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Trademark Appeal Case

T字図形と周知商標の混同

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号異議2004−90140(T2004−90140/J7)
審判種別異議
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

登録第4731655号商標の登録を維持する。

理由テキスト

1.本件商標

本件登録第4731655号商標(以下「本件商標」という。)は、平成14年12月24日に登録出願、後掲(1)のとおりの構成よりなり、第24類「織物,メリヤス生地,フェルト」を指定商品として、同15年12月5日に設定登録されたものである。

2.登録異議申立の理由

登録異議申立人(以下「申立人」という。なお「東京海上火災保険株式会社」は、引用された登録商標の当該登録原簿の記載によれば、平成16年10月26日受付の登録名義人の表示変更により、権利者の表示は「東京海上日動火災保険株式会社」に変更されている。)は、本件商標の登録は商標法第4条第1項第15号に違反してされたものであるから、取り消されるべきである旨申し立てた。

(1)引用商標

(a)登録第3244276号商標についての防護標章登録第11号(以下「引用A商標」という。)は、後掲(2)のとおりの構成よりなり、平成4年9月16日に登録出願され、第40類「布地・被服又は毛皮の加工処理(乾燥処理を含む。),裁縫,ししゅう,電気めっき,フライス削り,焼きなまし,焼戻し,溶融めっき,映画用フィルムの現像,写真の引き伸ばし,写真の焼付け,写真用フィルムの現像,製本」を指定役務として、同9年7月11日に設定登録されたものである。

(b)登録第3244276号商標(以下「引用B商標」という。)は、後掲(2)のとおりの構成よりなり、使用に基づく特例の適用を主張して平成4年9月16日に登録出願され、第36類「損害保険契約の締結の代理,損害保険に係る損害の査定,損害保険の引受け,保険料率の算出」を指定役務として、特例商標として同9年1月31に設定登録されたものである。

(c)登録第3151999号商標(以下「引用C商標」という。)は、後掲(3)のとおりの構成よりなり、使用に基づく特例の適用を主張して平成4年9月29日に登録出願され、第42類「電子計算機のプログラムの設計・作成又は保守,電子計算機による計算処理」を指定役務として、特例商標として同8年5月31に設定登録されたものである。

(d)登録第3244274号商標(以下「引用D商標」という。)は、後掲(4)のとおりの構成よりなり、使用に基づく特例の適用を主張して平成4年9月8日に登録出願され、第36類「損害保険契約の締結の代理,損害保険に係る損害の査定,損害保険の引受け,保険料率の算出,資金の貸付け,債務の保証,有価証券の貸付け,金銭債権の取得及び譲渡,有価証券の保護預かり,有価証券の売買,有価証券指数等先物取引,有価証券オプション取引及び外国市場証券先物取引,建物の貸与,建物の売買,土地の貸与,土地の売買」を指定役務として、特例商標として同9年1月31に設定登録されたものである。

(2)理由の要点

本件商標構成中のT字状の図形部分と、引用A商標ないし引用D商標のT字状の図形部分とは、同形のT字状図形と中央上部における正三角形の白抜きが共通する点において構成の軌を一にするものであり、両者の全体が彼此相紛らわしく類似するものである。

しかして、申立人は、昭和59年5月に引用B商標に示す商標を社章として採用した。また、該社章、引用A商標及び引用B商標等は、請求人の業務を表示するものとして、全世界的に広く一般に知られ、周知・著名となっている。

したがって、本件商標は、申立人の周知・著名な商標と認識されるものを商標の一部としているものであり、その指定商品について使用する場合、商品の出所について混同を生じさせるおそれがある。

3.当審の判断

(1)本件商標と引用各商標の構成について

本件商標は、構成後掲(1)のとおり、多数の細い線を等間隔で横引きし、クロスバー(横線)の中央部は線を引かないで正三角形状に抜き出すように描いた欧文字の「T」を図案化したと思しきもの、その右肩上部に一部重ねて黒塗りの逆三角形を描いてなる図形と、この下段に「Lanificio Tallia Galoppo」の欧文字を横書きした構成よりなるものである。

他方、引用A商標及び引用B商標は、後掲(2)のとおり、上部に横矩形の中央部を正三角形で切り取ったものに、その底辺部に接するように正方形を配して欧文字の「T」を図案化したと思しきものを青色で彩色した図形と、この下段部に太字で「TOKIO」及び細字で「MARINE」の各欧文字とを上下二段に横書きしてなるものである。また、引用C商標は、後掲(3)のとおり、引用A商標及び引用B商標の図形部分の青色で塗り潰した横矩形及び正方形の各部を帯状のものを等間隔で横書きした欧文字の「T」を図案化したと思しき図形を描いてなるものであり、同じく、引用D商標は、後掲(4)のとおり、引用A商標及び引用B商標の図形部分の青色で塗り潰した横矩形及び正方形の各部を黒塗りで欧文字の「T」を図案化したと思しき図形を描いてなるものである。

