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Trademark Appeal Case

称呼の類似性と要部抽出

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号無効2004−89068(T2004−89068/J3)
審判種別無効
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

本件審判の請求は、成り立たない。
審判費用は、請求人の負担とする。

理由テキスト

1 本件商標

本件登録第4311467号商標(以下「本件商標」という。)は、「タラソバランス」の文字と「THALASSO BALANCE」の文字を二段に横書きしてなるものであって、平成10年8月5日に登録出願、第3類「せっけん類,香料類,化粧品,歯磨き」を指定商品として、同11年9月3日に設定登録されたものである。

2 引用商標

請求人が本件商標の登録の無効の理由に引用する登録第632121号商標は、「バランス」の文字と「BALANCE」の文字を二段に横書きしてなるものであって、昭和37年7月28日に登録出願、第4類「化粧品、香料及薫料」を指定商品として、同38年12月16日に設定登録されたものであるが、指定商品については、第3類「化粧品,香料類」及び第30類「食品香料(精油のものを除く。)」とする書換の登録が同16年11月17日にされたものである。

3 請求人の主張

請求人は、「本件商標の指定商品中『化粧品』についての登録を無効とする。審判費用は被請求人の負担とする。」との審決を求めると申し立て、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として、甲第1号証ないし甲第9号証を提出した。

(1)請求人は、引用商標の専用使用権者であるから、本件審判を請求するにつき利害関係を有する。

(2)本件商標は、「THALASSO」、「BALANCE」及びこれらの発音を表したものというべき「タラソバランス」の文字よりなるものと容易に理解されるものである。

そして、上記の欧文字部分のみならず片仮名文字部分も、これらを常に一体不可分のものとしてのみに把握しなければならない特段の事情は存在しない。

(3)ところで、本件商標の登録前においては既に、海水、海草(藻)、海泥などを用いる「thalassotherapie」(該文字中「thera」部分の「e」には、アクサン−テギューが付されている。以下同じ。)と称する美容法が存在していて(甲第3号証ないし甲第5号証)、事実、海草(藻)や海泥を素材とする化粧品も販売されている(甲第5号証ないし甲第8号証)。

また、「thalassotherapie」なるフランス語は、海に関連する語の接頭辞というべき「thalasso」と「療法」を意味する「therapie」という語の複合語であるところ(甲第9号証)、これが略称されるとすればそれは通常前半部の「thalasso」といえること、及び一般に女性は常に美しくありたい、美しくなりたいという強い願望を抱いているところから、各種の美容法や化粧品に常に強い関心を有していることは明らかであるから、本件商標の登録前においても「thalassotherapie」なる美容法及びこれに用いる化粧品の存在を知っていたと推察される。

(4)以上のような状況下で、本件商標がその指定商品のうち「海草(藻)や海泥を素材とする化粧品」について使用されたとき、これに接する取引者、需要者は、その構成中の「THALASSO」「タラソ」の文字は、「thalassotherapie」を略して表記したものと理解し、ひいてこれらを当該商品の使用素材を表したもの理解し、「バランス」及び「BALANCE」の文字を自他商品の識別標識と把握し、これらより生ずる「バランス」の称呼及び観念によって取引に当たる場合も決して少なくないとみるのが相当である。

してみれば、本件商標は、「バランス」の称呼及び観念を生ずることは明らかである。

一方、引用商標が「バランス」の称呼及び観念を生ずることであることは明らかである。

また、両商標の指定商品は、化粧品において同一である。

(5)以上によれば、本件商標は、引用商標とその称呼及び観念を同じくする類似の商標であって、引用商標の指定商品「化粧品」と同一の商品に使用するものであるから、本件商標の指定商品中「化粧品」についての登録は、商標法第4条第1項第11号に違反してなされたものというべきである。

したがって、本件商標の登録は、同法第46条第1項の規定により無効とされるべきである。

4 被請求人の答弁

被請求人は、結論同旨の審決を求めると答弁し、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として、乙第1号証ないし乙第25号証を提出した。

(1)本件商標は、「タラソバランス」、「THALASSO BALANCE」と一連不可分に把握される商標であり、請求人が主張するような「タラソ」、「THALASSO」及び「バランス」、「BALANCE」とに分断されるものではない。

すなわち、本件商標の「タラソ」、「THALASSO」の部分は、「海水、海藻、海泥」等の素材を意味する言葉ではなく、「THALASSO BALANCE」全体として格別な意味合いを感得させない造語的な表現であり、全体の称呼も「タラソバランス」とよどみなくスムースに称呼することができるものであって、「タラソ」、「THALASSO」と「バランス」、「BALANCE」とに分断しなければならない格別の理由は存しない。

そうすると、本件商標は、「バランス」、「BALANCE」のみからなる引用商標とは、外観において相違する商標であることは明らかである。

また、称呼においても、本件商標は、「タラソバランス」と称呼されるのに対し、引用商標は「バランス」であり、称呼上彼此聞き誤るおそれはない。

さらに、観念についてみても、本件商標は、対比すべき特定の意味観念を有しないものであるから、「平均、バランス」との観念を有する引用商標と観念上相紛れるおそれもない。

