』と、この『三国志』における英雄の伝説」との観念を生ずるとしているが、引用C商標については、「『英雄』を考えた場合には、日本国内の戦国時代に登場する英雄や中国の歴史書、例えば『三国志』に登場する英雄等についての概念を有する」と主張している。したがって、観念同一ではなく、観念上類似するものではない。ましてや、引用C商標は、「英雄伝」であって、「英雄」そのものではなく、かかる「英雄」から直ちに「三国志に登場する英雄」を意味するとの主張には論理の飛躍があり、到底承服できるところではない。
さらに、称呼類似について、請求人は「両商標は、発音動作の後期段階において同一な『エイユウデン』の称呼を有している」として、「本件商標の発音動作の初期段階において、『サンゴクシ』と弱く発音された場合には、後期段階において『エイユウデン』が強調されることとなり(中略)『エイユウデン』が発音時に強調されることにより(中略)称呼全体を覆う」と主張している。そもそも、この論理構成は、本件商標の構成中「三国志」が弱く発音された場合を前提としているのであって、それが弱く発音されない場合は、類似しないことを請求人自ら認めているのである。また、その弱く発音される理由が不明であり、「覆う」の意味もまた、不明である。換言すれば、請求人も認めている本件商標より生ずる「サンゴクシエイユウデン」の称呼と、引用C商標から生ずる「エイユウデン」の称呼とは、彼此相紛れ聞かれるおそれがないというべきである。
(ウ)本件商標と引用D商標の類否
本件商標と引用D商標について、請求人は、観念類似を主張しており、外観及び称呼については非類似であることを自認している。
再三主張しているように、観念類似は、同一の観念を生ずる場合のみである。しかしながら、請求人は、「英傑」と「英雄」とは極めて近い意味を有するから、観念類似であると主張しているにすぎない。
また、引用C商標「英雄伝」と引用D商標「英傑伝」とは、第9類の商品区分中、類似する商品を指定商品として登録されている事実がある。これはまさしく、「三国志英雄伝」からなる本件商標と、引用D商標「英傑伝」が非類似であることの証左である。
よって、本件商標は、引用D商標に類似しない。
(3)本件商標の商標法第4条第1項第19号の該当性について
まず、請求人は、引用A商標「三国志」が一般ユーザーに広く認識されるに至っていると主張しているが、それが何に使用されているのかが不明である。
仮に、その商品が「コンピュータ用ゲームプログラム」であるとすると、その創作物としての内容を表示する題号としての使用は、自他商品の識別機能としての機能を果たす態様で使用されているとは認められない筈である(千葉地裁平成5年(ヨ)第702号:乙第13号証)。
また、本号にいう「不正の目的」については、請求人に立証責任が存するところ、請求人は、何等それを立証していない。
したがって、請求人が、本件商標が本号に該当する理由を明らかにしていない以上、本件商標が本号に該当しないことは明らかである。
なお、請求人の引用した商標「三国志英傑伝」は、本件商標よりも後願であるにもかかわらず、登録されている(乙第14号証)から、仮に、請求人のいうように、本件商標「三国志英雄伝」と「三国志英傑伝」が類似するのであれば、まさに、請求人の登録商標「三国志英傑伝」こそが無効とされてしかるべきである。
(4)むすび
以上述べたとおり、本件商標は、引用各商標のいずれの登録商標に類似するものではなく、かつ、商標法第4条第1項第19号にも該当するものでもない。
(1)審判請求の利益について
請求人は、「三国志英雄伝」の文字からなる本件商標が、請求人の所有する「三国志」の文字からなる引用A商標及び「英傑伝」の文字からなる引用D商標と類似の商標であると認識していること前記2のとおりであるから、本件商標の商標登録を無効とする審判を請求することは、正当な権利行使であり、これについて法律上の利益を有するものというべきである。
被請求人は、特に、他人の登録商標を引用している事実との関係について、請求人の利害関係を立証されたい旨も主張する。
しかし、商標登録が商標法第4条第1項第11号に違反してされたときは、同法第46条第1項第1号に規定する商標登録の無効事由に該当するのであって、この場合、同第11号に規定する「他人の登録商標」の商標権が無効審判の請求人に帰属していることは、何ら法律上の要件ではない。本件審判請求において、請求人が本件商標の無効理由として引用する登録商標の商標権が請求人に帰属しているものでないことは、請求人が本件審判請求について法律上の利益を有することを否定する理由には、そもそもなり得ないといわなければならない。
(2)商標法第4条第1項第11号について
本件商標は、前記のとおり「三国志英雄伝」の文字よりなるものであって、これらの文字は、標準文字によりまとまりよく一体に構成されていて、全体として中国の歴史書の「三国志に登場する英雄の物語」の意味合いを容易に看取し得るものであり、これを例えば「三国志」と「英雄伝」に分離して認識しなければならない格別の事由も見出せないものであるから、かかる構成においては、全体をもって一体不可分のものと把握し認識されるとみるのが自然である。
してみれば、本件商標は、その構成文字の全体に相応して「サンゴクシエイユウデン」の称呼、及び「三国志に登場する英雄の物語」の観念を生ずるものといわなければならない。
これに対し、引用各商標は、「三国志」、「英雄伝」又は「英傑伝」の文字よりなるものであるから、これら各文字に相応して「サンゴクシ」、「エイユウデン」又は「エイケツデン」の各称呼及び中国の歴史書の「三国志」、「英雄の物語」又は「英傑の物語」の各観念を生ずるものということができる。
そうとすれば、本件商標より生ずる「サンゴクシエイユウデン」の称呼と「サンゴクシ」、「エイユウデン」又は「エイケツデン」の称呼とは、構成音数の差異、相違する各音の音質の差異により明瞭に聴別し得るものといわなければならず、観念においても明確な差異を有するものである。
以上のとおり、本件商標は、引用各商標と称呼及び観念において相紛れるおそれのない非類似のものであり、それぞれの構成より外観においても類似するものではない。
(3)商標法第4条第1項第19号について
本件商標は、引用各商標と類似のものでないこと上述のとおりであり、しかも、請求人は、「三国志」及び「英傑伝」は一般ユーザーに広く認識されるに至っていることは明白であり、周知であると主張するも、何ら証拠を提出しておらず、これらの商標が取引者、需要者の間に広く認識されているものとは到底認められない。
(4)むすび
以上のとおりであり、本件商標は、商標法第4条第1項第11号及び同第19号に違反して登録されたものではないから、同法第46条第1項の規定により、その登録を無効とすることはできない。
よって、結論のとおり審決する。
Next Action
類似審決の追加調査から中間応答、新規出願の費用確認まで、この審決を起点に次のアクションへ進めます。
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