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Trademark Appeal Case

商標の称呼類似性

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号無効2004−35116(T2004−35116/J3)
審判種別無効
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

本件審判の請求は、成り立たない。
審判費用は、請求人の負担とする。

理由テキスト

第1 本件商標

本件登録第4501603号商標(以下「本件商標」という。)は、「ラリつく」の文字を標準文字とし、平成12年6月28日に登録出願、第9類「電池,写真機械器具,映画機械器具,光学機械器具,電気通信機械器具,レコード,パーソナルコンピュータ用ゲームプログラムを記憶させた電子回路・磁気テープ・磁気ディスク・光ディスク・ROMカートリッジ・その他の電子応用機械器具及びその部品,業務用テレビゲーム機,業務用テレビゲーム機のゲームプログラムを記憶させた電子回路・磁気テープ・磁気ディスク・光ディスク・ROMカートリッジ・その他の業務用テレビゲーム機の部品及び附属品,その他の遊園地用機械器具,スロットマシン,録画済みビデオディスク及びビデオテープ,自動販売機,両替機,金銭登録機,硬貨の計数用又は選別用の機械,電気計算機,家庭用テレビゲームおもちゃ,家庭用テレビゲームおもちゃのゲームプログラムを記憶させた電子回路・磁気テープ・磁気ディスク・光ディスク・ROMカートリッジ・その他の家庭用テレビゲームおもちゃの部品及び附属品」及び第41類「技芸・スポーツ又は知識の教授,動物の調教,植物の供覧,動物の供覧,図書及び記録の供覧,美術品の展示,庭園の供覧,洞窟の供覧,映画・演芸・演劇又は音楽の演奏の興行の企画又は運営,映画の上映・制作又は配給,演芸の上演,演劇の演出または上演,音楽の演奏,放送番組の制作,教育・文化・娯楽・スポーツ用ビデオの制作(映画・放送番組・広告用のものを除く。),ゴルフの興行の企画・運営又は開催,相撲の興行の企画・運営又は開催,ボクシングの興行の企画・運営又は開催,野球の興行の企画・運営又は開催,サッカーの興行の企画・運営又は開催,競馬の企画・運営又は開催,競輪の企画・運営又は開催,競艇の企画・運営又は開催,小型自動車競走の企画・運営又は開催,当せん金付証票の発売,音響用又は映像用のスタジオの提供,運動施設の提供,娯楽施設の提供,興行場の座席の手配,映写機及びその附属品の貸与,映写フィルムの貸与,楽器の貸与,スキー用具の貸与,スキンダイビング用具の貸与,テレビジョン受信機の貸与,ラジオ受信機の貸与,図書の貸与,レコード又は録音済み磁気テープの貸与,録画済み磁気テープの貸与,おもちゃの貸与,遊園地用機械器具の貸与,遊戯用器具の貸与,カラオケ機械器具の貸与,携帯電話機又は簡易型携帯電話機による通信を用いて行うゲームの提供,電子計算機端末による通信を用いて行うゲームの提供,電子計算機端末又は携帯電話機による通信を用いて行うコンピュータゲームの提供に関する情報の提供,電子計算機端末又は携帯電話機による通信を用いて行う音楽の提供,電子計算機端末又は携帯電話機による通信を用いて行う音楽の提供に関する情報の提供,電子計算機端末又は携帯電話機による通信を用いて行う映画の提供,電子計算機端末又は携帯電話機による通信を用いて行う映画の提供に関する情報の提供,電子計算機端末による通信を利用したゲームの提供に関する情報の提供」を指定商品及び指定役務として、平成13年8月24日に設定登録されたものである。

