結論テキスト
審判費用は被請求人の負担とする。
Trademark Appeal Case
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
| 審判番号 | 無効2004−89011(T2004−89011/J3) |
|---|---|
| 審判種別 | 無効 |
| 結論 | 勝訴(請求認容) |
本件登録第4661785号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲(1)に表示した構成よりなり、平成14年4月19日に登録出願、第28類「ゴルフボール,ゴルフクラブ,ゴルフクラブヘッド,ゴルフクラブグリップ,ゴルフティー,キャディーバッグ」を指定商品として、平成15年4月11日に設定登録されたものである。
請求人が本件商標の無効の理由に引用する登録第535543号商標(以下「引用商標1」という。)は、「HEAD」の欧文字を横書きしてなり、昭和33年8月15日に登録出願、第65類「スキー」を指定商品として、昭和34年4月20日に設定登録されたものである。同じく、登録第1070887号商標(以下「引用商標2」という。)は、「HEAD」の欧文字を横書きしてなり、昭和42年5月29日に登録出願、第24類「スキー用具、その他本類に属する商品(ただし、マネキン人形、洋服飾り型、及びその類似商品を除く)」を指定商品として、昭和49年6月10日に設定登録されたものである。同じく、登録第1513649号商標(以下「引用商標3」という。)は、別掲(2)に表示した構成よりなり、昭和44年4月4日に登録出願、第24類「スキー専用特殊ズボン、スキー用アノラック、スキー用ヘルメット、その他本類に属する商品、ただしマネキン人形、洋服飾り型類を除く」を指定商品として、昭和57年5月25日に設定登録されたものである。
請求人は、結論同旨の審決を求め、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として、甲第1号証ないし甲第323号証を提出した。
本件商標中「nano−」の文字部分は、「10億分の1」メートル単位の精度の技術を表す「ナノテクノロジー」の略称である「ナノ/nano」を認識させるものである(甲第2号証ないし甲第6号証)。
また、本件商標のように「〇〇−head」と使用される場合は、全体で一つのまとまった意味を生じさせるものである(甲第7号証ないし甲第10号証)。
上記のとおり「nano−」が「ナノテクノロジー」を表す周知な略称であること、「〇〇−head」と使用される場合は全体でまとまった意味が生じること、本件指定商品にナノテクノロジーが盛んに利用されていることなどを勘案すると、本件商標をその指定商品中「ゴルフクラブヘッド」に使用しても、単に「ナノテクノロジーを利用して製造されたゴルフクラブヘッド」という意味合いしか生じず、商品の品質を表示していると認識させるに過ぎない。
このような観察が正しいことは、審査例から充分首肯されるところである(甲第38号証ないし甲第52号証)。
また、本件商標は、「ナノテクノロジーを用いて製造されていないゴルフクラブヘッド」や、それ以外の商品に使用された場合には、取引者、需要者に「ナノテクノロジーを用いて製造されたゴルフクラブヘッド」であるが如く商品の品質について誤認させることが明らかである。
本件商標が全体で一纏まりの商標として認識されず、上記1で認定した意味合いが生じないとすると、本件商標はその商標の中央に「ハイフン(−)」を有することから前半部分の「nano−」と後半部分の「head」に分離して考察されるのが自然である。
この場合、前半部分の「nano−」は、指定商品との関係において、その材質若しくは製造工程で利用される「ナノテクノロジー」技術の略称を表す語として看取されるにすぎず、「nano−」部分は識別力が無いか、若しくは極めて弱いといえる。そのため、本件商標は、識別力があるとすれば、その要部は「head」となり、引用各商標と類似する。
すなわち、本件商標の要部「head」と引用商標1ないし引用商標3の「HEAD」は、大文字、小文字の相違はあるものの、共に同一の欧文字からなるため、その外観が類似し、その称呼も「ヘッド」であり同一である。 そのため、本件商標と引用各商標は外観が類似し、称呼が同一の類似商標である。
また、本件商標の指定商品が引用各商標の指定商品と同一又は類似関係あることは明らかである。
したがって、本件商標と引用各商標とは、外観・称呼上類似するものであり、指定商品も同一又は類似の商品について使用するものである。
(1)請求人及び「HEAD」の著名性について
請求人は、オーストリア国に本社を置くオーストリア法人であり、1950年の創業以来50年あまりにわたり世界中において大規模な事展開をしてきた一流スポーツメーカーである(甲第68号証)。
請求人は、ゴルフ用具、スキー用具、スノーボード用品、テニス用具、その運動用バッグ、ウエア、アクセサリー等を世界中で大々的に販売し、請求人ハウスマークである商標「HEAD」(ヘッド)を、これら多岐にわたる商品に大々的に使用してきた。これにより、商標「HEAD」は請求人を直接的に表す一流スポーツブランドとして世界的に著名となり、高い信頼と名声を獲得し、世界中の人々に支持されてきた(甲第69号証ないし甲第287号証及び甲第323号証)。
