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Trademark Appeal Case

結合商標の要部抽出

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号無効2004−89042(T2004−89042/J3)
審判種別無効
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

本件審判の請求は、成り立たない。
審判費用は、請求人の負担とする。

理由テキスト

第1 本件商標

本件登録第4736945号商標(以下「本件商標」という。)は、「スパピュール」の文字と「SPA PUR」の文字を二段に横書きしてなり、平成15年5月6日登録出願、第3類「化粧品,せっけん類,歯磨き,香料類,つけまつ毛」を指定商品として、同15年12月26日に設定登録されたものである。

第2 引用商標

請求人が本件商標の登録の無効の理由に引用する登録第4347589号商標(以下「引用商標」という。)は、「Pur」の文字と「ピュール」の文字を二段に横書きしてなり、平成11年2月19日登録出願、第3類「せっけん類,香料類,化粧品,歯磨き」を指定商品として、同11年12月24日に設定登録されたものである。

第3 請求人の主張

請求人は、「本件商標の登録は、その指定商品中『化粧品,せっけん類,歯磨き,香料類』について無効とする。審判費用は被請求人の負担とする。」との審決を求めると申し立て、その理由及び答弁に対する弁駁を要旨次のように述べ、証拠方法として、甲第1号証ないし甲第24号証を提出した。

【1−1】 商標法第4条第1項第11号について

(1)本件商標について

本件商標は、一見して明らかなように「SPA」と「PUR」の2語よりなる複合商標であり、かつ、片仮名「スパ」と「ピュール」よりなる結合商標である。このような商標は、商標審査基準によれば、その結合の強弱の程度を考慮して、例えば、商品の品質等を表示する文字を有するときは、該文字が付加されていない商標と類似するとされている。

本件商標の構成中の「SPA」、「スパ」の文字部分は、以下述べるように品質等を表示する自他商品識別標識としての機能を有さない部分である。

甲第3号証(研究社発行「リーダーズ英和辞典」、2083頁)の「spa」の項目には、「鉱泉、温泉、鉱泉場、湯治場」とあり、また、甲第4号証(「現代用語の基礎知識1999年版」、1430頁)の「スパ(spa)」の項目には、「温泉、湯治場」とあり、本件商標の登録出願前から「SPA」、「スパ」は、通常の知識を有する者であれば、普通に知得している程度の外来語である。しかも、近年においては、「SPA」、「スパ」の文字を付した温泉施設が多数出現している。当然ながら、温泉や温泉施設は浴場の一つであるから、本件商標に係る指定商品は、この場所においての必需品である。

また、特許庁における審査でも、「SPA」、「スパ」は、「温泉水を使用した」とする品質、原材料の表示として、自他商品識別標識としての機能を有しないものとしている(商願2002−7961の拒絶理由通知書:甲第5号証)。

したがって、本件商標は、自他商品識別標識としての機能を有する「PUR」、「ピュール」に、その商品の品質、原材料、使用場所等を示す「SPA」、「スパ」の文字を付加しただけのものであるから、自他商品の識別機能を有する「PUR」、「ピュール」から「ピュール」の称呼も生じる。

付言すれば、引用商標は、後述のように需要者の間に広く知られ、強い指標力を有するから、本件商標のように、たとえ形式的に「スパピュール」の称呼が生じることがあったとしても、需要者は、自他商品識別標識としての機能を有さない「スパ」の称呼を省略して、需要者の間に広く知られた称呼「ピュール」の部分に着目して「ピュール」のみの称呼をもって取り引きすることも少なくないのである。

(2)引用商標について

引用商標は、英文字「Pur」と片仮名「ピュ一ル」を二段に併記してなるから、「ピュール」の称呼を生じる。

(3)本件商標と引用商標との比較

本件商標から生ずる「ピュール」の称呼と引用商標から生ずる「ピュール」の称呼は同一であること疑う余地はなく、本件商標と引用商標とは称呼上類似の商標であるといわざるを得ない。

