Trademark Appeal Case
コンセプト表示の識別力
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 不服2002−4114(T2002−4114/J1) |
|---|---|
| 審判種別 | 不服 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理由テキスト
1 本願商標
本願商標は、「シンプル&リッチ」の文字と「SIMPLE&RICH」の文字とを二段に横書きしてなり、第16類「印刷物」、第36類「建物の管理,建物の貸借の代理又は媒介,建物の貸与,建物の売買,建物の売買の代理又は媒介,建物又は土地の鑑定評価,土地の管理,土地の貸借の代理又は媒介,土地の貸与,土地の売買,土地の売買の代理又は媒介,建物又は土地の情報の提供」、第37類「建築一式工事,しゅんせつ工事,土木一式工事,舗装工事,石工事,ガラス工事,鋼構造物工事,左官工事,大工工事,タイル・れんが又はブロックの工事,建具工事,鉄筋工事,塗装工事,とび・土工又はコンクリートの工事,内装仕上工事,板金工事,防水工事,屋根工事,管工事,機械器具設置工事,さく井工事,電気工事,電気通信工事,熱絶縁工事」及び第42類「建築物の設計,測量,デザインの考案」を指定商品及び指定役務として、平成12年10月10日に登録出願されたものである。
2 原査定の拒絶の理由
原査定は、「本願商標は、上段に片仮名『シンプル』の文字と片仮名『リッチ』の文字とを記号『&』の文字で結合し、下段に欧文字『SIMPLE』の文字と欧文字『RICH』の文字とを記号『&』の文字で結合し、普通に用いられる方法で二段に書してなるところ、『シンプル』及び『SIMPLE』の文字は『単純な、簡単な』の意味を有し、『リッチ』及び『RICH』の文字は『金持ちの、豊かな、豪華な』の意味を有し、各文字を『〜と、及び』の意味合いを持つ『&』の記号で結合してなるにすぎないから、該商標全体として『簡単で豊かな様』という意味合いを認識するものである。してみると、これを本願指定商品及び指定役務に使用しても、『簡単で内容が豊かな商品又は役務』であるという認識にとどまり、該表示のみをして自他商品識別標識及び自他役務識別標識としての機能を具備するものとは認め難いものであり、需要者が何人かの業務に係る商品及び役務であるかを認識することができないものと認める。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第6号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。
3 当審の判断
(1)本願商標は、前記したとおりの構成からなるところ、その構成中の「シンプル/SIMPLE」の語は、「単純な、簡単な、簡素な」等の意味を有し、「リッチ/RICH」の語は、「金持ちの、豊かな、豪華な」等の意味を有する外来語(英語)であって、いずれも日常一般において広く知られ、用いられている語であり、この両語を「&」の記号で結合したものであるから、全体として、「簡単で豊かな、簡素にして豪華な」の如き意味合いを容易に理解・認識し得るものである。
そして、建築業界においては、「シンプル」や「リッチ」の各語は、例えば、「シンプルながらすみずみまで工夫のあるプラン」、「シンプルでも個性的な家に」、「シンプルかつリッチな印象の部屋」、「リッチな和風建築」、「快適な空間をリッチにつくる」等々のように広く用いられているばかりでなく、この両語を「&」で結合した「シンプル&リッチ/SIMPLE&RICH」の語も建築・設計のコンセプトを表す用語として、多くの企業において頻繁に使用されているところであり、このことは、例えば、以下のインターネットのホームページ情報によっても首肯し得るものである。
(a)http://www.mew.co.jp/press/0301/0301-5.htm
松下電工プレスリリース「スタイリッシュな『和』のモダンデザインと日本の伝統的な暮らしの良さを継承した創業85周年記念商品/JAPAN GLOBAL(ジャパン グローバル)シリーズ」新発売
最先端の「和」テイストとモダンデザインを融合させたシンプル&リッチなデザインで、家全体をトータルにコーディネイト
(b)http://www.isize.com/house/01/edit/shuto/jj/mail/toshin/005/
ISIZE住宅情報メールマガジン「都心倶楽部」
COSMOSPOLIS品川第1期/超都心のタワーマンションは“シンプル&リッチ”がテーマ。 そぎ落とされた上質さのなかにステイタスをきわめた佇まいです。
(c)http://www.nippon-homes.co.jp/simple/right.html
新日本ホームズのホームページ「Simple&Rich/シンプル&リッチの設計思想が活きるこだわりのオーダーメイド住宅」
日本ホームズの創立は1964年。竹中工務店グループの住宅専門会社として産声をあげました。宮大工からスタートした竹中工務店だからこそ育むことのできた匠の心すなわち「棟梁精神」は現代にも受け継がれ、注文住宅の一邸一邸にいきづいています。流行や伝統に左右されない。住まいの本当の美しさ、豊かさを追求する。この「シンプル&リッチ」の設計思想がお客様のこだわりを実現します。
(d)http://www.echna.ne.jp/~sakurah/page3.htm
有限会社さくらハウスのホームページ
シンプル&リッチな空間に人造大理石の浴槽で体と心のリフレッシュ!
