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Trademark Appeal Case

称呼の類似性と要部抽出

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号無効2003−35489(T2003−35489/J3)
審判種別無効
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

登録第4545812号の指定商品中「化粧品」についての登録を無効とする。
その余の指定商品についての審判請求は成り立たない。
審判費用は、その2分の1を請求人の負担とし、2分の1を被請求人の負担とする。

理由テキスト

第1 本件商標

本件登録第4545812号商標(以下「本件商標」という。)は、平成13年3月7日に登録出願され、「CAMPAGNE」の欧文字と「カンパーニュ」の片仮名文字とを二段に併記してなり、第3類「化粧品,せっけん類,香料類」を指定商品として、同14年2月22日に設定登録され、現に有効に存続しているものである。

第2 請求人の主張

請求人は、「本件商標の登録は、これを無効とする、審判費用は被請求人の負担とする、との審決を求める。」と申し立て、その理由及び被請求人の答弁に対する弁駁を要旨次のとおり述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第54号証を提出した。

1.商標法第4条第1項第11号について

本件商標における「CAMPAGNE」の欧文字は仏語にて「田舎,戦場,キャンペーン」等の意味合いを有する文字であり、カンパーニュなる称呼を生ずるものである。

請求人が本件商標の登録無効の理由に引用する登録第2668385号商標(以下「引用商標」という。)は、平成3年7月17日に登録出願され、別掲に示すとおりの構成よりなり、第4類「オードトワレ」を指定商品として、同6年5月31日に設定登録、その後、平成16年1月27日付けで商標権存続期間の更新登録がなされ、現に有効に存続しているものである。

本件商標の構成中、下段に配された「カンパーニュ」との片仮名文字はこの欧文字「CAMPAGNE」の称呼を片仮名文字にて併記したものと容易に認識されるものである。

他方、引用商標は、別掲に示すとおり、図形内に3つに分けられた「eau de/campagne」、「eau de/toilette」、及び「sisley」の文字よりなる商標である。

この引用商標の構成中、図形内に配された3つの文字部分のうち、他の構成文字よりも一際大きく配された「eau de/campagne」の文字部分が引用商標において顕著に認識されるというべき構成部分である。引用商標の構成における3つの文字部分のうち、下段における「eau de/toilette」の文字部分はその指定商品である「オードトワレ」そのものを表わし、また中段における「sisley」の文字部分は請求人の名称を表したものである。したがって、引用商標においてはその構成上、「eau de/campagne」の文字部分が主要部として取引者・需要者に認識されるというべきである。

さらに、その引用商標における「eau de/campagne」の文字部分においては「campagne」の文字部分が要部として独立して認識されるというべきである。この「eau de/campagne」の文字部分は仏語において、「水」等の意味合いを有する「eau」、「〜の、〜でできた、〜から」等の意味合いを有する「de」、及び「田舎、野戦場、キャンペーン」等の意味合いを有する「campagne」の語を組み合わせてなるものである。

また「eau de」の文字部分は引用商標の指定商品である「オードトワレ」との関係で「の水」の意味を有するものとしてよく知られているというべきであり、化粧品業界においては例えば「eau de cologne」(オーデコロン又はオードコロン)及び「eau de toilette」(オードトワレ又はオードトワレット)の如く、「eau de」の文字部分を他の文字と結合して水性の化粧品であることを表示するために普通に用いられているというべきである。したがって、引用商標における「eau de」の文字部分は自他商品識別力がないか、或いは識別力が弱い文字部分として認められるといえる。

してみれば、引用商標中の「campagne」の文字部分は独立して認自他商品識別力を有するというべきであり、これより「カンパーニュ」の称呼をも生ずるというべきであるから、本件商標と引用商標は「campagne」の文字部分において類似の商標として認識されるというべきである。

なお、本件商標の指定商品が引用商標の指定商品と同一又は類似であることは明らかである。

したがって、本件商標は商標法第4条第1項第11号に違反して登録されたものであり、無効とされるべきものである。

2.請求人及び引用商標の著名性について

(1)請求人「セー エフ ウー ベー シスレー」は、フランスの由緒ある貴族の家系である d’Ornano伯爵夫妻により創設された化粧品等の製造販売を行うフランス国法人である。

このd’Ornano伯爵夫妻は化粧品づくりについて大変造詣の深い家系であり、フランスの2大名門化粧品会社といわれている「Lancome」及び「Orlane」を創設したのもこの家系である。

請求人による製品(化粧品)は、自然植物化粧品と呼ばれ、医学的効果を有する45種の植物の植物エキスを原料としている点に特徴が有り、特に有効成分を皮膚の深部まで浸透させ、新陳代謝を促進する本来の植物エッセンスである「エッセンシャルオイル」を配合しているのは世界でこの請求人に係る製品が唯一である。

さらにこの請求人による製品は多くの雑誌、書籍等の刊行物によって紹介されており、また世界の一流品を取り扱う書籍においても紹介され、我が国においても著名となっている。