(4)指定商品の対比

本件商標に係る指定商品中「化粧品、せっけん類、歯磨き、香料類」は、引用商標に係る指定商品「せっけん類、香料類、化粧品、歯磨き」と同一又は類似の商品である。

(5)したがって、本件商標は、引用商標に類似し、かつ、引用商標に係る指定商品と同ー又は類似の商品に使用するものであるから、商標法第4条第1項第11号に該当するにもかかわらず違反して登録されたものである。

【1−2】 商標法第4条第1項第11号についての被請求人の主張に対する反論

(1)被請求人は、文字のみからなる商標を観察する場合は、特段の事情がない限り、原則として一連に称呼され一体に観念されるものとみるべきであると述べ、あたかも本件商標は、特段の事情がない旨の主張をする。

しかしながら、前記のように、商標審査基準によれば、商標中に特別顕著性を有さない語を付加結合した商標は、付加結合していない商標と類似するのであるから、引用商標に特別顕著性を有さない語を付加結合しただけの本件商標は、引用商標に類似するものであって、格別の事情が存するのである。

ところが、被請求人は、本件商標の「スパピュール」の称呼は格別冗長というべきものではなく、一連に称呼し得るとか、「PUR(ピュール)」の文字は高い識別力を有さないとか述べる。

確かに、本件商標の「スパピュール」の称呼は格別に冗長ではないから、仮に全体として「スパピュール」の称呼を生じることはあるとしても、本件商標は、明かに特別顕著性を有する語とそうでない語との結合にすぎないので、上記審査基準からしても、その要部である「ピュール/PUR」からその称呼も生じることは否めない。まして、平成11年12月に登録されたばかりの引用商標は、格別に自他商品識別を喪失するような事情もなく、むしろ需要者の間に広く知られている商標であるから、その指標力はきわめて大きく、その吸引力は特筆すべきものがある。

(2)被請求人は、本件商標は一体的に観念されるものとみるべきであるとも主張するが、本件商標からはせいぜい「スパ用のピュール」と認識されるだけであって、全体から特定の観念は生じない。

(3)被請求人は「SPA(スパ)」は、「本件商標の指定商品の品質、原材料等を表すものとして辞書や専門書等に掲載されている事実は見当らず」商品の品質、原材料、使用場所等を表示するものではないと主張する。

しかしながら、「SPA(スパ)」の有する意味は、前記(甲第3号証及び甲第4号証)のとおりであるから、本件商標は、「SPA用」の「PUR」、「スパ用」の「ピュール」と認識されることは必然であり、専門書等に記載されていなくても、普通に手にすることができる甲第3号証、甲第4号証にその意味合いが示されていれば、通常の知識を有する需要者はその意味合をきわめて容易に理解できると考えるのが相当である。

(4)被請求人は、甲第5号証に関し、2つの拒絶理由が発せられているから、この拒絶理由をもって被請求人の主張が左右されるものではない旨主張するが、この拒絶理由「2.」の意味は、「SPA」に仮に顕著性があればという予備的なものであって、主たる拒絶理由は「1.」にあることは疑う余地はない。

なお、被請求人は、過去の登録例を挙げているが、本件商標にあっては、その査定時のことであって、それ以前がどうであったかを問うているのではないのである。また事例が異なるため、どのような意味合で両者が併存しているのかを請求人にとっては知る由がない。

叙上のとおりであるから、本件商標の要部は「ピュール/PUR」にあり、その称呼は、引用商標の称呼と類似するものであること自明である。

【2−1】 商標法第4条第1項第15号について

(1)引用商標の著名性について

請求人は、引用商標又は引用商標と同一性のある商標を付したシャンプーやリンスをはじめとするせっけん類、化粧品を1999年7月より発売を始めた(甲第6号証:商品紹介資料)。同時に多数の広告宣伝を行い、引用商標を僅かの期間で世に知らせしめた。

広告宣伝は、主としてテレビ、雑誌を媒体として行っている。ちなみに、引用商標と同一又は同一性のある商標を付したシャンプーについてのテレビ広告出稿状況は、甲第7号証((株)ビデオリサーチ、(株)ビデオリサーチコムハウスの作成した報告書)に示すとおりであり、雑誌への出稿状況の一例を示すと甲第8号証ないし甲第24号証のとおりである。

