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Trademark Appeal Case

商標の不使用取消と商品性

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号取消2003−31004(T2003−31004/J2)
審判種別取消
結論勝訴(請求認容)

結論テキスト

登録第4372306号商標の指定商品中「印刷物」については、その登録を取り消す。
審判費用は、被請求人の負担とする。

理由テキスト

第1 本件商標

本件登録第4372306号商標(以下「本件商標」という。)は、平成11年3月23日に登録出願され、「COEX」の欧文字と「コークス」の片仮名文字とを二段に横書きしてなり、第16類「紙製包装用容器,家庭用食品包装フィルム,紙製ごみ収集用袋,プラスチック製ごみ収集用袋,衛生手ふき,紙製タオル,紙製テーブルナプキン,紙製手ふき,紙製ハンカチ,型紙,裁縫用チャコ,紙製テーブルクロス,紙製ブラインド,紙製のぼり,紙製旗,紙製幼児用おしめ,荷札,印刷物,書画,写真,写真立て,装飾塗工用ブラシ,封ろう」を指定商品として、同12年3月31日に設定登録されたものである。

第2 請求人の主張

請求人は、本件商標の指定商品中「印刷物」についての登録を取り消す旨の審決を求め、その理由及び答弁に対する弁駁を次のように述べ、証拠方法として、甲第1号証ないし同第4号証を提出した。

1.請求の理由

請求人の調査した限りにおいて、少なくとも本件審判の請求の登録前3年以内に、日本国内において、商標権者、専用使用権者及び通常使用権者のいずれにおいても、上記指定商品中「印刷物」について、本件商標が使用された事実は存在しないことが判明した。

また、商標権者が上記商品について本件商標を使用していないことについての正当な理由があるものとも認められない。

2.答弁に対する弁駁

(1)通常使用権許諾の事実と立証

商標権の使用許諾は契約によってなされ、当事者において契約書を作成するのが通例であるところ、被請求人において、本件商標の指定商品中「印刷物」について、使用許諾に関する契約書の提出がないのは、不自然というべきである。そして、他に、使用許諾ないし合意が当事者間において黙示的にもせよあったものと認めるに足る証拠も存しない。

(2)出資者の会員を対象とする情報送信と商品性

出資口数に応じた年会費納付の会員に対して、「ニューズレター」をインターネットで送信しているとの答弁と乙号証について総合判断するに、一般に、社団法人の社員または消費生活協同組合の組合員が事業遂行に必要な個人的資金の拠出に際して、出資口数に応じた社員・組合員に対する見返りに、当該法人または組合などの相応便益を供するとの約定は、広く知られている事情にある。

乙第1号証によれば、「会員状況報告(10月21日現在)お取引先:189社、生協関係:14(GC連合含む)計203」との記事がある。

これらの事実から、被請求人「生活協同組合連合会グリーンコープ連合」の関連会社(使用権者)自らの組合事業遂行上、出資者(組合員)を対象に、「ニューズレター」の情報提供を送信するところ、かかる情報提供が組合員に対する単なる便益(会員サービス)を供するにすぎず、当該使用商品である商取引の常態である「ニューズレター」と称する態でないことは自明である。

また、被請求人主張の出資口数に応じた年会費の納付は、配信情報自体の代価とみるよりは、むしろ、当該組合事業の維持、運営費とみるべきである。

(3)パソコン端末システムによるメールと商品性

乙第1号証の「ニューズレター」の写しは、その後記欄で、発行済み「コークスレター」は、次で読むことができます、との案内記事に続いて、「インターネットが利用できる方(次のURLにアクセス下さい)」との記事に添え、アクセスに必要なユーザー名とパスワードが付記されていることからみれば、当該「ニューズレター」は、配信手段をEメールによる「情報提供」たるにすぎない。

以上、乙第1号証のニューズレターと称するインターネット利用による配信情報のメール自体は、商標法第2条にいう商標法上の商品というに当たらないから、不特定の需要者を対象とする取引市場を転々流通する商品性を否定せざるを得ない。

