Trademark Appeal Case
公序良俗と公的機関標章
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 不服2001−8600(T2001−8600/J1) |
|---|---|
| 審判種別 | 不服 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理由テキスト
第1 本願商標
本願商標は、別掲のとおりの構成よりなり、第25類「被服,ガーター,靴下止め,ズボンつり,バンド,ベルト,履物,仮装用衣服,運動用特殊衣,運動用特殊靴」を指定商品として、平成12年4月10日に登録出願されたものである。
第2 原査定の拒絶の理由
原査定は、「本願商標は、フランス国のパリにあるパリ交通公団(RATP)が、地下鉄、バス等の回数券として使用しているものと同一態様のものであるから、パリ交通公団と何ら関係を有しない出願人が商標として採択使用することは、公の秩序を乱すこととなり、ひいては国際信義に反するものと認める。したがって、本願商標は、商標法第4条第1項第7号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。
第3 当審の判断
1 本願商標は、別掲1のとおり、横長長方形輪郭内に文字と図形を表してなり、その構成中の図形部分は、「太線の円と中央部で蛇行する幾何曲線が重なり合った特異なもの」(以下、「特異な図形」という。)であり、また、文字部分は、上段に「RATP」、「CARNET DE TICKES」「2CL」、中段に「SECTION URBAINE」、下段に「M」、「B」、「RER」、「T」の文字を円内に配してなるものである。
そして、上段の「CARNET DE TICKES」の欧文字は、「一冊の回数券」の意を有する仏語であり、中段の「SECTION URBAINE」の欧文字は、「都市部門」の意を有する仏語である。
また、下段の第3番目の円内の「RER」の欧文字部は、上段と中段の意味からして、仏語「Re seaue express regional」(第1文字目及び第5文字目の「e」にはアクサンテギュが付されている。)の略語(「アポロ仏和辞典」株式会社角川書店1991年1月8日初版発行を参照。)で「首都圏高速鉄道網(パリ市内へ東西南北から乗り入れている郊外急行電車)」の意を有するものである。
さらに、上段部左側の「RATP」の欧文字は、上記と同様、仏語「Regie autonome des transports parisiens」(第1文字目の「e」にはアクサンテギュが付されている。)の略語で、「パリ市交通公団」の意を有するものである(「RATP」の欧文字は、後で示すように「パリ交通公団」と同義の語として使用されているから、以下、統一して「パリ交通公団」という。)。
また、外枠の横長長方形輪郭部分については、我が国及び外国の交通機関の回数券または、切符の外形として用いられる横長長方形を認識させるといえるものである。
以上のことからすると、本願商標は、その構成全体を観察した場合には、パリ交通公団の回数券または切符を想起させるといわざるを得ない。
2 近時、我が国において、海外旅行に出かける者が多くなり、そのためのガイドブックが多数販売され、インターネットを利用しての情報収集も広く行われていることは、周知の事実である。
(1)そこで、海外旅行のガイドブック及びインターネット検索で「パリ」について職権をもって調査してみると、例えば、以下(A)ないし(C)の事実がある。
(A)「地球の歩き方 50 パリ&イル・ド・フランス 2000〜2001年版(株式会社ダイヤモンド・ビッグ社 2000年5月5日 改訂9版第1刷発行)」第33頁「2改札」の見出しのもと「メトロ、バス、RERの切符と定期券(’00年2月現在)」の表が示され、その表中左部分には「・・・ 回数券 カルネcarnet(10枚)・・・・」の記述があり、表の右部には、やや不鮮明であるが、実物(写真)として本願商標と構成態様が極めて酷似の「回数券カルネcarnet」(別掲2)が掲載されていることを認めることができ、構成中に多数の欧文字を有してなるが、「RATP」の欧文字と「特異な図形」を認めることができる。
(B)「マップルマガジン パリ(2004−05まっぷる 昭文社 2004年4月1日発行)」第80頁、「アート感覚あふれる地下鉄駅 いま、メトロがおもしろい」の表題のもと、該頁の中央部に、出願人(請求人)提出の参考画像とは異なるが、現在、使用されていると思われる回数券(カルネcarnet)がやや不鮮明であるが掲載されており(別掲3)、そこには、「RATP」の欧文字と「特異な図形」を認めることができる。