この結果、引用商標はその商品について需要者の間に広く知られることとなった。

(2)出所の混同について

本件商標は、その構成中に著名な引用商標と同一の文字や称呼を含み、かつ、品質等を表示する自他商品識別標識としての機能を有さない「SPA」、「スパ」の語を結合しただけのものであるところから、請求人の業務に係る商品と混同を生じるおそれが十分にある。

(3)したがって、本件商標は、その指定商品中「化粧品、せっけん類、歯磨き、香料類」に使用すると他人の業務に係る商品と混同を生ずるおそれがあるから、商標法第4条第1項第15号に違反して登録されたものである。

【2−2】 商標法第4条第1項第15号についての被請求人の主張に対する反論

(1)被請求人は、引用商標の著名性を否定するが、請求人は、具体的な広告宣伝の事実を示し、引用商標の著名性を説明しているのであるから、被請求人は、何故、かかる広告宣伝では引用商標が需要者の間に広く知られるものでないのかを説明する責任がある。説明することができないのであれば、被請求人は、請求人のかかる宣伝広告によって引用商標が当該商品について、需要者の間に広く認識されていることを認めているのに等しい。

(2)被請求人は、本件商標と引用商標とが類似ではないとか引用商標がハウスマークではないこと等を根拠として、本件商標が請求人の業務に係る商品と混同を生ずるおそれがないと主張するが、本件商標が引用商標に類似するか否かとは関係なく、また、ハウスマークではなく商品のペットマークであっても上述の理に合致することにより、当該商品について請求人の業務に係る商品と混同を生ずるのである。ハウスマークや創造性のない商標は周知性を得ることができないとする被請求人の主張は、いささか牽強付会の感をまぬがれない。

(3)被請求人は、「PUR」又は「ピュール」の付加されている登録商標が存在すると主張するが、これらの商標は、いずれも引用商標を使用する以前の登録出願に係るもの又は本件商標が登録出願されるはるか以前に登録出願されたものであって、その当時にあっては、必ずしも引用商標が著名性を獲得していたか否かは定かではなかったため登録されたものと推定する。

しかしながら、本件商標の登録出願時までには、上述した広告宣伝は広く、かつ、反復して行われたことにより、需要者の間に広く知られるようになっているのである。

なお、被請求人は、本件商標を使用する自己の商品の例を挙げ、これまで引用商標との間に出所について誤認混同をきたしている事実はないと述べるが、このことは被請求人の単なる主観的判断にすぎない。ここで重要なのは、これまで述べてきた理により他人の業務に係る商品と混同を生ずるおそれがあれば十分なのである。

3 むすび

叙上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第11号又は同第15号に該当するので、その指定商品中「化粧品、せっけん類、歯磨き、香料類」について、その登録を無効とされるべきものである。

第4 被請求人の答弁

被請求人は、結論同旨の審決を求めると答弁し、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として、乙第1号証ないし乙第4号証(枝番を含む。)を提出した。

1 商標法第4条第1項第11号について

(1)本件商標について

本件商標は、これを前半部と後半部に分離すれば、前半部の「SPA」(スパ)の文字は「鉱泉、温泉」の意味を有する英語(外来語)であり、後半部の「PUR」(ピュール)の文字は「純な、純粋の、清い」の意味を有する比較的平易な仏語であることは認めることができる。

しかしながら、本件商標は、その構成各文字は同一の書体及び同一の大きさで外観上まとまりよく構成されていて、これより生ずると認められる「スパピュール」の称呼も格別冗長というべきものでなく、よどみなく一連に称呼し得るものである。

そして、本件商標は、これを構成する「SPA」(スパ)及び「PUR」(ピュール)の文字がその意味合いからして、いずれも高い識別力を有するといえるほど特異なものではないこと、これらの文字が軽重の差なく一体的に結合されていて、その称呼も簡潔であることなどを併せ考慮すれば、かかる構成においては、前半部の「SPA」(スパ)の文字が請求人主張のような「商品の品質、原材料等」を表示するものというよりは、むしろこれに接する取引者、需要者をして、その文字の有する意味合いを深く詮索することなく、単に「SPA」(スパ)及び「PUR」(ピュール)の文字を結合した一連不可分の造語よりなるものと把握、認識されるとみるのが自然である。