(2)引用商標が使用されている商品「オードトワレ」は、この上記した自然植物化粧品メーカーとして著名となっている請求人が展開する商品である。

この商品は、多くの書籍及びインターネット上のWebsite等において紹介されている(甲第39号証ないし甲第45号証)。

以上のように、引用商標は様々な媒体によって取り上げられており、この引用商標の周知性に請求人が化粧品業界において本来的に有する著名性が相俟って、引用商標は化粧品業界において、本件商標の査定時においてはもちろんのこと、出願日である平成13年(2001)3月7日以前から、請求人の業務に係る商品を表わすものとして、その取引者・需要者において知られており、周知著名になっていたというべきである。

(3)商標法第4条第1項第10号について

上述したように本件商標及び引用商標は類似の商標として認識され、同一または類似の商品をその指定商品とするものである。また本件商標の査定時及び出願時において請求人に係る商品に使用される商標として著名性を獲得していた商標というべきである。

したがって、本件商標は、請求人の業務に係る商標として取引者・需要者の間に広く認識されている引用商標と類似するというべきであり、かつ引用商標の指定商品と同一又は類似の指定商品に使用するものであることから、本件商標は商標法第4条第1項第10号に該当し無効とされるべきものである。

(4)商標法第4条第1項第15号について

上述したように、本件商標は請求人の業務にかかる商品「オードトワレ」に使用される商標として著名な引用商標と類似する商標というべきである。また本件商標は引用商標の指定商品と同一または類似の商品をその指定商品に含むものであり、当然のことながら両商標の指定商品は非常に高い関連性を有するものである。

主に請求人の業務にかかる「オードトワレ」等の化粧品に使用される商標として著名な引用商標とその構成が極めて類似するというべき本件商標が、引用商標の指定商品と同一又は類似というべき本件商標の指定商品に使用された場合には、本件商標に接する取引者・需要者は、恰も請求人若しくは請求人と経済的又は組織的に何らかの関係がある者の業務に係る商品であるかと誤認し、その商品の出所について混同を生ずるおそれがあるというべきである。

したがって、本件商標は商標法第4条第1項第15号に該当し無効とされるべきものである。

(5)商標法第4条第1項第7号について

引用商標は上述したように請求人の使用に係る著名商標であり、高い名声・信用がその商標に化体している。本件商標はこの著名な引用商標と近似した類似商標というべきであることは上述した通りである。

本件商標の出願時において、引用商標は請求人の業務にかかる化粧品等の商品に使用される著名商標として認識されていたというべきであり、被請求人が引用商標の有する著名性を知らずに引用商標と類似するというべき本件商標を出願したとは考えにくく、また偶然に著名な引用商標と類似する本件商標を採択したと見ることは妥当ではない。本件商標は引用商標に化体した高い名声・信用にフリーライドする目的で出願したものと見るのが相当であるから、本件商標をその指定商品について使用するときは、引用商標の高い名声・信用を稀釈化させるおそれがあるというべきである。

よって、本件商標は引用商標に化体した名声・信用を借用して不正な利益を得るために使用する目的でなされたというべきであり、商取引の秩序を乱し、ひいては国際信義に反するものとして、公序良俗を害する商標というべきである。

したがって、本件商標は商標法第4条第1項第7号に該当し無効とされるべきものである。

3.以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第7号、同第10号、同第11号及び同第15号に違反して登録されたものというべきであるから、同法第46条第1項第1号の規定に基づき、その登録を無効とすべきものである。

第3 被請求人の答弁

被請求人は、「本件審判の請求は成り立たない、審判費用は請求人の負担とする、との審決を求める。」と答弁し、その理由を要旨次のとおり述べ、証拠方法として資料1ないし10(枝番含む)を提出した。

本件商標の構成は前記したとおりであるから、これよりはその構成文字に相応して「カンパーニュ」の称呼を生ずることは明らかである。

これに対して、引用商標の構成は別掲に示すとおり、文字らしき部分と図形との結合よりなるところ、その文字部分はその形態がはっきりせず、何と称呼を特定するのか極めて困難である。故に本件商標との類似について判断するのは不可能といわざるを得ないところである。

故に本件商標は引用商標に類似せず、商標法第4条第1項第11号に該当しないものと云わざるを得ない。

又、一歩下がってその文字らしき部分が請求人が主張するように「eau de」と「campagne」の文字を二段に併記してなるとしても、これを構成する「eau de」と「campagne」の各文字は同じ書体、同じ大きさをもって、二段に併記されて成り、全体として外観上バランス良く一体的に構成されており、その全体としての称呼「オーデカンパーニュ」又は「オードカンパーニュ」の読みも格別冗長でなく、語呂よく一連に称呼しうるものである。

そうとすれば、構成中の「eau de」の部分が「水」を意味する語であったとしても、これがフランス語であるため容易に「水」と理解するのは困難である。かかる構成からは、特定の商品の品質、用途等を具体的に表示するものとして直ちに理解しうるものともいい難いところであるから、むしろ構成全体をもって一体不可分の語と認識し把握されるとみるのが相当である。

