Trademark Appeal Case
称呼の類似性と要部抽出
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 不服2003−12104(T2003−12104/J1) |
|---|---|
| 審判種別 | 不服 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理由テキスト
1 本願商標
本願商標は、別掲(1)のとおりの構成よりなり、第41類及び第42類に属する願書記載のとおりの役務を指定役務として、平成12年10月3日(パリ条約による優先権主張 2000年4月14日 アメリカ合衆国)に登録出願されたものである。
そして、願書記載の指定役務については、平成14年4月11日付け、同15年1月23日付け及び当審における同15年7月9日付け手続補正書により、第38類「電子計算機端末による通信,インターネットによる映像及びそれに伴う音声その他の音響を送る放送」及び第42類「コンピュータに関する技術情報の提供,電子計算機用プログラムの提供,電子計算機・自動車その他その用途に応じて的確な操作をするためには高度の専門的な知識・技術又は経験を必要とする機械の性能・操作方法等に関する紹介及び説明,宿泊施設の提供,宿泊施設の提供の契約の媒介又は取次ぎ,美容,理容,入浴施設の提供,写真の撮影,オフセット印刷,グラビア印刷,スクリーン印刷,石版印刷,凸版印刷,気象情報の提供,求人情報の提供,結婚又は交際を希望する者への異性の紹介,婚礼(結婚披露を含む。)のための施設の提供,葬儀の執行,墓地又は納骨堂の提供,一般廃棄物の収集及び分別,産業廃棄物の収集及び分別,庭園又は花壇の手入れ,庭園樹の植樹,肥料の散布,雑草の防除,有害動物の防除(農業・園芸又は林業に関するものに限る。),建築物の設計,測量,地質の調査,機械・装置若しくは器具(これらの部品を含む。)又はこれらにより構成される設備の設計,デザインの考案,電子計算機のプログラムの設計・作成又は保守,医薬品・化粧品又は食品の試験・検査又は研究,建築又は都市計画に関する研究,公害の防止に関する試験又は研究,電気に関する試験又は研究,土木に関する試験又は研究,農業・畜産又は水産に関する試験・検査又は研究,機械器具に関する試験又は研究,著作権の利用に関する契約の代理又は媒介,通訳,翻訳,施設の警備,身辺の警備,個人の身元又は行動に関する調査,あん摩・マッサージ及び指圧,きゅう,柔道整復,はり,医業,医療情報の提供,健康診断,歯科医業,調剤,栄養の指導,家畜の診療,保育所における乳幼児の保育,老人の養護,編み機の貸与,ミシンの貸与,衣服の貸与,植木の貸与,カーテンの貸与,家具の貸与,壁掛けの貸与,敷物の貸与,会議室の貸与,展示施設の貸与,カメラの貸与,光学機械器具の貸与,漁業用機械器具の貸与,鉱山機械器具の貸与,計測器の貸与,コンバインの貸与,祭壇の貸与,自動販売機の貸与,芝刈機の貸与,火災報知機の貸与,消火器の貸与,タオルの貸与,暖冷房装置の貸与,超音波診断装置の貸与,加熱器の貸与,調理台の貸与,流し台の貸与,凸版印刷機の貸与,電子計算機(中央処理装置及び電子計算機用プログラムを記憶させた電子回路・磁気ディスク・磁気テープその他の周辺機器を含む。)の貸与,美容院用又は理髪店用の機械器具の貸与,布団の貸与,理化学機械器具の貸与,ルームクーラーの貸与」と補正されたものである。
2 引用商標
(1)原査定において、本願の拒絶の理由に引用した登録第3210732号商標(以下「引用A商標」という。)は、別掲(2)のとおりの構成よりなり、平成4年9月24日に登録出願、第38類「回線リセール」を指定役務として、同8年10月31日に設定登録されたものである。
(2)同じく、登録第4054337号商標(以下「引用B商標」という。)は、別掲(3)のとおりの構成よりなり、平成4年6月15日に登録出願、第42類「電子計算機のプログラムの設計・作成又は保守」を指定役務として、平成9年9月5日に設定登録されたものである。
(3)同じく、登録第4103949号商標(以下「引用C商標」という。)は、「SIENET」の欧文字を横書きしてなり、平成6年3月25日(パリ条約による優先権主張 1993年10月1日 ドイツ連邦共和国)に登録出願、第9類「電子応用機械器具、但し電子管・半導体素子・電子回路(電子計算機用プログラムを記憶させた電子回路を除く)を除く」を指定商品として、同10年1月16日に設定登録されたものである。
(4)同じく、登録第4163724号商標(以下「引用D商標」という。)は、別掲(4)のとおりの構成よりなり、平成8年8月26日に登録出願、第9類「中央処理装置及び電子計算機用プログラムを記憶させた電子回路,磁気ディスク,磁気テープ,その他の周辺機器を含む電子計算機」を指定商品として、平成10年7月10日に設定登録されたものである。
3 当審の判断
(1)本願商標について
本願商標は、その構成別掲(1)のとおり、黒色の円形の背景図形内に「c|net」の欧文字を配してなるものであるから、その構成文字部分に相応して、「シーネット」の称呼が生ずるものである。
(2)引用A商標について
引用A商標は、その構成別掲(2)のとおり、右横部が近接したアルファベット「C」と「NET21」の文字とをハイフンを介して「C−NET21」と表してなるものであるところ、その構成中の算用数字「21」の部分は、一般に役務の標準、規格、型式等を表すための記号・符号として類型的に用いられているものであって、これが本願商標の構成上、格別の意味合いを想起、認識させるとも認められないから、簡易迅速を尊ぶ商取引の場においては、該算用数字部分を捨象し、「C−NET」の文字部分を要部として捉え、これより生ずる称呼をもって取引に資されることも少なくないとみるのが相当である。
