Trademark Appeal Case
立体商標の識別力
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 平成10年審判第12178号 |
|---|---|
| 審判種別 | 不服 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理由テキスト
1 本願商標
本願商標は、商標の構成を別紙に示すものとし、第6類「金属製フェンス、金属製ガードパイプ、金属製門扉、金属製植物支え網」を指定商品とし、平成9年4月1日に立体商標として登録出願され、その後指定商品が「金属製フェンス」と補正されたものである。
2 原査定の理由
原査定は、『本願商標は、指定商品自体又はそれを構成するいわゆる金網部分の形状を表したものと容易に理解し得るものものであるから、これを、その指定商品について使用したときは、その商品の形状(品質)を表示するにすぎないものと認める。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当する。』旨認定、判断し、また、商標法第3条第2項の適用も否定して、本願を拒絶したものである。
3 当審の判断
(1) 平成8年法律第68号により改正された商標法は、立体的に表された標章であって、商品又は役務について使用をするものを登録する立体商標制度を導入し、その中には商品若しくはその包装の形状又は役務の提供の用に供する物(以下「商品等」という。)の形状も含まれるとしても、商品等の形状は、それ自体の持つ機能を効果的に発揮させたり、あるいはその商品等の形状の持つ美感を追求する等の目的で選択されるものであり、本来的(第一義的)に商品・役務の出所を表示し、自他商品・役務を識別する標識として採択されるものではない。
そして、この商品等の形状に特徴的な変更、装飾等が施されていても、それは商品等の機能、又は美感をより発揮させるために施されたものであって、全体としてみた場合商品等の機能、美感を発揮させるために必要な形状を有している場合には、これに接する取引者、需要者は当然商品等の形状を表示したものであると認識するに止まるというのが相当である。
また、商品等の形状は同種の商品等にあっては、その機能を果たすためには原則的に同様の形状にならざるを得ないものであるから、取引上何人もこれを使用する必要があり、かつ、何人も使用を欲するものであって、一私人に独占を認めるのは妥当でないというべきである。
そうとすれば、商品等の機能又は美感とは関係しない特異な形状である場合はともかくとして、商品等の形状と認識されるものからなる立体的形状をもつて構成される商標は、使用された結果、当該形状に係る商標が単に出所を表示するのみならず、取引者、需要者間において当該形状をもって同種の商品又は役務と明らかに識別されていると認識することができるに至っている場合のものを除き、商標法第3条第1項第3号に該当し、商標登録を受けることができないものと解すべきである。
立体商標制度を審議した工業所有権審議会の平成7年12月13日付け「商標法等の改正に関する答申」P30においても、「3.(1)立体商標制度の導入▲3▼需要者が指定商品若しくはその容器又は指定役務の提供の用に供する物の形状そのものの範囲を出ないと認識する形状のみからなる立体商標は登録対象としないことが適当と考えられる。・・・ただし、これらの商標であっても使用の結果識別力が生ずるに至ったものは、現行法第3条第2項に基づき登録が認められることが適当である。」としている。
また、意匠法等により保護された形状について重ねて又はその権利消滅後商標登録することにより保護することは知的財産制度全体の整合性に不合理な結果を生ずることとなる。
(2) これを本願についてみれば、▲1▼本願商標は、金属製フェンスの形状の一形態を表してなるものであるから、これを指定商品「金属製フェンス」に使用しても、取引者、需要者は単に指定商品を表示したものと認識するにすぎないものと判断するのが相当である。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当するものである。
▲2▼ 請求人は、本願商標は商標法第3条第2項の規定により登録を受けられる旨主張し、甲第1号証乃至同第14号証(枝番号に係るものを含む。)を提出している。
甲各号証によれば、広告例又は紹介例においては、金属製フェンスの写真の外「朝日UN(ユニ)フェンス」、「朝日フェンス」若しくは「UN(ユニ)フェンス」として又はこれらの文字と共に広告され(甲第1号証、同第8号証乃至同第11号証、同第13号証)、紹介されているものであり(甲第2号証)、また、同フェンスの特定にも「朝日ユニフェンス」又は「UNフェンス(ユニフェンス)」の文字が用いられていること(甲第3号証、同第12号証)、広告例には当該形状が掲載されていないものもあること(甲第9号証の13・15・17・20・23・29)、業界においてはメッシュフェンスの標準タイプと認識されていること(甲第2号証)、他のメーカーの類似品又は同種の製品が多数出回っていること(甲第3号証、同第5号証)及び請求人の製造に係る金属製フェンスは「ユニフェンスA型、R型」等があり、いずれが本願商標に該当するのか明らかでないこと(甲第1号証及び同号証の2)が認められる。
してみれば、広告における金属製フェンスの写真はいずれも金属製フェンス自体を広告したものであり、これが自他商品の識別標識として機能しているとは到底認められないものであり、業界紙における同フェンスの特定においても「朝日ユニフェンス」等の文字が用いられていることは前記認定のとおりであり、また、本願指定商品の形状の使用例としては本願において商標として表されたものとは異なり、切れ目無く相当程度の長さを持って施工されるものであり、したがって、他の商品の形状と比較して一層識別標識としては認識され難い商品であることなどを考慮すれば、甲各号証をもってしては、本願商標が商標法第3条第2項の要件を具備するに至ったと認めることは困難であるばかりでなく、業界において標準タイプのものとみられ、そして、同種の製品が多数出回っているものに識別力を認めて登録することは妥当でないと言わなければならない。
また、甲第4号証によれば、請求人は、「UNフェンス」について意匠登録を受けていたと認められるところ、このような商品の形状に商標登録を認めるべきでないことは前示のとおりである。
4 結論
以上のとおり、本願商標は指定商品「金属製フェンス」の形状を表示するものとし、商標法第3条第1項第3号に該当するとして、本願を拒絶した原査定は、正当であって取り消す限りでない。
よって結論のとおり審決する。
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