Trademark Appeal Case
称呼の類似性と要部抽出
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 異議2004−90566(T2004−90566/J7) |
|---|---|
| 審判種別 | 異議 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理由テキスト
1 本件商標
本件登録第4778695号商標(以下、「本件商標」という。)は、「VACLOT」の欧文字を標準文字で表してなり、平成15年11月18日に登録出願、第10類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、同16年6月11日に設定登録されたものである。
2 引用商標
登録異義申立人(以下、「申立人」という。)が引用する登録第4641533号商標(以下、「引用商標」という。)は、「V.A.C」の欧文字を標準文字で表してなり、平成13年7月31日に登録出願、第10類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、同15年1月31日に設定登録されたものである。
3 登録異議の申立ての理由(要旨)
本件商標は、以下の理由により、商標法第4条第1項第11号、同第10号及び同第15号に違反して登録されたものであるから、その登録は取り消されるべきである。
(1)商標法第4条第1項第11号
本件商標は、引用商標と称呼において類似し、指定商品も抵触するものである。
本件商標は、構成中の後半部分「LOT」の語(文字)が、「一山、一組」を意味する「ロット」であり、本件商標の指定商品の分野では、特に細かな部材の集合が必要な商品群が多く一般的に使用されている用語である。したがって、本件商標をその指定商品に付して使用すれば、その要部は、「VAC」であるから、「ヴァック」または「バック」の称呼を生ずる。
これに対し、引用商標は、その構成より「ヴァック」または「バック」の称呼を生ずる。
したがって、本件商標は、引用商標と「ヴァック」または「バック」の称呼を共通にし、指定商品も抵触する類似の商標であるから、商標法第4条第1項第11号に該当する。
(2)商標法第4条第1項第10号
申立人は、米国の「キネティック・コンセプツ・インコーポレーテッド」に属する企業である。該企業は、「KCI」と呼ばれる医療機械器具のメーカーであり、我が国へも多数商品を輸出している。その商品中の「V.A.C」シリーズ商標を付した商品は、全て「V.A.C」の語を付して製造販売され、申立人の主力商品の一つであり(甲第3号証ないし甲第6号証)、かつ、同シリーズの商標は、申立人の商標として当業界で認知を得ている。したがって、本件商標権者が本件商標をその指定商品に付して使用した場合には、該シリーズ商品の一つとして看取され、「ヴァック」または「バック」と略称されることは、想像に難くない。
したがって、本件商標は、その登録出願日(平成15年11月18日)前から当業界で知られていた、「V.A.C」シリーズ商品の商標と類似であり、かつ、指定商品も抵触するから、商標法第4条第1項第10号に該当する。
(3)商標法第4条第1項第15号
申立人所有の「V.A.C」商標は、商品「傷口の回復を促すために用いられる各種装置」に関連して多数用いられ、医療機械器具関連の業界では、広く知られている(甲第3号証ないし甲第6号証)。
そして、本件商標の後半部分「LOT」が「一山、一組」に通ずる語であることから、該語(文字)は、商品の説明的語と認識される。本件指定商品の分野は、特殊性を有するから、本件商標がその指定商品に使用されれば、本件商標は、「V.A.C」シリーズの商品と当業者、需要者が誤認混同を生ずる可能性が極めて高い。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当する。
(4)むすび
以上の理由により、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第11号、同第10号または、同第15号に違反してなされたものであり、その登録は、取り消されるべきである。
3 当審の判断
(1)商標法第4条第1項第11号
本件商標は、上記1のとおり「VACLOT」の欧文字を、同一の書体、同じ大きさ、等間隔をもって一体に表されているものである。そして、構成全体より生ずる「ヴァクロット」または「バクロット」の称呼も、極めて冗長といえる音構成ではなく、よどみなく一連に称呼し得るものである。そうすると、申立人主張のように、「LOT」の欧文字が、指定商品の関係において、「一山、一組」を意味する用語であるとしても、「VACLOT」と一体一連に表された構成よりなる本件商標は、これを「VAC」と「LOT」の二つの部分に分けて観察しなければならない特段の理由を見出すことができず、「ヴァクロット」または「バクロット」の一連のみの称呼を生ずるというのが相当である。
他方、引用商標は、欧文字「V」及び「A」の後に黒点を付して「V.A.C」と表してなるものであるから、特定の意味合いを生じない造語であって、「ヴイエーシー」または「ブイエーシー」の称呼を生ずるといえるものである。
そうすると、本件商標より生ずる「ヴァクロット」または「バクロット」の称呼と、引用商標より生ずる「ヴイエーシー」または「ブイエーシー」の称呼とは、音構成において明らかに相違するから、両者は、称呼上において聞き誤るおそれはないといえるものである。
また、外観上についてみても、両者の構成は、前記1、2のとおりであって相紛れるおそれはなく、観念上についてみても、両者は、共に特定の意味合いを生じない造語といえるものであるから比較することができない。
したがって、本件商標と引用商標とは、称呼、外観、観念のいずれの点においても相紛れるおそれのない非類似の商標といえるから、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に違反して登録されたということはできない。
(2)商標法第4条第1項第10号
申立人は、引用商標を医療用機械器具中の「傷口の回復を促すために用いられる各種装置」に使用し、該業界の取引者、需要者に広く知られていたと主張する。
しかしながら、甲第1号証及び甲第2号証は、本件商標及び引用商標に関する商標情報であって、本件商標の登録出願前に引用商標が著名であったことを示すものではない。甲第3号証ないし甲第6号証(2004年(平成16年)12月13日インターネット打ち出し)は、本件商標の登録出願日以後のものであり、かつ、英文のみであるから、これらの証拠をもっては、引用商標が本件商標の登録出願前より我が国において申立人の商品を表示するものとして、上記商品の取引者、需要者に広く知られていたということはできないし、かつ、本件商標と引用商標が非類似の商標であることは前記認定のとおりである。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第10号に違反して登録されたということはできない。
(3)商標法第4条第1項第15号
前記(2)で述べたように、本件商標の登録出願前に引用商標が我が国において著名性を有していたと認めることはできない。
また、申立人は、「VAC」を含む商標を我が国をはじめとする世界各国に登録しており、本件商標の著名性を立証する証拠を後日提出する旨述べているが、本件商標と引用商標が非類似の商標であることは、前記認定のとおりであるから、証拠の提出を待たず審理する。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に違反して登録されたということはできない。
(4)むすび
以上のとおり、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第11号、同第10号及び同第15号に違反してされたものではないから、同法第43条の3第4項の規定により、その登録を維持すべきものである。
よって、結論のとおり決定する。
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