(C)インターネット(Google)により「パリの交通案内」を検索してみると、「移動する 新登場:ルート検索(http://www.parissmooz.com/transv/ased/ased_00.asp)」が表示され、該頁には、「RATP」の欧文字と「円と特異な図形を組み合わせた図柄」を認めることができ、該頁中の「RATP(パリ交通公団)公式サイトはこちらから 英語」の項をクリックすると、「パリ交通営団の公式サイト(http://www.ratp.fr/ParisVisite/Eng/index.htm)」が表示され、その頁にも「RATP」の欧文字と「特異な図形」を認めることができるものである。
(2)そうすると、前記のとおり「特異な図形」がパリ交通公団の公式サイトで表示され、別掲2ないし4にみるとおり、パリ交通公団の回数券のデザインが、最近数年の間に多少の変化があったとしても、該図形は、「RATP」の欧文字と常に組み合わせて描かれていることからすると、パリ交通公団がシンボル的に使用している図柄といい得るものである。
したがって、本願商標は、過去に使用された回数券(カルネcarnet)と酷似のものであり、現在使用されている回数券(カルネcarnet)とは細部においては若干の差異を有するとしても、商標を構成する要部(「RATP」の欧文字と「特異な図形」)を共通にしているといえるものであるから、本願商標を出願人(請求人)が採択して登録出願したということは、決して偶然の一致といえるものではない。
3 出願人(請求人)は、審判請求書において、(a)パリ交通公団の回数券という参考画像(別掲4)を提出し、本願商標と参考画像とを比較し、本願商標中には、「RATP」「SECTION URBAINE」の文字等は共通しているが、本願商標中には、参考画像の左下部にある「MAD」「A」「C2CL」等の文字がなく、参考画像中には、本願商標の右上部に記載された「CARNET DE TICKET 2CL」の文字がない。本願商標からパリ交通公団の回数券を連想するほどに、パリ市通公団の回数券をよく知っている需要者であれば、本願商標と該回数券を別個のものとして識別することが可能である。(b)パリ交通公団の回数券が、本願商標の出願前に取引者、需要者間に広く認識されていた事実はない。そのため、本願商標に接した需要者は、「パリ交通公団の回数券」を認識することはなく、文字と図形の組合せよりなる商標であると認識するのが自然である。(c)本願商標の指定商品は被服関連商品であり、パリ交通公団が日本において本願商標の指定商品と同様の商品を製造・販売等している事実もない。したがって、本願商標に接した需要者は、該商品がパリ交通公団を出所とした商品であると誤認混同するおそれもない、旨主張する。
しかしながら、この点についても、職権をもって調査したところによれば、「地球の歩き方 50 パリ&イル・ド・フランス 1999〜2000年版(株式会社ダイヤモンド・ビッグ社 1999年4月30日 改訂8版1第刷発行)」の第32頁には、「RATPのグッズをゲットしよう」の表題のもと、「リヨン駅の隣、セーヌ川沿いに RATP(パリ交通公団)の本社がある。・・・・また、インフォメーションでは、路線図などの資料がもらえるほか、時計やボーペンなどのグッズを買える。・・・」の記載があり、その下部には、本願商標と酷似の形状のキーホルダーや「特異な図形」の付された商品の写真(別掲5)が表示され、該写真の右下部には「メトロの切符型のキーホルダー5F、文字盤がメトロやバスのマークになっている時計119F、RATP印のボールペン5F。」の記載も認められる。
このように、パリ交通公団が前記商品(グッズ)をフランス国で販売している事実がある。
してみれば、パリ交通公団と何らの関係のない出願人(請求人)が、パリ交通公団の回数券のデザインと着想、構成をほぼ同じくする極めて類似した本願商標を、その指定商品に付して、我が国において販売することは、社会一般の道徳観念に反し、公の競業秩序を乱すものといわざるを得ないから、出願人(請求人)の上記主張は、採用することができない。
以上のとおり、出願人(請求人)が本願商標を採択、使用することは、公の秩序を乱し、ひいては国際信義に反するものといえるから、本願商標が商標法第4条第1項第7号に該当するとして本願を拒絶した原査定は、妥当であって取り消す限りではない。
よって、結論のとおり審決する。
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