第2 引用商標

請求人が本件商標の無効の理由に引用する、登録第4153436号商標(以下「引用商標1」という。)は、「ラリック美術館」の文字を横書きしてなり、平成7年10月12日に登録出願、第41類「美術品の展示」を指定役務として、平成10年6月5日に設定登録されたものである。同じく、登録第4483526号商標(以下「引用商標2」という。)は、「LALIQUE」の欧文字を横書きしてなり、平成11年7月29日に登録出願、第41類「受託による書籍及び評論雑誌の制作,演劇の演出,文化又は教育のための展示会の運営,技芸・知識の教授,セミナーの企画・運営又は開催」を指定役務として、平成13年6月22日に設定登録されたものである。同じく、登録第972743号商標(以下「引用商標3」という。)は、「LALIQUE」の欧文字を横書きしてなり、昭和45年4月25日に登録出願、第21類「装身具、ボタン類、かばん類、袋物、宝玉及びその模造品、造花、化粧用具」指定商品として、昭和47年7月20日に設定登録されたものであるが、指定商品については、第14類「身飾品(「カフスボタン」を除く。),カフスボタン,貴金属製のがま口及び財布,宝玉及びその模造品」、第18類「かばん類,袋物」、第21類「化粧用具(「電気式歯ブラシ」を除く。)」及び第26類「腕止め,衣服用き章(貴金属製のものを除く。),衣服用バッジ(貴金属製のものを除く。),衣服用バックル,衣服用ブローチ,帯留,ボンネットピン(貴金属製のものを除く。),ワッペン,腕章,頭飾品」と書換登録されたものである。

第3 請求人の主張

請求人は、本件商標の指定商品及び指定役務中、第41類の指定役務についての登録は、これを無効とする、審判費用は被請求人の負担とする、との審決を求め、その理由及び答弁に対する弁駁を要旨次のように述べ、証拠方法として、甲第1号証ないし甲第16号証(枝番を含む。)を提出した。

1 商標法第4条第1項第11号について

本件商標は、「ラリつく」の文字よりなるので、その構成文字に相応し「ラリック」の称呼を生ずるものである。

これに対し、引用商標1は、「ラリック美術館」の文字を書してなるところ、構成中の「美術館」の文字は役務提供の場所を表示し、識別性を具備しないため、これを除いた「ラリック」の文字部分が引用商標1の主要部を形成するものである。

したがって、引用商標1は、「ラリック」の称呼をも生ずるものである。

同じく、引用商標2は、「LALIQUE」の構成文字に相応して「ラリック」の称呼を生ずるものである。

したがって、引用商標1及び引用商標2からは、いずれも「ラリック」の称呼を生ずること明らかなものである。

そこで、本件商標と引用商標1及び引用商標2における称呼を比較すると、本件商標と引用各商標は、いずれも「ラリック」の称呼を生じるので、称呼について互いに類似するものである。

また、本件商標と引用商標1及び引用商標2は、その役務について同一または類似するものである。

したがって、本件商標と引用商標1及び引用商標2とは、外観及び観念の類否について論及するまでもなく、称呼上彼比相紛らわしい類似の商標である。

2 商標法第4条第1項第15号について

(1)請求人(ラリック)の著名性について

請求人は、フランス国に所在し、1905年(明治38年)、宝飾デザイナーのルネ・ラリックによって設立されたガラス工芸品メーカーである(甲第5号証)。

そして、ルネ・ラリックのガラス製品は、花瓶、動物や女性像の置物、デスクアクセサリ及び香水瓶等であり、アール・デコのガラス工芸をリードする世界的な高い評価を得ている(甲第6号証及び甲第10号証)。

また、ラリックのルネ・ラリックの作品は、フランス並びに国際的遺産として、我が国のルネ・ラリック美術館を含む世界で40以上の美術館に展示されており、2000年8月から2001年4月まで横浜のそごう美術館、東京の東京都庭園美術館及び近代美術館等でルネ・ラリック記念展に出品され称賛を博した実績を有しており(甲第6号証)、「ラリック」が我が国において周知・著名となっているものである。

