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Trademark Appeal Case

X文字の要部抽出と類否

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号無効2004−35093(T2004−35093/J3)
審判種別無効
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

本件審判の請求は、成り立たない。
審判費用は、請求人の負担とする。

理由テキスト

第1.本件商標

本件登録第4619335号商標(以下「本件商標」という。)は、平成13年8月30日に登録出願され、別掲(1)に示すとおりの構成よりなり、第12類「船舶並びにその部品及び附属品,航空機並びにその部品及び附属品,鉄道車両並びにその部品及び附属品,自動車並びにその部品及び附属品,二輪自動車並びにその部品及び附属品,自転車並びにその部品及び附属品,乳母車,車いす,人力車,そり,手押し車,荷車,馬車,リヤカー,荷役用索道,カーダンパー,カープッシャー,カープラー,牽引車,陸上の乗物用の動力機械(その部品を除く。),陸上の乗物用の機械要素,陸上の乗物用の交流電動機又は直流電動機(その部品を除く。),タイヤ又はチューブの修繕用ゴムはり付け片,乗物用盗難警報器,落下傘」を指定商品として、平成14年11月8日に設定登録されたものである。

第2.請求人の引用する商標

請求人が本件商標の登録無効の理由に引用する登録第4108360号商標(以下「引用商標」という。)は、平成8年2月29日に登録出願され、別掲(2)に示すとおりの構成よりなり、第12類「自動車用タイヤ・リム,その他の自動車並びにその部品及び附属品,航空機並びにその部品及び附属品,二輪自動車・自転車並びにそれらの部品及び附属品,タイヤ又はチューブの修繕用ゴムはり付け片」を指定商品として、平成10年1月30日に設定登録されたものである。

第3.請求人の主張

請求人は、本件商標の登録はこれを無効とする、審判費用は被請求人の負担とする、との審決を求める、と申し立てその理由を次のように述べ、証拠方法として、甲第1号証ないし同第5号証を提出した。

本件商標は、商標法第4条第1項第15号および同第11号に該当し、その登録は同法第46条第1項第1号により、無効にされるべきものである。

以下にその理由を詳述する。

1.商標法第4条第1項第15号について

請求人は、フランス国に拠点を置く世界的タイヤメーカーであり、1832年の創業以来、営々たる企業努力・莫大な費用を投じた宣伝広告により世界のトップブランドとしての地位を確立しているものである。特に、1949年に世界で初めてラジアルタイヤを発売(商品名「Michelln X」)したことや、F−1レーサー用のタイヤのノウハウを生かし、世界で初めて時速300キロメートル以上での連続走行に適するようにした消費者向けタイヤ(商品名「MXX」)を発売したことなどにおいて傑出したタイヤメーカーである。さらに、料理店・ホテルなどのガイドブック(「ミシュランの三つ星レストラン」等と称されるものである)やロードマップでも定評があるものであり、我が国でも「ミシュラン」の名を知らぬ者はいないと考えられるほど周知・著名性を有するブランドである。

このように、請求人にとって「X」の商標はその創業当時より使用していた極めて貴重なものであり、世界中で「X」商標の登録を取得しているものである。しかしてタイヤの取引者・需要者の間では「X」といえば請求人ミシュラン社のブランドを指称するものとしてあまねく知れ渡っていることは明かである(以上、甲第3号証、甲第4証、甲第5号証)。

すなわち、本件商標の出願日である平成13年(2001)8月30日においては勿論のこと、それ以前より、引用商標は、我が国において、請求人の業務を表す標章として、極めて広く認識されていたことは明白である。

ここで、本件商標は、上述の通りロゴ化した「X」のローマ文字の中心部を横切るように「SUPER」の文字を書し、これらを右回りの渦巻きの図形上に表して成るものであり、「SUPER」の文字が識別力が極めて弱いため、本件商標の要部はロゴ化して主体的に表された「X」の文字にあると考えられるものである以上、需要者・取引者は本件商標中「X」の文字のみに注目することは明かである。

一方、本件商標、引用商標ともにその指定商品中、乗物用の「タイヤ」を含むものである。

してみれば、請求人の商標とこのような関係を有する本件商標が、「タイヤ」をはじめとして請求人の業務にかかる商品と密接な関連性を有するその指定商品について使用された場合には、請求人の業務に係る商品と混同を生じるおそれがあるものと言わざるをえない。請求人の商標の周知性および両商品の密接な関連性に鑑みれば、少なくとも、請求人と一定の経済的関係のある者の業務に係る商品であるかのごとく、商品の出所について混同を生じるおそれがあるものである。よって、本件商標は商標法第4条第1項第15号に該当するものである。

2.商標法第4条第1項第11号

上述の通り、本件商標は「X」の文字が主体的に表されており、そのロゴ化の態様も引用商標と構成の軌を同一にするものであり外観上類似する商標である。また、本件商標の指定商品と引用商標の指定商品とは互いに抵触するものである。よって、本件商標は商標法第4条第1項第11号に該当するものである。