(4)商標の使用態様の同一性

メール自体が流通過程に乗るものでない以上、使用商標は、商品の識別標識としての本質的機能を果たすものでないから、検討すべき要はないものではあるが、付言すれば、使用商標は、本件商標とは別異の外観はもとより別異の称呼(コークスレター)及び別異の観念(cokes− letter)において、使用商標の構成態様が本件商標とは同一性を欠くものであること明らかであり、本件商標の使用として許容さるべきものではない。

(5)してみれば、本件商標は、過去3年以上に亘り、本件審判請求に係る指定商品「印刷物」について使用されたとする事実が発見できない点から、法律上保護に値する使用に伴う業務上の信用が発生しておらず、いわゆる空権化された権利にして形式的に権利の存在が確認できるのみである。

したがって、本件商標は、商標法第50条第1項の規定により、当該指定商品についてその登録は取り消されるべきものである。

第3 被請求人の答弁

被請求人は、本件審判の請求は成り立たない、審判費用は請求人の負担とするとの審決を求めると答弁し、その理由を次のように述べ、証拠方法として乙第1号証及び同第2号証を提出した。

(1)第1答弁

本件商標権者の通常使用権者である株式会社コークス調査研究所は、本件審判請求の登録前から継続して、「印刷物」としての「ニューズレター」に「コークスレター」を掲載して使用している。これを立証するために、2002年10月21日に創刊された「コークスレター」(vol.8)の写しとその送信履歴の写しを乙第1号証として提示する。

通常使用権者である株式会社コークス調査研究所は、本件商標権者が40%出資して、2002年6月21日に設立された関連会社である。そして、通常使用権者は、現在、204会員に対して、出資口数に応じて年会費を徴収し、この年会費を納付した会員に対して、「ニューズレター」としての「コークスレター」をインターネットで送信している。

このように、本件審判請求の登録前3年以内に、日本国内において、通常使用権者は、本件審判請求に係る指定商品「印刷物」について登録商標を使用しているので、その指定商品に係る商標登録は取り消されるべきではない。

(2)第2答弁

乙第2号証として「商標に関する契約書」の写しを提出する。この契約書は、被請求人が株式会社コークス調査研究所に対して本件商標権を使用許諾する旨の契約書である。これにより、株式会社コークス調査研究所が本商標権について通常使用権を有していることは明白である。

通常使用権者である株式会社コークス調査研究所は、年会費の一部を「ニューズレター」の対価として徴収しており、かかる「ニューズレター」は有料の商品である。

そして、本件商品としての「ニューズレター」は、従来の郵送という配信手段ではなく、インターネットという配信手段を利用しているだけで、有料の商品を提供していることには変わりはなく、十分に商標法上の商品といえる。

また、使用している商標は、「コークスレター」であり、後半部の「レター」の文字は、商品の内容を表記するものとして取引上普通に採択使用されているものであって、商標としての機能を有しないものであるから、使用に係る商標が本件商標と社会通念上同一のものであると容易に理解することができる。

第4 当審の判断

商標法第50条第1項に規定する商標登録の取消審判の請求があったときは、同条第2項の規定により、審判請求の登録前3年以内に日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれかがその請求に係る指定商品のいずれかについて登録商標の使用をしていることを被請求人が証明するか、又は、使用していないことについて正当な理由があることを被請求人が明らかにしない限り、その指定商品に係る商標登録の取り消しを免れない。

(1)そこで、被請求人が本件商標を「印刷物」について使用していた旨主張して提出している乙各号証をみるに、乙第1号証は、インターネットを利用して配信された2002年10月21日付の「コークスレター」(vol.8)と題する「ニューズレター」をプリントアウトしたと認められるものであり、表題の下には、(株)コークス調査研究所とあり、「日本の経済問題は何故、アメリカの『安全保障』問題になるのか?」のテーマについて、筆者のコメントがおよそ1頁にわたって記載されている。後記欄には、「会員状況報告(10月21日現在)お取引先:189社、生協関係:14(GC連合含む)計203」との記載があり、「発行済み『コークスレター』は、次で読むことができます。インターネットが利用できる方(次のURLにアクセス下さい)」との記事に添え、ユーザー名とパスワードが記載されている。