なお、本件商標中、前半部の「SPA」(スパ)の文字は、「温泉、鉱泉」「温泉地、保養地、温泉場の保養施設」の意味を有するとしても、これが本件商標の指定商品の品質、原材料等を表すものとして辞書や専門書等に掲載されている事実は見当たらず、また、「温泉水」までをも意味するものではないから、その漠然とした意味合いをもっては、商品の品質、原材料若しくは使用場所を表したものとして、取引者、需要者に直ちに把握、理解されるとは到底いい得ないものである。

また、請求人は、甲第5号証を提出し、「スパ/SPA」の文字は商品の品質、原材料等を表すものである旨主張するが、当該通知書における拒絶理由「2.」において、識別力を有するものであることが前提である商標法第4条第1項第11号に該当する旨の拒絶理由も同時に発せられているので、この拒絶理由をもって、被請求人の主張が左右されるものではない。

してみると、本件商標は、その構成文字全体に相応して、「スパピュール」の一連の称呼のみを生ずるものというべきである。

(2)引用商標について

引用商標は、「Pur」と「ピュール」の文字よりなるものであるから、その構成文字に相応して「ピュール」の称呼を生ずると認められるものである。

(3)本件商標と引用商標との比較

本件商標より生ずる「スパピュール」と引用商標より生ずる「ピュール」の称呼は、前半部の「スパ」の音の有無に明瞭な差違を有するものであるから、称呼上相紛れるおそれのないものである。

さらに、本件商標は、特定の意味合いを直ちには理解し得ない一種の造語と認められるものであるから、引用商標とは観念上比較すべくもないものであり、それぞれの構成よりみて、外観上も明瞭に区別し得るものである。

したがって、本件商標と引用商標とは、その称呼、観念及び外観のいずれからみても相紛れるおそれのない非類似の商標といわなければならない。

加えて、「SPA」の文字について、識別機能を有すると判断した審決例や「SPA」、「スパ」と他の語を結合してなる商標と、当該他の語よりなる商標が非類似のものとして登録されている例が少なからず存在する(乙第1号証ないし乙第2号証の18)。これらの例からみても、本件商標は、一体不可分のものとしてのみ捉えるべきであって、引用商標とは非類似の商標というべきである。

2 商標法第4条第1項第15号について

(1)甲第6号証ないし甲第12号証(なお、甲第13号証ないし甲第24号証は、本件商標の登録出願日以後のものである。)によれば、引用商標は、1999年7月から請求人が「シャンプー,コンディショナー」に使用を開始し、テレビ、雑誌を通じてその商品の広告、宣伝をしてきたことの事実は認められるとしても、上記甲号証のみをもっては、本件商標の登録出願時に、これが請求人の業務に係る商品「シャンプー,コンディショナー」を表示する商標として、著名性を獲得したものとはいい得ないものである。

また、引用商標は、これを構成する「Pur」、「ピュール」の文字が、前述したように、「純な、純粋の、清い」の意味を有する比較的平易な仏語であって、このような文字は誰しもが容易に採択し得るものであるから、創造性のある特異な商標として取引者、需要者の印象に強く残るものとはいえず、また、請求人の製造、販売する一商品の商標にすぎないところから、ハウスマークに比し、強い識別力ないしは出所表示力を有するものということもできない。

(2)最高裁の判決(平成10年(行ヒ)第85号、平成12年7月11日判決言渡)において、「『混同を生ずるおそれ』の有無は、当該商標と他人の表示との類似性の程度、他人の表示の周知著名性及び独創性の程度や、当該商標の指定商品等と他人の業務に係る商品等との間の性質、用途又は目的における関連性の程度並びに商品等の取引者及び需要者の共通性その他取引の実情などに照らし、当該商標の指定商品等の取引者及び需要者において普通に払われる注意力を基準として、総合的に判断されるべきである。」との判示がなされている。