本件商標の指定商品と類似する商品「ゴルフ用品」ついても、日本において大規模な広告宣伝及び販売活動を行っている(甲第288号証ないし甲第303号証)。
請求人は、テニスラケット及びスキー製品の販売に関しては、その品質の高さと信用から世界第3位の売上を有しており、例えば、スキーのシェアは全世界で約16%にも及ぶ。
また、請求人は、テレビやラジオをはじめとする宣伝広告にも積極的に力を注いでおり、2003年度の宣伝広告費は、約6億円に及んでいる。
そして、我が国においても、エイチ・ティ・エムスポーツジャパン株式会社が1993年より、商標「HEAD」が付された請求人に係る商品(スキー、スノーボード、テニスラケット、シューズ等)の輸入及び販売を行っており、特にゴルフ用品に関しては、現在朝日ゴルフ用品株式会社が代理店として輸入・販売を行っている。
大手スポーツ用品販売店の石井スポーツやヴィクトリア等でも商標「HEAD」は請求人を表す一流ブランドとして永年にわたり扱われてきた(甲第304号証ないし甲第310号証)。
このように商標「HEAD」は、その商品の品質の高さ、その歴史及び大規模な宣伝広告やイベント活動等を背景に、高い信用と名声を獲得した世界的一流スポーツブランドとして、スポーツファンをはじめ、世界中の人々に深く浸透するにいたっている。
(2)商品間の関連性について
請求人のハウスマークである「HEAD」は、ゴルフ用品を含む多種多様なスポーツ用品において著名である。
一方、本件商標の指定商品は、ゴルフ用品である。
そのため、本件商標の指定商品と請求人のハウスマーク「HEAD」が著名となっている商品の範囲は、同一又は類似である。
(3)審決例について
請求人は、本件商標と同様に「HEAD」を一部に含む商標に対して過去に異議申立又は無効審判請求を行っており、請求人の主張が認められ、その登録が取り消され、又は無効とされた事例がある(甲第318号証ないし甲第321号証)。
(4)本件商標は、請求人HEAD社の著名商標に類似する「head」の文宇を含むものであり、このような著名商標を含む商標が付された商品が、その著名商標権者(HEAD社)の業務に係る商品と混同を生じさせるものであることは明らかである。
被請求人は、ゴルフ用品の製造業者である(甲第322号証)。そのため、被請求人は請求人であるHEAD社がゴルフ用品を製造販売していること、及び「HEAD」商標がスポーツ用品業界において世界的に著名であることを知っているのは当然のことと考えられる。
そうであるならば、被請求人は世界的に著名な「HEAD」商標に類似する「head」に、識別力の無い言葉「nano−」を付して本件商標を登録したものであり、不正の目的をもって出願・登録したものと推測できる。
以上のとおり、本件商標は、商標法第3条第1項第3号、商標法第4条第1項第16号、同第11号、同第15号及び同第19号に該当するものであり、商標法46条第1項1号に基づき、その登録を無効にされるものである。
被請求人は、何ら答弁していない。
商標法第4条第1項第15号について
請求人の提出に係る、雑誌、新聞等における宣伝広告の掲載、日本における輸入代理店(エイチ・ティ・エムスポーツジャパン株式会社)のインボイス、売上伝票、商品カタログ等(甲第69号証ないし甲第310号証)によれば、請求人は、「HEAD」の文字からなる商標(引用商標1及び引用商標2)及び上を頂点とする放物線状の図形と「HEAD」の文字を組み合わせた商標(引用商標3)を「スキー用具、テニス用具、ゴルフ用具」等について使用していることが認められる。
そうして、前記の甲第各号証を総合勘案してみると、請求人の使用商標(引用各商標)は、本件商標の登録出願時を経て登録査定時に至るまで継続して、請求人の業務に係る商品「スキー用具、テニス用具、ゴルフ用具」に使用した結果、取引者、需要者の間において、広く認識されていたものと認められるものである。
そこで、本件商標をみると、本件商標は、別掲(1)に表示したとおり、「nano」の欧文字と「head」の欧文字の間にハイフン(−)を介した構成よりなることから、容易に「nano」と「head」の文字よりなるものと認識、看取されるものである。
してみれば、本件商標は、その構成中に、請求人の業務に係る商標として取引者、需要者の間において、広く認識されている「HEAD」の文字と同じ綴りの「head」の文字を含むものと認識、看取されるものである。
さらに、本件商標の指定商品と請求人が引用各商標を使用する商品とは、共に、運動具に属する同一又は類似の商品に使用するものである。
そうとすれば、本件商標をその指定商品に使用した場合には、請求人の使用商標(引用各商標)を想起、連想させ、請求人の業務に係る商品若しくは請求人と経済的または組織的に何らかの関係を有する者の業務に係る商品であるかの如く、商品の出所について誤認、混同を生ずるおそれがあるものというべきである。
したがって、本件商標は、一連に把握されることで引用各商標と類似しないとしても、商標法第4条第1項第15号に違反して登録されたものであるから、商標法第46条第1項の規定により無効とすべきである。
よって、結論のとおり審決する。
Next Action
類似審決の追加調査から中間応答、新規出願の費用確認まで、この審決を起点に次のアクションへ進めます。
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