このように、ルネ・ラリックの技術を引き継いだ請求人は、花瓶、動物や女性像の置物等のガラス工芸品、シャンデリア等の照明器具、ガラスタイルやガラスパネル等の建築・インテリア用製品、皿やグラス等のテーブルウエア、香水びんやクリーム容器等の香水メーカー特注製品、ネックレス、ブレスレット、ペンダント、イヤリング、ブローチ等の宝飾品、アールデコとアールヌーボを調和させた時計等を製作している(甲第6号証、甲第10号証及び甲第12号証)。

そして、請求人は、現在、世界中に60店舗のラリック直営店を有しており、英国、イタリア、スペイン、ドイツ、アメリカ及び日本等に現地法人を有し、世界中の1400店舗でラリック商品を販売している(甲第6号証)。

さらに、請求人は、1987年(昭和62年)以来、フランスにおいてフィギュアスケート等の国際競技大会を開催も業務としており、その優勝者に贈られる「ラリック杯」が有名であり、これらのことが新しい顧客層に支持され、ダイナミックなイメージとして受け入れられている(甲第6号証ないし甲第9号証)。

また、この「ラリック杯」(トロフィ)は、クリスタルの線の美しい優雅な動きを表現したものとした有名でもある(甲第6号証及び甲第7号証)。

このように、「ラリック」(LALIQUE)の文字は、請求人の商標として、ガラス工芸品としての商品のみならず、スポーツの企画・運営又は開催者としても我が国において広く一般に知られ、かつ、周知・著名となっているものである。

(2)引用商標3について

「ラリック」と称呼される引用商標3は、請求人の製造・販売に係る商品を指定商品とし、登録されたものであり、該商標が我が国において広く親しまれ、かつ、周知・著名となっているものである。

(3)商品の出所について混同のおそれがあることについて

本件商標は、その構成文字に相応して「ラリック」と称呼されるものであり、「ラリック」と称呼される周知・著名な引用商標3とは、称呼上彼比相紛らわしい類似の商標である。

また、本件商標と引用商標3は、その指定役務との関係において、請求人の工芸品の展示、スポーツの企画・運営又は開催等の役務と密接な関係にあるものである。

そのため、本件商標は、これをその指定役務に使用された場合、請求人又は請求人の関連する会社の業務に係る役務であるかのように、出所について混同を生ずるおそれがあるといわなければならない。

3 むすび

以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第11号及び同第15号に該当し、登録を受けることができないものである。

4 答弁に対する弁駁

(1)商標法第4条第1項第11号について

本件商標は、その構成が「ラリ」の片仮名文字と「つく」の平仮名文字との結合よりなるものであるとしても、その発音において「ラリツク」の称呼を生ずるものである。

これに対する引用商標1は、その「ラリック美術館」の文字よりなるとしても、構成文字中「美術館」が本類の指定役務との関係で、役務提供の展示場所とする建物の名称を表示した識別性を具備しない部分であり、これを除いた「ラリック」の文字部分が主要部を構成するので、これより単に「ラリック」の称呼をも生ずるものである。

故に、引用商標1より生ずる称呼は、「ラリックビジュツカン」のみであるとする被請求人の主張は誤りである。

また、引用商標2及び引用商標3は、「LALIQUE」の文字よりなり、これより「ラリック」の称呼を生ずること明らかなものである。

ところで、本件商標より生ずる「ラリツク」と引用商標1ないし引用商標3より生ずる「ラリツク」の両称呼を比較すると、両称呼は、いずれも4音をもって構成され、第3音における「ツ」と「ッ」の差異を有するにすぎないものである。

そして、本件商標の発音表記中「ツ」については、親しまれた名詞・動詞又は形容詞等で発音を特定した熟語でない限り、これが大文字か小文字かを問わず促音的に発音されるのが常である。

例えば、[マツチ」と「マッチ」、「ブロツク」と「ブロック」、「ロツカー」と「ロッカー」、「キャツプ」と「キャップ」、「トツパン」と「トッパン」等のように「ツ」の大小に関係なく促音として称呼されるのである。

