結論テキスト
審判費用は、被請求人の負担とする。
Trademark Appeal Case
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
| 審判番号 | 取消2004−31015(T2004−31015/J2) |
|---|---|
| 審判種別 | 取消 |
| 結論 | 勝訴(請求認容) |
本件登録第4230645号商標(以下「本件商標」という。)は、「速聴クラブ」の文字を標準文字で書してなり、平成9年7月4日登録出願、第9類「レコード,メトロノーム,電子応用機械器具及びその部品,映写フィルム,スライドフィルム,スライドフィルム用マウント,録画済みビデオディスク及びビテオテープ」及び第16類「印刷物」を指定商品として、同11年1月14日に設定登録され、現に有効に存続しているものである。
請求人は、結論同旨の審決を求めると申し立て、その理由及び答弁に対する弁駁を要旨次のとおり述べた。
(1)請求の理由
本件商標は、その指定商品について、継続して3年以上日本国内において使用された事実がないから、商標法第50条第1項の規定により、その登録を取り消されるべきである。
(2)答弁に対する弁駁
(ア)被請求人は、乙第1号証(企画書)を提出し、本件商標は、「CD−ROM,印刷物」について使用していると主張するが、乙第1号証は、企画書であり、商標法上の商品ではないから使用の事実を立証するものではないこと明らかである。
(イ)被請求人は、「商標権者に真に使用意思があり、それを乙第1号証の如き客観的資料によって証明し得る限り、その登録を維持することが法目的から妥当である。」と主張することから、被請求人は、実際には使用していないことを認めていること明らかである。現実に使用していない場合には、不使用として取り扱うことはいうまでもないから、本件商標は、取り消されるべきものである。
しかも、乙第1号証は、本件商標の使用の意思を立証するものではない。すなわち、乙第1号証は、企画書の下に大きな字で「速読速聴クラブ」と記載され、その下に小さな字で「速読クラブ」、「速聴クラブ」と記載されており、前記したように企画書は、商標法上の商品ではないが、仮に商標法上の商品であると仮定しても、商標的使用でもない(企画書の商標として使用しているものではない)から、本件商標の使用の意思を立証するものでもないこと明らかである。
乙第1号証(企画書)6頁には、「『速読クラブ』『速聴クラブ』受講生は以下の製品とサービスを利用することができます。」と記載され、「1.CD−ROM」、「2.書籍」の記載があるが、このCD−ROMと書籍の商標が、「速聴クラブ」であることは全く記載されていない。
したがって、これも本件商標の使用の意思を立証するものでもない。
(ウ)以上のように、本件商標は、いずれの指定商品についても実際に使用されていないので、商標法第50条第1項の規定により取り消されるべきものである。
被請求人は、「本件審判の請求は、成り立たない。審判費用は、請求人の負担とする。」との審決を求めると答弁し、その理由を要旨次のとおり述べ、証拠方法として、乙第1号証を提出した。
(1)被請求人は、本件審判の請求の登録前より現在に至るまで、日本国内において、本件商標をその指定商品中の「CD−ROM,印刷物」について使用している(乙第1号証)。
(2)被請求人は、昭和44年(1969年)に英文雑誌等を企画、発行する会社としてスタートし、英語を始めとする外国語の学習教材及び通信教育を行っている。
本件商標は、このような語学習得のためのツール及び講座の一つに使用されているものである(乙第1号証)。
このような語学習得のためのプロジェクトを新規に立ち上げる場合、従来の学習プロセスを検証し、従来よりも如何に効率よく学習し、その成果を持続できるかについて十分検討し、新たな学習プロセスを構築する必要がある。
また、教材についても、学習者により理解され易く、受け入れ易い教材を作れるかといった課題を解決しなければならない。
さらに、新しい学習プロセスが決定した後、それをどのように学習者に反映させ、やる気を引き起こせるのか等について検討する必要がある。
したがって、一つの語学学習のための新規プロジェクトを立ち上げるためには、年単位の時間と労力が必要になってくるのである。
本件商標に関する新規プロジェクトについては、上述の様々な要素の検討を終え、ようやくその基本コンセプトが固まり、本年4月から本格的なサービス開始に向けて動き出しているものである(乙第1号証)。
(3)なお、乙第1号証に示す本件商標の使用が商標法上の使用概念に該当しないと認定す場合、かかる認定は、社会的妥当性に欠けるものといわざるを得ないものである。
すなわち、そもそも不使用取消審判は、不使用商標を個別整理し、使用を欲する第三者に開放して、登録主義の弊害を是正するものであるものの、将来における営業開始の予測の下に登録が認められている現行法下においては、現実の使用がなければ取り消しを免れないのであれば、登録手続に比べ均衡を失することから、登録商標の使用については広く解釈すべきである。