従って、引用商標は、その構成文字全体に相応して「オードカンパーニュ」又は「オーデカンパーニュ」の称呼のみを生ずるものと判断するのが相当である。

してみれば、本件商標よりは「カンパーニュ」の称呼を生ずるものであるから、両商標は明らかに非類似のものと云うべきである。以上のとおり本件商標と引用商標とは相紛れるおそれのない非類似のものであるから、商標法第4条第1項第11号、同第10号及び同第15号並びに同第7号の規定に該当するものでないから、同上の規定により無効にすべきものではない。

第4.当審の判断

1.商標法第4条第1項第11号について

本件商標は、前記したとおり「CAMPAGNE」を上段に、「カンパーニュ」の文字を下段に書してなるところ、下段の片仮名文字部分は上段の欧文字部分の読みを表したものと容易に理解されるから、該構成文字に相応して「カンパーニュ」の称呼を生ずるものと認められる。

他方、引用商標は、別掲のとおり紋章状の図形内の上段に「eau de」「campagne」の文字、中段に「eau de」「toilette」の文字をそれぞれ二段に書してなり、下段に「sisley」の文字を表してなるところ、構成中上段の「eau de」と「campagne」の文字部分は、他の文字部分に比較し大きな文字で顕著に表わされており、該文字部分に注目し取り引きに資する場合も少なくないとみるのが相当である。

そして、該構成中の「eau de」の文字部分は、「eau」が「水、化粧液」、「de」が「〜の」の意味を有するフランス語であり、「eau de cologne」(オーデコロン)、「eau de toilette」(オードトワレ)、「eau de rose」(バラ香水)のように、「水の」及び「水性の化粧品」を表す語として一般に知られている。

さらに、請求人の提出した甲第49号証ないし甲第54号証によれば、商品「香水」について、「EAU D’HERMES」、「EAU DE GUERLAIN」及び「EAU DE DALI」のように、「EAU DE」の語を冠した商標が多数用いられている事実がある。

そうとすれば、「eau de」の文字部分は、その指定商品中の「化粧品」との関係では、自他商品の識別機能を有しないか極めて弱いものというべきであるから、構成中の「campagne」の文字が、独立して自他商品の識別標識として機能し得ると判断するのが相当であり、該文字に相応し「カンパーニュ」の称呼をも生ずるものと認められる。

してみれば、本件商標と引用商標とは「カンパーニュ」の称呼を共通にする類似の商標といわなければならない。

また、引用商標の指定商品「オードトワレ」は、本件商標の指定商品中の「化粧品」の範疇に属する商品と認められる。

したがって、本件商標は、引用商標と称呼上類似する商標であり、かつ、その指定商品中の「化粧品」は、引用商標の指定商品と同一又は類似するものであるから、商標法第4条第1項第11号に該当する。

2.商標法第4条第1項第10号及び同第15号について

申立人は引用商標の著名性を証する証拠資料として甲第6号証ないし甲第45号証を提出しているが、その内の甲第6号証ないし甲第38号証は、請求人である「セー エフ ウー ベー シスレー」が商品「化粧品」について使用し、世界的にも著名であると認められる商標「Sisley」「シスレ(リ)ー」に関するものであり、この証拠資料中には引用商標の記述は見あたらない。

そして、引用商標が掲載されているとみられる証拠資料は、甲第39号証ないし甲第45号証であり、何れも「Sisley」「シスレ(リ)ー」の文字が併記されているものであり、係る証拠資料によっては、「Sisley」「シスレー」が周知、著名であることは認め得るものの、引用商標が商品「化粧品」について、周知・著名性を認めることはできない。

してみれば、商標権者が本件商標をその指定商品について使用したとしても、取引者・需要者をして、当該商品が請求人若しくは請求人と関係のある者の業務に係る商品であるかの如くその出所について混同を生ずるおそれはない。

したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第10号及び同第15号に該当しないものである。

3.商標法第4条第1項第7号について

本件商標は前記したとおりの構成よりなるところ、その構成自体が矯激、卑猥、差別的な印象を与えるような文字又は図形からなるものでなく、また、本件商標をその指定商品について使用することが、社会公共の利益・一般道徳観念に反するものとすべき事実は認められず、さらに、他の法律によってその使用が禁止されている事実も認められない。

したがって、本件商標は商標法第4条第1項第7号に該当しないものである。

4.以上のとおり、本件商標の指定商品中「化粧品」についての登録は、商標法第4条第1項第11号の規定に違反して登録されたものといわなければならないから、同法第46条第1項の規定に基づき、無効とすべきものである。

但し、その余の指定商品についての登録は、商標法第4条第1項第7号、同第10号、同第15号の規定に違反して登録されたものとはいえないから、無効とすることはできない。

よって、結論のとおり審決する。

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