Trademark Appeal Case
図形商標の類否判断
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 不服2003−22327(T2003−22327/J1) |
|---|---|
| 審判種別 | 不服 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理由テキスト
1 本願商標
本願商標は、別掲(1)のとおりの構成よりなり、第3類「せっけん類,香料類,化粧品,かつら装着用接着剤,つけづめ,つけまつ毛,つけまつ毛用接着剤,歯磨き,家庭用帯電防止剤,家庭用脱脂剤,さび除去剤,染み抜きベンジン,洗濯用柔軟剤,洗濯用でん粉のり,洗濯用漂白剤,洗濯用ふのり,つや出し剤,研磨紙,研磨布,研磨用砂,人造軽石,つや出し紙,つや出し布,靴クリーム,靴墨,塗料用▲はく▼離剤」を指定商品として、平成13年11月7日に登録出願されたものである。
2 引用商標
原査定において、本願の拒絶の理由に引用した登録第4379711号商標は、別掲(2)のとおりの構成よりなり、平成8年5月31日に登録出願され、第30類「コーヒー豆,食品香料(精油のものを除く。),米,脱穀済みの大麦,食用粉類,食用グルテン,穀物の加工品,サンドイッチ,すし,ピザ,べんとう,ミートパイ,ラビオリ,即席菓子のもと,アーモンドペースト,イーストパウダー,こうじ,酵母,ベーキングパウダー,氷,アイスクリーム用凝固剤,家庭用食肉軟化剤,ホイップクリーム用安定剤,酒かす」を指定商品として、同12年4月28日に設定登録されたものである。
同じく、登録第4383604号商標は、別掲(3)のとおりの構成よりなり、平成8年12月17日に登録出願され、第3類「家庭用帯電防止剤,家庭用脱脂剤,さび除去剤,染み抜きベンジン,洗濯用漂白剤,つや出し剤,研磨紙,研磨布,研磨用砂,人造軽石,つや出し紙,つや出し布,靴クリーム,靴墨,塗料用剥離剤」を指定商品として、同12年5月19日に設定登録されたものである。
以下、これらをまとめて「引用各商標」という。
3 当審の判断
本願商標と引用各商標との類否について検討するに、本願商標は、別掲(1)のとおりの図形と「SMILEY FACE」の文字とを組み合わせた構成からなるものであり、また、引用各商標は、別掲(2)のとおりの図形のみの構成からなるものと、その他に別掲(3)のとおりの図形と「SMILEY」の文字とを組み合わせた構成よりなるものとがあるところ、文字と図形とが結合した構成よりなる本願商標と引用各商標は、いずれも文字部分と図形部分とが、外観上及び観念上これを分離して観察することが取引上不自然であると思われるほどにまで不可分的に結合しているということはできないものである。
そうである以上、文字と図形とを結合した構成よりなる本願商標と引用各商標は、いずれも図形部分が文字部分より独立して認識されて自他商品の識別標識としての機能を果たす場合もあるものと判断するのが相当である。
そこで、本願商標と引用各商標との図形部分の構成についてみると、いずれの図形も顔の輪郭を表す丸の中に、二つの縦長楕円形の点で描かれた目と両端上がりの弧で描かれた口を配した構成よりなるものであり、全体として人の笑顔と思われる表情を単純な構成により表したものと認められる。
両者は、口を描いた線の太さ、口の両端部等の細部の形状において差異があると認められるものの、上述したとおり、人の笑顔と思われる表情を極めて単純な構成態様によって表現したものであって、特色をなす基本的な構成態様を同一にするものである。
してみると、本願商標と引用各商標に接する取引者・需要者は、この共通する点において強く印象づけられるということができる。
そして、取引者・需要者が、図柄によって構成される商標について、必ずしも、図柄の細部まで正確に観察し、記憶し、想起してこれによって商品の出所を識別するとは限らず、商標全体の主たる構成要素を記憶し、その印象によって商品の出所を識別する場合が少なくないことを踏まえて考えると、本願商標と引用各商標の前記のような差異は、両者を同時に接し、対比観察した場合には看取できるとしても、時と所を異にして離隔的に観察した場合には明りょうにその相違を把握できるものということはできず、その差異は微差にとどまるものというべきである。
