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Trademark Appeal Case

称呼類似と著名商標の混同

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号異議2003−90734(T2003−90734/J7)
審判種別異議
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

登録第4702531号商標の登録を維持する。

理由テキスト

1.本件商標

本件登録第4702531号商標(以下「本件商標」という。)は、「ブーツデオ」の片仮名文字と「BOOTS DEO」の欧文字とを上下二段に横書きしてなり、第5類「薬剤」を指定商品として、平成14年11月7日に登録出願、同15年6月24日に登録査定、同15年8月22日に設定登録されたものである。

2.登録異議の申し立ての理由

(1)引用商標及びその周知性について

ア 引用商標

(ア)引用登録第1347057号商標(以下「引用A商標」という。)は、「BOOTS」の欧文字を横書きしてなり、「薬剤」を含む第1類に属する商標登録原簿記載の商品を指定商品として、昭和49年8月8日に登録出願、同53年9月29日に設定登録されたものである。

(イ)引用登録第1347058号商標(以下「引用B商標」という。)は、「ブーツ」の片仮名文字を横書きしてなり、「薬剤」を含む第1類に属する商標登録原簿記載の商品を指定商品として、昭和49年8月8日に登録出願、同53年9月29日に設定登録されたものである。

(ウ)引用登録第2188152号商標(以下「引用C商標」という。)は、別掲(1)のとおりの構成よりなり、「薬剤」を含む第1類に属する商標登録原簿記載の商品を指定商品として、昭和62年3月25日に登録出願、平成元年11月28日に設定登録されたものである。

(エ)引用登録第4157126号商標(以下「引用D商標」という。)は、「BOOTS」の欧文字と「ブーツ」の片仮名文字とを二段に併記してなり、「薬剤」を含む第5類に属する商標登録原簿記載の商品を指定商品として、平成8年7月3日に登録出願、同10年6月19日に設定登録されたものである。

(オ)引用登録第4157127号商標(以下「引用E商標」という。)は、別掲(2)のとおりの構成よりなり、「薬剤」を含む第5類に属する商標登録原簿記載の商品を指定商品として、平成8年7月3日に登録出願、同10年6月19日に設定登録されたものである。

イ 引用各商標の周知性

異議申立人(以下「申立人」という。)は、英国の法人であり、医薬品・化粧品・健康食品等を製造・販売する商品について引用各商標の使用をしている(甲第10号証)。また、1849年に英国で創業されたドラッグストアのチェーン店であって、申立人の関連会社である「Boots The Chemist」も、その店舗や取り扱い商品について引用各商標の使用をしている(甲第11号証)。

引用各商標は、申立人又は申立人の関連会社の業務に係る商品に使用され、その業務に係る商品を表示する商標として、本件商標の出願当時、英国において周知であったことは明らかであり(甲第12号証ないし甲第15号証)、我が国においても、1999年から2002まで直営店を開設して薬剤や化粧品を販売しており、申立人に係る商品を表示するものとして広く一般に知られたものとなっている(甲第16号証ないし甲第26号証)。

(2)本件商標と引用各商標の類似性について

本件商標は、「長靴」を意味する英語として我が国においてもなじまれた「BOOTS(ブーツ)」の語と、「脱臭効果のある」を意味する英語「deodorant」の略語であることを容易に認識させる「DEO(デオ)」の語よりなるものであるから(甲第7号証ないし甲第9号証)、「ブーツ」と称呼し「長靴」の意味合いを認識する引用各商標とは「ブーツ」の称呼、「長靴」の観念において類似するものである。また、本件商標の指定商品と引用各商標の指定商品とは、同一又は類似するものである。

したがって、本件商標は商標法第4条第1項第11号に該当する。

(3)本件商標と引用各商標の混同の可能性について

本件商標中の「ブーツ」の部分は、容易に「BOOTS」を想起させるものでる。そして、「BOOTS」は、本件商標の指定商品である薬剤及び薬剤と販路及び取り扱い店舗を共通とする化粧品や各種衛生商品の分野において、申立人が使用する商標として、我が国及び外国において周知な商標である。

してみれば、本件商標は、著名な引用商標を直ちに想起させるものであるから、本件商標を指定商品に使用された場合、当該商品が申立人又は申立人と何らかの関係を有する者の業務に係る商品であるかの如く、その商品の出所について混同を生ずるおそれがある。

したがって、本件商標は商標法第4条第1項第15号に該当する。

(4)結論

以上のとおり、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第11号及び第15号に違反してされたものであるから、取消しを免れない。

3.当審の判断

(1)引用各商標の著名性について

申立人は、引用各商標が、本件商標の出願当時英国において周知であり、我が国においても1999年から2002まで直営店を開設して薬剤や化粧品を販売しており、申立人に係る商品を表示するものとして広く一般に知られたものとなっている旨主張している。