(e)http://www.rcg.co.jp/cosmosinfo/news/news66.html
リクルートコスモスニュースリリース「2002年度グッドデザイン賞(建築・環境デザイン部門)マンション2物件で同時受賞」
当社が供給する各物件において、「シンプル&リッチ」をコンセプトとし街並との調和を図った外観デザインや、人間が共通して「美しく・心地よく・目的にかなう」と感じられる外構(環境)設計、および人間のバイオリズムや視覚特性などの人間工学的な観点と光の持つ様々な特性を考慮した観点から「人を迎える癒しの明かり」を実現する照明計画のそれぞれを検証し、採用しており、このたびの二物件における受賞は、これらが総合的に評価されたものと考えます。
(2)上記した実情よりすると、「シンプル&リッチ(SIMPLE&RICH)」の語は、建築業界においては、「簡単で豊かな、簡素にして豪華な」の如き意味合いを表す語として、建築・設計のコンセプトを表す用語として、一般的に使用されているものということができる。
そうとすれば、「シンプル&リッチ」の文字と「SIMPLE&RICH」の文字とを二段に横書きしてなる本願商標は、「簡単で豊かな、簡素にして豪華な」の如き意味合いを容易に理解・認識させるものであるから、これをその指定商品及び指定役務中、特に、建築や建物に関わる第36類、第37類及び第42類の指定役務に使用しても、これに接する取引者・需要者は、単に建築・設計のコンセプトを表したものと理解するにとどまり、自他役務を識別するための標識とは認識し得ないものと判断するのが相当である。
(3)この点について、請求人は、「シンプル/SIMPLE」と「リッチ/RICH」とは相反する観念を有するもので、この両語を結合した本願商標は、造語ともいうべきものであり、具体的にいかなる商品又は役務を意味しているのか不明である。本願商標は、出願人の設計思想、企業コンセプトであり、昭和60年以降、現在までの17年間で、延べ1700棟以上の「シンプル&リッチの家」が誕生し、石川県、富山県において永年使用することにより、自他役務識別標識機能を持つに至っている旨主張している。
しかしながら、商標法第3条第1項各号列挙のいわゆる自他商品又は役務の識別機能を有しない商標について商標登録できないこととするのは、「これらは通常、商品又は役務を流通過程又は取引過程に置く場合に必要な表示であるから何人も使用をする必要があり、かつ、何人もその使用を欲するものだから一私人に独占を認めることは妥当でないこと、また、多くの場合にすでに一般的に使用されているものであるから、これらのものに自他商品又は役務の識別力を認めることができないこと」と解される(社団法人発明協会発行 特許庁編「工業所有権法逐条解説(第16版)」参照)。
そうすると、上記のとおり、「シンプル&リッチ(SIMPLE&RICH)」の語は、既に、多くの企業において頻繁に使用されているものであって、請求人のみが使用している用語ではないから、一私人に「シンプル&リッチ(SIMPLE&RICH)」の文字からなる標章の独占を認めるのは妥当でないものというべきである。
また、請求人は、「シンプル」や「リッチ」の登録例を挙げて主張しているが、そもそも、商標の識別性の判断は、各商標につき、それぞれの構成態様や取引の実情などをも勘案し、個別具体的に判断されるべき性質のものであるばかりでなく、請求人の主張している登録例は、主に、金融や生命保険に係る役務についてのものであって、本件とは事案を異にするものであるから、請求人の主張は、いずれも採用することができない。
(4)したがって、本願商標は、その指定商品及び指定役務中の第36類、第37類及び第42類の役務に使用しても、需要者が何人かの業務に係る役務であることを認識することができないものであるから、商標法第3条第1項第6号に該当するとして、その出願を拒絶した原査定は、妥当であって取り消すことはできない。
よって、結論のとおり審決する。
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