そうとすれば、引用A商標は、その構成文字全体に相応して「シーネットニジュウイチ」の称呼を生ずるほか、欧文字部分に相応して「シーネット」の称呼をも生ずるものといわなければならない。
(3)引用B商標について
引用B商標は、その構成別掲(3)のとおり、左端に配された図形と並んで「CNet」の文字を大きく配し、その下に小さく「TOTAL NETWORK SOLUTIONS」の文字を配した構成よりなるものであるところ、これに接する需要者・取引者は注意を惹き、称呼し易い大書された欧文字部分「CNet」を捉え、これより生ずる「シーネット」の称呼をもって取引に資する場合も少なくないとみるのが相当である。
そうとすれば、引用B商標は、その構成文字全体に相応して「シーネットトータルネットワークソリューション」の称呼を生ずるほか、大書された欧文字部分に相応して「シーネット」の称呼をも生ずるものといわなければならない。
(4)引用C商標について
引用C商標は、前記2(3)のとおり、「SIENET」の文字を書してなるものであるところ、該文字は特定の意味合いを有しない造語と認められるものであって、「ざる、ふるい」を意味する英語「sieve」が「シーブ」と、江戸時代に来日したドイツの医師「Siebold」が「シーボルト」と発音されることからすれば、本願商標はその構成文字に相応して「シーネット」の称呼が生ずるものというべきである。
(5)引用D商標について
引用D商標は、その構成別掲(4)のとおり、左端に配された図形と並んで「CNet」の文字を大きく配した構成よりなるものであるから、その構成文字部分に相応して「シーネット」の称呼が生ずるものである。
(6)本願商標と引用各商標との類否について
以上のとおり、本願商標と引用各商標とは、「シーネット」の称呼において共通するものである。
そして、本願商標「c|net」と、引用A、B及びD商標の「C−NET」「CNet」の文字部分とは、その綴りを共通にするものであり、大文字と小文字による構成上の差異はあるものの、欧文字においては、大文字と小文字との互換、変更使用が、それを用いる状況や場合に応じ適宜行われるのが通例であることを踏まえれば、両商標は、外観上の顕著な差異があるとはいえないものである。
また、本願商標、引用各商標とも一般に親しまれた観念をもって取引に資されるものとは認め難く、両商標の観念上の類否については比較すべくもないものである。
そうとすると、本願商標は、引用の各商標とその称呼「シーネット」を共通にし、さらには引用A、B及びD商標と構成文字の綴りを同じくする点で外観上も近似した印象を与えるものであって、かつ、本願商標の指定役務には引用各商標の指定商品及び指定役務と同一又は類似の役務を含むものである。
(7)請求人の主張について
請求人は、「本願指定商品・役務は、その性質上、専門的な知識を有する取引者によって取引されるのが通常である。かかる専門的な知識を有する取引者は、慎重に商標を確認しつつ取引を行うため、商標のわずかな相違も見分け得ると考えられる。このような取引者にとって、引用各商標と本願商標との外観上の相違は商標を識別する上で極めて重大といえる。事実、インターネット検索によれば、多数の事業者が『CNET』の標章を用いて取引を行っている事実が認められるが、その構成、字体や図形等の差異により、それぞれ混同を生ぜしめることなく識別標識たり得ていることは容易に推認できるところである。また、『商標の外観、観念又は称呼の類似は、その商標を使用した商品につき出所を誤認混同するおそれを推測させる一応の基準にすぎず、したがって、上記3点のうち類似する点があるとしても、取引の実情等によって、何ら商品の出所を誤認混同するおそれが認められないものについては、これを類似商標と解することはできないというべきである』とした最高裁判決(昭和43年2月27日第二小法廷・判決昭和39(行ツ)110号)の趣旨をも勘案すれば、本願商標が使用された場合に、引用各商標と混同を生ずることはあり得ない。」旨主張する。
しかしながら、コンピューターの急速的普及により、一般企業や病院、学校などの公共的施設をはじめ、一般の家庭にもコンピューターが普及し、インターネット等コンピューター関連の商品又はこれらを利用した役務に関心を集める需要者は、必ずしも専門的技術知識を有する者のみに限らないことは、今日の情報化社会の実情より明らかである。
さらに、上述のとおり、本願商標と引用A、B及びD商標とは、その要部において、前者が「c|net」、後者が「C−NET」「CNet」というように、その綴りを共通にする点で外観上近似した印象、連想等を生じさせるおそれがあることを否定できないものであるから、外観における差異が称呼における共通性を凌駕するほどのものとはいえない。また、観念においては明白な差があってその差により明確に区別できるということもない。
してみれば、本願商標と引用各商標とは、称呼においては少なくとも共通しているものであって、かつ、本願商標の指定役務には引用各商標の指定商品及び指定役務と同一又は類似の役務を含むものであるから、引用各商標の指定商品及び指定役務と同一又は類似する役務に本願商標を付したならば、一般消費者の間で出所の混同を生ずるおそれがあるというべきである。
したがって、上記請求人の主張は採用することができない。
(8)むすび
以上のとおりであるから、本願商標が商標法第4条第1項第11号に該当するとして本願を拒絶した原査定は、妥当であって、取り消すことはできない。
よって、結論のとおり審決する。
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