しかしながら、申立人が引用各商標の著名性を立証するものとして提出した甲各号証によれば、「Gift Gide」と題する申立人関連会社のギフト用商品カタログ(甲第11号証)は、化粧品等に引用C商標及び引用E商標が表示されているが、英文で作成され、商品の価格をポンドで表示されており、作成日付の記載がないものであることからすると、使用時期が不明であるばかりでなく、我が国において使用されたものとは認められないこと、申立人会社の1999年年次報告書(甲第10号証)は、英文で作成されており、我が国における本件商標の指定商品の取引者、需要者が英国企業の年次報告書に接することは一般にはないことであり、接することがあったとしても極限られた者であると推認されるばかりでなく、引用E商標と類似する標章が表示されているが、この表示態様は、具体的商品の出所を表示するものではなく、そもそも商標の使用とはいえないものであること、英和商品名辞典(甲第13号証)には、「Boots ブーツ」の項に「英国でもっとも店舗数の多い薬局チェーン店。」との記載があり、1997年版外国会社年鑑(甲第14号証)には、「The Boots Co.PLC(ブーツ)」の項に「化粧品,薬品を中心に取り扱う英国有数の薬局チェーン。」との記載があり、英和辞典(甲第15号証)には、「boots」の項に「ブーツ:英国の薬局チェーン店」との記載があるが、これら甲第13号証ないし甲第15号証は、引用各商標の使用態様については記載されておらず、我が国における本件商標の指定商品の取引者、需要者がこれらの書籍に接することは極めて少ないと推察されること、申立人は、1999年から少なくとも2001年7月ころまでは、原宿、吉祥寺、銀座及び横浜に直営店を開設して薬剤や化粧品を販売しており、この間Boots MC Companyがホームページを開設し、引用E商標を掲載して英国ブーツの紹介や日本におけるブーツ直営店の広告をしたこと(甲第12号証)、1999年11月から2000年10月にかけて雑誌の記事として各ブーツ直営店が取り上げられたりしたこと(甲第16号証ないし甲第26号証)の各事実が認められるが、著名性が認められるためには全国的に広く知られていなければならないところ、申立人の直営店は東京と横浜に限られていたこと、また、申立人は引用各商標の周知性の立証として最も重要な時期である本件商標の登録出願当時から査定時までについて引用各商標の使用の具体的な主張、立証をしていないが、このことは、本件商標の登録出願当時、申立人は既に我が国におる直営店の営業をしていなかったことを推認させるものであり、当審においてこの点について調査したところ、2001(平成13)年7月14日付け「朝日新聞」によれば、「英国の大手ドラッグストアチェーン、ブーツと三菱商事は13日、日本に展開するブーツの店舗を閉鎖すると発表した。・・・ドラッグストアの安売り競争が過熱するなかで、ブーツの東京、横浜にある4店舗はいずれも苦戦していた。」旨報道されていることが認められ、これらの事実と「boots」「ブーツ」の各語は、我が国においては、「長靴」を意味する英語及び外来語として広く知られている語であり、商標としての創作性の程度は低いことを併せ考慮すると、引用各商標は、いずれも本件商標の登録出願時はもとより登録査定当時、我が国における本件商標の指定商品の取引者、需要者間において著名になっていたものとは認められない。

したがって、引用各商標の周知性についての申立人の主張は採用することができない。

(2)商標法第4条第1項第11号の該当性について

本件商標は、「ブーツデオ」の片仮名文字と「BOOTS DEO」の欧文字とを上下二段に横書きしてなるところ、構成中の片仮名文字部分は欧文字部分の称呼を特定したものと解されるから、各構成文字に相応して「ブーツデオ」の称呼を生ずるものと認められる。

また、本件商標は、全体としてまとまりよく構成されており、構成全体より生ずると認められる「ブーツデオ」の称呼もよどみなく一連に称呼することができ、構成全体を一連一体として認識し、把握し得るものであるから、特定の観念を生じない一種の造語と判断するのが相当である。

申立人は、本件商標の構成中の「DEO(デオ)」の文字部分が「deodorant」の略語と認識される旨主張し、証拠資料として甲第8号証及び甲第9号証を提出しているが、これらの証拠によっては、「DEO(デオ)」の文字部分が、「deodorant」の略語であり、そのことを本件商標の指定商品の取引者、需要者が広く認識していると認めるに足りない。

そうすると、本件商標は構成中の「BOOTS(ブーツ)」の文字部分より「ブーツ」の称呼、「長靴」の観念を生ずるとし、これと引用各商標とが称呼、観念において類似する旨の申立人の主張は、その前提を欠くといわざるを得ない。

他方、引用各商標は、上述したとおりの構成からなるものであり、「ブーツ」の称呼、「長靴」の観念を生ずるものである。

したがって、本件商標と引用各商標とは、その外観、称呼及び観念のいずれの点からしても十分に区別し得る非類似の商標というべきものである。

(3)商標法第4条第1項第15号の該当性について

申立人は、「本件商標は、著名な引用商標を直ちに想起させるものであるから、本件商標を指定商品に使用された場合、当該商品が申立人又は申立人と何らかの関係を有する者の業務に係る商品であるかの如く、その商品の出所について混同を生ずるおそれがある。」旨主張している。

しかしながら、我が国において引用各商標の著名性が認められないことは上述したとおりであり、加えて、本件商標と引用各商標とは、その外観、称呼及び観念のいずれの点からしても十分に区別し得る別異の商標であることも上述したとおりであるから、本件商標は、指定商品に使用した場合、取引者、需要者をして、その商品が申立人又は申立人と関係のある者の業務に係るものであるかのように、その商品の出所について混同を生ずるおそれがあるとはいえないものである。

(4)結論

以上のとおり、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第11号及び同第15号のいずれにも違反してされたものではないから、商標法第43条の3第4項の規定に基づき、維持すべきものである。

よって、結論のとおり決定する。

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