よって、本件商標は引用商標とは非類似の商標であることは明らかである。

(2)請求人は、「タラソ」、「THALASSO」について、「thalassotherapie」の略称であり、「海水、海藻、海泥」を意味するかのように主張をする。そして、その根拠として「thalassotherapie」とは、「海水、海藻、海泥を使用する美容法」を意味し(甲第3号証ないし甲第5号証)、海に関連する語の接頭辞というべき「thalasso」と「療法」を意味する「therapie」という語の複合語であるところ(甲第9号証)、これが略称されるとすればそれは通常前半部の「thalasso」といえると主張し、「THALASSO」は「海水、海藻や海泥」等の素材と意味するとしている。

しかしながら、甲第3号証ないし甲第9号証のいずれにも、「THALASSO」、「タラソ」の語自体については何らの説明も記載も見られない。仮に、「thalassotherapie」が「海水、海藻、海泥などを用いる美容法」を意味するとしても、「thalasso」が「thalassotherapie」の略称ということはできず、「海水、海藻、海泥」の意味を感得させるものでもない。せいぜい、「THALASSO」は、「海」を意味するにすぎず、到底商品の使用素材を表した言葉とはいい得ない。

よって、本件商標中の「THALASSO」が商品の使用素材を表し、「バランス」、「BALANCE」の部分が自他商品の識別標識と把握されるとの、請求人の主張には根拠がない。

(3)請求人は、本件商標について、前半部の「タラソ/THALASSO」は顕著性のない言葉であり、後半部の「バランス/BALANCE」が顕著性のある言葉であって、この部分において自他商品の識別機能が発揮されているかのように主張する。

しかしながら、かかる請求人の主張は、独善的であって到底受け入れることのできないものであるが、仮にそうでないとしても、請求人が主張するような、顕著性のない言葉と「バランス」、「BALANCE」とを結合した多数の商標が、引用商標とは非類似の商標として登録されている(乙第1号証ないし乙第25号証)。このことは、顕著性のない言葉と「バランス」、「BALANCE」が結合した商標において、「バランス」、「BALANCE」の部分に自他商品の識別機能が存し、「バランス」、「BALANCE」の部分において、両商標は類似するとの請求人の主張が誤ったものであり、何ら根拠のない主張であることを示すものに他ならない。

しかも、これらの登録商標中、「カロリーバランス/CALORY BALANCE」(甲第12号証)、「リンクルバランス/WRINKLE BALANCE」(甲第17号証)、「マットバランス/MATTE BALANCE」(乙第21号証)、「スパバランス/SPA BALANCE」(乙第23号証)は、請求人自身の名義で登録されている商標であり、顕著性のない言葉と「バランス」、「BALANCE」が結合した商標である場合、「バランス」、「BALANCE」の部分に自他商品の識別機能が存し、「バランス」、「BALANCE」の部分において一致する両商標は互いに類似するとの、請求人の主張には矛盾がある。請求人の主張は到底受け入れることのできないものである。

(4)以上のとおり、本件商標は、全体が一連不可分に把握される商標であり、引用商標とは、外観、称呼、観念を異にする非類似の商標であるから、商標法第4条第1項第11号に該当するものではない。

したがって、本件商標は、商標法第46条第1項により無効とされるべき商標ではない。

5 当審の判断

(1)本件商標は、前記のとおりの構成よりなるものであるところ、その構成中の欧文字部分は、「THALASSO」の文字部分と「BALANCE」の文字部分との間に1文字程度の間隔があるとしても、同一の書体をもって、軽重の差なく表されているばかりでなく、これら欧文字の読みを特定したものと認められる「タラソバランス」の文字部分は、一連に書されているものであって、構成全体として外観上まとまりよく表されているものといえる。また、本件商標より生ずると認められる「タラソバランス」の称呼もよどみなく一気一連に称呼し得るものである。

さらに、本件商標中の「タラソ」、「THALASSO」の文字部分が、「海洋療法」等を意味する「タラソテラピー(thalassotherapie)」の略語を表すものとして、進んで化粧品の原材料を表示するものとして、普通に使用されているという事実は、請求人の提出した甲各号証によっても見出すことはできない。

そうすると、本件商標は、構成全体をもって、特定の語義を有しない造語を表したと理解されるとみるのが相当であって、他に、これを「タラソ」、「THALASSO」の文字部分と「バランス」、「BALANCE」の文字部分とに分断して、「バランス」、「BALANCE」の文字部分を抽出しなければならない事情は存しない。

したがって、本件商標は、その構成文字に相応して、「タラソバランス」の一連の称呼のみを生ずるものであって、造語よりなるものといわなければならない。

(2)引用商標は、前記のとおりの構成よりなるものであるから、その構成文字に相応して、「バランス」の称呼を生ずるものであって、「つりあい、平衡」の観念を生ずるものである。

(3)そこで、本件商標と引用商標とを比較するに、本件商標より生ずる「タラソバランス」の称呼と引用商標より生ずる「バランス」の称呼は、「タラソ」の音の有無の差異を有するものであるから、それぞれの称呼を全体として称呼しても、明瞭に聴別し得るものである。

また、本件商標は、前記のとおり、造語よりなるものであるから、「つりあい、平衡」の観念を生ずる引用商標とは、観念上比較することはできない。

さらに、両商標は、それぞれ前記のとおりの構成よりなるものであるから、外観上判然と区別し得るものである。

してみれば、本件商標と引用商標とは、称呼、観念及び外観のいずれの点からみても相紛れるおそれのない非類似の商標といわなければならない。

(4)したがって、本件商標の登録は、その指定商品中「化粧品」について、商標法第4条第1項第11号に違反してされたものではないから、同法第46条第1項の規定により、無効とすべきものでない。

よって、結論のとおり審決する。

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