(2)著名性について

申立人は、同人の社章及びこれと構成態様を同じくする引用A商標及び引用B商標(以下「申立人使用商標」という。)は、我が国のみならず世界的に広く知られ親しまれている商標である旨述べ、証拠方法として「東京海上の現状2003 平成15年版/平成14年度決算」(甲第6号証)とする冊子を提出している。しかし、該冊子に掲載されている構成態様は、いずれも青色で塗り潰した「T」を図案化したと思しき図形と「TOKIO」及び「MARINE」の各文字を上下二段に横書きしてなるものであり、該図形のみをって、申立人の業務に係る火災保険、海上保険、傷害保険等の役務を表示するための標識としての使用は見出せない。

そうすると、当該冊子(甲第6号証)のみによっては、該図形のみの著名性を立証するに十分とはいえないものであって、申立人使用商標における構成中の青色で塗り潰した「T」を図案化したと思しき図形が独立して、本件商標の登録出願時において取引者・需要者間に広く認識されていたとは認め難いものである。

また、本件商標の指定商品と申立人の業務に係る役務とは、その関連性において、何ら共通性を見出し得ないものである。

(3)出所の誤認について

本件商標と引用A商標及び引用B商標との類否についてみると、本件商標は、上述及び後掲のとおりの構成よりなりるところ、かかる構成にあって、その図形部分が文字部分とは独立しても識別標識として機能するものとみて差し支えないものであり、その図形部分は多数の細い線で欧文字の「T」を図案化し、その右肩上部に黒塗りの逆三角形を重ねた図形と印象し記憶されるものである。これに対して、引用A商標及び引用B商標の図形部分は、中央部を正三角形で切り取った横矩形と正方形とを組み合わせ、これらを青色で彩色し、図形全体が図案化された欧文字の「T」を画出した図形と印象し記憶されるものである。

してみると、本件商標と引用A商標、引用B商標及びこれと構成態様を同じくする申立人の社章とは、ともに欧文字の「T」を図案化してなる図形又は図形要素を有するところを共通にするとしても、その図形構成要素の相違、すなわち、前者は多数の細い線であるのに対し、後者は青色で塗り潰してなる点において差違を有し、かつ、前者には、黒塗り逆三角形の図形要素を右肩上部に加味してなり、これを捨象して認識されるべき事由もないから、一見して看者に与える印象はかなり相違し、それぞれ異なったものとして記憶され、両者を時と処を異にして離隔的に観察した場合を想定しても、外観上彼此見誤るおそれはないとみるのが相当である。また、両図形からは特定の称呼及び観念が生じるものでなく比較し得ず、他に何ら紛れるおそれのない非類似の図形であって、互いに別個のものというべきである。

そして、たとい、申立人使用商標が同人の業務に係る火災保険、海上保険、傷害保険等の役務を表示するものとして、本件商標登録出願時に需要者の間に広く認識されていたものであって、かつ、図形部分も独立して同様に認識されるものとしても、本件商標の図形部分と申立人使用商標又はその図形部分とは非類似のものであり、別異のものであることからすれば、本件商標をその指定商品に使用しても、これに接する取引者・需要者が申立人使用商標を連想、想起するようなことはないというべきであり、当該商品が申立人又は同人と経済的、組織的に何らかの関係を有する者の業務に係る商品であるかの如くその出所について混同を生ずるおそれはないものといわなければならない。

また、申立人は、本件商標のような横線で構成するT形状部分と同じくす引用C商標及びT形状部分のみの図形よりなる引用D商標をも所有している旨述べているが、これら引用各商標の指定役務は上記のとおりであって、本件商標の指定商品とは、その関連性において何ら共通性を見出し得ないものであり、かつ、該冊子(甲第6号証)には、これら引用各商標の掲載は見出せず、他にこれら引用各商標の著名性を証する書面は提出されていない。してみれば、申立人使用商標とこれら引用各商標とは、横線で構成される点、色彩及び二段書きした「TOKIO」と「MARINE」の有無において相違するものであれば、自ずとその出所についての機能・役割の認識性も異なるものであって、その点を無視して述べる申立人の主張は単に登録商標についての事情を述べるに止まるものであり、上述の認定を覆すに足りるものでない。

(4)まとめ

以上のとおり、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第15号に違反してされたものとすることはできないから、同法第43条の3第4項の規定に基づき、維持すべきものである。

よって、結論のとおり決定する。

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