また、「クツション」と「クッション」、「ホツトドッグ」と「ホットドッグ」等のように促音が連続しているものでも、「ツ」の大小に関係なく促音とみたてて称呼される場合が多いことはいうまでもないことである。

さらに、称呼を表わす片仮名表記にあって、音構成の前後でなく中間にのみ「ツ」が介在する場合は、仮に促音として発音させない場合があるとしても、促音「ッ」として介在するものと対比しても、それぞれ全体として一連に称呼するとき、語韻・語調が酷似して聴取されるのである。

してみれば、本件商標より生ずる「ラリツク」と引用商標1ないし引用商標3より生ずる各「ラリック」の称呼は、両者の音構成としての「ツ」と「ッ」の片仮名表記における大小の差異と関わり無く、互いに相紛れる類似の称呼である。

したがって、本件商標は、引用商標1ないし引用商標3との外観及び観念における類否に言及するまでもなく、称呼上彼比相紛らわしい類似の商標である。

(2)商標法第4条第1項第15号について

請求人(ラリック)又は商標としての「LALIQUE」(ラリック)の著名性については、甲第5号証ないし甲第12号証に示すとおりであり、請求人の製造に係るガラス工芸製品を世界各国に輸出・販売し、その商品が世界の一流品として著名であるばかりでなく(甲第13号証)、請求人の創始者であるルネ・ラリックの工芸作品について、欧州、米国のみならず我が国においても、東京の近代美術館、横浜のそごう美術館、東京都庭園美術館及京都の近代美術館においてルネ・フリック記念展が開かれ好評を博している。

また、請求人は、1987年(昭和63年)以来国際フィギュアスケート大会を開催し優勝者に「ラリック杯」を授与しており、日本からも参加しており、我が国においても「ラリック杯フィギュア」として有名である(甲第6号証ないし甲第9号証)。

その上、「ラリック杯」は、今や「ISUフィギュアスケートグランプリーシリーズ」の競技として「NHK杯」と共に国際的なビック大会名となっており、テレビ放送や新聞のスポーツ欄等を通じて知られており、「ラリック」はスポーツの興行の企画・運営又は開催者間においても周知・著名となっているものである(甲第14号証ないし甲第16号証)。

してみれば、「ラリック」の文字は、本件商標の役務にかかる美術工芸の展示及びスポーツにおける放送番組の制作等の業務に関連するものであることが明らかであり、本件商標における役務の使用は、請求人と関連する者による使用であるかのように混同を生ずるおそれが充分にある。

第4 被請求人の主張

被請求人は、結論同旨の審決を求め、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として、乙第1号証及び乙第2号証を提出した。

1 商標法第4条第1項第11号について

本件商標は、片仮名の「ラ」「リ」と平仮名の「つ」「く」の4文字を連綴した「ラリつく」の文字列から構成されるものであるから、その称呼は「ラ」「リ」「ツ」「ク」と各音を一音一音明瞭に発音するものであって、「ツ」を促音として捉え称呼することのないものである。したがって、本件商標は、促音を含まない「ラリツク」の称呼を自然に生ずるものである。

加えて、本件商標は、被請求人が提供するゲーム「ラリーチームをつくろう!」の略称として、「ラリーチーム」の「ラリ」と「つくろう」の「つく」を組み合わせたもので、「ラリーチームをつくろう!」と共に使用し、もしくはゲーム「ラリーチームをつくろう!」の略称であることが明確に分かる状況で使用されるものである(乙第1号証)。したがって、取引者・需要者等の看者が、本件商標「ラリつく」のうち、「つ」の部分を促音と看取することはあり得ない。