(3)被請求人の上記(1)及び(2)の主張を踏まえて、本件商標が他人(請求人)の業務に係る商品と混同を生ずるおそれのある商標か否かについて検討するに、本件商標はその構成各文字が一体不可分に表示されていて引用商標とは全く類似するところのない別異の商標であること、引用商標を構成する文字自体は平易な仏語であって創造性もなく誰しもが容易に採択し得るものであること及び当該商標がハウスマークではなく一商品の商標(ペットマーク)にすぎないことなどを総合すれば、仮に引用商標が本件商標の登録出願時に請求人の業務に係る商品「シャンプー,コンディショナー」を表示する商標としてある程度知られていたとしても、本件商標をその指定商品について使用した場合、これに接する取引者、需要者がその構成中後半部の「PUR」、「ピュール」の文字のみを分離して認識し、引用商標を連想又は想起するとまでは到底認め難いものである。

したがって、本件商標は、これをその指定商品に使用しても、請求人又は同人と組織的、経済的に何らかの関係がある者の業務に係るものであるかのように、その商品の出所について混同を生じさせるおそれはないものというべきである。

なお、商標権者が請求人ではない、「PUR」、「ピュール」の文字と他の文字を結合した構成よりなる登録商標が少なからず存在する(乙第3号証の1ないし7)。

(4)本件商標の使用について

本件商標は、被請求人が自己の製造、販売する「化粧品」の商標として採択、使用しているものである(乙第4号証の1ないし3)が、本件商標を使用するにあたって、これと引用商標との間において、商品の出所について誤認混同をきたしているといったような事実も存在しないので、この取引の実情も十分に勘案されるべきである。

3 むすび

以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第11号及び同第15号に違反して登録されたものではないから、同法第46条第1項の規定によりその登録を無効とすべきでない。

第5 当審の判断

1 商標法第4条第1項第11号について

(1)本件商標について

本件商標は、前記のとおり、「スパピュール」の文字と「SPA PUR」の文字を二段に横書きしてなるものであるところ、「SPA」と「PUR」との間に1字程度の間隔があるとしても、同一の書体をもって同一の大きさで簡潔に書されているばかりでなく、その読みを特定したと理解される「スパピュール」の片仮名は、一連に書されているものであって、これらの文字を全体としてみれば、外観上まとまりよく書されているものということができる。また、本件商標より生ずると認められる「スパピュール」の称呼も語呂よく一気に称呼し得るものである。

さらに、本件商標中の「SPA」、「スパ」の文字部分が「温泉」等を意味するものとして、一般世人の間に広く知られているものであるとしても、これらの語が、本件商標の査定時に、本件請求に係る指定商品を取り扱う分野において、商品の品質、使用場所等を表示するためのものとして、普通に使用されているという事実は、請求人の提出した証拠によっても見出すことはできない。

してみれば、本件商標は、その有する外観及び称呼から一体不可分のものと把握、認識されるばかりでなく、その構成中の「SPA」、「スパ」の文字部分が本件請求に係る指定商品の品質、使用場所等を表示するものとも認められないから、構成全体をもって、「スパピュール」とのみ称呼される造語よりなる商標を表したと認識されるとみるのが相当であって、単に「ピュール」の称呼は生じないものといわなければならない。

(2)引用商標について

引用商標は、前記のとおり、「Pur」の文字と「ピュール」の文字を二段に横書きしてなるものであるから、その構成文字に相応して、「ピュール」の称呼を生ずるものであって、「純粋の、清い、清浄な」などを意味する仏語と認められる。

(3)本件商標と引用商標との比較

本件商標より生ずる「スパピュール」の称呼と引用商標より生ずる「ピュール」の称呼は、語頭部分において「スパ」の音の差異を有するものであるから、それぞれの称呼を全体として称呼した場合、その語調、語感が著しく相違したものとなり、互いに聞き誤るおそれはないものである。

