Trademark Appeal Case
立体商標の識別力判断
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 不服2002−20263(T2002−20263/J1) |
|---|---|
| 審判種別 | 不服 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理由テキスト
1 本願商標
本願商標は、別掲のとおりの構成よりなり、平成12年9月29日に立体商標として登録出願され、指定商品については、願書記載のものを同14年2月26日付け手続補正書により、第16類「表面をプラスチックフィルムにて覆ってなる飲料用紙製包装容器」に補正されたものである。
2 原査定の拒絶の理由の要点
原査定は、「本願商標は、指定商品『表面をプラスチックフィルムにて覆ってなる紙製包装用容器』との関係よりすれば、指定商品に採用し得る一形状を表したものと認識される立体的形状よりなるものであるから、これをその指定商品について使用しても、単に商品の形状そのものを普通に用いられる方法をもって表示するにすぎないものと認める。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当する。」と認定判断し、さらに、出願人は、使用による識別力も獲得しているとして、第1号証ないし第7号証を提出しているが、いまだ本願商標は使用された結果、需要者をして出願人の業務に係る商品であることを認識されるに至っているものということはできないとして本願商標を拒絶したものである。
3 当審の判断
(1)商標法第3条第1項第3号について
立体商標は、商品若しくは商品の包装又は役務の提供の用に供する物(以下「商品等」という。)の形状も含むものであるが、商品等の形状は、本来それ自体の持つ機能を効果的に発揮させたり、あるいはその商品等の形状の持つ美感を追求する等の目的で選択されるものであり、本来的(第一義的)には商品・役務の出所を表示し、自他商品・役務を識別する標識として採択されるものではない。
そして、商品等の形状に特徴的な変更、装飾等が施されていても、それは前記したように、商品等の機能又は美感をより発揮させるために施されたものであって、本来的には、自他商品を識別するための標識として採択されるのではなく、全体としてみた場合、商品等の機能、美感を発揮させるために必要な形状を有している場合には、これに接する取引者・需要者は当該商品等の形状を表示したものであると認識するに止まり、このような商品等の機能又は美感と関わる形状は、多少特異なものであっても、未だ商品等の形状を普通に用いられる方法で表示するものの域を出ないと解するのが相当である。
また、商品等の形状は、同種の商品等にあっては、その機能を果たすためには原則的に同様の形状にならざるを得ないものであるから、取引上何人もこれを使用する必要があり、かつ、何人もその使用を欲するものであって、一私人に独占を認めるのは妥当でないというべきである。
そうとすれば、商品等の機能又は美感とは関係のない特異な形状である場合はともかくとして、商品等の形状と認識されるものからなる立体的形状をもって構成される商標については、使用をされた結果、当該形状に係る商標が単に出所を表示するのみならず、取引者・需要者間において、当該形状をもって同種の商品等と明らかに識別されていると認識することができるに至っている場合を除き、商品等の形状を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標として商標法第3条第1項第3号に該当し、商標登録を受けることができないものと解すべきである。
これを本願についてみれば、本願商標は、別掲のとおりの構成よりなるものであって、これを直方体の容器との対比でみれば、上面と底面を正方形状にし、側面の4面を上部と下部を内側に湾曲させ、側面が構成する4つの辺に相当する部分を、中間部をより深く内側に凹ませ舟形状に成形した点に特徴を有する立体的形状の容器を表したものということができる。
上記形状からすると、この種の商品の取引者・需要者が包装用容器メーカー、飲料製造メーカー等であることを考慮し、また、仮に本願商標における上記特徴が他に類例のない形状を構成するものといえたとしても、これを全体としてみた場合、上記特徴を有する飲料用容器を表したと認識されるに止まるものというべきであるから、これらの特徴は、飲料用容器としての使い易さ、持ち易さ等の機能を高めるため、あるいはその美感(見た目の美しさ)を効果的に際立たせるために採択される形状の範囲内のものといわなければならない。
してみれば、本願商標をその指定商品に使用しても、取引者・需要者は、単に商品「表面をプラスチックフィルムにて覆ってなる紙製包装用容器」の形状を表したものと理解するに止まり、自他商品を識別するための標識とは認識し得ないものというのが相当である。
したがって、本願商標が商標法第3条第1項第3号に該当するとした原査定は妥当であって、取り消すことはできない。
(2)商標法第3条第2項について
請求人は、本願商標は使用による識別力も獲得している(商標法第3条第2項)として第6号証及び第7号証を提出し、さらに、「この商品の形状をみれば日本テトラパック株式会社の取扱いに係る商品であると認識できる」旨の記載のある第8号証ないし第10号証(本願商標が同種の紙製包装用容器が採用し得る変更、装飾等の範囲を超えていることを証するためとして提出したもの)を提出しているので、以下、本願商標が、商標法第3条第2項の要件を具備するか否かについて、第6号証ないし第10号証を併せて検討する。
第6号及び第7号証は、「キリンビバレッジ株式会社」及び「味の素ゼネラルフーヅ株式会社」の証明書であり、これらには、本願商標と同一といえる標章が表示されて「上記形状の立体商標は、・・・取引者間に周知・著名となり、上記立体商標を見れば、テトラパックの業務に係る商品であることを認識することができる」旨記載されている。また、第8号証ないし第10号証は、「グリコ乳業株式会社」、「味の素ゼネラルフーヅ株式会社」及び「株式会社ふくれん」の証明書であり、これらには、本願商標と同一といえる標章が表示されて、「この商品の形状をみれば日本テトラパック株式会社の取扱いに係る商品であると認識することができ、また、この業界においてこの種の形態を有する『飲料用紙製包装用容器』として日本テトラパック株式会社以外に取り扱っている事実を知りません」旨記載されている。
しかしながら、これら証明書は、上記4社が証明するに止まるものであるところ、例えば社団法人全国清涼飲料工業会の会員をみると、飲料製造メーカーに限ってみても50社を越えており(上記工業会のホームページ参照)、これらの証明書はごく少数の飲料製造メーカーによるものといえるばかりでなく、公的機関や同業組合等による証明書もない。
してみれば、本願商標は、使用により自他商品の識別機能を有するに至ったものとはいえないものである。
したがって、本願商標が商標法第3条第2項の要件を具備するものであるとする請求人の主張は、採用することができない。
なお、本願商標の指定商品は、上記1のとおり、平成14年2月26日付け手続補正書により、第16類「表面をプラスチックフィルムにて覆ってなる飲料用紙製包装容器」に補正されているものであるから、上記以外の指定商品に関する拒絶の理由は、原査定の段階で既に解消していたことは明らかである。
よって、結論のとおり審決する。
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