これに対し、引用商標1は、「ラリック美術館」の文字よりなるものであるから、「ラリックビジュツカン」の称呼を自然に生ずるものである。なお、請求人は、「美術館」は役務提供の場所を表示し、識別性を具備しないとしているが、一般世人は、「そごう美術館」を「そごう」、「東京都庭園美術館」を「東京都庭園」、「近代美術館」を「近代」と呼ぶことはなく、美術館をも含んだ全体の名称を持って称呼し識別しているのが実情である。したがって、引用商標1は、「ラリック」の称呼を生ずるものではない。

そこで、本件商標と引用商標1の前記称呼を比較すると、両者は、その音数において4音と8音で明確に異なるものであり、その称呼において相紛れることのないものである。

また、本件商標と引用商標1は、その外観、観念においても明らかに異なり相違えることのないものである。

したがって、本件商標と引用商標1が互いに非類似のものであること明らかである。

次に、引用商標2は、「LALIQUE」の文字よりなるものであるから、これより「ラリック」の称呼をも生ずると見ることもできるが、仮に、引用商標2から「ラリック」の称呼が生じたとしても、本件商標とはその称呼において明確に区別できるものである。

すなわち、本件商標の称呼は、「ラ」「リ」「ツ」「ク」の各音を一音一音明瞭に発音するものであるのに対し、引用商標2は、第2音の「リ」が促音「ッ」を吸収し強く「リ」と発音される上、強調された「リ」を受ける「ク」の音も更に明瞭に大きく発音されるので、全体の音は「ラリク」と聴取されるものである。したがって、「ラリツク」の4音として聴取される本件商標の称呼と3音「ラリク」として聴取される引用商標2の称呼は、音数の違いに加えてその語調・語感が明らかに相違するので明確に区別できるものである。

加えて、本件商標と引用商標2は、その外観、観念においても明らかに異なり相違えることのないものである。

したがって、本件商標と引用商標2が互いに非類似のものであること明らかである。

更に、引用商標3は、引用商標2と同じ「LALIQUE」の文字よりなるものであるから、同様に「ラリック」の称呼をも生ずると見ることもできる。しかし、引用商標3から「ラリック」の称呼が生じたとしても、この称呼と本件商標の称呼とは、前記したとおり、明確に区別できるものである。

したがって、本件商標と引用商標3が互いに非類似のものであること明らかである。

なお、被請求人は、遊戯者が自分の好みに応じたチームなどを作って遊ぶことができるゲームを「つくろう!」シリーズとして販売しており、それぞれ「〇○つく」などとして使用している(乙第2号証)。本件商標「ラリつく」は、このシリーズのゲームの一つとしてリリースされたものである。

(2)商標法第4条第1項第15号について

本件商標は、前記したとおり、請求人の商標と非類似のものであるから、本件商標に係る役務において、その取引者、需要誌者が、被請求人の役務を請求人の業務に係るものであると誤認し、混同することなどない。

また、請求人の提出した甲第5号証ないし甲第12号証から、請求人がガラス工芸の分野を中心に事業を行っていることを知り得るとしても、提出に係る証拠からは請求人が我が国において周知・著名であることを認めることはできないと思料する。

したがって、被請求人が、本件商標をその指定役務に使用しても請求人の事業にかかるものであると取引者・需要者が誤認・混同することはない。

第5 当審の判断

1 商標法第4条第1項第11号について

本件商標は、「ラリつく」の文字に相応し「ラリツク」の称呼を生ずるものである。

しかして、本件商標は、特定の意味を有しない造語よりなるものであって、前半部の「ラリ」の文字が片仮名文字、後半部の「つく」の文字が平仮名文字よりなるものであり、字体を異にしていることから、本件商標より生ずる「ラリツク」の称呼は、「ラ」「リ」「ツ」「ク」と各音を一音一音明瞭に発音するのが自然であって、「ツ」を促音として捉え発音することはないものというのが相当である。

他方、引用商標1は、「ラリック美術館」の文字よりなるところ、後半部の「美術館」の文字は、「美術品を展観する公共的な施設」を指称する文字(語)であるとしても、全体として、美術館の名称を表示したものと認識、理解されるから、引用商標1は、「ラリック美術館」の文字に相応し「ラリックビジュツカン」の称呼を生ずるものというのが相当である。