また、本件商標は、前記のとおり、構成全体をもって造語を表したと理解されるものであるから、引用商標とは観念上比較することができないものである。

さらに、両商標は、それぞれ前記構成よりなるものであるから、外観上明らかに区別し得る差異を有するものである。

そうすると、本件商標と引用商標とは、その称呼、観念及び外観のいずれの点においても相紛れるおそれのない非類似の商標といわなければならない。

2 商標法第4条第1項第15号について

(1)「Pur」及び「ピュール」標章の著名性について

(ア)本件商標の登録出願前に発行されたと認められる甲第6号証ないし甲第12号証及び本件商標の登録出願日から登録査定日(平成15年11月25日)までに発行されたと認められる甲第13号証ないし甲第20号証によれば、筆記体で書された「Pur」及びその片仮名表記である「ピュール」の文字よりなる標章(以下、まとめて「引用標章」という。引用標章の使用態様の一例は、別掲のとおりである。)は、1999年7月に発行されたと認められる請求人の「商品紹介資料」に、商品「シャンプー、コンディショナー」について使用されるものとして掲載され、その後、少なくとも同年10月から2002年3月に至るまで継続して、主として商品「シャンプー」についてテレビを介して広告されたと推認し得ること、そして、その広告の際の「名称」及び「銘柄名」は、「花王 ピュールシャンプー」であったことが認められる。また、商品「シャンプー、コンディショナー」については、本件商標の登録出願前までに、雑誌「BAILA」(2001年8月号、2002年12月号)、同「CanCan」(2002年12月号)、同「Oggi」(2002年12月号)、同「with」(2003年1月号)において広告されたこと、本件商標の登録出願日から登録査定前までには、雑誌「オレンジページ」(2003年8月17日号)、同「婦人公論」(2003年8月22日号、2003年10月7日号)、同「クロワッサン」(2003年8月25日号)、同「MINE」(2003年9月号)、同「ESSE」(2003年9月号)、同「VERY」(2003年10月号)、同「my40’s」(2003年10月号)において広告されたことが認められる。

(イ)上記(ア)で認定した事実によれば、引用標章は、本件商標の登録出願前からその査定時に至るまで継続して宣伝広告した結果、本件商標の登録査定時には、請求人の業務に係る商品「シャンプー、コンディショナー」を表示するものとして、この種商品の需要者の間である程度知られていたものと認めることができる。

しかしながら、本件商標の登録出願前にテレビを介して広告したとされる甲第7号証((株)ビデオリサーチ、(株)ビデオリサーチコムハウスの作成した報告書)を見る限りにおいて、その広告には、請求人の著名なハウスマークといえる「花王」の文字と常に一体的に「ピュールシャンプー」の文字が使用されていたことからすれば、この広告に接する需要者は、「ピュール」の文字それ自体に印象づけられるというより、むしろ著名な「花王」の部分にきわめて強く印象づけられるというのが相当であるのみならず、本件商標の登録出願前における雑誌の広告は、4種類の雑誌に掲載されたにすぎず、相当の数に上るというほどのものではないことを併せ考えると、引用標章は、本件商標の登録出願前より、請求人の業務に係る商品「シャンプー、コンディショナー」を表示するものとして、需要者の間に広く認識されていたものとまで認めることはできない。

(2)出所の混同について

上記(1)で認定したとおり、引用標章は、本件商標の登録出願前より、請求人の業務に係る商品「シャンプー、コンディショナー」を表示するものとして、需要者の間に広く認識されていたものとは認められないこと、引用標章は、「純粋の、清い、清浄な」などを意味する一般的用語であり、請求人のハウスマークとして著名な「花王」等の商標と比較すると需要者に与える印象において格段に低いものとなること、引用標章は、請求人の取扱いに係る多数の商品の中で「シャンプー、コンディショナー」のみに使用されるものであることなどを総合すると、本件商標を請求に係る指定商品について使用した場合、その登録出願時において、該商品が請求人又はこれと何らかの関係を有する者の取扱いに係る商品であるかのように、商品の出所について混同を生じさせるおそれはなかったというべきである。他に、本件商標が、その登録出願時において、請求人の業務に係る商品と混同を生じさせるおそれがあったと認めるに足る証拠は見出せない。

(3)むすび

以上のとおり、本件商標の登録は、その指定商品中「化粧品、せっけん類、歯磨き、香料類」について、商標法第4条第1項第11号及び同第15号に違反してされたものではないから、同法第46条第1項の規定により、無効とすべきでない。

よって、結論のとおり審決する。

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