Trademark Appeal Case
商品類否と取引実情
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 異議2003−90365(T2003−90365/J7) |
|---|---|
| 審判種別 | 異議 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理由テキスト
1 本件商標
本件登録第4657655号商標(以下「本件商標」という。)は、平成14年5月27日に登録出願、「ASPIRE」の文字を標準文字により横書きしてなり、第9類「電気通信機械器具」を指定商品として、同15年3月28日に設定登録されたものである。
2 登録異議の申立ての理由(要旨)
(1)本件商標は、平成7年9月7日に登録出願され、「ASPIRE」の文字を書してなり、第9類「電子応用機械器具及びその部品」を指定商品として、同9年12月19日に設定登録された登録第4095275号商標(以下「引用商標」という。)と類似するものであり、かつ、本件商標の指定商品は引用商標の指定商品と類似するものである。したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当するものである。
(2)また、登録異議申立人(以下「申立人」という。)の上記引用商標は、申立人の業務に係る商品を表示するものとして取引者・需要者の間に広く認識されている商標であるところ、本件商標は、これと類似するものであって、同一又は類似の商品について使用するものであるから、本件商標がその指定商品に使用された場合には、商品の出所について混同を生ずるおそれがあり、さらに、本件商標を登録し使用することは公正な取引秩序を乱し、国際信義に反し、引用商標に化体した高い名声・信用・評判にフリーライドする目的で出願したというべきで、不正の目的をもって使用するものというべきである。したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第7号、同第10号、同第15号及び同第19号に該当するものである。
3 当審の判断
(1)本件商標と引用商標との類否について
本件商標と引用商標とは、前記のとおりの構成よりなり、同じ欧文字の綴りよりなるから明らかに類似の商標といわなければならない。
つぎに、両商標の指定商品についてみるに、本件商標の指定商品「電気通信機械器具」と引用商標の指定商品「電子応用機械器具及びその部品」(商標登録原簿によれば、引用商標の指定商品は、その指定商品中「電子管,半導体素子,電子回路《電子計算機用プログラムを記憶させた電子回路を除く。》」について、取り消すとの審決が確定し、平成16年12月20日にその登録がなされている。)は、ともに商品の区分第9類に属する商品であるところ、「電気通信機械器具」は、電気の作用をその機械器具の機能の本質的な要素にしている「通信機械器具」の大部分が含まれ、また電子の作用を応用した「電気通信機械器具」もこの概念に属すると認められ、「電子応用機械器具及びその部品」には含まれないと解される。
一方、「電子応用機械器具及びその部品」は、「電気機械器具」が、電気の作用をその機械器具の機能の本質的な要素としているものだけを含むのに対して、電子の作用を応用したもので、その機械器具の機能の本質的な要素としているものだけが含まれるが、「電気通信機械器具」は、何らかの形(例えば、「大規模集積回路」)で電子の作用を応用しているものも多いが、前記のとおり「電気通信機械器具」という概念がある以上、「電子応用機械器具」には含まれないと解される。
そして、商品の類否を判断するについては、(イ)生産部門が一致するかどうか、(ロ)販売部門が一致するかどうか、(ハ)原材料及び品質が一致するかどうか、(ニ)用途が一致するかどうか、(ホ)需要者が一致するかどうか、(ヘ)完成品と部品の関係にあるかどうか、などを総合的に考察すべきである。
これを、本件についてみるに、「電気通信機械器具」と「電子応用機械器具及びその部品」に属する商品である「電子管,半導体素子,電子回路(電子計算機用プログラムを記憶させた電子回路を除く。)とは、これが類似の商品であるとの推定のもとに具体的に類似するものであるかどうかの類否の判断においては、前記したとおり取引の実情等を総合的に判断すべきであところ、近時における産業界の分業化や専業化の実情に鑑みれば、いわゆる「通信機械器具」と「電子管,半導体素子,電子回路(電子計算機用プログラムを記憶させた電子回路を除く。)とを取り扱うメーカーにあっても、分業化や専業化が推し進められ、これらの商品が同一メーカーないし関連メーカー等によって生産・販売等がなされているものとは考えにくく、むしろ別異の生産・販売ルートをもって取引されているものとみるのが相当であり、これに反する証拠もない。
そうすると、本件商標の指定商品「電気通信機械器具」と引用商標の設定登録時の指定商品「電子応用機械器具及びその部品」とは、これらが直ちに類似するものとは断定できず、非類似の商品とみるのが相当というほかない。
したがって、本件商標と引用商標は、その構成上商標は同一又は類似するところがあるとしても、その指定商品において互いに類似するものとはいえないから、非類似のものといわざるを得ない。
(2)本件商標が公序良俗に反するか商品の出所の混同等の有無について
申立人より提出された証拠によれば、引用商標の「ASPIRE」が申立人の業務に係る商品に使用されていることが散見されるとしても、提出に係る証拠は、申立人の所有する登録商標リスト、申立人のホームページからの抜粋、申立人の企業の略称と思われる「エイサー」「エーサー」等が掲載された新聞記事の抜粋等が主であり、これらの証拠をもってしては、引用商標が、本件商標の登録出願の時に需要者の間に広く認識されていたものとは認められない。しかも、本件商標と引用商標とは、その指定商品において類似しないものであるから、商標権者が本件商標をその指定商品に使用しても、これより申立人の引用商標を連想・想起させることはなく、その商品が申立人又は申立人と何らかの関係を有する者の業務に係るものであるかのように、その商品の出所について混同を生ずるおそれがあるものとは認められない。
また、本件商標は、前記のとおりの構成よりなるところ、その構成自体がきょう激、卑わい、差別的若しくは他人に不快な印象を与えるような文字又は図形からなるものではなく、本件商標をその指定商品について使用することが社会公共の利益に反し、又は社会の一般的道徳観念に反するものでなく、さらに、本件商標と引用商標との関係は前記のとおり認識されるといえるものであるから、本件商標が公正な競業秩序を乱すものとは認められない。
以上のことからすると、本件商標は、引用商標と類似するものでないばかりでなく、引用商標の出所表示機能を希釈化させたり、又は、その名声を毀損させるなど不正の利益を得る目的をもって出願されたものとは認められない。
(3)したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第7号、同第10号、同第11号、同第15号及び同第19号に違反して登録されたものでないから、同法第43条の3第4項の規定に基づき、その登録を維持すべきものである。
よって、結論のとおり決定する。
Next Action
次の一手につながるサービス
類似審決の追加調査から中間応答、新規出願の費用確認まで、この審決を起点に次のアクションへ進めます。