そうとすれば、本件商標より生ずる「ラリツク」の称呼と引用商標1より生ずる「ラリックビジュツカン」の称呼とは、その音数、音構成において明らかな差異を有するものであるから、互いに聴別し得るものである。

次に、引用商標2及び引用商標3は、「LALIQUE」の文字に相応し、「ラリック」の称呼を生ずるものと認められるものである。

そこで、本件商標より生ずる「ラリツク」の称呼と引用商標2及び引用商標3より生ずる「ラリック」の称呼とを比較すると、両称呼は、第2音に続く音において、促音「ッ」と単音「ツ」の音の差異を有し、他の音を共通にするものである。

そうして、本件商標より生ずる「ラリツク」の称呼は、前記したとおり、「ラ」「リ」「ツ」「ク」の各音を一音一音明瞭に発音されるのに対し、他方、引用商標1及び引用商標2より生ずる「ラリック」の称呼は、第2音の「リ」が促音「ッ」を伴って「リ」が発音されることから、全体の音は「ラリク」に近く聴取されるものである。

そうしてみると、本件商標より生ずる「ラリツク」の称呼と引用商標2及び引用商標3より生ずる「ラリック」の称呼とは、それぞれ一連に称呼するとしても、その語調・語感が相違し、互いに聞き誤るおそれはないものというのが相当である。

この点において、請求人は、例えば、[マツチ」と「マッチ」、「ブロツク」と「ブロック」、「ロツカー」と「ロッカー」、「キャツプ」と「キャップ」、「トツパン」と「トッパン」、「クツション」と「クッション」、「ホツトドッグ」と「ホットドッグ」等のように、「ツ」の大小に関係なく促音とみたてて称呼される場合が多い、旨主張するが、本件商標とは事案を異にし、前記認定の妨げとはならない。

また、本件商標と引用各商標とは、その外観、観念において類似する理由は見あたらない。

してみれば、本件商標と引用各商標とは、その称呼、外観及び観念のいずれの点においても、非類似の商標といわざるを得ない。

2 商標法第4条第1項第15号について

請求人は、フランス国に所在し、1905年(明治38年)、宝飾デザイナーのルネ・ラリックによって設立されたガラス工芸品メーカーであり、(甲第5号証)そして、請求人の業務に係るガラス製品は、花瓶、動物や女性像の置物、デスクアクセサリ及び香水瓶等を製造、販売している事実は認め得るものである(甲第6号証ないし甲第13号証)。

また、請求人は、1987年(昭和62年)以来、フランス若しくは我が国においてフィギュアスケート等の国際競技大会を開催し、その優勝者に「ラリック杯」トロフィを贈っている事実は認められるとしても、その開催の規模、パンフレット、宣伝広告等の実際について明らかでないから、該国際競技大会が我が国において、広く認識されているものと認めることはできない(甲第6号証の1ないし甲第9号証及び甲第14号証ないし甲第16号証)。

そうして、請求人は、前記した商品等に「ラリック」(LALIQUE)商標を使用した結果、仮に、我が国において広く認識されていたとしても、本件商標の指定役務と請求人の業務に係る商品とは、その役務と商品の用途、役務の提供場所と商品の販売場所等を著しく異にするばかりでなく、前記1のとおり、本件商標と引用商標「LALIQUE」(ラリック)とは、非類似の商標であるから、本件商標をその指定役務に使用するとしても、引用商標3若しくは請求人の使用商標を連想、想起し、請求人又は請求人らと経済的または組織的に何等かの関係がある者の業務に係る役務であるかの如く、出所の誤認、混同を生ずるおそれはないものというのが相当である。

3 結語

したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号及び同第15号に違反して、登録されたものではないから、商標法第46条第1項の規定により無効とすべきではない。

よって、結論のとおり審決する。

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