3.むすび

以上述べた通り、本件商標は商標法第4条第1項第15号及び同第11号に該当し、商標法第46条によりその登録は無効とされるべきものである。

第4.被請求人の主張

被請求人は、本件審判の請求は成り立たない、審判費用は請求人の負担とするとの審決を求める、と答弁し、その理由を次のように述べている。

1.商標法第4条第1項第15号の主張について

請求人は、「請求の理由」において、引用商標が本件商標の商標登録出願前より、我が国では周知・著名である旨を盛んに述べているが、この請求人の周知・著名であるとした主張は、アルファベットの「X」を顕著に図案化した引用商標(甲第2号証)についてではなく、自己の名称の一部でもある「ミシュラン(Michelin)」のブランドについてであって、正に「ミシュラン(Michelin)」ブランドの周知・著名性を、なんら周知・著名でもない顕著に図案化したアルファベット「X」の商標にすり替えて主張しているものであることは明らかである。そのことは、アルファベットの「X」を顕著に図案化した引用商標についての具体的な周知・著名性が全く述べられていないと共に、その使用事実や証拠の提出がないことからしても歴然としている。

被請求人は、「ミシュラン(Michelin)」のみのブランドについては、フランスのタイヤメーカーのブランドとして、また、ヨーロッパにおけるホテル、レストラン等についての旅行案内書のブランドとして、周知・著名であることを敢えて否定するものではない。

しかしながら、顕著に図案化したアルファベットの「X」(甲第2号証)についてのみの、周知・著名性の主張が全くされていないと共にその事実を確認できる証拠の提示もないのであるから、被請求人が引用商標の周知・著名性を容認することは到底できるものではない。

因みに、甲第3号証は商品名「Michelin(ミシュラン)」についてのものであり、アルファベットの「X」についてのものではない。

また、平成16年3月26日付で提出された上申書におけるパンフレットに掲載されたものにおいても、引用商標(甲第2号証)の域を大きく逸脱した引用商標とは非類似の標章であると共にましてや周知・著名性までも容認でき得るものではない。

したがって、単に本件商標が商標法第4条第1項第15号に該当するとした請求人の主張を、被請求人は全面的に否定すると共にこの主張自体が明らかに失当であることを確信する。

2.商標法第4条第1項第11号の主張について

本件商標は、輪郭が略三等分された黒色渦巻模様の中央部に、外周を3本の白抜紬線で緑取りしたサンセリフ体におけるフーツラボールド(Futura Bold)書体のアルファベット「X」を青色で表示し、且つ、その前面中央部には白抜で「SUPER」と左横書きした、文字と図形と色彩との結合から成るが、これに対し引用商標(甲第2号証)は、アルファベットの「X」を部分的に幅を違えた複数本の線をもって顕著に図案化したことを特徴としたものである。

してみれば、両商標は構成において共通性が皆無で、外観上一見して明確に区別することができる非類似の商標であり、この外観上の顕著な差異は、本件商標及び引用商標を時と所とを異にしての所謂離隔的観察においても、明確に区別することができる非類似の商標である。

したがって、本件商標が商標法第4条第1項第11号に該当するとした請求人の主張は、明らかに当を得たものではなく失当であるとしか言い得い。

3.結び

上述した如く、審判請求の理由を詳細に検討した結果、引用商標は使用の事実が皆無であって周知・著名性が認められないと共にその立証もされていないものであるから、他人の業務に係る商品と混同を生ずるおそれは全くなく、商標法第4条第1項第15号に該当するものではない。

また、本件商標と引用商標とは、外観において顕著な差異があるので、明らかに非類似の商標であって、商標法第4条第1項第11号に該当しないことは明らかである。

よって、答弁の趣旨どおりの審決を求めるものである。

第5.当審の判断

1.本件商標と引用商標との類否

本件商標は、別掲(1)に示すとおり、輪郭が略三等分された黒色の渦巻き風模様を大きく描き、その中央部に外周を3本の白抜きの細線で縁取りした「X」の欧文字を青色で表示し、その前面中央を横切るように白抜きの「SUPER」の欧文字を横書きした文字と図形と色彩との結合からなるものである。

これに対し、引用商標は、別掲(2)に示すとおりであるところ、その構成は「X」の欧文字を重ね合わせたように描き、かつ、立体感をもたせるように表現された図形よりなるものである。

しかして、本件商標は、全体が丸みを帯びた渦巻き状の模様を先ず認識させ、その中央に「X」の文字、さらに「SUPER」の文字が浮かびあがって来るかの如き印象を看者に与えるのに対し、引用商標は、上記したとおり、単に「X」の欧文字のみを立体的に表現したような、シンプルな、そして角張った印象を看者に与えるといえるものである。

してみれば、両商標は、時と所を異にして離隔的に観察した場合においても、看者に与える印象は全く異なったものとなり、外観上、何ら相紛れるおそれのない非類似の商標と判断するのが相当である。また他に、称呼及び観念において類似とすべき点は見当たらない。

したがって、本件商標と引用商標とは、その外観、称呼及び観念の何れにおいても類似しない商標である。

2.出所の混同の有無について

本件商標と引用商標は、それぞれ前記したとおりであり、両商標はその構成態様において顕著な差異を有する十分に区別し得る別異の商標といわざるを得ないものである。

してみれば、請求人が平成16年3月26日付け上申書において述べているように、たとえ、「X」からなる商標がある程度使用されているとしても、前記のとおり、本件商標と引用商標とは別異の商標であるから、本件商標をその指定商品に使用しても、その商品が請求人又は請求人と何らかの関係のある者の業務に係るものであるかのように、その商品の出所について混同を生ずるおそれのないものと判断するのが相当である。

3.むすび

したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号及び同第15号に違反して登録されたものではないから、その登録を同法第46条第1項の規定により無効とすることはできない。

よって、結論のとおり審決する。

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