してみると、本願商標と引用各商標とは、両者の図形の外観において、互いに相紛らわしいものであり、かつ、本願商標の指定商品は引用各商標の指定商品と同一又は類似の商品を包含するものであるから、本願商標をその指定商品に使用した場合には、商品の出所について誤認混同を生ずるおそれのある類似の商標であるといわざるを得ない。
したがって、本願商標が商標法第4条第1項第11号に該当するとして本願を拒絶した原査定は、妥当であって、取り消すことはできない。
なお、請求人は、本願商標は米国のハーベイ・ボール氏により創作・著作されたことは周知の事実である旨述べるとともに、大阪地方裁判所判決(平成12年(ワ)第5986号 平成13年10月25日判決言渡)を引用し、「スマイル・マーク」に関しては、従来の「称呼」「外観」「観念」の登録判断基準にこだわることなく、また、類似判断を狭めて「多少とも違いがあり」「正当性」「根拠」があるものであれば、引用商標と併用して登録を認めるべきである旨主張しているが、請求人が引用する判決例は、本願商標とはその構成等が異なる別のスマイルマークの範疇に属する商標について設定登録された商標権に関するものであり、かつ、該判決例は、商標権の禁止権の効力が及ぶ範囲についてのものであるところ、商標権の禁止権の効力が及ぶ範囲は、当該商標に示された具体的外観(顔、目及び口の位置、描線等)を備えるスマイルマークに限定される旨判示したものであって、本願商標が商標法第4条第1項第11号に該当するものであるかの適否を判断する本件とは、標章及び使用商品の相違等、別異の事案というべきであり、これをもって本願商標と引用各商標とが類似しないとなるものでもない。
このことは、商標法第4条第1項第11号に該当するものであるかの適否が争われた事件(平成14年(行ケ)第536号 平成15年2月12日判決言渡)で「なお、原告が引用する判例は、本件商標とはその構成等が異なる別の登録商標(登録第2154392号、昭和46年10月8日商標登録出願、平成元年7月31日設定登録、指定商品・旧第25類「紙類、文房具類」)に関するものであり、かつ、原告が引用する上記判例の判旨部分は、商標権の禁止権の効力が及ぶ範囲について判示するものであって、商標登録の要件に関する本件と事案を異にしており、本件商標と引用商標とが類似するとの本件決定の認定、判断に誤りがあると解することはできず、原告の上記判例の判旨に基づく主張も失当である。」との判断が東京高等裁判所により示されているところである。
加えて、請求人は、平成16年11月5日付けで上申書を提出しているが、その内容は概略、(1)本願商標のスマイリー・フェイスは「ハーベイ・ボール」氏により創作された。(2)請求人は「目と口」からなるスマイル登録商標及び「SMILEY FACE」あるいは「HARVEY BALL」という文字からなる登録商標又はスマイルマークと文字を組み合わせた登録商標を所有している。(3)他人がスマイルマークと文字を組み合わせた登録商標を所有している。以上の点をふまえて、本願商標の審査の参考とし、登録査定を願うというものであり、参照資料として甲第1号証ないし甲第6号証を提出している。しかし、請求人提出の甲第5号証に示された登録商標のうち、登録第4750700号商標、登録第4750701号商標及び登録第4750702号商標について、職権により調査すると、当該各商標は商標法第4条第1項第11号に該当するとした拒絶理由通知書に対し、引用された登録商標の指定商品と抵触する指定商品をすべて削除する補正を行ったことにより拒絶の理由が解消し、その結果として登録に至ったものであると認められるものである。また、その他に前記各資料を精査するも、本願商標と引用各商標とが、両者の図形の外観において、互いに類似しない商標であると判断するに足りる証左は見いだせない。
よって、結論のとおり審決する。
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