したがって、たとえ未使用の商標であっても、真摯なる使用の意思が認められるような場合には、現実の使用があるものとして取り扱っても差し支えないと考えるのが相当である。
要するに、現実の使用の有無も、商標法の目的との関係において、弾力的に運用されるべきであり、現時点において商標権者は将来の使用意思があるか否か等を総合的に勘案し、評価して取り消すか否か決すべきである。
よって、商標権者に真に使用意思があり、それを乙第1号証の如き客観的資料によって証明し得る限り、その登録を維持することが法目的から妥当である。
(4)以上のとおり、本件商標は、本件審判の請求の登録前3年以上前より現在に至るまで継続的に使用されているものであることから、商標法第50条第1項の規定により、本件請求に係る指定商品について、その登録を取消し得ないものであることは明白である。
(1)使用の事実について
商標法第50条第1項による商標登録の取消審判の請求があったときは、同条第2項に規定により、被請求人において、その請求に係る指定商品について当該商標を使用していることを証明し、または、使用していないことについて正当な理由があることを明らかにしない限り、その指定商品に係る商標登録の取消しを免れないところである。
しかるところ、被請求人は、乙第1号証として、商標権者(被請求人)が2004年(平成16年)4月1日作成したと認められる日本人向けの英語学習に関する企画書を提出するのみで、本件審判の請求の登録(平成16年8月23日)前3年以内に、商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれかが本件商標を請求に係る指定商品のいずれかについて使用している事実を何ら立証していない。
(2)前記(1)に関し、被請求人は、現実の使用の有無も、商標法の目的との関係において、弾力的に運用されるべきであり、現時点において商標権者は将来の使用意思があるか否か等を総合的に勘案し、評価して取り消すか否か決すべきである旨主張する。
しかし、登録商標を将来的に使用する意思があることのみをもって、商標法第50条でいう登録商標の使用と認められないことは、以下のとおりである。
(ア)商標法は、使用により商標に蓄積された信用を保護することにより、産業の発達に寄与し、需要者の利益を保護することを目的としているものである。換言すれば、商標権者が登録商標を使用することを保護の前提としているものであって、一定期間登録商標を使用しない場合は、保護する対象がないものというべきであり、他方、不使用の登録商標を放置することは、商標の使用を欲する者の商標採択の範囲を狭める結果ともなり、国民一般の利益を損なうこととなる。
商標法第50条の立法趣旨は、上記のような一定期間登録商標を使用していない登録商標については、請求により、商標登録を取り消すことにあると解される。
上記商標法の目的及び同法第50条の立法趣旨からみれば、登録商標を使用しているというためには、単に将来的に使用をする意思があるというだけでは足りず、将来的に使用をする意思があるにもかかわらず、例えば、地震、水害等の不可抗力、放火、破壊等の第三者の故意又は過失による事由、法令による禁止等の公権力の発動に係わる事由等商標権者、専用使用権者又は通常使用権者の責めに帰すことができない特別の事由が発生したために、当該審判の請求の登録前3年以内に現実に使用をすることができなかった場合のような、不使用についての正当な理由が必要というべきである。
(イ)これを本件についてみるに、前記(1)で認定したとおり、被請求人は、2004年4月1日作成したと認められる日本人向けの英語学習に関する企画書(乙第1号証)を提出するのみであり、これとても、その内容を裏付ける客観的証拠の提出はないのみならず、商標権者において商標の使用の準備を進めていたにもかかわらず、商標権者の責めに帰すことができない特別の事情により現実の使用に至らなかったなどの事実関係を具体的に立証する証拠の提出もないものである。
加えて、本件審判の請求の登録日である平成16年8月23日前3年の時点から該企画書を作成した2004年4月1日までの間には、相当の期間があり、本件商標を請求に係る指定商品について使用するに十分な期間であったといえるのにもかかわらず、被請求人は、その間においても、本件商標を請求に係る指定商品について使用していなかったものである。
そうすると、本件商標を請求に係る指定商品に使用しなかったことについて、商標権者等の責めに帰することができないやむを得ない事情があり、不使用を理由に本件商標の登録を取り消すことが社会通念上酷であるとまで認めることはできない。
(ウ)したがって、前記被請求人の主張は、商標法の目的及び同法第50条の立法趣旨からみて、到底認めることはできない。
(3)むすび
以上のとおりであるから、本件商標の登録は、商標法第50条の規定により、取り消すべきものとする。
よって、結論のとおり審決する。
Next Action
類似審決の追加調査から中間応答、新規出願の費用確認まで、この審決を起点に次のアクションへ進めます。
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