そして、送信履歴として、360件のメールアドレスが添付されている。

また、乙第2号証は、平成14年6月28日付「商標に関する契約書」と題する書面であり、被請求人が株式会社コークス調査研究所に対して、本件商標権の使用許諾をすることについての契約書と認められるものである。

(2)上記において認定した事実によれば、株式会社コークス調査研究所は、本件審判の請求の登録日(平成15年8月20日)前3年以内である平成14年(2002年)10月21日に、「コークスレター」の商標を使用した「ニューズレター」を会員宛にインターネットを利用して送信したことを認めることができる。そして、株式会社コークス調査研究所は、被請求人が40%出資して設立された関連会社である旨の被請求人の主張と乙第2号証の契約書を併せみれば、被請求人の通常使用権者と認められるものであり、また、「コークスレター」の商標は、本件商標と同一の構成からなるものではないが、「〇〇〇通信」、「〇〇〇ニュース」、「〇〇〇レター」等の表示が定期刊行物を表す表題にしばしば使用されている実情からみれば、本件商標と社会通念上同一と認められる範囲内の態様とみても差し支えないものということができる。

(3)しかしながら、商標法第50条の適用上、「商品」というためには、取引市場において独立して商取引の対象として一般市場を流通し得る物でなければならならないと解されるところ、乙第1号証をもってしては、商品性の点において、本件商標を印刷物について使用していたものとは認められない。

この点について、被請求人は、通常使用権者が会員に対して、出資口数に応じて年会費を徴収し、この年会費を納付した会員に対して、「ニューズレター」としての「コークスレター」をインターネットで送信しており、この年会費の一部を「ニューズレター」の対価として徴収しているものであるから、かかる「ニューズレター」は、有料の商品である旨主張している。

確かに、被請求人(生活協同組合連合会グリーンコープ連合)及び通常使用権者(株式会社コークス調査研究所)の事業目的は明らかではないが、一般的に、消費生活協同組合にしても株式会社組織の法人にしても、年会費等の資金の拠出を受けて、事業を遂行するに際して、付帯的に情報誌等の提供を行うことは一般に広くみられるところであり、情報誌の提供にも一定のコストがかかること自体を否定するものではない。

しかしながら、乙第1号証の「ニューズレター」には、一号当たりの定価の表示や一定期間毎の購読料等の表示もなく、発行済みの「コークスレター」を閲覧できるのも、ユーザー名とパスワードを知り得る会員及び関係者のみであることからみれば、該「ニューズレター」は、専ら、年会費を拠出した会員及び関係者に限定して提供されている情報であって、不特定多数の者を対象として、一般市場において流通し得る独立して商取引の対象となる印刷物ということはできない。そして、「ニューズレター」の作成及び送信に年会費の一部が使用されているとしても、それは「ニューズレター」の代価とみるよりは、むしろ、全体としての事業遂行上の費用の一部とみるべきものであり、年会費は、あくまでも被請求人ないしは通常使用権者の事業自体の維持、運営のための費用とみるのが相当である。

そして他に、被請求人が「コークスレター」を定期刊行物として不特定多数の者を対象に広く販売していたとする証拠の提出もなく、本件商標を使用していないことについて正当な理由があったものとも認められない。

(4)してみれば、被請求人の答弁の全趣旨及び乙各号証を総合的に判断しても、本件商標は、本件審判請求の登録前3年以内に日本国内において、商標権者、使用権者のいずれによっても、その請求に係る「印刷物」について使用されていなかったものといわざるを得ない。

したがって、本件商標の登録は、商標法第50条の規定により、請求に係る指定商品「印刷物」について取り消すべきものとする。

よって、結論のとおり審決する。

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